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推計!復興事業に関わる財政負担は13〜15兆円 歳出見直しと0.6兆円の増税で2012年度以降の国債追加発行は避けられる
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/354.html
投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 08 日 01:18:54: 6WQSToHgoAVCQ
 


http://diamond.jp/articles/-/13039
日本総研 「次世代の国づくり」 【第7回】 2011年7月8日 蜂屋勝弘 [日本総合研究所調査部 主任研究員]

推計!復興事業に関わる財政負担は13〜15兆円 歳出見直しと0.6兆円の増税で2012年度以降の国債追加発行は避けられる

 復興基本法の成立を受けて司令塔となる復興対策本部が設置されたほか、復興推進会議による「復興への提言」が答申されたことで、東日本大震 災からの復興に向けた推進体制がようやく整ってきた。今後、本格的な復興事業推進に向けた補正予算編成が求められており、10兆円超の財政支出が必要との 見方もある。
 しかしがら、現状、具体的な「復興計画」の全体像は示されておらず、総事業規模や財源は明確ではない。そこで本稿では、復興事業費についての考え 方を整理したうえで、復興財源のあり方について考察する。なお、復興財源として、財政支出のほか民間資金の活用も考えられるが、本稿では前者についてのみ 検討する。
「阪神・淡路」の経験に基づく推計の4つの留意点
 復興事業費の規模を検討する際、阪神・淡路大震災の経験が参考になる。阪神・淡路大震災での資本ストックの被害額は9.9兆円、「阪神・淡路震災 復興計画」の総事業費は16.3兆円であった(次ページ図表1)。一方、東日本大震災での資本ストックの被害額は16.9兆円(内閣府)とされており、阪 神・淡路大震災の経験から復興事業費のおおよその規模が計算できる。しかしながら、以下の点に留意する必要がある。
 第1は、復旧事業と復興事業の比率が不明な点である。社会資本等を震災前の状態に戻す復旧事業だけの場合と、それらの高度化等を通じて活力を高める復興事業も行う場合とでは、総事業費の規模は異なろう。
 東日本大震災の復興構想では、自然エネルギー活用型地域の建設などの方向性が示されており、総事業費にはこうした事情が反映されなければならな い。しかしながら、単純な比例計算では、暗黙のうちに「阪神・淡路」での復旧事業と復興事業の比率を前提とすることになり、計算結果が真に必要な規模から 大きく乖離するかもしれない。
 第2は、上記の被害額及び事業費のデータに民間部門が含まれている点である。したがって、これらをもとに単純に比例計算した28兆円(=16.9÷9.9×6.3兆円)を、東日本大震災の復興事業に係る財政負担とするのは適当ではない。
次のページ>>財政支出は単年度では終らない
 第3は、復興事業費中の社会資本整備と生活サポートの比率が異なる点である。上記の28兆円のうち財政負担分は、「阪神・淡路」での財政負担が7割(国、地方)〜9割(復興基金、関係団体を含む)あったことから、19兆〜25兆円と計算される。
 しかしながら、この数字は資本ストックの被害額のみに基づいており、復興事業費中の社会資本整備と生活サポートの比率の違いが考慮されていない点 に、留意する必要がある。生活サポートは、被災地域の住民の日々の暮らしに関わるものであり、被災地域の人口に基づいて事業規模を考えるのが妥当であろ う。
 第4は、復興には時間がかかる点である。「阪神・淡路」は10年計画で、期間中の支出額の推移をみると、1年目(94年度2月補正〜95年度)が 6兆円と最も多く、4年目以降は総事業費の10%を下回っている。この経験を踏まえると、東日本大震災の復興事業費の総額を単年度で確保する必要はなく、 一定規模の財源を数年にわたって継続的に確保することを基本としながら、財政需要の急増する震災直後の公債発行はやむを得ないとの姿勢で臨むのが妥当であ ろう。

