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日本勢がエレクトロニクスの国際競争に勝てない理由
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/722.html
投稿者 sci 日時 2011 年 10 月 22 日 13:50:30: 6WQSToHgoAVCQ
 

ハイテクも希望がないわけではないが、新規産業が出てこない限り、寄生的な国民全体を潤すようなかっての力はもう生じない

規制と既得権を主張する癒着官僚・経営者、愚民が政治的に強い限り、あまり期待しないほうがいいか


http://itunes.apple.com/jp/app/id460233679?mt=8
『from 911/USAレポート』第537回

    「日本勢がエレクトロニクスの国際競争に勝てない理由」

    ■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)

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 ■ 『from 911/USAレポート』               第537回
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 パナソニックが薄型テレビの事業を縮小し、主力の尼崎工場でのプラズマTVの生
産を海外に移転するというニュースは、その後、パナソニックとして「当社が公表し
たものではありません」というプレスリリースが出ています。ただ、別段この報道が
否定されたわけでもないわけで、テレビ事業が苦しいというのは事実だと思います。

 原因としては、円高であるとか値崩れなどの要因が指摘されていますが、問題の根
幹は要するに薄型テレビというのがコモデティ化してしまったということにあるので
しょう。静止画と違って、動画の場合は精細感が流れてゆくのでHDの基本的な解像
感が達成できれば、以降の画質に関しては「差別化」が難しいのです。

 なるほどパナソニックの画は切れ味があるとか、彩度が高く印象的などという個性
を発揮することはほぼ不可能であり、価値の創造というのは大画面化ぐらいしかない
ことになりました。プラズマはコントラストとレスポンスで優位に立っていた時期も
あるにはあるのですが、今は液晶の品質向上でそうした差別化も消えつつあります。
要するに、投資に見合うだけの「付加価値」が生み出せない構造になっているのです。

 この問題というのは、CD以降のデジタルオーディオが、音質の画一化により産業
そのものが消滅したプロセスよりもっと深刻だと言えるでしょう。オーディオの場合
は、米英や一部の日本企業が手作りに近い高品質製品を作っており、特に凝り性の人
向けの趣味的な製品はそれなりにあるからです。iPodが席巻しているデジタル・オー
ディオのプレーヤー市場でも、ヘッドホンだけはそれなりに音質やデザイン、使用感
という点では個性という付加価値が生き残っています。

 ですが、テレビのクオリティはほぼ限界に来ている一方で、趣味性の高い高付加価
値というのも消滅しているのですから、産業として絶望的だということは明らかです。
同じように、太陽電池パネルの国内生産が競争力を失ったのも、エネルギー源として
の効率という価値しかないからです。そこには耐久性を含めた効率以外の差別化要因
はないのです。

 一方で、苦しみながらではあっても日本のデジタル・カメラの産業が国際競争力を
保っているのは、そこに使用感や画質といった趣味的な付加価値が残っており、その
差別化を延々と続けているということがあります。

 日本は既に「脱産業化」のプロセスに入っており、消費者の求める感性的な部分で
の付加価値創造を生命線としてゆかねばならないわけで、そうした価値のないTVや
太陽光パネルといった領域で戦うというのは、そのこと自体にムリがあったのだと思
います。

 ちなみに、TVに関しては3D化が付加価値だという思い込みで、ずいぶんと投資
がされましたが、これも「成功したらしたでコモデティ化するだけ」である一方で、
「奥行きの解像度がバカバカしく低い中、3Dの映像表現に関する演出技法は全くの
未開発」な中では時期尚早だったわけで、ビジネスとして成功する可能性はそもそも
低かったと言えるでしょう。もっとも、この3Dテレビに関しては、韓国企業も同じ
過ちを冒していますから、日本だけの問題ではないかもしれません。

 いすれにしても、TVや太陽光パネルの場合は、コモデティ化した製品ジャンルを
「コストの高い脱産業化国」で深追いしただけのことで、撤退という判断になるのは
仕方がないように思います。

 一方で、現時点での電子機器の花形と言えるスマホに関しては、もっと別の問題が
あるように思います。現在、特許関係の係争で、日本や欧州でアップルと訴訟合戦中
である韓国のサムソン電子ですが、世界市場におけるスマホ戦争では確実にシェアを
伸ばしているようです。報道によれば、今年の第三四半期(7月から9月)に200
0万台以上のスマホを販売したようで、同時期に1700万台だったアップルを大き
く引き離しています。

