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デフォルトに向かう米国(3) 田中 宇
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投稿者 BRIAN ENO 日時 2011 年 7 月 25 日 13:33:34: tZW9Ar4r/Y2EU
 

デフォルトに向かう米国(3)
2011年7月24日  田中 宇


米財務省が定めた、財政赤字上限の引き上げの期限である8月2日まで、残り時間があと10日間を切った。米国は、法律で政府の財政赤字の累積上限額が決まっており、これまで赤字が増えて上限に達するたびに、議会が法定上限額を引き上げて対応してきた。第二次大戦後、引き上げは100回近く行われてきたが、今回は、昨秋の選挙で米議会下院に大量当選してきた共和党の「茶会派」(小さな政府主義者)の強い反対の結果、5月中旬に上限額(14兆2千億ドル強)に達しても上限が引き上げられなかった。米政府は、財政赤字増ができないまま、8月2日以降、流用できる予備的な資金も枯渇し、完全な金欠(財政難)になると表明している。(デフォルトに向かう米国)(米国債政治デフォルトの危機)

 本日(7月24日)の時点で、8月2日まで10日残っている。まだ議論の時間は十分あるとする日本語の分析記事を見た。これは楽観的すぎる。実際には、残されている時間が非常に少ない。これまでの議論の流れからみて、赤字上限の引き上げ法案を、大がかりな財政緊縮法案と抱き合わせにしないと議会を通らず、その準備に何日もかかるからだ。(US budget negotiations remain deadlocked)

 財政緊縮法案は先週来、議会上下院で別々の法案が出されたが、下院の案には上院と大統領が反対、上院の案には下院が強く反対しており、まとまらない。オバマ大統領は上院案に歩み寄ろうとしたが、7月22日に両者間の交渉は決裂し、状況は振り出しに戻った。上院は、もう一つ法案を検討しているが、8月2日までに取りまとめられないことが確定的に語られている。(Can the Gang of Six's plan pass?)

 米民主党は以前、7月22日までに上下院とオバマとの3者間で方針を妥結できない場合、8月2日の期限に間に合わないと表明していた。22日の上院とオバマとの交渉決裂により、妥結はまったく実現できていない状態だ。今後、上院とオバマが妥結できたとしても、下院の過半数を占める共和党が絶対反対を貫くだろう。(White House sees July 22 as debt deal deadline)

 下院で共和党の茶会派以外の勢力が反対派から離脱して強行採決に持ち込んだとしても、絶対反対の茶会派が牛歩作戦などで時間の浪費を画策すると予測される。茶会派は、長期的な財政赤字削減に向けたショック療法として、あえて米国債のデフォルトを誘発した方が良いと考えている。事態は、すでに8月2日の期限に間に合わないことが、ほぼ確定している。(Deficit talks Act XXII: Boehner walks out and Obama complains)(デフォルトに向かう米国(2))

 8月2日の期限を過ぎた場合、それで米国債のデフォルトが確実に起きるかというと、そうは言い切れない。8月分として、米政府は1720億ドルの収入と、3070億ドルの支出を予定している。従来なら、差額の1350億ドルを国債発行によって埋めるのだが、今回はそれができそうもない。しかし、8月に必要な米国債の利払いは290億ドルで、米政府が利払いを最優先すれば、収入の範囲内で利払いできる。(Will the U.S. Face Crisis If Debt Ceiling Is Not Raised?)

