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減税と規制緩和で 財政は改善するか?
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/512.html
投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 25 日 12:19:36: 6WQSToHgoAVCQ
 

GDP比の債務比率を減税で改善できるのは、既に税率が高すぎる場合
規制緩和も同じく、十分な緩和がなされていない場合
一番効果的なのは、増税でも減税でもなくムダな歳出削減だが
それが政治的には一番難しいらしい

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■今回の質問【Q:1221】 減税と規制緩和で財政は改善するか

 消費税増税は、たとえば住宅・分譲マンションなどの高価格商品に大きな影響があ
るようです。増税ではなく、減税と規制緩和で経済成長をはかることで税収が増え、
財政はむしろ改善するという指摘をよく見ます。この指摘は正しいのでしょうか。

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   ◇回答


    □中島精也  :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト
    □真壁昭夫  :信州大学経済学部教授 
    □津田栄   :経済評論家
    □北野一   :JPモルガン証券日本株ストラテジスト
    □杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務
    □金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
    □土居丈朗  :慶應義塾大学経済学部教授
□中空麻奈  :BNPパリバ証券クレジット調査部長

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        ■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■

 Q:1220への回答、ありがとうございました。「カンブリア宮殿」の『復興特
番第2弾』のロケで仙台に行って来ました。東北地方6県の有名な祭りを集める「東北
六魂祭」という催しと、それに「瓦礫」を取材しました。「六魂祭」は非常に盛況で
したが、主催者の予想の何倍かの観客が他県からも集まって一時収拾不能となり、16
日土曜夜は、青森のねぶたと秋田の竿燈祭りのパレードが中止になりました。でも、
東北の人々の笑顔を見ることができて、わたしも少し心が晴れました。

 対照的なのが「瓦礫」です。仙台市内では、焼却炉が併設された大規模な集積場が
作られ分別済みの瓦礫が山のように積み上がっていました。仙台に限ると、全体の約
4割の瓦礫がすでに集積場に集められているそうです。ただし、仙台を離れると、た
とえば東松島や奥松島の一部では地盤が沈下し海に浸食されていることもあって、ま
だ瓦礫は手つかずで残っていました。

 松島一帯は日本有数の美しい景勝地です。穏やかできれいな海と島から、陸地に視
線を移すと、悲しみと怒りがこみ上げてきます。真夏の炎暑にさらされ放置された瓦
礫は、何かを象徴しているのだと思いました。それはもちろん地震と津波の爪痕であ
り、また地域による災害の大きさの違い、復旧の進み具合の違いの象徴でもあります。
異様な光景は、「何か途方もないことが起こった」ことを具体的に、また衝撃的に示
していました。
 
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 ■ 中島精也 :伊藤忠商事チーフエコノミスト

 財政赤字削減には減税と規制緩和を組み合わせることで、経済成長を高めて税収増
を図る方が増税よりも効果的という議論は昔から有ります。1980年代前半の米レーガ
ン政権の経済政策、いわゆるレーガノミックスの根幹をなす部分が正にそうでした。
減税については税率が危機的水準まで高まっている経済では、むしろ減税で経済活動
が刺激されて税収増になる、というラッファーカーブの存在を根拠にしていました。
しかし、当時も、多くの人がこの説には懐疑的でした。一方、規制緩和については新
規ビジネスを誘発するので成長を促進するという点ではコンセンサスができていたと
思います。

 そういう意味ではレーガノミックスは経済政策の大きな実験だったのですが、問題
は減税と一緒に歳出カットをやって小さな政府を実現するはずだったのが、当時のソ
連に対抗するため強いアメリカを標榜して、軍事費の増大に動いたために、財政赤字
が急増してしまいました。財政赤字急増とFRBによる金融引き締めで高金利とドル高
となり、その後のプラザ合意へとつながって行ったことは国際金融の一大事件でした。
このようにレーガノミックスでは小さな政府を標榜しながら、軍事増強という逆行す
る政策を採用したので、米経済におけるラッファーカーブの検証は出来ずじまいだっ
たと記憶しています。

 さて、さはさりながら財政赤字の縮小には経済成長が一番効くことは各国の政府関
係者が自らの経験から実感しています。レーガノミックスで膨らんだ米財政赤字も10
数年後には黒字転換しました。それは冷戦終了後に米軍事技術の一つであったIT技術
が民間に開放されて、IT革命が生まれ、90年代を通じて潜在成長率の上昇をもたらし
たからです。経済成長の底上げに影響するのは生産性の上昇ですから、要は財政赤字
を縮小させるには生産性の上昇に最も効果的な経済政策を採用することに尽きるので
はないか、と思います。

 生産性の上昇にはイノベーションを刺激することです。イノベーションには技術、
人材、社会の3つのイノベーションがあります。人と技術への傾斜的資源配分や教育
改革で技術イノベーションと人材イノベーションを刺激し、規制緩和や構造改革によ
り社会イノベーションを刺激する、これらの施策で我が国でも生産性はまだまだ充分
に上がるはずです。減税も単純な所得減税というものではなく、投資減税とかイノベ
ーションの刺激に役立つような工夫が必要でしょう。

 サプライサイドを意識した減税と規制緩和の組み合わせが財政赤字対策に極めて重
要であるのは明らかだと思います。ただ、サプライサイドの政策が効果発揮するには
時間がかかります。また、政治的にどれほど効果的な政策を実行できるか不安な面も
隠せません。それに現状の財政赤字が正に危機的レベルにあること、少子高齢化の進
行などの要素を考慮すると、今後一切、増税なしで乗り切れると考えるのは甘すぎる
ように思われます。やはり、上記のサプライサイドを意識した減税、規制緩和、構造
改革の実行とともに、ある程度の消費税の引き上げは避けられないでしょう。大事な
ことは消費税の引き上げは止むを得ないにしても、その上げ幅をできるだけ小さく抑
えることができるように、政治家がサプライサイドの政策を強い政治的意思を持って
断行して行くこと、そして、それを受け入れる勇気を我々国民が持たなければいけな
い。今がその決意を固める重要な局面だと思います。

                   伊藤忠商事チーフエコノミスト:中島精也

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 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授

 結論から言うと、減税と規制緩和によって、財政を改善することが出来る場合があ
る一方、実際にはそうならないケースも想定されると思います。つまり、減税などの
方法によって、経済活動を活性化することが出来れば、財政状況を改善することが可
能でしょう。しかし、実際に、減税や規制緩和が、経済活動を活性化することにつな
がるか否かについては、不透明な部分があります。

 この場合、減税=国民や企業の負担の軽減が、消費や企業の経済活動の活発化につ
ながるか、規制緩和=企業活動の活性化をもたらすことが出来るか、などの点が重要
なメルクマールになるはずです。これらの点は、短期的にみると、かなり外部要因に
依存する部分が多いと思います。ですから、外部要因が良好な状況にタイミングを合
わせて、減税や規制緩和などの政策を打つことが出来れば、相応の効果を期待するこ
とは可能と考えます。

 従来から、わが国では法人税負担が、主要国の中でかなり高くなっているといわれ
てきました。その背景には、主要国が企業の活動を刺激することを目的にして、企業
の税負担を軽減する方向にあったのに対し、わが国は、そうした政策を採ってこなか
った結果といえるかもしれません。最近、国内企業の経営者から、「税負担が重く、
電力供給にも懸念があり、さらに円高が進む状況では、国内で経済活動を行うインセ
ンティブがなくなりつつある」という話を聞きます。

 確かに、わが国の企業を取り巻く国内の経済環境はかなり劣化しているのは間違い
ないでしょう。中には、今まで、機密性の高い技術の漏出を恐れて、国内から出すこ
とのなかった生産拠点を海外に移す動きが目立っています。こうした動きを放置して
おくと、国内の産業基盤がかなり弱体化することが懸念されます。

 それは、財政状況の悪化よりもさらに経済の基盤となる、産業構造の弱体化につな
がる可能性が高いと思います。そうした状況を防ぐためにも、企業の税負担を増やす
ような経済政策を安易にとるべきではないでしょう。

 また、規制緩和については、多くの点において経済効率化に資することが期待でき
ます。今まで、わが国は規制の多い国と見られてきた面があります。それが、わが国
企業の成長にマイナスの作用をもたらしたこともあったのは否定できないでしょう。
あるいは、海外資本の参入を阻んできたことも想定されます。もちろん、規制をすべ
て撤廃すべきという短絡的な議論に組するつもりはありませんが、財政状況の改善と
いう命題を離れても、緩和方向を鮮明化することが重要だと思います。

 一方、わが国の財政状況の悪化が深刻なことも確かです。それに対して、何もせず、
手をこまねいてみていられる状況ではありません。特に、現在は、今年3月の大震災
の復興に向けて財源が必要な時です。その財源のためには、復興税のように、復興目
的と紐付けの税項目を考えることも有効な選択肢の一つかもしれません。最近の世論
調査の結果を見ると、復興財源を負担することに対して大きな反発はないようです。
税負担サイドから見ても、受け入れやすいと考えられます。また、復興という目的に
歳出が限定されますから、"バラマキ型"の歳出に使われる可能性は低いと考えられま
す。

