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債務史観 vs 生産性史観・・単なる不況を恐慌に転化した「清算主義」という思想
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/394.html
投稿者 尚林寺 日時 2011 年 9 月 27 日 10:35:09: JaTjL5JPya4go
 

http://www.musha.co.jp/3228 

リーマンショックから欧州通貨危機に至るプロセスで、我々は歴史の転換点に立っていることが明らかとなった。
過去の循環論だけでは解釈不能、対応不可の事柄が続出しているのである。
このことから直ちに「大恐慌の再来、暗黒時代への突入不可避」と飛躍する悲観論が蔓延している。
しかし、歴史は大恐慌では終らずに、その後に豊かな繁栄時代が続いた。また経済学者達の検証によって「大恐慌は必然ではなかった(避けることができた)」と結論づけられている。
ならば金融危機が次の繁栄に繋がる可能性もあるはずであり、それはどのようなプロセスなのか、が追求されなくてはならない。分析家は将来は暗いと決めつける宿命論に付き合っている暇は無いはずである。
現在の思潮の欠陥として、人々はバランスを欠いて債務史観に捕らわれていると考える。

ラインハート・ロゴフ両氏による「国家は破綻する」”This time is different”がバイブルとなっているのは異様である。また財政赤字が唯一最大の日本の経済問題であるかのような財務省主導の考え方が、エコノミスト・オピニオンリーダーやメディアの金科玉条と化したのも異様である。

債務を軸に歴史を考えることは時には必要である。しかしそれのみでは片手落ちであり、正しい認識は生まれない。より重要な歴史観は生産性史観である。人類の発展は、技術の発展による生産性の向上が人々の生活水準を豊かに押し上げてきたのであり、債務(信用)はその伴奏に過ぎない。今後数回にわたって、債務史観と生産性史観の複眼的観点から、歴史と現状および将来展望を考えてみる。

(1)「清算主義」を清算せよ
(2) NYダウ100年史、歴史は生産性と信用によって発展してきた
(3) 通貨制度の転換期に起きる金価格の上昇、金価格の上昇は何を意味するか
(4) 高収益・高失業、低支出・高貯蓄の米国経済、持続回復は可能
(5) 債務ヒステリーが蒸し返す危機、を克服せよ
(6) 日本に与えられた歴史的チャンス
(7) 仮説としての展望〜利潤率と利子率の乖離はどのようにして埋まるのか〜


■(1)「清算主義」を清算せよ

****楽観派の降伏、政策の降伏

世界の株式市場は、再度リーマンショック型の暴落過程に入ったようである。こうした状況では株価底入れのパターンが通常とは全く異なることを理解するべきであろう。

普通の景気循環局面での株価底入れは、最後の楽観派が売り尽くすと株価は底入れ回復に転ずる。しかし、恐慌型の暴落の場合、楽観派が降伏しても株価は底入れしない、株価の底入れには政府の政策転換(誤った政策を続けてきた政治家の降伏)が必須である

2008年のリーマンショックでは、銀行非難の嵐の中で銀行救済プログラム(TARP)が決定されたことで事態は転換した。日本でも、2003年5月メディア等の批判に抗して「りそな銀行」を公的資金によって救済した(100%国有化しなかった)時に、長期株価下落は終焉した(もっともライブドア事件以降の「清算主義」の復活=リスクテイクに対するパニッシュメントの復活により株価回復は断たれたが)。

大恐慌の時でも、株価の底入れは過去の清算にこだわったフーバー大統領が退陣し、1933年ルーズベルト大統領によって成長政策が導入されて市場は底入れをした。大恐慌からの回復過程で、再リセッションに陥った1937年不況からの立ち直りも同様であった。

****単なる不況を恐慌に転化した「清算主義」

それでは、株価底入れに必要な是正されるべき誤った政策とは何なのか、それは一言で言えば「清算主義」と言える。
「清算主義」とは、倒産や失業を恐れず、過去のインフレや債務の増加によって膨らんだ経済を清算し、正しい均衡状態に戻すべきだという考えである。

