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ギリシャ債務借り換え案、デフォルトに相当=S&P  ECB担保にならず折角の努力も水の泡?
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/324.html
投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 04 日 21:52:57: 6WQSToHgoAVCQ
 

ECBがS&P格付けを無視して担保として受付ても当面は影響はなさそうだが
まあ出資国ドイツなどの手前、内規を簡単に破棄するわけにもいかないか

http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_263565
ギリシャ債務借り換え案、デフォルトに相当=S&P
 【ロンドン】米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)は4日、ギリシャ債務の借り換えに関する提案について、同社の基準でデフォルト(債務不履行)に相当する、との見解を表明した。

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財政緊縮計画に抗議するアテネ市民
Reuters

6月29日可決したギリシャ財政緊縮計画に抗議するアテネ市民

 S&Pの見解は、ギリシャへの第2次救済策の構築に向けた各国金融機関の解決案に新たな課題を突きつけることになる。

 フランスの銀行連盟が先週明らかにした借り換え計画の詳細に、格付け会社が見解を示すのはこれが最初となる。フランスの金融機関は、海外勢としては最大のギリシャ国債を保有する。

 欧州中央銀行(ECB)は、デフォルト格を付与された債券をオペの担保として受け入れることはないとの姿勢を維持している。このため、ギリシャ国債を保有する銀行がECBのオペから締め出されないようにするには、選択的デフォルトの回避が重要となる。

S&Pは6月13日にギリシャのソブリン格付けを「B」から「CCC」に引き下げている。

記者: Martin Vaughan and Neelabh Chaturvedi


http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aQhSRBotdbic
ギリシャ救済にまた難題、S&Pがデフォルト認定の可能性 

  7月4日(ブルームバーグ):ギリシャをデフォルト(債務不履行)の崖っぷちから引き戻そうとする欧州の取り組みに、またも難題が浮上した。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャをデフォルト格付けとし、債権者に救済コストを分担させる当局案の決定的な瑕疵(かし)を浮き彫りにする恐れがある。

  S&Pは4日、ギリシャ国債保有者を同国債のロールオーバー(借り換え)に応じさせる案が実施された場合、同国の債務を格付け定義上の「選択的デフォルト(債務不履行)」とみなす可能性があると発表した。その場合、欧州中央銀行(ECB)はギリシャ国債をオペの担保として受け入れることができなくなり、ギリシャの銀行への支援を継続できなくなる。

  コメルツ銀行(フランクフルト)の債券ストラテジー責任者、クリストフ・リーガー氏はS&Pの発表について、「当局者と銀行はまた、別の案を考えなければならなくなった」と指摘。「ECBはデフォルト格付けの債券を担保に受け入れないとしている。ドイツ政府か格付け会社かECBか、いずれかが譲歩する必要がある」と話した。

  ユーロ圏の財務相らは2日、ギリシャ向け融資87億ユーロ(約1兆円)を7月半ばまでに実行することを承認。ギリシャ債の保有残高を維持するよう求めている銀行との交渉は数週内に完了を目指すと表明した。S&Pはその後48時間もたたないうちにデフォルト見通しを発表した。

           実行に関する不安も

  ギリシャ救済については、格付け会社の行動のほか、ギリシャ政府が先週議会を通過させた780億ユーロ規模の緊縮財政策を実行に移せるのかという不安もある。

  ユーロ圏財務相らは11日の会合で第2次ギリシャ救済案の取りまとめを進める計画だ。オーストリア当局者は先週、第2次救済の規模は最大850億ユーロと述べていた。

  欧州は、銀行にギリシャ債300億ユーロ相当のロールオーバーを受け入れさせる合意に近づいている。ギリシャに対する債権保有高の最も大きいフランスの銀行が、他国の例ともなるロールオーバーの仕組みを策定した。