 考えてみれば、こうした小型で高機能の電子機器というのも、ある時期まで日本の
お家芸だったわけです。また、イノベーションのスピードにしても、消費者の感性的
なニーズが生み出す付加価値にしても、正に「脱工業化」のプロセスを代表する高付
加価値製品です。にもかかわらず、世界市場におけるスマホ戦争ではもはや日本の存
在感はなく、逆に「ガラケー」の強かった国内市場まで、サムソンやアップルに攻め
込まれているのが現状です。

 その理由については、「日本では閉鎖的な市場でガラケーが進化した一方で、海外
市場の動向が理解できずに負けた」という解説がされることが多く、私もそうした考
えを採ってきています。ですが、改めてサムソンの「3ヶ月で2000万台」という
数字の重みを噛みしめる中で私は背筋が凍るのを感じました。そんなことを言ってい
る場合ではないのではないでしょうか。

 スマホに決定的に重要なのはソフトです。ソフトというと、天才的なクリエーター
が一切を仕切って「カッコいいユーザーインターフェース」を作っているようなイメ
ージを描きがちですが、実際は個人プレーではなく、巨大なチームプレーの世界だと
思われます。

 サムソンの場合ですと、OSはアンドロイドですから、まずはグーグルがパートナー
になります。次期OSの開発初期段階から、グーグルとの共同作業が延々と続き、そこ
には各国の通信キャリアとの技術的な調整や、各国別のローカル仕様への対応なども
発生するわけです。こうしたチームプレーは、膨大な情報交換とコンフリクトの調整
が、ものすごいスピードで延々と続くのだと思います。

 意思決定にはスピードが求められる一方で、外部環境の変化への柔軟な対応も求め
られるわけで、その全ては英語のコミュニケーションになるわけです。例えば、サム
ソンは「スティーブ・ジョブズの喪中に新製品を投入するのは控える」として「アン
ドロイド4.0」搭載機の市場投入を遅らせましたが、こうした急なスケジュール変
更というのも、販売面、技術面、ロジスティクス面、契約変更など法的な対応などを
中心に複数の国にわたる複雑なコミュニケーションを発生させるわけです。

 英語による複雑でスピーディーなコミュニケーション、迅速な意思決定と柔軟性、
更にはそうしたコミュニケーションの多くが、高度な技術面での知識と、和戦両面で
のリーガルマインドも要求するわけです。

日本勢は、そのような「戦い」に必要な人材が圧倒的に不足しているばかりか、組
織の行動様式も全く別のものであったわけです。勝てないどころか、全く戦いにもな
らないというのには、そうした組織と人材の問題があったと考えられます。

 その一方で、スマホの開発というのは、「科学技術」という部分は確かにあります。
静電容量の変化を信号に変えるタッチパネル、微弱な電波を電気信号に整えるコンデ
ンサなどが重要ですが、こうした分野では日本勢は今でも圧倒的なシェアを持ってい
ます。

 ですが、部品産業というのは、スマホのソフトに比べると仕様を固めるプロセスも、
法的な権利関係も単純だと思うのです。まして、一番難しい生産管理の部分は、日本
語での「もうちょっとスルスル通した方が歩留まりが上がるぜ」的なノウハウででき
る部分が大きいわけです。一々契約書を見ながら、変化する事情の中で各国と英語で
調整しなくてはならないソフト絡みの分野とはコミュニケーションの質もスピード感
も異なるように思います。

では、日本はもう何もかもがダメで、せいぜい「モノづくり」のプライドは部品産
業として生き延びるぐらいなのでしょうか? そう悲観する必要はないと思います。
自動車にしても、新薬開発や医療機器にしても、世界で戦っている産業はたくさんあ
ります。規模は小さいですが、エレクトロニクスの中では、先ほど言及したデジカメ
やビデオカメラという牙城も残っています。ゲーム機器も「ソフトのガラパゴス化」
や「ネトゲとモバゲーのローカル化」が進行していますが、まだまだ諦める段階では
ありません。

 とにかく、産業ごとに「成功要因」と「失敗の本質」を見極めること、その上で
「脱産業社会」としての高付加価値製品づくりには何が必要かを改めて検証しなくて
はならないと思います。恐らく、その鍵は人材になると思われ、そのためにも教育と
組織、雇用の改革が急がれます。とにかく経常収支のプラスというラインは、日本経
済としてどうしても死守しなくてはなりません。そのためにも、エレクトロニクス産
業の活力回復は大きな要素になると思うのです。

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冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『911 セプテンバーイレブンス』『メジャーリーグの愛され方』『「関係の空
気」「場の空気」』『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』。訳書に『チャター』
がある。 またNHKBS『クールジャパン』の準レギュラーを務める。