つまり過去の付けをまず払え、それなしにはスタートには立てない、とする心情である。それはジャーナリズムやハブル期の強欲批判に凝り固まった大衆受けする議論であるが、政策を将来に対してではなく過去の付けに割り当てるという転倒したものである故に、きわめて有害な心情である。

「借金をまず取り立てよ、赤字企業は潰せ、過剰消費を改めよ、向こう見ずのreckless)リスクテイクに懲罰を」等の勇ましい議論の先は、「恐怖が恐怖を呼ぶ悪循環」がもたらす崩壊しかない。

何故なら「清算主義」は経済論というより、正義の仮面をかぶった妬みという側面も強くチェックが効かないからである。経済論なら、その効率性によって理論や政策の有効性・正当性が確認できるが、心情や思想となると検証は不可能であり是正は著しく困難である。

ドイツによるギリシャの債務に対する批判、より一般的なソブリン債務批判、銀行のバランスシート問題、米国のティパーティーによる債務批判、など多くの政策は清算主義に影響されて、経済合理性の域を超えてしまった、それが市場の反乱を招いていると考えられよう。
欧州情勢に即して言えば、ギリシャのデフォルト、ユーロからの脱退、ユーロの廃棄(ユーロの再構築はあり得まい)などである。これらは過去の貸借関係を一気的に清算させ、信用に依拠している全ての経済主体の活動を停止させる。
悲観論者はこのことを、「リーマン危機が未だ終焉していない、先送りされただけであり今その付けが現れた」と評論するが、そうした見方は一面的である。

人類の歴史は確定的、宿命的なものではなく、様々な可能性の中から人々の正しい選択によって発展してきたのである。米国の工業生産が半減し雇用の4分の1が失われた大恐慌は、決して必然ではなく「清算主義」と言う誤った政策選択によって引き起こされ、政策の是正によって回復した。つまり政策次第では回避出来たのである。

ケインズは「どのような経済の実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である。」故に政治家や官僚が間違えるのは、過去の古い間違った思想を適用するからである。「良かれ悪しかれ危険なものは、既得権益では無くて思想である」と述べている。

株価下落が「清算主義」が一掃されるまで続くとすると、この先にはリーマンショック直後に見られた過度の暴落(=「マイナスのバブル」の発生)も起こり得る。そしてその先には、株価のV時回復が待っている。(武者 陵司)
 

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コメント
 
01. 2011年9月27日 14:23:01: Pijo5v1olc
現実は厳しい。過去の恐慌は避けられなかったというのが今回起こる恐慌だろう。
今回の恐慌は政府の債務が膨れ上がり、紙幣の増刷からインフレと金融崩壊でガラガラポンするのか、税負担で、国民に広く負担を求めて、長期のデフレ社会を選択するのか。