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次のページ>>復興事業に関わる財政負担は13兆〜15兆円
復興事業に関わる財政負担は13兆〜15兆円
 東日本大震災の復興事業費の規模について、本稿では、@毀損した資本ストック額に相当する額の資本整備、A「阪神・淡路」と同程度の生活サポート のために必要となる財政負担の規模を考察する。具体的には以下の項目について推計した。ただし、原発被害や水没地の買い取り等に係る費用は織り込んでいな い。

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 結論として、復興事業に係る財政負担は13兆〜15兆円程度と計算される(図表2)。復興計画の全体像が明確にならない現状で、とりあえずの事業 規模として、この数字をさしあたり補正予算編成における前提とする。今後、復興計画を策定する過程で、事業内容を十分に吟味・精査した結果、追加的に財政 負担すべきものが出てくれば、追加の財源について、それが明確になった段階で調達する必要がある。試算の概要は以下の通りである。
@社会資本整備
 社会資本整備の費用として、先述の資本ストックの被害額は民間企業設備を含むことから、そのままを財政負担額とするのは適切ではない。本稿では、 ライフライン施設、社会基盤施設、農林水産関係施設などの公共施設の被害額の合計6.5兆円を、とりあえずの社会資本整備に係る財政負担の必要額としてい る。
A民間設備投資支援
 民間企業への主な支援策として、@設備投資減税、A借入金利子補給が考えられる。前者については、被災地での設備投資に対して今年度税制改正前と 同程度の減価償却制度を想定すると、建築物等の被害額分(約10兆円)の設備投資で300億円程度の減税になる。後者については、被災地での約10兆円の 設備投資資金の借り入れに対して1%の利子補給を想定すると、約1000億円の財源が必要と試算される。
次のページ>>復興財源選択にあたって考慮すべき3つの条件
B保健・医療・福祉等の生活サポート
 生活サポート費用については、被災地域の人口比を踏まえて検討する。「阪神・淡路」での同費用の規模は不明であるが、仮に、(図表1)の5分野のうちTUV分野を生活サポートと考えると、財政負担は3.9兆〜5.3兆円となる。
 一方、人口をみると、特に甚大な被害を受けた地域として、阪神・淡路大震災で震度7を記録した市区町の人口が144万人であったのに対し、東日本 大震災で津波被害の大きい岩手県、宮城県、福島県の太平洋岸市区町村の人口は179万人である。以上より、東日本大震災における同費用は4.9兆〜6.6 兆円程度と計算される。
 加えて、被災状況に鑑み、失業手当と瓦礫の処理を加味すると、それぞれ3600億円程度、5800億円程度と計算される。
復興財源選択にあたって考慮すべき3つの条件
 復興財源の選択にあたっては、復興事業特有の性質を考慮する必要がある。
 第1に、復興は緊急を要する。失われた機能の回復が緊急課題であり、財源の集中投下が求められる。財源選択にあたっては、機動性を重視し、制度変 更等に時間の要するものは不向きと考えられる。まずは、不要不急の歳出を見直し、必要ならば公債の増発もやむを得ない。また、増税する場合には、国民の合 意形成が比較的容易なものが望ましいと考えられる。
 第2に、復興事業には期間がある。したがって、財源も時限的な措置とするのが基本と考えられる。増税する場合には、暫定税率として期限を設定し、公債発行の際には、10年程度で償還財源を回収できるように、具体的なプランを明示することが求められる。
次のページ>>財源確保は公債と時限的な増税で
 第3に、復興事業の対象は被災地域である。被災地域の負担軽減は政策として自然であり、こうした制度設計を機動的に行えることも重要な要素といえよう。
公債発行と時限的な増税税目は所得税、法人税が適当
 財源確保にあたっては、既存歳出の見直しを優先したうえで、不足分を公債発行及び増税で補完するのが妥当であり、具体的には以下の内容が考えられよう。
@歳出の見直し
 2011年度は、1次補正での既存歳出の見直しによって4兆円程度の財源が確保されている。国債の追加発行は回避されているものの、基礎年金国庫負担が減額されており、これについては今後穴埋めする必要があろう。
 12年度以降については、歳出見直しの継続によって財源を確保することが望ましい。仮に、12年度以降毎年1兆円の歳出の見直しを継続すると、20年度までに9兆円の財源が確保できる。
A特別交付税の被災地への重点配分と決算剰余金の活用
 特別交付税は、もともと災害等による不測の地方財政需要に対応するための地方交付税で、地方交付税財源の6%分(1兆円程度)が毎年確保されてい る。これを復興に伴う財政需要の集中する今年度以降3年の間、被災地域に重点配分すれば、3兆円程度の財源を確保することが可能となる。
 一方、2010年度の決算剰余金が2兆円程度見込まれることから、地方交付税財源分と国債整理基金繰入分を除いた0.7兆円程度が利用可能と計算される。
次のページ>>財源は所得税や法人税が適している
B公債発行と時限的な増税
 公債の発行にあたっては、歳出見直し等による発行額の抑制に加え、返済財源確保のプランを示すことが重要であろう。また、増税は財源確保の選択肢の一つと考えられるが、暫定税率などによる時限的な対応が求められる。
 候補として、所得税、法人税、消費税の適不適を比較考量すると、制度変更の機動性や社会保障改革の財源論議との関わり等から、所得税や法人税が適していると考えられる(図表3)。