  3日付のギリシャ紙プロトテマによると、ECB政策委員会メンバーのノワイエ・フランス銀行(中銀)総裁は同紙とのインタビューで、仏銀がまとめた案について「非常に優れている」とし、ギリシャのプログラムの信頼性が高まるだろうと述べた。

  ECBのトリシェ総裁はギリシャ救済について、「純粋に自発的であるもの以外のあらゆる構想」に反対する姿勢を繰り返し示し、「クレジットイベント(信用事由)や選択的デフォルト(債務不履行)、デフォルトの発生の回避」を呼び掛けている。

  ドイツの銀行、保険会社、不良債権受け皿機関であるいわゆる「バッドバンク」は先週、合計で32億ユーロ相当のギリシャ債の借り換えに応じることで合意した。

          デフォルト格付けは一時的か

  S&Pは、ギリシャのデフォルト格付けは一時的の公算で、借り換え後には新たな格付けを付与する見込みだとしている。

  S&Pまたは他の格付け会社がギリシャ債ロールオーバーはデフォルトに該当すると判断しても、直ちにクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の決済が引き起こされるわけではない。信用事由(クレジットイベント)が発生したかどうかは国際スワップデリバティブ協会(ISDA)の委員会が判断する。

「D」格付け

  S&Pは満期を迎えるギリシャ国債について「2011年の借り換え」とともに「D」格付けを付与し、新発債の方は後でギリシャに付与する新格付けと同水準の格付けとする「公算が大きい」としている。

  発表文では、「フランス銀行協会案が示した2つの借り換え方法のいずれも、当社の基準ではデフォルトに該当する公算が大きいというのが当社の見解だ」と説明。「ただ、いずれかの選択肢が実施された後、S&Pは時を置かずギリシャのソブリン信用リスクに関する将来への見通しを織り込んだ新たな発行体格付けを同国に付与するだろう」と付け加えた。

  フランス案の2つの選択肢の1つは民間投資家が保有ギリシャ債の70%を新発30年債に再投資する案。新発債にはギリシャが特別目的会社を通じて保証を付ける。第2案は90%を5年債に再投資する内容となっている。

  モニュメント・セキュリティーズの債券ストラテジスト、マーク・オストワルド氏は、S&Pは「明らかに、現在協議されている方法に対して問題を生じさせている」と述べた。

  フィッチ・レーティングスは6月15日に、欧州連合(EU)がギリシャ債の自発的ロールオーバー案を実現させた場合、ギリシャの発行体格付けを「制限的デフォルト」に引き下げるものの、ギリシャ国債の格付けは恐らくデフォルト水準より上に維持すると示唆した。

  先週はギリシャ議会が財政健全化の法案を可決し、欧州が融資実行を承認と、ギリシャにとって転換点の週となったが、ギリシャの政策実践には野党と国民の根強い反対という障壁がある。

  国際通貨基金(IMF)は欧州の決定を受けて、IMFの拠出分33億ユーロの融資実行を検討する用意があると表明。欧州とIMFからの融資でギリシャは15−22日に満期を迎える約40億ユーロの償還と月内で約30億ユーロの利払いを賄うことができる。

  より大きな試練は66億ユーロ相当が償還期限を迎える8月20日に訪れる。ユーロ圏の財務相らは2日の声明で、ギリシャ債権者との交渉は継続中とし、来週の合意への期待にはブレーキをかけた。

記事に関する記者への問い合わせ先:James G. Neuger in Brussels at jneuger@bloomberg.net;Boris Groendahl in Vienna at bgroendahl@bloomberg.net

記事に関するエディターへの問い合わせ先:James Hertling at jhertling@bloomberg.net
更新日時: 2011/07/04 18:51 JST  

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コメント
 
01. 2011年7月05日 09:45:18: Pj82T22SRI
デフォルト回避、ユーロ圏と世界経済に極めて重要=ギリシャ財務相
2011年 07月 5日 08:51 JST 
 7月4日、ギリシャのベニゼロス財務相が、ギリシャはデフォルトを回避すると言明した。アテネ市内で6月撮影(2011年 ロイター/Yiorgos Karahalis)

