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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/25966
オリンパス、解任のウッドフォード氏が真相を語る 実態が分からないケイマン諸島の企業に消えた6億ドル
2011.10.17(月)
(2011年10月15/16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
10月14日に日本のカメラ・医療画像診断機器メーカー、オリンパスのCEO(最高経営責任者)を解任された英国人のマイケル・ウッドフォード氏は、概して臆病な日本の企業文化を知らないわけではなかった。
何しろ、51歳のウッドフォード氏は30年間オリンパスに勤め、欧州にある同社傘下の手術器具会社のジュニアセールスマンからトップに上り詰めた人物だ。
企業文化の刷新を目指した英国人トップ
だが、今年4月にオリンパス初の外国人社長に就任してから、同氏はずっと問題にぶつかるリスクを犯していた。
ウッドフォード氏は5月に行った本紙(英フィナンシャル・タイムズ)とのインタビューで、自身を「(議論のためにあえて反対意見を述べる)悪魔の代弁者」と評し、従業員が上司の意見に疑いを差し挟んだり、数十年続く商慣行に異論を唱えたりすることを恐れる組織を刷新したいと語っていた。
「調和と合意は時と場合によっては適切だが、厳しい精査と異論を述べることは、より良い意思決定につながる」。ウッドフォード氏はこう述べていた。「(人と)対峙できなければならない」
ウッドフォード氏が、自分が説いてきたことを実践したために解任されたことは明白なように思える。もっとも、ウッドフォード氏と同僚たちとの対峙の本質については、両者の言い分が異なる。
オリンパスによると、問題は文化と経営スタイルにまつわるものだ。菊川剛会長は記者会見で、ウッドフォード氏は、オリンパスの指揮系統に従って事業担当役員に指示するのではなく、現場へ直接指示を出し、ほかの取締役や幹部を混乱させたと述べた。
解任の2週間前にCEOの肩書きを与えていたオリンパス
だが、こうした経営スタイルにもかかわらず、オリンパスは解任のわずか2週間前にウッドフォード氏にCEOの肩書きを与えていた。菊川会長はこの時、ウッドフォード氏の指導力を称え、同氏が進める「変革を受け入れる」よう従業員に促していた。
それなのに、14日の取締役会では、ウッドフォード氏は発言を許されず、全会一致で解任が決議された。
ウッドフォード氏本人は、儀礼や慣習よりもずっと具体的で憂慮すべき問題を巡って、同僚たちと衝突したと話している。トップの立場から「内部告発」を行ったためだという。
今年7月、日本の雑誌が、オリンパスは2006〜08年に行った国内企業3社の買収で過大な値段を払ったとする記事を掲載し、同社のために買収を取りまとめた投資ファンドで不適切な取引が行われていたことを示唆した。
ウッドフォード氏が記事について菊川会長やほかの取締役に質問すると、同氏は「心配しなくていい。あなたは忙し過ぎるから、我々が対処する」と言われたという。オリンパスは問題の記事で、疑惑を否定している。
英ジャイラス買収に絡んで支払われた「馬鹿らしい」ほど巨額のカネ
ウッドフォード氏の話では、彼はその後も問題を追及したが、彼が得た答えは曖昧で、具体性を欠いていた。同氏はいろいろ調べていく過程で、2008年の英医療機器メーカー、ジャイラスの買収に絡んだファイナンシャルアドバイザーへの多額の支払いについて懸念を抱くようになったという。
本人の話によると、ウッドフォード氏は、オリンパスが総額6億8700万ドル――22億ドルの買収金額の約3分の1に相当する額――を、同社が最終的な所有者を確認していない、ケイマン諸島に登記されている会社AXAMに支払ったことを発見した。「どんな基準で見ても、馬鹿げた金額だ」と同氏は主張する*1。
オリンパスは、「開示が必要な情報はすべて開示した」とだけ述べ、ウッドフォード氏の主張に対するコメントは拒んだ。オリンパスの社内監査委員会が2009年に委託した報告書では、取締役による不適切な行為や受託者責任の違反行為を示す証拠は見つからなかった。
だが、FTが目にした書類によると、オリンパスの社外監査法人だったKPMGは、疑問を提起している。KPMGは2009年3月期のジャイラスの会計について、「会社の会計報告が真実かつ公正な概観を与えているかどうか意見をまとめられない」と述べ、限定付きの監査報告書を出した。
*1=FTの別項によると、ウッドフォード氏は10月11日付の菊川会長宛ての書簡で、「数々の悲惨なミスと並外れてお粗末な判断で・・・13億ドル相当の株主価値が毀損された」と書いている
さらに、AXAMが保有している高利回りの優先株に言及し、「我々の見解では、適切な会計記録が保持されていなかった」と付け加えている。
その2カ月後、オリンパスは契約期間の満了に伴って、KPMGを監査法人から外した。本紙が確認したウッドフォード氏宛ての手紙で、菊川会長は「ジャイラス買収の取得価額配分と減損テストに関する重大な見解の相違」を理由に挙げていた。
KPMGは、2009年5月までオリンパスの監査法人だったことは認めたが、それ以上のコメントは拒んだ。
所有者さえ分からないケイマン諸島の会社
監査法人の交代にもかかわらず、新たにオリンパスの監査法人となったアーンスト・アンド・ヤングも翌年、ジャイラスの会計報告に対して限定付き報告書を出した。
ウッドフォード氏は、独立した調査を行うために、別の会計大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)を起用したと言う。
PwCの報告書は、AXAMに対して行われた支払いを確認したが、同社はAXAMの所有者を見つけられず、米国代表として登録されている男性――ウッドフォード氏によると、オリンパスが正式に与えられていた唯一の名前――の居所を突き止めることもできなかったという。
By Jonathan Soble
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