 国内の電力供給に懸念があり、しかも海外に目を転じると、欧米諸国の財政の問題、
中国を中心とした新興国の景気減速懸念などの経済状況等を考えれば、減税・規制緩
和などの政策が、直ぐに経済活動の活発化→経済成長の促進→税収の増加→財政の立
て直しにつながるかは疑問が残るところだと思います。むしろ、復興に向けた具体的
なプランの作成や、それを実施するための補正予算の編成など、今すぐに政治がやる
べきことを着実に行っていくことの方が重要だと思います。

 現在は、取り敢えず、復興のために必要な財源をそうした形で確保し、経済活動が
ある程度、正常な状態に戻った段階で、広く、浅く税を徴収する消費税率の引き上げ
のような措置を取ることが、有効な政策運営の選択肢だと思います。

                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫

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 ■ 津田栄   :経済評論家

 減税と規制緩和で経済成長をはかることによって税収増、財政改善を実現するとい
うのは、一面正しいといえます。基本的には、減税により、所得が実質的に増えるこ
とから消費を中心として需要が喚起されたり、投資減税を直接行ったりすることによ
り、設備投資や生産が拡大する一方、規制緩和を行うことで、起業したり、新規事業
を興したりして利益を得たいというインセンティブが働き、民間の経済活動が活発化
することになります。

 この減税と規制緩和が同時に行われれば、需要の増加とともに、新規の商品やサー
ビスが生まれて、消費から生産、設備投資、雇用と好循環に回って経済成長すること
になります。こうした民間活力を利用した経済のダイナミックな動きが、政府による
景気刺激策よりも、効率的であり、生産性を高めることになります。その結果として、
減税を行いながらも、所得や収益が増えることで税収が伸びて、むしろ財政が改善す
るという逆説的ではあるものの、期待した目的を達成することになるとみられていま
す。
 
 しかし、減税と規制緩和が、必ずしも、経済成長につながって税収増になるとはい
えません。それは、将来への期待がなければ、そして、政府への信頼がなければ、上
手くいかないこともありえるからです。なぜなら、将来への不安が残っている限り、
減税しても減税分は貯蓄に回って消費に回らず、投資も起こらないので、期待した経
済成長ができず、税収も増えないという可能性があるからです。これは、よく財務省
や多くの政治家が減税反対を言うときの理由です。(実際はその不安を作っているの
が、政府なのですから、言う資格はないと思いますが。)また規制緩和しても、将来
リスクを考えると新規ビジネスに向かうインセンティブが働きません。

 もちろん、政府が政策をころころ変え、言葉が軽くてその時々で違ったりし、正し
い情報を隠して国民に知らしめないようにしていると、国民も政府の心変わりがいつ
起きるか不安で、政府が信頼できないことになります。そうなると、減税や規制緩和
しても、効果が出ないうちにいつそれを止めてしまうか分からないということになり、
防衛的にリスクを回避する上で消費や投資にお金を回そうとしないでしょうし、新規
ビジネスを起こそうともしないため、経済成長も税収増も絵にかいた餅になります。
やはり、政府が信頼され、将来への不安が少ない時に、減税と規制緩和の効果はある
のではないかと思います。

 そういった点で、現在の菅民主党政権は、ただ国民の受けを狙ってバラマキをして
いて、将来への不安を解消できないどころか、増幅させています。しかも、大震災以
降復旧・復興での対応の鈍さ、原発事故における後手後手の処理及び電力不足に対す
る認識のなさ、原発再稼働における混迷、情報隠しなどを見せられて、とても信頼が
おける政府ではないと国民の多くが薄々感じているのではないでしょうか。そんな中
で、どんな政策を打ち出しても、国民は、先行きに不安を感じますから、期待した経
済効果は出てこないのではないでしょうか。

 さて、減税と規制緩和を行い経済成長を図ることで税収増となって、財政の改善に
つなげようとする政策は、1980年代のレーガンの採用した政策、当時としては、
画期的で、それまでの需要サイドを政府の関与によって刺激して経済成長を目指すケ
インズ政策とは異なり、規制緩和に加えて減税により投資を刺激して経済成長を図ろ
うとする、サプライサイドを重視した経済政策でした。それは、レーガノミックスと
言われ、減税と規制緩和に加えて、財政支出の大幅削減、マネーサプライのコントロ
ールの4つが政策の中心でした。

 そのレーガノミックスの評価は、失敗したという見方もあります。しかし、それは、
当時冷戦の最終局面にあって西側同盟国の盟主としてソ連及び東側諸国との全面的な
対立から軍事費を削減するどころか増大せざるを得ず、財政支出の大幅な歳出削減が
できなかったためであって、その後の冷戦終結とともに、その効果は表れて、湾岸戦
争後のクリントン時代には、長期にわたる堅調な経済成長と財政改善が実現されてい
ますから、基本的には成功したといえましょう。もちろん、その際には、IT技術の
普及による生産性の向上、効率化の進展に加えて、経済のグローバル化による貿易・
資本の自由化、そして規制緩和による新サービス・新商品の開発(金融や特許など)
を通じて民間の経済活動を刺激したためといえましょう。(イギリスのサッチャー政
権も、同じような政策を行い、やはり成功したといえましょう。)

 こうして見てくると、減税と規制緩和で、経済成長が実現でき、税収増を通じて財
政改善ができるわけではなく、財政支出の大幅な削減も必要だといえます。また、民
間活力を刺激することで効率的で生産性の高い経済にするためにも、政府の関与を減
らすべきです。つまり、小さな政府を実現して、初めて、減税と規制緩和による効果
が期待できるといえましょう。すなわち、小さな政府を目指すには、歳出金額を減ら
すことになりますが、そうなれば、規制緩和という観点も加わって、官の仕事も減る
ことになりますから、公務員の削減も同時になされることが必要であるということで
す。実際、レーガン政権時では、公務員の削減を実行して、小さな政府を実現する素
地を作ったからこそ、後の財政赤字解消につながったといえましょう。

 したがって、減税と規制緩和だけでは、経済成長から税収増、財政改善につながる
わけではなく、小さな政府、すなわち公務員の削減を加えた歳出の大幅なカットを行
ってこそ、実現できるといえます。(これまで官僚は、財政改善のために必要な小さ
な政府を目指すことによって、自分たちの既得権益だけでなく地位・身分をも失うか
らこそ減税と規制緩和に反対してきたし、それを守るために増税を主張してきたので
はないでしょうか。)その上で、減税、規制緩和、歳出の大幅削減を実現するために
は、明るい将来ヴィジョンを提示して将来への期待を持てるように、実行力を伴った、
信頼されうる政府が求められるといえましょう。(もちろん、レーガン政権でもあっ
たように効果は相当先のですから、その効果が見えてくるまで、政府も国民も一時的
な苦しさに耐える我慢強さが必要ですし、お互い信頼し合わなければなりません。)

 最後に、今日本は、大震災もあって、復旧・復興を急がなければならず、そのため
に膨大な財源が求められています。そこから、増税すべきだという意見が出てくるの
は理解できますが、国民の現状を見るとそれに耐えられる余力はあまり残っていない
ように思います。そして現状でさえ、世界的に高い法人税率を掛けられている企業に
とって、ここからさらに増税となれば、競争力を失うかもしれず、海外へ移転する選
択に追い込まれかねません。そうなれば、さらに一層の税収減が見込まれ、財政悪化
は一段と進むかもしれません。

 そう考えると、企業が日本に残ってもらって、さらに投資や生産を増やしてもらう
には、減税と規制緩和は欠かせないといえましょう。そして、それを実現して復興に
つなげようとする復興特区のアイデアは、そのことによって民間活力を高めて、経済
成長、ひいては税収増の効果を狙おうとしているはずです。それを確実にするために
は、やはり公務員削減などを含めた歳出削減による小さな政府を目指すべきでしょう。
その間、必要な財源は当面国債の発行で賄っても問題がないと思います。その意味で、
今の民主党政権は、既得権益を維持したい財務省の言いなりにならず、当初マニフェ
ストにあった公務員改革を大胆に実施し、減税と規制緩和で経済成長を図るべきでは
ないでしょうか。

                             経済評論家:津田栄

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 ■ 北野一   :JPモルガン証券日本株ストラテジスト

「減税と規制緩和で経済成長をはかることで税収が増え…」という意味では、昨年6
月1日に経済産業省が発表した「産業構造ビジョン2010」も、そういう主旨であった
ように思います。

 彼らは、その狙いをこう書いておりました。「法人税率の引下げは、国内ビジネス
コストの軽減を図る他の施策と一体的に展開することによって、我が国の立地競争力
を高め、日本企業の国際競争力を高め、国内外からの投資活性化、さらには国内雇用
の創出と家計所得の増大につながるものである。したがって、法人税率の引下げは、
日本経済の中長期的な成長を促すための施策の一環として検討されるべきものであり、
経済成長を通じた税収増と財政健全化にも貢献するといった好循環を生み出すことが
期待される」。