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歳出・歳入シミュレーション1兆円の歳出見直しで増税額は0.6兆円
 以上の考察のもと、財政シミュレーションを行うと、以下の通りとなる(次ページ図表4)。
@資本ストックの被害額や被災地人口等より総事業費は15.1兆円と計算される。復興事業のタイミングに一定の想定を置くと、2011年度の財政需 要は7.2兆円と計算され、震災による▲1.8兆円の税収減を見込むと、必要財源は8.9兆円となる。これに対し、歳出の見直し等によって確保できるのは 3.1兆円であり、5.8兆円の財源不足が生じる。このうち2.5兆円分は基礎年金国庫負担の減額で確保されることから、11年度に必要な公債発行額は 3.3兆円となる。
次のページ>>1兆円の歳出見直しで増税額は0.6兆円
A確保すべき財源は、復興事業費と償還財源充当分の総額25.7兆円となる。既存歳出の見直しと増税による財源を充てるとすれば、2012〜20年度の間、1兆円の既存歳出の見直しを継続すると、増税額は年間0.6兆円程度にとどまる(図表4参照)。
B既存歳出の見直しを継続し、一定規模の増税を行うことで、12年度以降の追加の公債発行をほぼ回避することが可能となる。
 現在、復興財源の議論は迷走し、本格的な復興予算は3次補正に先送りされようとしている。しかしながら、上記の通り、@資本ストックの復旧相当 額、A生活サポートの費用であれば、今年度必要となる追加額は3兆円程度にとどまる。一日も早い本格的復興の開始に向けて、とりあえずこの程度の規模を2 次補正で追加すべきである。


 

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コメント
 
01. 2011年7月09日 01:26:10: Pj82T22SRI
インタビュー:復興国債、増税での財源確保は逆効果=岩田・学習院大教授
2011年 07月 8日 18:47 JST
 

 7月8日、岩田・学習院大学教授は、復興国債は、その全額を日銀が政府から直接引き受けるか、ないしは、市場からの復興国債同額の長期国債を買い入れることで財源とすべきだと主張。写真は4月、都内で撮影(2011年 ロイター/Issei Kato) 

欧州銀行監督機構、15日にストレステストの結果を公表
ポルトガルの格付けに対する慎重なスタンスに変わりない=S&P
EU各国、ストレステストで不合格の銀行の支援を約束へ=内部文書
英紙盗聴疑惑で元編集長逮捕へ、1月まで官邸報道局長=報道

 [東京 8日 ロイター] 岩田規久男・学習院大学教授はロイターとのインタビューで、復興国債は、その全額を日銀が政府から直接引き受けるか、ないしは、市場からの復興国債同額の長期国債を買い入れることで財源とすべきだと主張した。