残念ながら、歴史は金融の大失敗のツケを払う選択は上の二つぐらいしかないことを証明することになる。。


02. 2011年9月27日 16:17:18: MW74UN0brc
我々は皆、ケインジアン=マネタリストである
比較の対象をケインジアン/マネタリストの二者間に限定するのではなく、もう少し視野を広く取ってみると、
例えばpre-Keynesian business cycle theoryも比較対象に入れて考えてみるならば、
ケインジアン/マネタリストの間の違いは些細なものに見えてくる。
大恐慌期当時のFRBがとった金融政策に対するフリードマン=シュワルツによる批判
−貨幣乗数の下落(銀行の破産が続発することで銀行制度への信認が減退し、大量の預金引き出しが生じた)を
相殺するだけの十分なマネタリーベースを経済に注入することでマネーサプライの縮小を食い止めるべきであった
にもかかわらず、実際には貨幣乗数の下落を相殺するに十分なだけのマネタリーベースが供給されることはなかった
(マネタリーベースの供給量自体は以前よりも増加したけれども)−は、
pre-Keynesian business cycle theoryからしてみればあまりにも介入主義的な発想であり、
彼ら(=素朴な貨幣数量説論者・清算主義者)の目にはケインジアンとマネタリストの姿がダブって見えることだろう
(pre-Keynesian business cycle theoryの観点からすると15%の伸び率でマネタリーベースの供給量を
増加させる政策当局の行動でさえもが好ましからざるもの(=清算主義者)あるいは無駄である(=素朴な貨幣数量説論者)
と考えており、更なるマネタリーベースの供給を要求するフリードマン=シュワルツの主張は
彼らには行き過ぎた金融緩和であると見做されることであろう)。
“中立的”な金融政策(マネーサプライの水準を維持すべき(であった)というフリードマン=シュワルツの主張は
中立的な金融政策と言い得るであろう)は、時と場合によっては政府による積極的な経済介入を意味することがあるわけである
(清算主義については後日別枠でエントリーする予定)。
自由な市場競争の余地を十分に確保した上で、市場に任せておいただけでは解決不能な問題(市場の失敗あるいは欠陥)
−ケインズであれば民間の設備投資の不安定性や賃金の硬直性、
フリードマンであれば貨幣乗数の不安定性を生む現行の銀行制度−には限定的で戦略的な政府介入によって対処する。
マクロ経済の安定は市場と政府の相互補完的な協調関係によって実現可能となる。
ケインズとフリードマンの間(加えてケインジアンとマネタリストの間)に通奏低音のように流れている
共通の土台(経済の見方)−マネタリスト=レッセフェールの信奉者、という先入観
(マネタリスト自身が積極的に流布したものかもしれないが)によって見えにくくなっている両者間のコンセンサス−である。
マネタリスト=完全なレッセフェールの主導者では決してないのである
(“中立的”という言葉に惑わされてはならない。
加えてフリードマンの金融システム改革の提言や大恐慌期のFRB批判を思い起こす必要がある)。

フリードマンの影を引きずるニューケインジアン・・・。
程度の差はあれ(ケインジアンに比べればヨリ消極的だろうが)政府の経済介入を容認するマネタリスト・・・
−pre-Keynesian business cycle theoryの視点から眺めればマネタリストとケインジアンの類似性は一層際立つことになる−。
マネタリスト的なケインジアンとケインジアン的なマネタリスト・・・。
我々は皆、ケインジアンであると同時にマネタリストでもある、というわけだ。
http://hicksian.cocolog-nifty.com/irregular_economist/2006/04/post_f1f8.html
最近E.S.フェルプスの『マクロ経済思想―七つの学派』という本を読んだんですが
その中でもケインジアン(正確にはケインズそのもの(とフェルプスが考えるもの))とマネタリストは同一分類に括られていました。
両者の違いはマネタリストが貨幣的側面をヨリ強調するという点くらい(裁量政策へのヨリ強い疑念も)で、
背後に流れる経済観に関しては非常に似ているような気がします。
投稿: hicksian | 2006年4月18日 (火) 22時48分
ということで、ケインジアンとマネタリストの違いは大きくなく、共通の敵は、pre-Keynesian business cycle theory(清算主義者・創造的破壊論者)の類。


03. 2011年9月27日 16:18:11: Pj82T22SRI
>「借金をまず取り立てよ、赤字企業は潰せ、過剰消費を改めよ、向こう見ずのreckless)リスクテイクに懲罰を」等の勇ましい議論の先は、「恐怖が恐怖を呼ぶ悪循環」がもたらす崩壊しかない。
>何故なら「清算主義」は経済論というより、正義の仮面をかぶった妬みという側面も強くチェックが効かないからである。経済論なら、その効率性によって理論や政策の有効性・正当性が確認できるが、心情や思想となると検証は不可能であり是正は著しく困難

人間というものは、全体最適で自分が少し豊かになる(または損害を最小にとどめる)よりも、不正で狡いフリーライダーを罰するためには、大きな損害を被ることも厭わない性質がある