 ところで、日本の法人税率は、1984年に43%まで引き上げられたのを最後に、
1989年以降は漸次切り下げられてきました。現在の税率は30%です。むろん、
国際競争力の観点からは、法人税率の相対比較は重要でしょう。ただ、この20年間
をざっくり振り返ってみると、法人税率の引き下げは、経済成長も税収増も財政健全
化ももたらさなかったと言えます。産業構造審議会が期待するような好循環は、今の
ところ生み出されていない。彼らに言わせると、それは税率の引き下げ方が中途半端
だからであり、もっと引き下げろということなのでしょう。

「産業構造ビジョン2010」では欧州の成果が喧伝されておりました。例えば、EU
15カ国の実効税率と名目GDPに占める法人税収のウエイトを示し、「EU15カ国で
は、この10年間に表面実効税率を10%程度引き下げてきたにもかかわらず、名目
GDPに占める法人税収のウエイトは増加傾向を辿った。このように、法人税率を引き
下げても、法人税収の水準が起業等による課税ベース拡大効果によって上昇する傾向
は「法人税パラドックス」とも呼ばれ、ヨーロッパの法人税改革の現実の効果として
注目されている」と。

 いまだに、債務問題に呻吟している欧州の税制を参考にしようという話です。もっ
とも、彼らが使っている図表は、なぜか2007年で終わっております。その後の債
務危機を踏まえた状況については考慮されておりません。また、債務危機以前の状況
に関しても考えるべきことがあります。「法人税率引き下げ」と、「法人税収の水準
上昇」あるいは「起業等による課税ベースの拡大」の間に因果関係があるのか、とい
う点です。両者の間に関係がなく、偶々「法人税率引き下げ」が行われていた期間に、
別の理由から起業が活発になり、法人税収が増えたということもあり得ます。

 例えば、同じ期間の米国の法人税率と法人所得税対名目GDPの比率を見てみましょ
う。米国は、2003年から2004年にかけて法人税率を34%に引き下げており
ましたが、2005年以降は40%に戻しております。その米国でも、法人所得税対
名目GDP比率は、2003年以降上昇傾向にありました。実際、EU15カ国と米国の
法人税収対名目GDP比を較べると、法人税率に関係なく、両者の推移は似ております。
要するに、景気後退期に法人税収対名目GDP比率が低下し、景気拡大局面で同比率が
上昇しているのです。

「産業構造ビジョン2010」では、2007年までのEU15カ国のデータを使って
おりますが、2010年までの米国のデータをみると、リーマンショック後、米国の
法人税所得対名目GDP比は急落しております。仮に、EU15カ国でも2010年まで
のデータが使われていたなら、「法人税パラドックス」は消えていたのではないでし
ょうか。パラドックスは、所詮、パラドックスで論理的ではないのです。

 日本の企業経営者が、法人税率の引き下げを願う気持ちはよく分かります。しかし、
日本企業の競争力が低下しているのは、法人税率の問題だけではないように思います。
我々は、やたら競争相手として韓国を意識しております。法人税率にしても然りです。
ただ、日韓の大きな差は、法人税率だけではなく、労働時間においても認められます。
2007年の雇用者一人当たりの労働時間をみると、日本は1785時間、韓国は2
316時間です。彼らは我々よりも30%も余計に働いております。

 不思議なことに、「韓国に負けたくないから30%余計に働こう」という声は聞い
たことがありません。先日、なでしこジャパンが世界一になりましたが、スポーツの
世界ではライバルに負けたくなければ彼らよりも練習しようという発想は自然に出て
くるでしょう。練習グランドが悪いから弱いのかもしれませんが、それだけではない
でしょう。誤解のないように申し添えておきたいのですが、私は長時間労働を推奨し
ているわけではありません。議論のバランスの悪さが気になって仕方がないのです。


                 JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一

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 ■ 杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務

 単に「減税+規制緩和→景気上昇→税収アップ」のシナリオを示されれば、徴収す
る税を少なくする施策なわけですから、その後景気が良くなり税収が増加するという
のは、間接的で眉つばトリックの様な印象を受けます。この話の核心は、今すぐ税金
を取らないほうが、景気が回復しその後の税収が多くなるというという経路のリアリ
ティにあるでしょう。

 減税と規制緩和で企業活動を活性化し、投資や消費を上向けようという、サプライ
サイド重視の考え方であるとともに、現実の日本経済で考えると、復興のための財政
支出もあるなかでの減税ということですので、赤字国債を大量に発行し、場合によっ
ては日銀による資金供給もあわせて、場合によっては意図的にインフレを作り出すよ
うな政策になるでしょう。

 現実の政策としては、与党の推し進める「増税→税収アップ」が既定路線のようで
す。税収増の因果関係があたりまえのようですが、間にデフレが亢進する可能性を考
慮しなければならず、減税+規制緩和より確実に将来の税収をアップできるかどうか
は、一概には言えないように思います。増税だけであれば、もちろんデフレ効果は避
けようもありませんし、現実の政策で出てくる復興需要でどれだけ支えられるかにも
よりますが、デフレを亢進させてしまう可能性は高いのだと思います。

 第一生命経済研究所が、増税の影響を試算しています。2013年度に消費税を3%引
き上げ8%に、2015年度にさらに2%引き上げて10%にした場合、GDPへのマイナス効
果は2013年度で2.4%、2015年度で3.7%になるとのことです。計量経済モデルの予測
はモデルの構造次第ですので、確実なことは言えませんが、かなりのデフレ圧力はあ
りうるということになります。

 上記の対立する政策のうち、「減税+規制緩和」には期待通り景気が回復しないリ
スクがありますし、「増税」にはデフレを悪化させるリスクがあります。政策決定の
ためには、このリスクを両天秤にかけることになりますが、デフレの時にデフレを強
化するような後者の政策よりは、前者の政策のほうがリアリティがあるように思いま
す。

                       生命保険関連会社勤務:杉岡秋美

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 ■ 金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務

 例えば、今立っている場所から見て標高が高い方角に向かって歩き出す、また立ち
止った場所から同じように標高の高い方角に向かって歩き出す。このような移動を繰
り返していけば、いずれはどこかの「山頂」=どちらの方向に歩き出しても標高を上
げることができない場所、に行きつくことになります。ただし、その「山頂」が必ず
しも富士山の山頂(最高点)である保証はありません。

 多くの経済モデルが想定する均衡とは、このようなイメージに例えることができる
のではないでしょうか。

 仮に、現状の経済条件の下で、減税によって税収を増やすことができるという「経
路」を発見し、減税の方向に経済政策の舵を切ることによって税率と税収の最適な均
衡点に到達することができたとしても、そこが社会の求める均衡点である必然性はあ
りません。社会が求める均衡点とは、国民が求める社会保障の水準と受け入れ可能な
負担の水準をバランスしながら、経済成長への負荷を最も軽くするように負担を配分
するところにあります。

 このような大局的な均衡点には、限界的な経済の効率性の議論の延長線上で到達す
ることは極めて困難です。特に、日本の現状では、国民が求める社会保障の水準と受
け入れ可能な負担の水準に関しての議論が未成熟で、現在の税体系は最低限必要とさ
れる負担をまかなう徴税能力の水準からも大きくかけ離れており、限界的な議論をす
る意義は極めて乏しいと思われます。先の例えで言えば、山に登るためには、水準器
(角度や傾斜を測る器具)よりも地図と方位磁石で進むべき方向を決める方が合理的、
ということです。

 今回の設問が取り上げている議論については、純粋な経済学上の議論を超えて、
「経済成長」と「再分配」をめぐる政治上の対立が背景にあると思われます。

 経済成長を重視する立場からは、減税と規制緩和が成長促進の有効策として主張さ
れると同時に、社会保障などの「再分配」の縮小も暗黙に前提とされています。その
前提も含めて、結果として財政の改善が可能との主張につながっているようです。社
会保障の規模縮小の根拠としては、経済成長によって所得格差がもたらされるとして
も雇用拡大などを通じて成長の恩恵は最下層の所得者層まで及ぶ、とする楽観的な仮
説(トリクルダウン)が主張されることもあります。しかし、減税と規制緩和を成長
促進の有効策とする根拠である自立性とインセンティブを重視する考え方からは、再
分配政策は信条的には受け入れがたいもの、という事情もあるでしょう。

 一方、再分配を重視する立場からは、経済成長自体は再分配を通じて恩恵を幅広い
所得者層まで及ぼすことができる限りにおいては有益、とする考え方は受け入れ可能
なはずです。しかしながら、経済成長には所得格差の拡大が必然的に伴うという現実
を前にすると、規制緩和などの成長促進策には及び腰となりがちです。

 このように「経済成長」と「再分配」は、現代の政治経済上の最大の論点です。同
時に、現実としてはそれぞれが社会にとって不可欠の要素となっており、決して二者
択一の議論にはなり得ないはずです。本来は両者のバランスが議論されるところです
が、それぞれを主張する立場からの論点の距離はかなり開いているように思われます。