 <増税での財源確保は逆効果、日銀引き受けなら確実な需要創出>   

 政府は増税を視野に復興国債の発行を検討しているもようだが、岩田教授は「増税での財源確保は需要を抑制し、復興には逆効果となる。一方、日銀買い入れは、財政支出増加とマネー増加という2つの経路を通じる需要創出効果があるので、経済効果は格段に大きい」とした。 

 同教授は、買い切りオペと直接引き受けの効果の違いについて、買い切りオペでは日銀に復興国債と同額の長期国債購入を義務付けられない点と指摘。

 「政府から直接引き受けるには、財政法の例外規定を適用できるので、復興国債を日銀に買いとらせることが可能になるが、市場から日銀がどの程度長期国債を買い入れるかは政府が指示できるものではなく、日銀の判断にゆだねられてしまうので、実効性は不透明」とした。

 市場からの買い入れの場合でも、復興国債全額を買い入れる場合であれば、直接引き受けと効果は同じだとした。

 <過去の引き受け事例が超インフレもたらしたとは言えず>

 日銀自身は、国債引き受けがハイパーインフレを招くと警戒姿勢を示している。白川方明日銀総裁は、昭和恐慌からの脱出をはかるため日本で最初に国債引き受けを採用した高橋是清を引き合いに「市場によるチェックを受けない国債引き受けという行為自体が最終的な予算膨張という帰結をもたらした」と指摘している(5月28日、日本金融学会での講演)。

 しかし岩田教授は1930年初頭の高橋財政時のデータから「インンフレ率は最大で6.5%となったが、最後の2年間は2%でしかない。平均的には穏やかなインフレといえる。しかも実質成長率は一番良いときで10%」と指摘。「世界各国が大不況で四苦八苦するなか、いち早く恐慌を脱出。マクロ政策としてこれほどの成功例はない」と評価している。

 その後インフレとなったのは、「1935年ごろに経済が巡航速度に入ったため、高橋は財政支出や軍需支出を減らすと主張し始めたために、36年のニ・ニ六事件で暗殺されてしまった。その後、軍部のいいなりに軍事支出を日銀引き受けでまかなうことになってしまった」ことが原因だと説明し、高橋是清の国債引き受け自体をインフレ要因とする理解はは誤りだと指摘する。 

 現在の局面での引き受け実施の場合について、「デフレを脱却してインフレ率が5─10%以上になっても日銀引き受けをやめないというのであれば、インフレ率が大幅に上がり、金利暴騰もありうる。しかし、「そこまで政府も日銀も良識がないはずがない」と指摘。

 実際に、米国がリーマンショック以降に巨額の国債を買い入れてもインフレになっていない事例を指摘。インフレ誘発を怖がり、その懸念を広めている日銀の主張に論理的な根拠は薄いとした。

 <デフレが円高をもたらす>

 需給ギャップを抱えてデフレに陥っている現在、何より重要なのはインフレ予想を高めることで、設備投資や消費を刺激、円安をもたらすことが可能となると指摘。

 「デフレというのはもっているだけで通貨の価値があがることだ。デフレで円の価値が上がれば、円に対する海外の需要は増える。予想インフレ率は、アメリカは2%ちょっとで、日本はマイナス。日米予想インフレ率差がなくなると、30円くらいの円安となり、1ドル=110円くらいになる。3月の大震災後の円急騰は日本の震災でデフレ予想が高まったためで、デフレで説明できる。デフレと円高は同じことの両面だ」と説明した。

 その上で、同教授は「デフレ脱却は金融政策ではできないというのが日銀理論。そういう中央銀行はいらない」と日銀の姿勢を批判。「スウェーデンはリーマン・ショック後、デフレになったが、マネタリーベースを4倍増やしている。それでインフレはやっと2─3%の間。日本はどれだけ増やしたか。リーマン・ショック前より最大で10%しか増やしていない」とさらなる対応を求めた。

 このインタビューは7日に行った。

 (ロイターニュース 中川泉;編集 佐々木美和)


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