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「空売り禁止」に見る金融市場のいつか来た道 根本治療にならない「愚策」がなぜ繰り返されるのか
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/141.html
投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 05 日 12:27:11: 6WQSToHgoAVCQ
 

株価が下がり、投機家の食い物になっている状況で
当局も無策だと批判されるのがイヤなんだろうが、
この手の規制は、あまり意味はないね

それより、短期売買への課税強化の方が効くが
流動性が低下し、海外市場にマネーが逃げるだけということにもなる

投資は自己責任で、と言うしかないのだろう


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/20819
「空売り禁止」に見る金融市場のいつか来た道 根本治療にならない「愚策」がなぜ繰り返されるのか

2011.09.05(月)
相場 英雄 
 
南欧諸国の財政危機を発端に、世界の金融市場が混迷の度合いを深めている。米国の財政問題とも併せ、今般の世界的な混乱は史上最大の危機と言っても過言ではない。

 こうした状況下、一部の欧州諸国が危険な措置を講じた。「金融株の空売り禁止」がそれだ。かつて日本も導入した経緯があるが、効果は限定的だ。世界的な金融危機の再燃は日本にとっても対岸の火事では済まされない。
市場を知らない「役人の発想」

 「洋の東西を問わず、市場を知らない役人の発想だ」(外資系証券ディーラー)

 8月12日、EU加盟国のうち、フランス、イタリア、スペイン、ベルギーの4カ国は銀行や証券など金融銘柄について、空売り禁止措置を講じた。

 その理由は、ギリシャなど財政問題が深刻化している南欧諸国の国債を各国の金融機関が大量保有しているためだ。

 南欧の国債がデフォルト(債務不履行)の危機に瀕する中で、万が一のことが起これば、大口投資家である金融機関の経営を直撃することになる。

 ここ数カ月の間、EU加盟国の金融株は下落ピッチを速めてきたが、7月あたりから右肩下がりの角度はより鋭角的になった。規制が導入される直前の8月10日、仏ソシエテ・ジェネラル株が20%超急落したほか、BNPパリバ株も13%値を下げた。

 金融株の下落が確実視される中、「手をこまねいているディーラーなどいない」(同)。

 経営環境の悪化を悲観した売りが出たことに加え、先のディーラー連のように空売りを通じて収益を得る動きも加速し、金融株の値下がりに拍車がかかったのは間違いない。

 EU全体が面子をかけて財政危機に瀕する南欧諸国の「資金繰り」をサポートしている最中だったため、先の4カ国は空売り禁止という措置に出たわけだ。

日本も米国も「下落トレンド」は止められなかった

 ただ、これには大きな副作用がある。市場の需給関係に人為的に手を加えてしまうことになるからだ。

 空売りにはいくつかの手法があるが、ここでは簡単な仕組みのみを記す。

 空売りとは、将来的に値下がりが見込める銘柄(群)に対し、他人(主に証券会社や保険会社)から株を借り、事前に売ることだ。3カ月、半年などの期限が到来した際には自動的に買い戻しとなって、借りていた株を返す。

 買い戻し時に実際に市況が見込み通りになっていれば、売り始めた時点での値段と現在価格(買い戻しの価格)の差(下がった分の値幅)が利益になる。逆に、見通しが外れてしまっても、強制的に買い戻しを強いられる。

 「下げ材料の抜本解決に至るようなスキームが発表された場合、空売りしていた投機家は損失を最小限にとどめるために、一斉に買い戻しをする。しかし、空売りの禁止措置が講じられていると買い戻しが行われないので、市場の反発力が弱まってしまう」(冒頭の外資系証券ディーラー)

 極論すれば、将来の買い戻し、つまり市場全体の反発局面を現時点で封じてしまうようなものなのだ。ディーラーの発言の真意がここにある。

 2008年、東証の斉藤惇社長が規制強化に異論を唱えたことがある。リーマン・ショック後の世界的な混乱の最中、空売りする銘柄の手当てが済んだ取引のみを受け付けるよう、金融庁が証券会社に対して空売り規制強化を訴えた時だ。

 斉藤社長は当時の政府に対し、株券の確認作業に時間がかかり、売買タイミングを失すると指摘。「(そのまま導入したら)買い注文はなくなる」との苦言を呈した。

 時価総額が大きい金融株の下げが止まれば、市場全体の下落ピッチも弱まる。日本でも不良債権問題が深刻化した際、金融株の空売りを規制する措置が取られた。しかし、一時的な下げは止まっても、問題の先送りにしかすぎず、長期的な下落トレンドに抗うことができなかった。

 リーマン・ショック後の米国も同様だ。だが、かつての日本、米国の悪例を見ることなく、先の欧州4カ国は8月25日、金融株の空売り禁止措置の延長に踏み切った。市場の需給に「神の手」を加えた禁じ手は、リスクが倍返しになることを肝に銘じるべきだ。 
これ以上、ツケを回す場所はない

 本稿の冒頭で、今般の世界的な金融市場の混乱を「史上最大の危機」と記したことには理由がある。2007年夏に発生した米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融収縮の流れが最終段階を迎えたのだ。

 サブプライムローン問題で大手の外資系金融機関が相次いで破綻に追い込まれ、世界的な金融システム不安が台頭した。欧米各国は財政支援を通じてこれを救済した。この間、世界的な金融緩和で景気回復を図ったものの、芳しい成果は得られずじまいとなった。景気が上向かない中で、欧米主要国の財政問題に焦点が当たり、今般の混乱につながった。

 日本は金融危機を財政出動でなんとか凌いだが、欧米は民間から政府にシフトした膨大な負の遺産がそのまま滞留し、ここを投資家たちに突かれている状態にある。これ以上、ツケを回す場所がないのだ。

 金融株の空売り禁止措置は、痛み止めでしかなく、根本治療にはつながらない。崖っ縁の金融市場を救い出すためには、あまりにも心もとないのは言うまでもない。

 現状、欧米の混乱が日本市場にも容赦なく伝播している。円高が進行し、株価も停滞している。欧米の危機が一段と高まった際、日本でもまたぞろ「空売り禁止強化」の愚策が持ち出されないことを切に願う。  

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