                外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎

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 ■ 土居丈朗  :慶應義塾大学経済学部教授

 規制緩和により経済成長を促すことは、財政健全化と独立して重要な課題であり、
生産性の低い既得権者の権益を開放して、経済活動を活発にすることが求められます。
しかし、社会保障給付は、(たとえ促したとしても実現できるであろう)経済成長率
よりも速いスピードで増加してゆくため、現在の税制を大きく変えずに、経済成長だ
けを促しても、税の自然増収はさほど期待したほどは入らず、経済成長だけで財政を
改善することはできません。

 経済成長だけで財政収支を改善しない状態が、我が国における現在の税財政構造で
ある、と虚心坦懐に理解すべきです。その根拠は、主に2つあります。1つは、政府
債務が未曾有の規模に累増したために、たとえ経済成長が促されたとしても同時に利
子率も上昇するため、税の自然増収が増えたとしてもそれ以上に利払費が増加する構
造になっていることです。経済成長が促されれば、利子率が全く上昇しないはずはあ
りません。経済成長率が上がると同時に、幾ばくかの利子率の上昇は避けられません。
試算によれば、経済成長率の上げ幅と利子率の上げ幅が同じであるときばかりでなく、
経済成長率の上げ幅が利子率の上げ幅よりも1%大きかった(例えば、経済成長率が
今より2%上がると同時に利子率が今より1%上がる)としても、税の自然増収が増
えたとしてもそれ以上に利払費が増加するという状態になるというのが、我が国の現
在の税財政構造です。

 もう1つの我が国の現在の税財政構造の特徴は、所得課税(個人所得税、法人所得
税)からの税収が相対的に多いことです。そのために、グローバル化の影響を受けや
すいため、近年の我が国経済の不調や東日本大震災後のサプライチェーンの寸断や電
力制約により、所得課税の課税ベースが容易に海外に流出するため、今後経済成長率
が回復したとしてもかつてのように潤沢に所得課税による税収が上がらない可能性が
高くなります。そうなれば、現行税制を抜本的に変えない限り、経済成長しても税の
自然増収が十分に入ってくることは期待できません。

 したがって、経済成長を促すことは、財政健全化と独立して重要ではあるものの、
経済成長を促しただけで財政収支が改善するということはありません。その状態を改
めるには、規制緩和ではなく、税財政の構造に直接メスを入れなければなりません。
まず、経済成長と両立するような税制に抜本改革しなければなりません。そのために
は、所得課税から消費課税へ、より直接的に言えば、消費税は増税しなければなりま
せん。消費税増税と法人税減税をセットにすることで(政治的にはこのパッケージは
受け入れにくいとはいえ)、経済成長を阻害しにくい税制にするとともに、税収が景
況に左右されにくい税制を確立することができます。そのためにも、消費税増税は不
可欠です。

 デフレが続く中で、消費税増税するとデフレの状態を悪化させるとの批判がありま
す。しかし、我が国の財政状況は、デフレ脱却を待ってから増税に着手できるほどの
時間的余裕は、東日本大震災を受けて、もうなくなってしまいました。デフレ脱却と
同時に財政健全化に着手するしか打開策はない状態にあります。したがって、日本銀
行はデフレ脱却に対するもっと強いコミットメントを内外に示すとともにそれと整合
的な金融政策を実行するとともに、消費税を増税しつつ社会保障の財源を確保して、
財政健全化の方向へと舵を切ることが、早期に求められます。

 デフレ脱却は、消費税増税と矛盾することなく、同時に実行できる方策があります。
それは、1度きりの消費税率引き上げを掲げるのではなく、今後5〜10年の時間的
視野で持って、消費税率を段階的に引き上げることにコミットすることです。そうす
ることで、現在から将来にかけて消費税率引き上げ分の物価上昇が断続的に生じるこ
とを人々に意識させ、インフレ期待に働きかけることができます。もちろん、毎年消
費税率を1%ずつ引き上げると中小企業が事務コストに耐えられず実務的に問題があ
るということなら、数年に2〜3%ずつ上げることもありえるでしょう。ここで重要
なことは、消費税率を何%ずつ上げるかということではなく、「税率引上げ予告」に
コミットすることです。「税率引上げ予告」がインフレ期待に働きかけ、一たび税率
が上がったとしても、買い控えをしていては、近い将来にまた税率が上がることが予
定されているから、買い控えをしていては損だ、と消費者に認識させることです。そ
うすることで、買い控えに伴う反動不況はかなり軽減できます。さらに、デフレ脱却
ができれば、経済成長にもよい効果が働くでしょう。

 消費税増税を実行すると経済成長率を何%押し下げる、という経済予測を、マクロ
計量モデルなどを基にして発表していたりします。しかし、こうした予測は、経済学
界での「ルーカス批判」を無視しており、あまり当てになりません。マクロ計量モデ
ルは、過去のデータに基づいてそのまま将来も同じ経済行動が起こるかのような仮定
に基づいているため、人々の予測の変化や経済の構造変化をきちんと捉えられていな
いので信頼性に欠く、との旨の批判が、ルーカス批判です。

 ルーカス批判を踏まえずに、マクロ計量モデルなどに基づいて出された、消費税増
税による経済成長率押し下げ効果は、鵜呑みにはできません。特に、前述のように、
消費税の「税率引上げ予告」に伴うインフレ期待の変化は、ルーカス批判の核心に触
れる部分であり、消費税増税をどのようなコミットメントで実行するか次第で、経済
成長に与える効果も変わってきます。したがって、マクロ計量モデルなどに基づいて
出された、消費税増税による経済成長率押し下げ効果を鵜呑みにすることなく、より
本質的な部分で、我が国の経済・税財政の構造に着目した議論が不可欠です。

                     慶應義塾大学経済学部教授:土居丈朗
                 < http://web.econ.keio.ac.jp/staff/tdoi/ >

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 ■ 中空麻奈 :BNPパリバ証券クレジット調査部長

 財政再建をしようというときに、財源を何にするのかという議論は、結局のところ
果てるところがありません。財源を作るということだけを取り上げれば、増税でもい
いですし、減税と規制緩和による経済成長で税金のパイが増えることを狙ってもいい
ですし、国債発行でとりあえず借金をしてきてもいいのです。ただし、そういった財
源を作るということに関しては無差別でも、財政赤字がどうなるかという観点では、
見方が違ってきます。増税は財政再建に寄与することは明らかで、かつ、国債発行は
財政再建をますます遠のかせることになりますが、減税と規制緩和であれば、どちら
になるのかは一義的にわからず、減税および規制緩和より、それらの効果によって得
られた経済成長の分が大きくなれば、結果は財政の改善という形におさまると考えら
れるからです。

 ところで、債務危機から抜けだそうとする国々が歳出削減よりも増税に頼るほど失
敗する確率が高くなることを示すデータがあります。Kevin Hassett, Andrew Biggs,
Matt Jensenにより過去37年間に財政再建に取り組んだ21の先進国のケースを調査し
たところ、平均して失敗した国は財政再建の53%を増税に、47%を歳出削減に頼り、
成功した国は財政再建の15%を増税に、85%を歳出削減に頼っていた、ということが
わかっているのです。増税による支出をし過ぎれば、景況感が冴えなくなり、より財
源が不足するということ、あるいは、歳出削減に努めた結果、減税することさえ可能
であったということになるわけです。なお、成功した国の歳出削減は給付金制度と公
務員制度に重点を置いていることもわかっています。

 家計のバランスシート調整を考えて見れば、ある程度納得がいきます。家計で赤字
が続いた場合に、累積してしまうこともあります。多重債務者のようなものですが、
そうなってしまうとそこから抜け出るのに、収入を増やすために仕事をもう一つ増や
してしまった場合や、たとえば、家賃収入がある場合には、一気に家賃をあげてみる
場合などが想定されるでしょう。しかし、そんなことばかりしていては、疲れ切って
却って病気になってしまうとか、店子が出て行ってしまうといった元も子もない状態
さえ出てくるでしょう。それよりは、今支出しているものの中身をよく見極めること
が大事、というわけです。無理して収入を増やそうとしても期待できそうにはないで
すが、支出を切り詰めることなら、堅実な気がしてきます。

 財政赤字の再建のためには、こうした家計の行動から学ぶことは可能でしょう。過
剰に消費税の引き上げをする!と言って、消費マインドを低下させるくらいなら、減
税や規制緩和で景況感をよくする方に分があるとの見方もできるのではないでしょう
か。

 とはいえ、消費マインドを鼓舞して、消費活動が活発になって、景況感がプラスに
出てこそ、そうした効果が得られるということも忘れてはなりません。増税は、ある
意味で手っ取り早い効果が得られるものです。財源不足を埋めるのには、歳入を増や
すことに即効性があることも見過ごせない特性といえます。