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コメント
 
01. 2011年10月22日 21:42:38: KGOrBO969E
ごちゃごちゃカタカナ言葉を使っているが何がいいたいのかさっぱりわけがわからん文章。

02. 2011年10月23日 17:13:51: fKSE8tVN0A
とてもわかりやすい解説で、当否はともかく、非常に参考になった。

03. 2011年10月23日 17:32:56: sgolhP60mA
コモディティ化したら日本勢はダメだ、とは一概には言えないと思います。
人件費比率が小さいなら(大幅な機械化が可能なら)競争できる筈ですし、
国内で作らないでも海外で作れば、人件費問題は解決します。
少なくとも、資本の供給は潤沢です。

そこには、何かしら別の原因がある。政治から来るオーバーヘッドとか。
電機は特に、総花的な事業展開に問題があると思います。
「捨」ができないのが日本の企業文化なのでしょう。

もちろん、アップルの成功例のような、ハード・ソフト・コンテンツ一緒の
イノベーションは羨ましい。
それの得意な筈のソニーが遅れをとったのは残念ですが、
すべての企業が、いつもそれだけを追う必要はないでしょう。


04. 2011年10月23日 20:44:23: GVgKlq0aw7
「規制と既得権を主張する癒着官僚・経営者、愚民が政治的に強い限り、あまり期待しないほうがいいか」
sci は何者なんだよ。日本人のスタンスではないな。規制緩和と既得権の破壊が日本の荒廃をもたらしたのに。アメリカが叫ぶ開放と改革で貧しくなった。

冷泉彰彦はTPP推進派、世代間分断のアメリカ工作員。
「脱産業化」「脱工業化」「コモデティ化」「差別化」「ガラパゴス化」「ローカル化」
こいつは「〜化」が好きな奴だよな。他に「高付加価値」「イノベーション」など適当な言葉をちりばめ、文章にまとめる。論旨不明瞭で、わかりにくい。

>03 日本企業が生き延びても、日本国民が死滅したら意味ないだろう。人件費をうんぬんするのなら日銀に円を刷らせればいいだろう。極端な話だが、今、1ドル360円だったらどうなるかな。そもそも人民元が安すぎるのも問題だ。


05. 2011年10月25日 09:57:32: PV9mgxFbAL
日本は技術立国。産業スパイに自由にやられ、社員を引き抜かれ、なりすまし日本人の在日に情報を流されれば、技術立国の崩壊につながり、サムスンがそれに替わる企業に育つのは至極あたりまえの事である。

06. 2011年10月29日 17:09:17: cWDAFxlXS2
やはり冷泉彰彦はTPP推進派ですか。書いていることも調子がいいからな。変な文章を書きまくる工作員なら、こちらも釣られて遊んでやるのが面白い。エレクトロニクス産業うんぬんなどと言うが、何でも日本メーカーは駄目だとか、アップルに負けているとか、サムスンに勝てないとか、そんな文章は読み飽きた。欧州には触れないのですかと、逆襲してみる。

欧州にもグルンディッヒとか、フィリップスとか、テレフンケンとか、ITTシャープ・ローレンツとか、コンチネンタル・エジソンなど、日本のソニーやパナソニックに相当する企業がある。大型液晶LCDテレビジョンは、現在欧州で開発から製造まで手掛けているメーカーは、フランスのコンチネンタル・エジソンだけだ。他のメーカーは1970年代に日本メーカーの集中豪雨的輸出の前に、いさぎよく撤退してしまった。彼らは重電や産業機器に特化し、収益の高い企業活動に徹している。

誰も書かないことだが、ここで取り上げられているエレクトロニクスのIT機器に使用される半導体など電子部品。それらの製造過程で排出される有害物質。これら隠された公害問題に触れないことを検証して欲しい。半導体など、有害な砒素を使用している。あの森永砒素ミルク事件で障害児を多数出した事実を誰も書かない。日本では半導体を大量に生産しているが、製造過程で出る毒性劇物をどのように処理しているのか。昔のNHKでは報道していた。海洋投棄している。

欧州では、これら有害物に関する規制が厳しいから、それなら最初からつくらないでおこうとか。この半導体生産で排出される有害物質問題は、原発問題と共通しているのではないかと思われる。韓国は公害の規制が日本より緩く、産業界優先の政策が採られていると見られる。サムスン電子をはじめ、韓国の工業は国際金融寡頭勢力の支配下にある。国際金融寡頭勢力が韓国政府に対し、公害の規制をするなと国際圧力をかけていることが充分に想定される。

日本では公害規制が厳しいから、もはや半導体に投資するなど考えられない。このため、自動車関係の半導体でもタイなど東南アジアに工場進出している。豊かになる反面、公害は着実に増えている。これらの事実は決して報道されない。


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