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 [アテネ 4日 ロイター] ギリシャのベニゼロス財務相は4日、ギリシャはデフォルト(債務不履行)を回避すると言明し、デフォルト回避は自国のためだけでなく、ユーロ圏と世界経済にとって極めて重要との認識を示した。

 同相はロイターに対し、欧州連合(EU)諸国の支援と財政再建に向けた新たな決意をもって、ギリシャはできる限り早期に財政の主権を回復し、2014年半ばの市場復帰を目指す意向だと表明。「(目標を)達成する。ギリシャのみならず、ユーロ圏と世界経済の安定にとって不可欠だからだ。ギリシャの金融システムの耐久力が試されているからだ」と語った。

 ユーロ圏財務相が2日の電話会議で第5弾融資の実施で合意したことに関して、同相は義務を履行すると明言。合意条件に沿って9月までに国有資産の民営化推進を通じて17億ユーロの歳入拡大を達成するため、一層努力すると述べた。また、今年は約10%の歳入拡大を見込んでいるとした。

 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長が、ギリシャはEU/国際通貨基金(IMF)の支援を受けることで主権制限を覚悟すべきと述べたことについて、同相は、ギリシャとユーロ圏がまずシステム上の危険性を回避し、問題を克服できるよう、議長が常に支援する意向であることに疑いはないと語った。

 「非常に厳しい財政上の制約があることに疑問の余地はないが、プログラムの完全履行を通じ、できる限り早期に財政上の主権を回復しなければならない」と述べた。

 <監視団受け入れは否定>

 ベニゼロス財務相は、ギリシャの財政健全化を監視するため、外国の監視団を関係省庁に招くという提案を拒否。同相は「監視団は受け入れない」と表明した上で、「われわれはEUや他の加盟国のノウハウと知識を活用する。これは、監視団を置くということではなく、ギリシャ議会や政府から責任がなくなるというわけでもない」との姿勢を示した。

 同相は、国有資産売却と税制改革が最優先課題とし、慢性的な脱税をなくし、徴税を強化するための詳細な計画を来週公表する、と述べた。

 ギリシャは民営化を推進する機関を設立しなければならないが、ベニゼロス財務相は、7月11日のユーロ圏財務相会合で機関のメンバーを公表すると述べた。「2─3人の人選について、野党との協議が終わった後で発表する。できるだけ幅広いコンセンサスが必要だ」と述べた。

 野党は、民営化計画の一部については賛同する姿勢を示している。

 スタンダード&プアーズが4日、フランスが発表したギリシャ債務のロールオーバー(借り換え)に関する2提案について、選択的デフォルトに相当するとの見解を示したことをめぐっては、民間銀行の関与が厳密に自発的であることが極めて重要との見方を示した。「市場は厳格で、容赦ないものだ。次のプログラムの枠組みが市場に受け入れられ、前向きな反応が得られるものであることを望んでいる」と述べた。     


02. 2011年7月05日 19:00:03: Pj82T22SRI
彼はS&P見てないのか 知ってて無視か

http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2011/07/05/013164.php
三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」  
第109回 ギリシャ危機と国家主権(1/3)
2011/07/05 (火) 16:08

 ギリシャのパパンドレウ政権は、国民がゼネラルストライキなどで激しく抵抗する中、何とか緊縮財政案を議会における可決に持ち込んだ。結果、EUやIMFなどによる融資が実行されることになり、デフォルト(債務不履行)の危機はやや遠ざかったかに思える。


『2011年7月3日 ブルームバーグ紙「ユーロ圏:ギリシャ融資の実行承認−第2次は数週間以内にまとめる」

 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は第1次ギリシャ救済に基づく5回目の融資120億ユーロ(約1兆4000億円)で、ユーロ圏負担分の実行を承認、同国のデフォルト(債務不履行)回避のため数週間内に第2次救済プログラムをまとめると約束した。