 そのため、やはり、どちらかというわけにはいかないでしょう。1990年代後半の
フィンランドのようなケースでは赤字分の100%以上の歳出削減を行い、かつ、減税
も可能になったわけですが、こうしたケースはむしろ稀で、やはり、増税と規制緩和
(減税もセットで考えていい分野ももちろんあるでしょう)、それから、財政赤字に
対してはいいことではないですが、ある程度の赤字国債の発行で、財源を手当するし
かないでしょう。日本の財政状況は窮してしまっており、どちらがいいと選んでいら
れるほど、悠長に構えてはいられないということだけが真実な気がします。

 ただし、最後に、財政赤字の改善には時間がかかるという覚悟が必要だということ
を付け加えたいと思います。BNPパリバ証券で過去の財政赤字累積国32例を調べた
ところ、平均でも7〜8年は財政再建の道筋をたてるのにかかりました。即効性を求
めることも必要ですが、財政再建のためには、正しい道を選択したと思ったら、諦め
ずに突き進むことがもっとも肝要ということになるでしょう。

                 BNPパリバ証券クレジット調査部長:中空麻奈

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コメント
 
01. 2011年7月25日 23:00:22: Pj82T22SRI
規制緩和すれば、ほぼ確実にGDPは増え税収は改善する
ただし、ギャンブルや麻薬解禁など、ケースによっては副作用もあるから、
GDPや税収が増えればいいというものでもない

02. 2011年7月26日 00:20:58: Pj82T22SRI
>>02 【第187回】 2011年7月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
真壁昭夫 [信州大学教授]
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世界経済を覆う“暗澹たる不安”を解消できるか?
「金融危機連鎖」のメカニズムと封じ込め作戦の限界
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G20金融安定理事会が目指す規制強化
頻発する金融危機の封じ込めは本当に可能か

 世界的な金融危機の連鎖を防ぐために、足もとで主要国が連携して金融機関に対するルールを作る機運が高まっている。

 その背景には、2008年9月のリーマンショックによって、世界経済が大きく落ち込んだ苦い経験や、最近の欧州のソブリンリスクの高まりなどの要因がある。金融機関に規制の網をかぶせて、今後大規模な金融危機の連鎖が発生することを防ぐのが狙いだ。

 具体的には、7月中旬に開催された金融安定理事会(G20の中央銀行や金融監督当局が設立した機関FSB=Financial Stability Board)で、影響の大きい世界の大手金融機関30社に対する規制を強化する方向が合意され、規制の詳細を今年11月に決めるプロセスに入った。

 今回の規制強化の主な内容は、大手金融機関が独自に危機対応のための事前プランを作成することを義務付けることと、実際に大手金融機関が破綻したときの法的整理手続きを明確化することの2つが中心になると見られる。

 多くのケースで、一般人は政府が金融機関の救済のために多額の公的資金を注入することには否定的だ。そのため、政府が国民の間でコンセンサスをつくる時間を必要とし、その間に連鎖的に金融危機の規模が拡大してしまうことが多かった。

 その経験を踏まえて、事前にルールを明確にしておくことによって、“金融危機連鎖”の防止を図ろうというのが主な意図だ。

 ただし、そうした規制にどれだけの連鎖阻止効果があるかは、専門家の間でも議論が分かれる。世界的な規制によって、金融機関の経営に対して大きな影響が期待できるとの見方がある一方、大手金融機関は何かしら抜け道を考案する可能性が高いとの意見もある。

 また、「規制対象を特定の大手金融機関に限定することは適切ではない」との声もある。金融機関に対する規制は、これからも試行錯誤で内容を改善していく以外に、有効な方法はないだろう。
次のページ>> 「経済の血液」である金融システム不安は、実体経済を震撼させる

金融システムはまさに「経済の血液」
実体経済を脅かす金融危機の怖さ

「おカネは経済の血液であり、その血液を経済の各部に循環させるのが血管である金融システムだ」

 金融システムがいかに経済にとって重要な役目を果たしているかを、言い表す言葉だ。おカネがないと、いかに優秀な技術を持っていても、企業は活動を続けることはできない。資金がなければ、製品を作るための材料を仕入れることはできないし、従業員に給与を支払うこともできない。必要な設備を購入することもできないからだ。

 金融の最も重要な役割は、おカネが余っている分野から、足りない分野へとおカネの流れを仲介することだ。その役割があってこそ、社会の経済活動が上手く回るのである。

 その機能が不全化してしまうと、おカネが社会の中で回らなくなり、モノを作ることや、商品を売ることも制約されることになる。それでは、経済は有効に機能しない。

 1990年代初頭、わが国ではバブルが崩壊し、多くの金融機関の経営状況が怪しくなった。そして97年11月、金融システム不安が発生した。山一證券や北海道拓殖銀行が破綻し、金融機関の信用力が大きく低下したのである。

 金融機関は、自行の資金繰りがおぼつかなくなると、他人に対して融資を行なう余裕もなくなってしまう。その結果、「融資ができません」と言って“貸し渋り”を行ない、「貸した資金を返済してください」と言って“貸しはがしな”を行わざるを得なくなった。それがまさに“金融危機”の実体だ。

 金融という血管が詰まってしまうと、中小企業などの必要なところに血液=おカネが流れなくなってしまう。そのため、長い目で見れば充分な収益を上げているにもかかわらず、目先の支払いに充てる手元資金がなくなって、破綻に追い込まれる企業も出た。

 その結果、景気は落ち込み、我々にとって将来に対する希望の灯が見えない状況に沈み込んだ。当時の暗澹たる気持ちは、今でも忘れられない。そのときほど、金融の機能の重要性を身に染みて感じたことはなかった。
次のページ>> 各行の公共性と相互依存性に見る“金融危機連鎖”のメカニズム

金融機関の特徴は公共性と相互依存度の高さ
連鎖しかねない“金融危機連鎖”のメカニズム

 金融は、他の産業分野とかなり異なった性格を持っている。まず、その公共性の高さだ。どうしても社会全体に与える影響が大きいのである。金融機能の弱い国ではなかなか資本の蓄積が進まず、産業の発展が遅れる可能性が高いなど、金融の機能が社会全体に大きなインパクトを持つのである。

 また、金融機関同士は相互の依存性が高い。通常、金融機関は資金貸借や、為替、手形の交換などに関連して多額の資金のやり取りを行なっている。そのため、特定の金融機関が破綻した場合、その影響が瞬時に他の金融機関に波及することが多い。

 たとえば、A銀行はB銀行から1000億円の支払いを受けるはずだったが、B銀行が破綻したため、その資金を受け取ることができなくなった。その結果、A銀行は、C銀行に支払わなければならない1000億円を手当てすることができず、破綻を余儀なくされてしまった、というパターンだ。

 これはまさに、金融機関の連鎖破綻の例と言える。つまり、金融機関の相互依存性が高いがゆえに、危機が連鎖して波及する可能性が高いのである。

 もう1つ忘れてはならない要素は、多くの金融機関は資金運用のために同じような金融資産を保有しているケースが多いことだ。

 今回のギリシャなどのソブリンリスクに関して、ドイツやフランスなど欧州地域の大手金融機関の多くは、それらの国の国債を保有しているケースが多い。その場合、仮にギリシャの国債がデフォルトすると、ドイツやフランスなど多くの銀行は損失を被ることが避けられない。

 業務の性格上の理由で相互依存度が高く、しかも同じような金融資産を保有していることが多いため、不測の事態が発生したとき、どうしても同じような影響を受けやすく、その事態がドミノのように連鎖しやすいのだ。

 しかも、公共性の高い業種であるため、“金融危機連鎖”の影響が社会全体に及ぶことになりやすいのである。
次のページ>> 問い直すべき、金融機関に対する規制の方向性とその限界

欧州の金融危機は封じ込められるか?
金融機関に対する規制の方向性とその限界

 金融機関の公共性の高さや連鎖性の度合いを勘案して、今までも様々な格好で、金融機関には規制の網がかぶせられてきた。その方向性は正しいと言える。

 ただし、そうした規制が期待されたほどの効果を上げてきたかと問われれば、「必ずしも、当局が期待したほどの効果は上げられていない」と答えざるを得ないだろう。それは、最近になっても金融危機が発生していることからも明らかだ。

 今回、G20の金融安定理事会が打ち出した方向は、まず世界の大手金融機関30社を特定することから始まっている。その影響力の大きさを勘案して、大手30社について、まず破綻しないような手続きを想定している。

 具体的には、自己資本の定義をより厳しいカテゴリーにし、しかも通常の金融機関よりも1%から2.5%程度高い自己資本比率を要求するというものだ。それによって、金融機関に自己資本の充実を要請すると同時に、借り入れなどによるリスク資産の積み上げを抑制することを狙っている。

 また、大手30社に対しては、仮に破綻に瀕したときに、いかに行動するかのプランを事前に考えておくことを義務付けるようだ。さらに、実際に破綻を余儀なくされたとき、法律的に破綻処理を行なうか否かを明確にすることが想定されている。他にも、ストレステスト(緊急時を想定した資産査定)などを定期的に行なうなどの方策が盛り込まれる見込みだ。

