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震災半年:円高・株安の波状リスク、対症療法もう限界に 
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/207.html
投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 10 日 01:49:18: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPJAPAN-23117520110909?sp=true
震災半年:円高・株安の波状リスク、対症療法もう限界に 
2011年 09月 9日 19:28 JST
 

 9月9日、震災からの半年間は、日本の金融政策と市場対応の力量が試される局面でもあった。写真は都内の外為トレーダー。7月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao) 
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 [東京 9日 ロイター] 震災からの半年間は日本の金融政策と市場対応の力量が試される局面でもあった。円高、株安とマーケットからの逆風に対し、日本の当局は円売り介入、日銀による資産購入などで応じたが、いずれも「対症療法」の域を出ていない。

 介入は企業のドル売りをためらわせ、一段の円高を呼ぶ火種を残したほか、日銀のETF購入枠の拡大が市場の活力を低下させるなど、その対症療法がもたらした副作用も小さくない。

 <2度の円売り介入、2度の円最高値更新>

 震災後、円は2度、史上最高値を更新した。震災直後に仕掛け的な円買いがあった3月17日と欧米経済不安が高まった8月19日だ。76.25円を付けた3月はG7各国が協調介入を実施。10年ぶりの政策協調にドル/円は反発し、4月6日には85.53円と今年の高値を付けた。しかしその後、海外経済の不安定化を嫌ったリスク回避の円買いが進行。これまでほぼ一貫して円高トレンドを辿っている。8月4日には4.5兆円と過去最大規模の円売り介入を実施したにもかかわらず、その2週間後には円は75.94円を付け最高値を更新した。

 為替介入の効果は限定的に終わることが多い。パニック的なマーケットの動きを止める効果はあっても、1日の取引額が150兆─200兆円とも言われる巨大な外為市場で、持続的なトレンドを押し戻す力はないことはこれまでの歴史でも明らかになっている。当時財務相だった野田佳彦首相は、8月4日のドル買い/円売り介入の効果について、「投機的な動きについて、政府・日銀の姿勢を明確に示せた」としたが、効果は一時的だった。

 円高を「投機の仕業」と繰り返す政府当局者。しかし、東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は、日本は「投機的な円高」という誤った認識に基づいて行動すべきでないと指摘する。円高には、グローバルな不確実性を背景とする投資マネーの委縮と、マネーの自国回帰という根本的な原因があるという。

 「マネーが委縮し、経常収支の不均衡をカバーできなくなると、日本は黒字なので外貨売り圧力が自然に高まり、経常赤字の米国や南欧諸国ではドル安、ユーロ安圧力となる」。日本はドル安・円高を所与の事実として受け入れ、企業レベルでも国家レベルでもリスク管理体制を一段と充実させることが重要だと斎藤氏は主張する。

 円売り・ドル買い介入は国としてのリスクを増加させる。ドル買い介入のための資金は、外国為替資金証券を発行して調達するが、これまでの度重なる為替市場介入(主にドル買い/円売り)の結果、同証券の残高は3月末で109兆3130億円に達した。ドルやドル建て資産が急落すれば、債務超過に陥るリスクがあり、そうなった場合は将来的に国民の負担になる。

 また介入には好ましくない副作用もある。円売り介入が行き過ぎると、ドルの反発力を逆にそいでしまうというジレンマだ。「(介入を受けてドルが一時的に上昇したことで)市場では一段とドル高があるかもしれないという期待感が広がり、輸出企業は一段とドルを売り遅れている。この結果、潜在的なドル売り需要は拡大した」と三井住友市場営業推進部チーフストラテジストの宇野大介氏は言う。介入期待のドル売りが残るため、結果的にドルの上昇力が弱くなるという事態が潜在的に起こりうる。

 日本と同じく自国通貨高に苦しむスイス。9月6日、スイス中銀(SNB)はフラン高抑制のため対ユーロでフランの上限目標を設定し、無制限に市場介入する異例の措置を打ち出した。同国は1978年に対ドイツマルクで同様の目標を設定した経緯があるが、「当時に比べ、為替市場の規模もスイスフランの流通規模も大幅に拡大している。今回の措置の効果がどれほど持続するか疑問だ」と(JPモルガン・チェース銀チーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏)との見方が大勢だ。 

 ただ日本がスイスと同じような政策を取るのは難しいとみられている。円の取引シェアは為替市場でスイスフランの約3倍の19.0%を占める。「無制限介入」は事実上困難だ。

 いまのところ円高進行は一服しているものの、欧州債務問題や米経済減速懸念など世界経済が不安定化する中、「安全資産」と目される円に新たな買い攻勢が再開する可能性は極めて高い。震災でサプライチェーンが分断され、輸出に回す商品が乏しいうちは円高にも輸入原材料高を相殺するメリットがあったが、輸出力が回復するにつれ自動車やハイテクなど日本の主力産業の重しとなる。 