 ユーロ圏財務相は昨年合意した第1次救済プログラム(1100億ユーロ)で、5回目となる87億ユーロの融資を今月15日までに実行することで合意。ギリシャ議会の財政緊縮策の承認に尽力したパパンドレウ首相に報いた。国際通貨基金(IMF)が残りを供与する。

 これによりギリシャの債務問題は銀行や保険会社も参加する同国への第2次救済策に焦点が移る。オーストリア財務省幹部のトーマス・ウィーザー氏は6月30日、第2次救済が最大850億ユーロとなり、ユーロ圏の各国政府と民間投資家が70%を負担、IMFが残り30%を拠出すると述べた。』


 とはいえ、ギリシャの債務危機は別に解決したわけでも何でもなく、破綻時期が先延ばしにされたに過ぎない。日本のマスコミなどは、ギリシャ国会の緊縮財政案可決、さらにEU、IMFの追加融資決定を受けて、
「ギリシャのデフォルト、回避される! EU、IMFが融資決定!」
 などと能天気な見出しの記事を書くのだろうが、事はそう単純ではないのだ。

 EUやIMFが支援するのみでは、ギリシャ政府はデフォルトを回避するに充分なお金を調達することはできない。ドイツやフランスなど、欧州諸国の金融機関は政府から「自発的な償還期限延長」を要請されることになる。「政府の指示による自発的な償還期限延長」が、本当にデフォルト(債務不履行)に値しないのか。格付け機関の多くは、「自発的な償還期限延長」をデフォルトとみなす可能性が高い。

 何しろ、欧州各国は自国の銀行などに対し、300億ユーロ相当のロールオーバー(償還期限延長)を受け入れさせようとしている。これだけの規模の「政府債」の償還期限延長を国内金融機関に指示しておきながら、
「ギリシャ政府は別にデフォルトしていない」
 などと突っぱねるのは、なかなかに無理がある。

 大手格付け機関の一社であるスタンダード&プアーズは、すでに債権者である欧州金融機関などに負担を負わせる救済策を実施した場合、ギリシャを「選択的デフォルト」とすることを表明した。

 ギリシャが格付け機関にデフォルト格付けにされると、欧州中央銀行(ECB)はギリシャ国債を担保として受け入れることができなくなる。すなわち、ECBがギリシャの民間銀行への支援が不可能になるという意味である。

 そもそも、格付け機関の格下げ以外にも、今回のギリシャ支援の内情はお寒い状況である。何しろ、ギリシャ国会が採択した緊縮財政案は、780億ユーロという巨大な規模である。それに対し、ギリシャのGDPは08年のピーク時で2429億ユーロしかない。自国のGDPの三割規模の緊縮財政を、ギリシャ政府は実施しなければならないわけだ。日本で言えば、150兆円規模(!)である。

 こう言っては何だが、最近の200年間のうち、100年近くがデフォルト状態にあったギリシャが、GDPの三割規模の緊縮財政を実施できるとは到底思えない。

 また、ECBのトリシェ総裁は、ギリシャの救済に際して、
「純粋に自発的であるもの以外のあらゆる構想に反対する」
 という姿勢を維持している。要するに、政府の指示により金融機関が「自発的」に償還期限延長に応じたところで、それはデフォルトに値すると主張しているわけだ。筆者も、トリシェ総裁の意見に賛成である。

 さらに、スタンダード&プアーズがギリシャ債をデフォルト格付けに落とした場合、同債権のCDSの買い手が、
「ギリシャ政府はデフォルトした。CDSの弁済を要求する」
 と、騒ぎ出す可能性が極めて濃厚だ。実際にデフォルトが発生したかどうか、最終的に判断するのはISDA(国際スワップデリバティブ協会)だが、同協会がギリシャ政府をデフォルト認定すると、08年9月のリーマンショックの再来になる。「政治的」なことを考えても、ISDAがギリシャをデフォルト認定するのは難しいだろう。