 これらは、いずれも相応の効果を期待することができるだろう。ただし、それだけで万全かと言えば、おそらく「ノー」だろう。

 まず、世界の大手金融機関30社だけに網をかぶせるだけで本当によいかという議論がある。それ以外の金融機関については、世界共通のBIS規制や各国当局の独自の監督によって管理されることになるのだが、それが必ずしも十分でなかったことは、これまでの金融機関の破綻実績を見ても明らかだろう。

 金融機関も、今まで結果的に規制の網をくぐるような行為を行なってきた。また、金融商品の多様性が止まるとも思えない。ということは、どれほどの規制をかけても、それで完全に金融機関をコントロールできると思うこと自体、“現実からかい離した理想像”に近いと言えるかもしれない。

 これからも、折に触れて幾度となく金融危機が発生し、それが連鎖して世界経済にマイナスの影響が及ぶことは避けられないと思った方がよい。
http://diamond.jp/articles/-/13293/votes


03. 2011年7月26日 01:52:14: Pj82T22SRI
>>03 我が国財政収支悪化の要因分解
http://www.sumitomotrust.co.jp/RES/research/PDF2/724_3.pdf
住友信託銀行 調査月報 2011 年 8 月号 経済の動き

バブル崩壊以降、日本の財政収支の悪化が続いている。ただその悪化要因は1980年以降の長い期間で振り返ると一様ではなく、景気後退による税収減といった循環的要因だけでなく、高齢化の進展に伴う社会保障給付費の増大や、金利低下余地の縮小による利払い費増加といった構造的要因が徐々に表面化しつつある。
1.日本の財政収支の部門別推移
日本の財政収支は悪化の一途を辿っている。一般政府の財政赤字はバブル崩壊後から膨らみ続け、小泉政権時(01年〜06年)に一時改善に向かうもリーマンショックを機に再び悪化に転じている(図1)。その中でも特に中央政府の財政赤字の拡大が著しく、一般政府全体の財政収支悪化の主因となっている。
そこでこの財政収支の悪化がどのようにもたらさせたのかを調べるために、経済情勢の転換点を軸に4つの期間に区切りそれぞれ要因分解を行った。ここでは4つの期間として、@バブル崩壊以前(80年〜91年)、A失われた10年(91年〜01年)、B小泉政権時代(01年〜06年)、Cリーマンショック時(06年〜09年)を取り上げる。要因分解としては一般政府部門の貯蓄投資差額の対名目GDP比を部門別・項目別に分け、財政収支の改善(=貯蓄投資差額の黒字(+))、悪化(=貯蓄投資差額の赤字(-))の分析を行った。
図1 一般政府の貯蓄投資差額の推移 -14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 808590950005社会保障基金地方政府中央政府一般政府一般政府(修正後)(対名目GDP比、%)09(注)一般政府(修正後)は、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の一般会計への継承分、道路関係四公団の民営化に伴う資産・負債継承の影響、財政投融資特別会計から国債整理基金特別会計または一般会計への繰り入れを除いた数値。(資料)内閣府『国民経済計算確報』(年度)@ABC
1
住友信託銀行 調査月報 2011 年 8 月号 経済の動き〜我が国財政収支悪化の要因分解
2.バブル崩壊以前(80年〜91年) 〜 増税なき財政再建下での歳出削減と移転圧縮
まずバブル崩壊前の80年代は、財政収支が改善に向かった時期と位置付けられる。とりわけ80年代後半にバブル景気を迎えたことで直接税の税収が伸び、さらに資産価格の上昇で相続税や贈与税を含む中央政府の純資本移転(受取−支払)が1.9%ポイント改善したことから、一般政府全体の貯蓄投資差額は80年から91年にかけて6.6%ポイントの好転を見た(表1)。
また「増税なき財政再建」をスローガンに始まった行財政改革も威力を発揮した。各省庁からの概算要求を対前年度同額に抑える「ゼロ・シーリング」や対前年度比以下にする「マイナス・シーリング」が導入されるなど歳出削減が進んだことで、最終消費支出は中央政府で0.4%ポイント、地方政府で1.1%ポイント圧縮された。
表1 貯蓄投資差額対GDP比の部門別・項目別要因分解 (80年度→91年度) (左側:変化幅%ポイント、右側:比較開始年度%) 直接税0.68.30.52.7――1.211.0 間接税0.03.3▲ 0.13.9――▲ 0.17.2 利子収入▲ 0.20.50.20.20.41.20.41.8 社会保障負担――――0.76.60.76.6 政府間移転▲ 0.00.0▲ 1.05.4▲ 0.22.6▲ 1.28.01.111.3▲ 0.412.30.910.61.534.2 最終消費支出▲ 0.42.3▲ 1.17.90.00.2▲ 1.510.4 利払費0.12.3▲ 0.10.80.10.00.13.1 社会保障給付▲ 0.30.8▲ 0.51.60.67.9▲ 0.310.3 政府間移転▲ 1.47.60.20.3▲ 0.00.0▲ 1.28.0▲ 2.013.3▲ 1.611.10.78.2▲ 2.932.73.1▲ 2.01.11.20.22.44.41.61.9▲ 2.5▲ 1.21.90.0▲ 0.00.7▲ 0.6▲ 0.30.9▲ 1.14.4▲ 0.00.0▲ 1.55.45.3▲ 5.41.1▲ 1.30.22.46.6▲ 4.4(注)1.右側の数値は比較開始年度の貯蓄投資差額対名目GDP比率を示す。 2.左側の数値は比較する年度間で各項目の対名目GDP比率が何%ポイント変化したかを示す。(資料)内閣府『国民経済計算確報』より住友信託銀行作成。純資本移転(−)純投資貯蓄投資差額経常受取(−)経常支払貯蓄80年度→91年度一般政府中央政府地方政府社会保障基金
この間中央政府では財政再建の一環として政府間移転支払い(地方交付税交付金など)が1.4%ポイント圧縮され、その主な受け取り手であった地方政府の政府間移転受け取りが1.0%ポイント低下している。これは部門間の資金移動であるため
2
住友信託銀行 調査月報 2011 年 8 月号 経済の動き〜我が国財政収支悪化の要因分解
一般政府全体でみれば貯蓄投資差額に直接影響を与えることはないものの、部門別にみれば好景気により地方政府への政府間移転支払いの必要性が薄れたことで、中央政府の貯蓄投資差額が改善された時期でもあった。
3.失われた10年(91年〜01年) 〜 税収減の裏で社会保障給付の負担が重石に
この時期は財政再建が進められた80年代とは一転、90年代前半のバブル崩壊で財政収支は急速に悪化した時期と位置付けられる。この間一般政府の貯蓄投資差額は9.0%ポイント低下し財政赤字に転じた(表2)。バブル崩壊前の好況時とは逆に、景気悪化による税収減と所得税減税が響き、この間中央政府の直接税は2.9%ポイント低下した。ただ間接税は97年の消費税率5%引き上げ(同時に地方消費税1%導入)があったため、中央・地方両政府とも0.7%ポイントずつの改善を果たした。
表2 貯蓄投資差額対GDP比の部門別・項目別要因分解 (91年度→01年度) (左側:変化幅%ポイント、右側:比較開始年度%) 直接税▲ 2.98.9▲ 0.43.2――▲ 3.312.2 間接税0.73.30.73.8――1.57.1 利子収入0.20.3▲ 0.40.4▲ 0.31.6▲ 0.52.3 社会保障負担――――2.67.32.67.3 政府間移転0.00.01.54.41.62.43.26.8▲ 1.812.31.511.93.911.53.635.8 最終消費支出0.91.92.06.80.10.22.98.9 利払費▲ 0.42.40.30.80.10.1▲ 0.13.2 社会保障給付▲ 0.10.50.51.16.18.56.510.0 政府間移転2.76.20.50.50.00.03.26.83.311.33.49.66.38.913.029.8▲ 5.11.1▲ 1.92.3▲ 2.42.6▲ 9.46.0▲ 0.7▲ 0.60.20.70.0▲ 0.0▲ 0.50.10.10.5▲ 1.03.30.00.0▲ 1.03.9▲ 5.9▲ 0.1▲ 0.7▲ 0.2▲ 2.42.5▲ 9.02.2(注)1.右側の数値は比較開始年度の貯蓄投資差額対名目GDP比率を示す。 2.左側の数値は比較する年度間で各項目の対名目GDP比率が何%ポイント変化したかを示す。(資料)内閣府『国民経済計算確報』より住友信託銀行作成。純資本移転(−)純投資貯蓄投資差額経常受取(−)経常支払貯蓄91年度→01年度一般政府中央政府地方政府社会保障基金