 またオバマは先日、このまま8月2日をすぎると公的年金など社会保障費(social security)が払えなくなると脅し的な発言を行ったが、8月分の社会保障費の支出は490億ドルで、国債利払いと社会保障費を優先的に支払っても、まだ米政府に940億ドルが残る。これだけを見ると「8月2日をすぎても米国債のデフォルトや社会保障費の支払不能は起きない。単なるオバマの脅しだ」とうそぶく茶会派の指摘は間違っていない。(Debt ceiling impasse imperils safety net)

 しかし米政府は8月、メディケアなど政府健康保険金500億ドル、防衛産業への支払い320億ドル、失業手当130億ドル、米軍兵士の給与と年金60億ドル、公務員給与と年金140億ドルなどを支払わねばならない。これらの国家運営に不可欠な最低限の費用の合計だけで収入を210億ドル上回り、支払い不能の状態だ。このほか米政府は、貧困者の生活保護費(food stamp)、連邦裁判所の運営費、国税還付金、国道運営費、環境保護費などを支払わねばならず、8月3日以降、支払い不能が続出し、米政府は事実上の財政破綻に陥るだろう。すでに連邦航空局など政府機関のいくつかは、財政破綻した場合に備え、要員解雇の検討などを始めている。(US aviation agency braces for shutdown)

 米政府が米国債の利払いを優先し、表向きのデフォルトを避けたとしても、長期の緊縮策がまとまらないまま財政破綻色が強まると、3大格付け機関は米国債を格下げせざるを得ない。格付け機関は「米国債がデフォルトしなくても、米政府が緊縮策をまとめられず赤字が拡大していく場合、米国を格下げせざるを得ない」と以前から表明している。(S&P says 50-50 chance of U.S. downgrade)

 3大格付け機関はすべて米国系で、米国に甘くEUに厳しい傾向が強いが、最近EUに対してユーロ潰し策ともいえる苛酷な格下げを挙行し、EU各国などから偏向がひどいと非難されているだけに、公正さを装うため、8月2日をすぎても赤字問題が解決しない場合、以前からの表明どおり、いずれ米国債の格下げに踏み切らざるを得ないだろう。(Default Or No Default, dollar Gets Little Respect)

 格下げされても、米国債は少し下落するだけで大した被害がないという予測も金融界で出回っている。短期的にはそうかもしれない。だが米国債は、世界のすべての債券の頂点に立つ「基準点」である。その格下げは、債券市場全体の格下げに相当する。「米国債がAAAからAAになったら、世界的に最優良の格付け基準自体がAAAからAAに下がる」ともいわれている。前代未聞のことなので、中長期的に何が起きるかわからない状況だが、起きるとしたら金融界にとって悪いことばかりだ。(Investors eye US Treasuries amid downgrade threat)(Forget About Black Swans, the One Floating Ahead is Neon)

 債券金融界は、総規模が15兆−20兆ドルあり、既存の銀行界(預金と融資)と同規模を持つ「影の銀行システム」である。この金融システムは、リーマンショック前後の金融危機で破壊されたが、その後何とか延命した。オバマ政権は、影のシステムの縮小を模索したが、米国の金融界や企業の低コスト資金調達と株価つり上げのシステムとして便利だったため結局は温存されている。今後の米国債の格下げは、この影のシステム全体の格下げ(長期金利の上昇)を意味し、それが瓦解的に起きると、金融危機が再燃する。(影の銀行システムの行方)

 先進国や新興市場諸国の多くの政府や大企業は、稼いだ外貨(ドル)で米国債を買い、それを資金備蓄としている。米国債が世界最良の債券である状態は、ドルが世界の基軸通貨であることの最大要件だ。ドルが基軸通貨であることは、米国の力(覇権)の源泉である。今のように米政界が分裂したままだと、米国の財政状態の改善が行われず、米国債の格下げが固定化され、中長期的にドルは基軸通貨としての地位を失っていき、米国は経済面の覇権を減退させる。既存の国際通貨体制が崩れ、金利上昇と、貴金属の高騰傾向が強まる。中国は人民元のドルペッグをやめざるを得なくなり、元は東アジアの基軸通貨になっていく。日本が対米従属に固執するほど、日中の影響力が逆転していく。(Billionaire Howard Marks On The Debt Ceiling And The Inevitable Decline In Relative US Living Standards)