 とはいえ、CDSの買い手(プレミアムを支払っている側)にとっては、ギリシャデフォルトは巨額の利益をもたらす。各国金融機関の「自発的」な償還期限延長がデフォルトに該当するかどうか、揉めに揉めることになるだろう。

(2/3に続く)


03. 2011年7月07日 12:21:18: Pj82T22SRI
国内投資の重要性は、その通りだが、それが行われない現状を
どうするかが重要な課題になっているのだから、そこがなければダメだ

あと一言加えると、対外純資産は、政府が管理しているわけではなく
民間のものだから、企業がシンガポールに本社移転したり、
武富士みたいに、相続人が香港に逃げたら、どうにもならないから
それを頼りに浪費を続ければ、財政は破綻することになる

>>02 第109回 ギリシャ危機と国家主権(1/3)
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2011/07/06/013170.php
 もっとも、実は上記はギリシャ問題の一部に過ぎず、本質的な問題は他に二つある。一つ目は、大規模な緊縮財政(しかも、GDPの三割規模)をギリシャ政府が実施した場合、同国の経済が更なるどん底に落ち込むことは避けられないという点だ。
 ギリシャの雇用環境は、すでにして極めて悪化している。2011年3月時点の数値を見ると、ギリシャの失業率は早くもスペイン、リトアニア、ラトビアに次ぐ数値に跳ね上がっているのだ。
 ところで、図109−1は季節調整済みの数値である。季節調整前の数値を見ると、ギリシャの失業率は2011年3月時点で16.2%にも達している。バルト諸国とほぼ同水準にまで、雇用環境が悪化しているわけだ。
【図109−1 ユーロ主要国及び日米英の失業率(2011年5月時点) 単位:%】
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/20110706_01.png
出典:ユーロスタット
 失業率が15%を上回っているギリシャにおいて、GDPの三割規模という極端な緊縮財政を実施する。さらに、ギリシャはご存知の通り公務員の数が多く、 しかも巨大な労働組合を形成している。公務員労組と民間最大の労組の二つが指示するだけで、何と労働人口の半分が動いてしまうのだ。
 今後のギリシャは、ただでさえ高い失業率が緊縮財政により悪化する中、各労組がデモやゼネラルストライキを繰り返し、GDPが収縮していく可能性 が極めて濃厚だ。GDPが縮小すると、政府の負債残高対GDP比率が悪化する。すなわち財政が悪化するため、ギリシャ政府は益々緊縮財政を強いられること になり、怒り狂った国民が例により暴動を起こし、長期間に渡り国内の混乱が続くことになるだろう。
 ギリシャ国内の混乱は、同国の主力産業である観光業に悪影響を及ぼす。何しろ、ギリシャでは観光業が国内総生産(GDP)に占める割合が、17%を上回る。この水準は、欧州小国の平均の二倍以上だ。
 緊縮財政により国内経済が縮小し、雇用が悪化し、政府の負債残高対GDP比率が悪化(=財政悪化)する状態で、果たしてパパンドレウ首相はいつま で政権を維持することができるだろうか。ギリシャのこれまでのパターンで言えば、大規模な反政府デモンストレーションやゼネストの頻発により、政権が倒 れ、EUやIMFが融資不可能になってしまう可能性も決して低くはない。