中央政府の政府間移転支払いも好況時とは逆に2.7%ポイント上昇し、中央政府の貯蓄投資差額悪化の要因となっている。従来であればこの中央政府からの政府間
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住友信託銀行 調査月報 2011 年 8 月号 経済の動き〜我が国財政収支悪化の要因分解
移転支払いは、不況時に悪化した地方政府の財政収支改善に回されてきた。しかしこの間高齢化の進展に伴い社会保障給付が6.1%ポイントと大幅に上昇したこともあり、中央政府は政府間移転支払いの一部を社会保障基金に充てざるを得なくなった。つまりこの時期は不況時による税収減の裏で、社会保障基金の悪化が着実に進行した時期でもあった。
4.小泉政権時代(01年〜06年) 〜 政府間移転のしわ寄せが地方政府へ
バブル崩壊後の財政収支悪化は、小泉政権下における一連の構造改革により一時改善の方向に向かった。一般政府の貯蓄投資差額は01年から06年の5年間で3.3%ポイント改善した(表3)。この間景気も上昇局面が続き、税収増加が一般政府全体の改善に寄与している点はバブル崩壊前の80年代と同様である。
表3 貯蓄投資差額対GDP比の部門別・項目別要因分解 (01年度→06年度) (左側:変化幅%ポイント、右側:比較開始年度%) 直接税0.46.10.02.8――0.48.9 間接税▲ 0.04.1▲ 0.14.5――▲ 0.18.6 利子収入0.30.5▲ 0.00.0▲ 0.31.20.11.8 社会保障負担――――0.39.90.39.9 政府間移転▲ 0.00.1▲ 0.85.90.64.0▲ 0.310.00.810.6▲ 0.813.40.615.40.639.4 最終消費支出▲ 0.02.8▲ 0.48.80.00.3▲ 0.411.9 利払費▲ 0.32.0▲ 0.31.0▲ 0.10.2▲ 0.73.2 社会保障給付▲ 0.10.40.11.61.114.61.216.6 政府間移転▲ 0.69.00.41.0▲ 0.00.1▲ 0.310.0▲ 0.914.6▲ 0.012.90.815.3▲ 0.042.81.6▲ 4.0▲ 0.80.5▲ 0.20.10.6▲ 3.40.5▲ 1.4▲ 0.20.9▲ 0.0▲ 0.00.3▲ 0.5▲ 0.40.6▲ 2.02.3▲ 0.00.0▲ 2.42.92.6▲ 6.00.9▲ 0.9▲ 0.20.13.3▲ 6.8(注)1.右側の数値は比較開始年度の貯蓄投資差額対名目GDP比率を示す。 2.左側の数値は比較する年度間で各項目の対名目GDP比率が何%ポイント変化したかを示す。(資料)内閣府『国民経済計算確報』より住友信託銀行作成。01年度→06年度一般政府中央政府地方政府社会保障基金経常受取(−)経常支払貯蓄純資本移転(−)純投資貯蓄投資差額
ただバブル崩壊前の80年代と比較しても、その置かれている状況は必ずしも同じではない。ここでもバブル崩壊前と同様に、中央政府は政府間移転支払いを0.6%
4
住友信託銀行 調査月報 2011 年 8 月号 経済の動き〜我が国財政収支悪化の要因分解
ポイント圧縮することで財政再建を図っているが、一方で社会保障給付の負担拡大が続く社会保障基金の政府間移転受け取りは0.6%ポイント上昇している。結果として地方政府にそのしわ寄せが集中することとなり、政府間移転受け取りで0.8%ポイント、政府間移転支払いで0.4%ポイントそれぞれ悪化することとなった。
またこの時期の特徴としては、3部門の中で唯一貯蓄投資差額の黒字を維持してきた社会保障基金が02年以降赤字に転じたことが挙げられ、今まで一般政府の貯蓄投資差額の赤字拡大を抑えてきた社会保障基金が、一転財政赤字拡大の要因になった。
5.リーマンショック時(06年〜09年) 〜 金利の低下余地縮小で利払い費負担増大
財政収支は小泉政権時に一時改善の方向に進んだが、08年のリーマンショックを機に再び悪化に転じた。一般政府の貯蓄投資差額は06年から09年にかけて7.5%ポイントもの悪化をみた(表4)。またここでもバブル崩壊後の失われた10年と同じく景気悪化による税収減で中央政府の直接税が2.1%ポイント悪化している。
表4 貯蓄投資差額対GDP比の部門別・項目別要因分解 (06年度→09年度) (左側:変化幅%ポイント、右側:比較開始年度%) 直接税▲ 2.16.50.62.8――▲ 1.69.3 間接税▲ 0.14.0▲ 0.34.5――▲ 0.48.5 利子収入▲ 0.20.8▲ 0.00.0▲ 0.31.0▲ 0.41.9 社会保障負担――――0.810.20.810.2 政府間移転0.00.00.35.11.54.61.89.7▲ 2.211.30.612.61.916.00.439.9 最終消費支出0.42.80.58.40.10.31.011.5 利払費0.21.7▲ 0.00.7▲ 0.00.00.12.5 社会保障給付▲ 0.00.30.41.73.215.73.617.7 政府間移転1.68.40.31.30.00.01.89.72.513.71.812.93.216.17.642.8▲ 4.7▲ 2.4▲ 1.2▲ 0.4▲ 1.3▲ 0.1▲ 7.2▲ 2.8▲ 1.3▲ 0.80.80.70.0▲ 0.0▲ 0.4▲ 0.20.00.2▲ 0.10.3▲ 0.00.0▲ 0.10.5▲ 6.0▲ 3.4▲ 0.30.0▲ 1.3▲ 0.1▲ 7.5▲ 3.5(注)1.右側の数値は比較開始年度の貯蓄投資差額対名目GDP比率を示す。 2.左側の数値は比較する年度間で各項目の対名目GDP比率が何%ポイント変化したかを示す。(資料)内閣府『国民経済計算確報』より住友信託銀行作成。06年度→09年度一般政府中央政府地方政府社会保障基金経常受取(−)経常支払貯蓄純資本移転(−)純投資貯蓄投資差額
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住友信託銀行 調査月報 2011 年 8 月号 経済の動き〜我が国財政収支悪化の要因分解
中央政府による他部門への政府間移転支払いも1.6%ポイント増加しているが、財政悪化が進む社会保障基金の政府間移転受け取りが1.5%ポイント上昇したため、地方政府の政府間移転受け取りはわずか0.3%ポイントの回復に留まった。
ただしこの時期の大きな変化は中央政府の利払い費が0.2%ポイントの上昇に転じた点にある。これはバブル崩壊以降、国債残高の増加にもかかわらず金利低下が続いたために軽減されてきた中央政府の利払い費負担が、金利の低下余地が狭まったことで一転負担増に転じたことを示している。
6.日本の財政収支が抱える構造的問題と今後への影響
以上見てきたように、一般政府の財政収支は景気後退による税収の落ち込みといった循環的要因で赤字幅を拡大させてきた。またこの間中央政府が政府間移転支払いを増やすことで他部門の財政収支悪化を防いできたが、これは同時に財政赤字が中央政府に集中する要因にもなってきた。しかしその一方で、高齢化の進展に伴う社会保障給付の増大や金利の低下余地の縮小による利払い費の増加といった構造的問題も徐々に表面化してきている。
日本の財政収支は11年度も東日本大震災の影響を受け税収が減り、東北の被災自治体向けの中央政府による政府間移転支払い増加が予想される。さらに復旧・復興に向けた公共投資増加で財政収支のさらなる悪化は不可避であろう。しかし東日本大震災の発生如何にかかわらず、日本の財政は社会保障給付の増大や利払い費増加といった構造的な問題を抱えており、今後高齢化が加速し金利が上昇局面に転じることで、中央政府や地方政府における財政再建の長期的な足かせとなっていく可能性がある。
(参考文献)本間正明編著『ゼミナール現代財政入門』日本経済新聞社、1994年
(鹿庭:kaniway@sumitomotrust.co.jp) 