結果として自業自得で酷い目に遭って、多くの場合、後悔することになるのだが、まあ、損得だけで動かないのも人間らしいというものだ

だから戦争や無差別テロみたいな一見、無意味で愚かな行動も起こるが、それも人の心理構造からすれば必然ということであり、なかなか改善されそうもないな


04. 佐助 2011年9月27日 17:30:09: YZ1JBFFO77mpI : FHT6T6dWVU
何も難しいことではない,簡単簡単
野田モラトリアム政府は馬鹿,ドル覇権の終焉ですよ,円高介入してもダメ。
アメリカ破綻の損失総額は、かなり少なく見積もっても200兆ドル(2京円)に達するという。なんとも天文学的数字。2012年にはドル覇権の崩壊とその後に米国はデフオルト宣言で日本を沈没です。米国は金本位制採用に踏み切らないとドルの崩壊はとまらない。アメリカは単にすべてチャラにしてリセットしてもなんら痛みはない信用だけ失う、ユーロや円は高くなりドルの独歩安でアメリカはアルゼンチンタンゴを踊ることになるだろう。欧米にはまだバブルが崩壊し始めたばかりで株長者や不動産長者が沢山いる日本は内需崩壊しているので増税で沈没、物価3分の1、雇用も3分の1、株価も10分の1まで落ち込み、都市ガスは止まり自殺。犯罪大国になり日本の三権分立は偽装なので凄惨な地獄絵図が展開されるだろう。

「ドルと米市場が崩壊」は日本にとって敗戦以来の大転換となりうる。日本にチャンスが訪れる。ドルが崩壊して決済通貨・備蓄通貨として使いものにならなくなり、米国の不況が悪化して米国が消費大国でなくなったら、日本経済にとってのドルや米国の価値は大幅に下がる。ドルと米市場が崩壊したら、その後の日本は、ドルではなく円を使って貿易決済した方が良い状態になる。日本製品を輸出する最重要市場は、米国ではなく中国になる。日本人が最重視すべき為替相場は、円ドルではなく円人民元になる。日本は、円を含む多極型の通貨体制を認めざるを得なくなり、中国にも人民元を切り上げて多極型通貨体制に入るよう求める必要が出てくる。 米国覇権の衰退は日本の国是を根幹から揺るがす。米国の不況の深化は、暴動や反政府活動など、米国内政治の混乱に結びつきそうだが、その状態が長引くほど、日本は米国に頼れなくなる。在日米軍の空洞化も強まる。対米従属ではなく米中等距離の外交戦略を掲げる地方分権連合軍が日本で大躍進して政権をとるとアメリカは救われることになる。

日本にカネ寄こせと迫り狂う米国も,国家を建て直すことは最早不可能といえる。「量的緩和策」で連銀がドルを刷り米国債を買い続けているが,ドルに対する信用失墜は大きくやはりドル崩壊は避けられない。キンは高騰すると生産量を低下させる唯一のレアメタル(希少生産金属)であることを指導者たちは忘れている。世界経済は、もう一度キンによって、膨張した基軸通貨を収縮させ、安定させざるをえなくなる。特に日本経済は需要(市場)が供給(生産能力)を下回っているので生産量を低下させるキンとのリンクすると膨張した基軸通貨を収縮させ、安定させられるし通貨の仲間入りも可能になる。しかし安定させなければ国内はドロ沼に落ち込むだろう。

その日本は紙幣を印刷すれば、確かに百倍の赤字を埋めることができるし名案であろう。しかし買いオペ実施を繰り返すも効果はでない。また日本は官僚ドロボー国家であることを忘れている。霞が関がしでかしたドロボー詐欺。食いつぶしてしまった年金,税金を食べつくした天下りや官僚,既得権益で恩恵を受けた電通やマスコミは毒まんじゅうを食べ過ぎてしまった。公共投資で道路から何でもかんでも食べつくした。そこへ紙幣と国債を増発して穴埋めするとデフレからハイパーインフレとなると思っているらしい。実際はギャプが大きく内需が縮小しているからならないと思われる,しかし日銀はそうは思わない。そして未曾有の地獄絵図を体験しても政府日銀はさっぱり本当のことを認識できないだろう。

仏典に「三災七難」という名言がある。国家の最高指導者が間抜けで最悪だと、あらゆる災難が競って襲ってくるというのである。そして国民を不幸のどん底に突き落とすのである。平家を滅ぼすは平家と言う諺がある,自業自得になる平家は間抜けで自分のやった所業のために自滅したのである。


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