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「幻想」だったアメリカンドリーム 親世代を超えられない 階層が固定化
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投稿者 sci 日時 2011 年 9 月 22 日 02:13:16: 6WQSToHgoAVCQ
 


http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110916/222672/?ST=print
「幻想」だったアメリカンドリーム親世代を超えられない米国の憂鬱 階層が固定化

2011年9月22日 木曜日 安井 明彦

 「子供の世代は親の世代よりも良い暮らしができる」というのは、アメリカンドリームの中核をなす考え方。その夢を信じられない米国民が増えている。経済金融危機の後遺症にもがく米国民は、今更ながらアメリカンドリームの儚(はかな)さに気づかされているようだ。
揺らぐ次世代への期待

 9月中旬、米商務省が2010年の家計の状況に関する調査結果を発表した。映し出されたのは、経済金融危機の後遺症に苦しむ米国民の姿だ。

 米商務省の調査によると、2010年の家計の実質中位所得は3年連続で下落、前年を2.3%下回り、1996年以来の水準にまで低下した。1990年代の景気拡大の後半部分、そして、2000年代の景気拡大で潤ったはずの平均的な家計の台所事情は、実に14年前に逆戻りした格好だ。

 一方で、2010年の貧困率は前年の14.3%から15.1%へと上昇している。こちらは4年連続の上昇となり、1993年以来の高水準を記録した。

 長引く家計の厳しさは、将来に対する米国民の期待感を蝕んでいる。TNS社が今年7月末に行った調査によれば、「子供の世代の生活水準は自分の世代よりも向上する」と答えた割合がわずかに19%に止まった。既に低水準だった2010年6月の調査結果(27%)と比べても、大幅な低下である。

 また、ピュー慈善財団が今年3月に行なった世論調査では、47%が「子供の世代の生活水準は自分の世代よりも向上する」と回答している。しかしこちらの水準も、2009年初めの調査結果(62%)から大幅に低下していることに変わりはない。

 次世代への期待は、米国民を前向きな経済活動に駆り立ててきた原動力の1つである。「子供の世代は親の世代よりも良い暮らしができる」というのは、長らくアメリカンドリームの中核とされてきた考え方だった。

 米国民の行動を性格づけてきた「夢」が揺らいでいるとするならば、景気が力強い回復軌道に復帰するにあたっての逆風になる。いわば、長引く経済金融危機の後遺症が、米国経済の回復力をさらに弱めてしまう構図である。
階層が固定化していた米国

 アメリカンドリームの崩壊は、思いのほかあっけないかもしれない。国民の思いとは裏腹に、そもそも米国は世代を超えて所得階層を上方に移動できる可能性が高い国ではなかったからだ。

 アメリカンドリームの足場の弱さは、経済金融危機が発生する前から存在していた。

 2006年に発表された研究では、1958年頃に生まれた子供を対象に、米国と欧州諸国における親子間の所得階層移動の度合いを比較している。研究の対象は、家計を所得の高低で5段階に分類した場合に、最も低い階層に属する家庭に生まれた子供たちである。

 これらの子供たちが40歳前後に達した1998年頃で比較すると、米国では42%が依然として親と同じ最も低い所得階層に属していた。これに対し、英国、ノルウェー、スウェーデンといった国々では、その割合が30%以下となっており、子供の世代が所得階層を上方に移動する度合いは米国よりも高かった(図1)。

 アメリカンドリームの脆弱さは、所得階層の上方移動が難しい点にとどまらない。経済金融危機前の米国では、同時に所得の格差が拡大していた。貧困層と富裕層の差は開くのに、自分の子供が貧困を抜け出して富裕層に加わることも難しい。アメリカンドリームとはほど遠い現実が存在していた。

 所得の高低で家計を5段階に分類して1990年代の実質平均所得の上昇度合いを見ると、最も所得の高い階層 は、最も所得の低い階層の2倍以上に達していた(図2)。2000年代以降は総じて所得が伸び悩んでおり、1990年代に広がった格差が縮まった様子はみられなかった。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110916/222672/graph002.jpg

 経済金融危機を経ても、格差の現実は揺らいでいない。先の商務省の調査によれば、2010年の平均所得はすべての所得階層で前年を下回った。

 ただしその度合いには違いがあり、最も所得の高い階層の実質平均所得 が2.3%低下したのに対し、最も所得の低い階層では6.0%もの低下が記録されている。

 2010年の実質平均所得を1990年と比較すると、最も所得の高い階層では20%高い水準にあるが、最も所得の低い階層では20年前を下回っている。
米国民は再び夢を見られるのか

 次世代の暮らしに対する米国民の悲観的な見方を強めかねないのが、若い世代の苦境である。経済金融危機の後遺症は、とりわけ若い世代に厳しく現れている。

 世帯主が15〜24歳の家計の2010年の実質中位所得は、前年の水準を9.3%も下回った。既に述べた全世帯の実質中位所得の低下率(2.3%)よりも、はるかに大きな落ち込みである。

 所得格差の現実と同じように、若い世代の苦境も経済金融危機の前から始まっていた(図3)。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110916/222672/graph003.jpg

 2000年代以降の10年間で、世帯主が15〜24歳の家計の実質中位所得が前年を上回ったのは、2005、2006年の2回しかない。これとは対照的に、世帯主が65歳以上の家計の実質中位所得は、過去10年間で6回(2003〜06年、2008〜09年)も上回っている。2010年の実質中位所得の落ち込みも、世帯主が65歳以上の家計では1.5%にとどまっている。

 アメリカンドリームの脆弱さが経済金融危機の前から存在していた以上、危機からの脱却は、必ずしも「夢」の復活を保証するわけではない。

 長引く危機の後遺症によって夢が「幻想」だったと気づき始めてしまった以上、米国民がもう1度夢を信じて前向きに動き出すには、所得階層の上方移動や格差の是正を促すような構造的な変化が必要とされるかもしれない。

 アメリカンドリームの神通力が薄れれば薄れるほど、米国が力強い成長軌道に復帰するまでの道のりは険しくなりそうだ。

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このコラムについて
Money Globe- from NY(安井 明彦)

変わりゆく米国の姿を、ニューヨークから見た経済の現状と、ワシントンの政策・政治動向の両面をおさえながら描き出していく

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著者プロフィール

安井 明彦(やすい・あきひこ) 

みずほ総合研究所調査本部 ニューヨーク事務所長
1968年東京都生まれ。91年東京大学法学部卒業、富士総合研究所(当時)入社。在米日本大使館、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所、同調査本部上席主任研究員などを経て、2007年より現職。著書に『ブッシュのアメリカ改造計画〜オーナーシップ社会の構想』(共著、日本経済新聞社)『ベーシックアメリカ経済』(共著、日経文庫)など
(写真:丸本 孝彦)
 

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