 そこで政府は8月24日、長期的に円高を日本のために活かそうという「円高対応緊急パッケージ」を打ち出した。1000億ドル規模の円高対応基金を設け、資金の対外流出を誘発することで、経常黒字国が抱える通貨高の緩和を狙うと同時に、円高の長期化を見込んで海外企業・資産を安価に買収できる円高メリットの活用策を盛り込んだ。市場からはポジティブな評価も聞かれるが、「融資条件なども不明で生煮えの政策」(国内証券ストラテジスト)と冷めた声も少なくない。

 <日銀のETF購入にも副作用> 

 一方、日銀による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れは、東日本大震災後に混乱した株式市場にとって心理的な下支えにはなったが、これについても今のところ効果は限定的だ。昨年12月の買い入れ開始から9月6日までのETF購入は30回、買い入れ総額は5805億円に達した。日銀は3月11日に発生した東日本大震災後に買い入れ枠を2回増額し12年末までの買い入れ総額を1.4兆円に拡大。6日までに買い入れ枠全体の41%を消化したことになり、買い入れ自体は順調なペースで進んでいるといえる。 

 だが、日経平均は一時1万円台まで持ち直したものの、欧州財政問題や米景気後退懸念などを背景に9月6日には終値で震災後安値を更新した。SMBC日興証券チーフストラテジストの阪上亮太氏は、「株価指数が1%下落すると買いを入れるパターンがマーケットに浸透し、一定の下支え効果を持っているのは事実。一方で株価を押し上げる効果は乏しい。リスクプレミアムの低下を促すという初期の目的も達成されていない」と評価している。 

 東証の時価総額に比べ、買い入れ額が少ない点は当初から指摘されていたが、中途半端な買い支えがボラティリティを低下させ、マーケットの活力を削ぐ副作用もあるとみられている。「不自然な株価維持策で売買高の低迷が長期化した。海外勢に対して格好の売り場を提供することにもなってしまった」(準大手証券トレーダー)との声が出ている。 

 株式市場では需要が新たな供給を生むという需給構造がある。「財務体質の悪い企業には日銀の買い支えがある間に、公募増資を行いたいとのインセンティブが働きやすい」(大手証券)。これは売買高低迷で収入に苦しむ証券会社の思惑とも合致する。時価総額比で日銀の買い入れ規模が大きいJ−REIT(不動産投信)市場では震災後、5社が公募増資を発表した。株式市場でも7月以降、公募増資の発表が相次いでいる。海外勢の売りや公募増資などの供給圧力に対し、日銀の買いは「焼け石に水」ともいえる。

 1990年のバブル崩壊後、PKOと呼ばれる株価維持政策が当局によって何度か行われてきたが、明確な効果があったという評価は聞かれない。株価下落時に限定したその場しのぎの買い支えは、結果的に株価回復を遅らせるリスクもある。

 <日銀の大量資金供給、銀行には満腹感も> 

 日銀は、東日本大震災後の3月14日と8月4日に、基金による買い入れ総額の引き上げを段階的に決め、現在、その総額は50兆円に上る。野田新政権が日銀との協調姿勢を踏襲する中、金融市場では「60兆円に達するのは時間の問題」との予測が飛び交う。

 日銀の対応は円高による日本経済の圧迫を懸念した措置だが、すでに市場にマネーがあふれ、金利が歴史的な低水準にある環境では、その効果も限られる。「政治的圧力をかわすための(日銀の)ポーズに過ぎず、もはや金融緩和に円高抑止効果を期待するシンプルな考え方は、現実的ではない」とプルデンシャルインベストメントマネジメントジャパンの坂口憲治・投資運用本部長は手厳しい。 

 急ピッチな円高進行を受けて、昨年10月に鳴り物入りで導入された資産買い入れ等基金。だが、当時の為替レートが1ドル=83円前後だったことを踏まえれば「円高抑止効果はなかった」と、ある欧州系銀行の関係者は言い切る。 

 また短期金利と長期金利の差で収益を稼いでいる金融機関にとっては、行き過ぎた金利低下は収益環境の悪化につながる。運用難がより色濃くなり、収益源が損なわれれば、本業での貸し出しがさらにおざなりになり、政府・日銀の対策は、かえって復興を阻害する要因になりかねない。

 日銀からあふれ続けるマネーに金融機関も満腹気味だ。0.1%で3カ月間と6カ月間資金を貸し出す固定金利オペは、応募額が募集した金額に届かない札割れ寸前の場面もあり、参加者からは「資金需要云々にかかわらず、大手行が暗黙にきっちり満額回答(1回あたり、2000億円程度)しなければ、日銀コミットが形がい化しかねない」(邦銀)との声も聞かれている。

 株安にせよ円高にせよ、短期的には政策対応の効果はあるとしても、長期的には日本の成長力を上げていくしか解決策はない。ゴールドマン・サックス証券・日本経済担当チーフエコノミストの馬場直彦氏は、野田首相についてこれまで現実的な方針を示していると評価したうえで「第3次補正予算を早期に成立させると同時に、環太平洋経済連携協定(TPP)の締結などを通じて日本の成長力を引き上げるべきだ。TPPには反対も多いが、韓国などがTPPによって輸出で優位に立ち始めている。TPPを実施しない場合のリスクを考えるべきだろう」と述べている。

(ロイターニュース 森佳子、河口浩一、山口貴也;編集 伊賀大記)  

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