04. 2011年7月28日 14:06:15: Pj82T22SRI
日銀が直で国債引き受けを行う必要はないが
財政拡張によって雇用を増やし、インフレに持って行った方が、速く財政は改善するだろう

金利上昇を日銀が抑えれば、さらにインフレを加速することになる

円資産と年金しかない老人は困ることになるから
現実には実行できないだろうが

http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2011/07/26/013339.php
三橋貴明第112回 歴史的な金余り
2011/07/26 (火) 11:30 

 現在の日本は、歴史的な「金余り」状態にある。「金余り」とは何のことかといえば、銀行や生命保険、損害保険、年金基金などに「借り手がいない」マネーが余りまくっているという話である。
 本連載において、筆者は日本経済が抱える問題について、「財政問題ではなく、民間の資金需要がないことこそが『真の問題』だ」 と、繰り返してきた。デフレ深刻化で民間がお金を借りようとせず、預金超過が膨らんでいく「過剰貯蓄」こそが、日本経済の真の問題というわけだが、本問題は現在も悪化していく一方だ。
『2011年7月22日 ブルームバーグ紙「【クレジット市場】「ノースプレッド」融資目立つ−歴史的なカネ余り」
 複数の銀行が融資団を組むシンジケートローン(協調融資、シローン)市場で、基準金利に企業のリスクプレミアムを上乗せしないノースプレッド融資 が目立っている。景気低迷などに伴う銀行の歴史的なカネ余りが背景で、企業の間には社債による調達からシローンに切り替える動きも出てきた。
 三菱地所が7月末に調達するシローンの表面利率は、基準金利の3カ月円LIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)のみで上乗せ金利はゼロだ。2月に組 成した住友商事のシローンの場合も6カ月円LIBORへの上乗せはなかった。信用リスクに応じて金利を上乗せするローンの世界では異例の出来事だ。
 背景にあるのは歴史的なカネ余りだ。日銀によると、6月の銀行貸出平均残高は19カ月連続で前年同月を下回り、銀行の預金から貸出額を差し引いた 預貸ギャップは過去最高の166兆円を記録した。企業の現預金残高も3月末で211兆円と過去最高を更新し、銀行側は借り手探しに躍起となっている。(後 略)』
 銀行にとって、預金とは「借金」である。基本的に銀行側は国民の預金を拒否することができないため、今や「強制借金」と表現できないこともない。
 銀行は国民から預金という形でお金を借り、それを企業などに貸し出し、金利差を稼ぐことがビジネスモデルの基本になっている。国民からお金を預かった(借りた)はいいが、その貸出先がないのでは、銀行は逆ザヤになってしまう。
 無論、銀行が国民から極めて低金利でお金を借り、それをそこそこ金利がつく(とはいえ、十年債で1%程度だが)国債を購入し、利ざやを稼ぐというのは、あまり誉められた話ではない。とはいえ、デフレ環境下で銀行が民間相手にビジネスを拡大することは、やはり困難である。
 デフレ環境下では企業は同じ製品を同数量販売しても、売上が下がってしまう(価格が下がるため)。しかも、期待インフレ率がマイナスであるため、 実質金利は名目金利よりも高い。負債の「実質価値」も、デフレ(=通貨価値上昇)で増大していってしまう。この状況で銀行が企業に、「お金を借りてください」 と言ったところで、無理な話だ。超低金利で預金を集め、国債で「ミドルリターン」を得ている銀行を責めるよりも、政府にまともなデフレ対策を要求するほうが先だろう。何しろ、現在の日本では資本主義の基本機能たる「信用創造」がまともに機能していないのも同然なのだ。
(1/3の続き)
 銀行貸出態度判断DIを見る限り、現在の日本の国内銀行は、特に大企業や中堅企業に対して「お金を借りてください」状態に陥っている。さらに、中小企業に対する貸し出し態度も、2011年3月期についに「ゼロ」にまで回復した。
【図112−1 銀行の貸出態度判断DIの推移(1990年以降)】出典:日本銀行
 図112−1の通り、リーマンショック直後に「大企業」「中堅企業」「中小企業」と、揃ってマイナスに落ち込んだ銀行の貸出態度判断DIは、その後、ジ リジリと上昇した。何しろ、デフレで企業などがお金を借りない環境下においても、銀行の預金残高は増え続けているわけであるから、当然だ。
 無論、日銀の金融緩和の効果もあり、銀行の貸出態度判断DIは、09年から11年にかけて上昇を続けた。すなわち、銀行が「お金を借りてください」と思う気持ちが高まってきたわけだ。
 特に、2011年に入って以降は、東日本大震災の後に至っても、大企業、中堅企業に対する銀行の貸出態度判断DIは上昇を続けている。と言うより も、東日本大震災を受け、日銀が金融緩和を(デフレ脱却には不十分ながら)拡大したため、銀行の貸出態度判断DIが改善したわけである。
 それにも関わらず、冒頭の記事の通り、6月の銀行貸出平均残高は19カ月連続で前年同月を下回った。もはや日本においては、「金融政策のみ」では融資残高増加やデフレ脱却は望めないことが、誰の目にも明らかであろう。
 日本銀行が国債を買い取るなどしてマネタリーベースを拡大しても、それだけではなかなか銀行からの貸し出しは増えない。無論、例えば日本銀行が 1000兆円分のマネタリーベースを増やせば、日本は間違いなくデフレから脱却できる。とはいえ、そのようなラディカルな手段を取った日には、それこそイ ンフレ率が暴走的に上昇することになる。
 日本銀行が「通貨の信任」という意味不明、定義不明な用語を盾に量的緩和拡大を拒んでいることに対し、批判する人は多い(筆者もその一人だが)。例えば、日銀の白川総裁が、「需要不足の時は流動性供給だけでは物価は上がってこない」 と発言したことに対し、「ならば、日銀は無限に通貨を発行できるということか! 日本は無税国家になれる」 などと発言した人がいた。まことにごもっともではある。流動性(マネタリーベース)をどれだけ供給しても物価が上がってこないならば、日本は無税国家に なってしまう。公務員給与も医療費の政府負担分支払いも、公共事業費の支払いも、全て日銀の通貨発行で賄えばいいわけだ。
 とはいえ、公務員給与や医療費の支払いは政府最終消費支出というGDPの需要項目である。また、公共事業費はもちろん公的固定資本形成という需要 項目だ。すなわち、日銀が政府支出を通貨発行のみで賄うと、「需要が膨らむ」という話になる。先の白川総裁の発言の前提が崩れるわけだ。
 いずれにせよ、現在の日本に必要なのは、上記のような極論の応酬ではない。政府と日銀が協調し(=アコードを締結し)、財政政策(=政府支出によ る需要拡大)と金融政策(マネタリーベース拡大)をパッケージで行うことだ。「財政政策のみ」もしくは「金融政策のみ」ではダメなのである。
 特に、現在の日本は東日本大震災からの復興という喫緊の課題を抱えているのだ。復興需要に向け、政府が公共事業を拡大し、財源は日銀の国債引き受 けで賄う。国会決議が必要な日銀直接引き受けが面倒だというのであれば、金融市場から長期国債を買えば済む話だ。日銀直接引き受けも、日銀による金融市場 からの長期国債買い入れも、政府の支出拡大という前提が同じである場合は、経済的効果はほぼ同一になる。
 ところが、現実の日本では政府と日銀が、互いにデフレについて、「お前のせいだ」「いや、お前のせいだ」 とやりあうばかりで、金融政策と財政政策のパッケージという「普通のデフレ対策」が実現できずにいる。結果、銀行の貸出残高が対前年比で減り続け、国債 の長期金利は低迷を続けるわけだ。何しろ、銀行は運用先が限られているため、ある程度は国債を購入せざるを得ない。すると、必然的に政府の負債が増え、い わゆる「国の借金」残高のみをクローズアップさせたマスコミが、「日本は『国の借金』で破綻する!」 と、騒ぎ立てる。結果、日本政府はまともなデフレ対策が打てなくなり、財政健全化の声が高まることで、財務省は念願の増税を促進できるというわけである。
(2/3の続き)
 実際、リーマンショック後の日本の銀行の状況は悲惨なことになっている。図112−2は日本の民間銀行の「貸出金」「実質預金」、及び実質預金か ら貸出金を差引くことで求めた「預金超過額」をグラフ化したものである。預金超過額とは、冒頭のブルームバーグの記事に登場する「預貸ギャップ」と、ほぼ 同じものだ。
【図112−2 民間銀行の貸出金、実質預金、預金超過額の推移(単位:十億円)】出典:日本銀行※上記グラフでは「負債額(実質預金額)」についてマイナス表記としている。
 図112−2の通り、実質預金が容赦なく増え続ける中において、貸出金は微減状態を維持している。すなわち、貸出金に回せない実質預金である「預金超過 額」が膨らみ続けているわけだ。この預金超過額(もしくは預貸ギャップ)こそが、日本経済の「真の問題」である過剰貯蓄になる。
 日本の過剰貯蓄は、我が国の経常収支の黒字、もしくは供給能力(潜在GDP)の過剰から生まれたものだ。と言うよりも、供給能力が過剰になってい るからこそ、日本は経常収支の黒字、特に貿易黒字を未だに続けているわけである。これだけ円高が続いているにも関わらず、貿易収支の黒字を続けるわけであ るから、日本の供給能力の高さは驚異的だ。
 とはいえ、このままデフレや民間の資金需要不足(これも「デフレゆえ」だが)に適切な手を打たなければ、いずれ日本の虎の子である供給能力が大き く減じる局面を迎えるかもしれない。そうなると、日本は経常収支の赤字に転落し、図112−2の預金超過額が消え、国債金利も上昇する羽目になるだろう。
 現時点では「遠い先の可能性」に過ぎないが、「今後100年間、起こりえないか?」と問われれば、さすがに否定することは難しい。特に、政府や日銀が「普通のデフレ対策」を実施しない以上、尚更だ。
 政治家を含めた現在の日本国民に求められるのは、デフレ深刻化を「他人のせい」にすることではない。他人のせいにして問題が解決するならばそれでも構わないが、現実には無理な話だ。
 現在の日本国民に求められるのは、財政破綻などという有り得ない問題に頭を悩ませることではない。上記のような「数値データ」に基づき現状を把握 し、「普通のデフレ対策」を打つことである。日本の宝である供給能力が激減を始める前に、何としても健全な名目GDP成長率を取り戻さなければならないの だ。
 さもなければ、本来は「有り得なかった」財政破綻という問題が、いつの間にか現実の姿をとり始めることになりかねない。


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