 米財務省や連銀の高官は「短期間でも米国債が格下げされると大変なことになる」と何度も警告している。だが、金融市場はこの警告をほとんど無視し、米国債はほとんど売られず、株価も下がらず、堅調を維持している。これを、格下げが具現化しても影響が少ないと市場(投資家たち)が見ていることの表れだと言う人がいる。(Markets teeter on US default cliff)

 実際はむしろ逆で、市場(投資家)は「米政界がデフォルトや財政破綻を容認するはずがない」「土壇場で解決するはず」「まだ交渉する時間は十分ある」といった、金融界傀儡系の著名分析者たちの見方を軽信し、何の準備もせず見て見ぬふりをしている。米民主党が以前に表明した実質的な交渉期限である7月22日をすぎて、7月25日の月曜日以降、米国が財政破綻に向かっていることに金融市場が危機感を示して相場が危機的な状況に陥る可能性が強くなっていると、米国の金融界や政界の関係者が指摘している。(Debt talks aim for Sunday announcement of progress)

 7月24日を実質的な問題解決の期限ととらえ、週明け25日のアジア市場が開く前に何らかの解決の道筋をつけようとする大詰めの動きが、週末の米政界で続いている。オバマは引き続き民主共和両党と協議している。両党から6人ずつの議員を出し(おそらく急先鋒の反対派である茶会派を除外して)12人の超法規的な「スーパー議会」を即席で結成し、そこで24日中に何らかの短期的な解決策を作ってオバマも納得させる計画も検討されている。何が起きるか起きないか、一両日中に見えてきそうだ。(Congress hopes to present debt package by Monday)('Super Congress': Debt Ceiling Negotiators Aim To Create New Legislative Body)

http://www.tanakanews.com/110724debt.htm
 

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コメント
 
01. 2011年7月25日 15:22:55: pL5Skv0qnI
仮にオバマが国家緊急事態宣言を出して、議会の承認なしにFRB全額引き受けで国債を発行したとする。 議会は直ちに大統領弾劾をせざるを得ない。 1月から3月はそれで持たせても、先がない話しだから事実上の国家破産だと見られるだろう。 フッドスタンプが打ち切られれば、食糧を求めた暴動が始まる。 皆が考えたくない方向に事態は急進している。 ここまで来れば外国がどうするかじゃなくて、日本はどうするべきかを議論して欲しい。 それも今すぐに。 N.T

02. 2011年7月25日 22:29:26: Pj82T22SRI
過去の繰り返しだとすれば
テクニカルデフォルトになって、債券金利が一時的に上昇してドル高になるかもしれないが、FRBが介入するから、それほど大したことにはならない
また政府歳出停止で、治安が乱れ、犯罪増加や暴動で死人が出ることもあるだろうが
いくら愚かでも、人口の1%も減ることはないだろう
最悪でも、弱者が0.1%淘汰される程度か

千人オーダーの死人がでれば流石に反省して、数か月遅れで
歳出削減、国債発行上限を上げ、増税の合意せざるを得ないだろう
米国はとりあえず年内には一段落しそうだが、
欧州や中国の問題もあるから不確実だな


>日本はどうするべきか

円高は復興需要が強く、経常収支赤字の状況なら国益にとってプラスだが
急激な円高が起これば財務省は介入し、日銀は緩和を強化することになるだろう
とは言え対応の遅い政府には期待できない、大したことはできないだろう

それより先が読みにくい状況で自分がどう対応すべきかだな


03. 2011年7月26日 01:33:42: CH8ZOvcDTU
いつかは来ること。対外からの借金は永遠には続けられない。
早く来た方が傷は浅い。

04. 2011年7月26日 17:44:56: RO7tQwvn4Y
米国は自由主義諸国の中で『最も豊かな資源』を有している事は衆知のことであり、福島アクションで原発派がギブアップしたので石油派が復活、「オイルサンドの精製コスト」が今回のキーワードである、もともと連邦準備委員会発行の私債はオバ馬の責任範囲では無い。だから問題なのは巨大な私債をカギを架けてまで保管しているどこかの国が心配なのである。ゴルゴの登場が待たれる。

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