(2/3の続き)
 そして、今回のギリシャの危機の最大の問題、あるいは最大の教訓は、「政府が対外負債を返済できなくなった国は、主権を奪われてしまう」 ことが、どうやら現在の世界で常態化したという点である。
 ユーロ圏財務相会合のユンケル議長は、支援決定時にギリシャに対し、「国際支援が主権の制限と雇用の喪失をもたらすことを覚悟するように」 と、怖いことを言っている。金を貸す側であるEUの議長が、金を借りる相手に対し「主権を制限する」と明言しているわけだ。
 ギリシャ側からしてみれば、「事前に言ってくれ」という感じであろう。さらに、ユンケル議長は、今回のEUやIMFの支援がギリシャに極めて不愉快な結果をもたらすと発言し、「ギリシャの主権は大幅に制限されるだろう」 と、断言した。「主権の制限」とは、要するに主権の侵害であり、軽々しく口にしていい言葉だとは思えない。本来的な話を言えば、ギリシャの主権を持つの は、ただギリシャ国民のみである。ところが、金融がグローバル化された世界においては、政府の対外負債の状況如何により、国際機関の議長が「債務国の主権 は侵害される」と堂々と言ってのけても構わない時代に突入したということである。
 主権の侵害とは何かといえば、その国の運命をその国の国民が決められないという話だ。ギリシャで言えば、ギリシャ国民はすでに自国の運命を自ら決することができなくなっているのである。ユンケル議長の「主権制限宣言」以前に、EUやIMFなどから、「追加的な緊急融資をして欲しければ、緊縮財政を国会で可決せよ」 と指示され、パパンドレウ政権が提出した緊縮財政案を、ギリシャ国会が可決した時点で、すでに同国の主権は侵害されているわけだ。本来、ギリシャが緊縮 財政を実施するかどうかを決めるのは、ギリシャ国民の権利である。ところが、現実には債権者側の「要請」により、同国は国民を痛めつける緊縮財政を国会で 可決せざるを得なかったのである。(世界は広いもので、別に政府の対外負債があるわけではないにも関わらず、マスコミや評論家や政治家が喜んで緊縮財政を 推進しようとする、マゾヒスティックな国もあるわけだが)
 国際金融市場あるいは「グローバル金融」が幅をきかす世界においては、政府の対外負債の問題は、最終的には「主権」の問題に行き着くわけである。世界最大の対外純資産国である日本にとっては、縁のない話ではあるが。
 ところで、筆者は別に、政府が外国からお金を借りることを全否定するわけではない。日本にしても、戦後は世界銀行からの借款により、東海道新幹線 や東名高速道路を建設した。政府が「外国から借りたお金」でインフラを整備し、その上で企業が事業活動を行い、世界銀行の借款を返済していったわけだ。
 ところが、ギリシャ政府のお金の使い道は異なる。同国は、国内の供給能力を高めるための「投資」ではなく、主に公務員給与や年金などの所得移転系 (公務員給与は、一応、GDPにカウントされるが)の支出を賄うために、外国からお金を借り続けた。これはさすがに、問題といわざるを得ない。公務員給与 や年金をどれだけ政府が支払ったところで、国内の投資に回らなければ、潜在GDP(本来の供給能力)は伸びない。当然ながら、付加価値の源泉たる国富も増 えない。
 結果、貿易赤字と貯蓄不足が常態化し、政府は不足する歳入を補うために外国からお金を借り続けなければならなくなる。最終的には、現在のギリシャのように、「主権が大幅に制限されるだろう」 に行き着いてしまうわけだ。
 すなわち、日本の採るべき道は、「国の借金で破綻する〜っ!」 などと、存在しない幽霊に怯えるのではなく、国内の供給能力を維持し、あるいは高めるための投資にお金をつぎ込むことなのである。すなわち、経済成長だ。
 日本が成長を続ける限り、ギリシャのような事態に陥ることは未来永劫有り得ない。しかし、「国の借金で破綻する」などと誤った認識の下で投資を忌避し、国民経済が縮小を続けていけば、いずれは溜め込んだ対外純資産が尽き、主権が侵害される日が来るかも知れない。
 日本が「国の借金」とやらで破綻することは有り得ない。しかし「国の借金」という幻想に怯え、必要な投資を怠った場合には、破綻する可能性があるのである。


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