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 欧米の債務問題の深刻化を踏まえ、旧ソ連諸国が米ドルに偏っている外貨準備の通貨の多様化に動き始めた。ロシアだけでなくカザフスタンなどの国が資源国や新興国の通貨を新たな運用先に追加、ドルやユーロヘの依存度を下げる。ロシアのプーチン首相は周辺国に貿易でのルーブル決済を働きかけており、ドル不信を自国の影響力拡大につなげる戦略を展開している。
カザフスタン中央銀行のマルチエンコ総裁は外貨準備にロシア・ルーブルやブラジル・レアル、韓国ウォンを加える方針を明らかにした。これまで主な投資対象だった米ドルやユーロなどの比率を引き下げ、新興国通貨での運用を増やす。人民元についても資本規制の緩和をにらみ、中期的に準備通貨に組み入れる方針だ。アゼルバイジャンも新興国通貨での運用に向けた検討を始めた。
ロシアもドルの運用比率を下げ、カナダドルやオーストラリアドルなど資源国通貨の組み入れを本格化。ウリユカエフ中央銀行副総裁は「人民元を外貨準備に加えることに関心を持っている」とも指摘した。
ベラルーシは既に、人民元を準備通貨に加えている。人民元は完全な交換性が実現していないが、ルカシエンコ大統領は「人民元の国際化は急速に進んでいる」と強調。中国との貿易が拡大しているうえ、9月には10億ドル(770億円)の融資支援を受けるなど結びつきを強めている。
 プーチン首相はドル基軸体制からの脱却を主張。「影響圏」と見なす旧ソ連諸国内で、ルーブルの流通拡大を目指す。18日にウクライナのアザロフ首相との会談で、両国間の貿易決済通貨をルーブルに切り替えることで基本合意した。ウクライナは2012年から、ガス代金の支払いをドル建てからルーブル建てに切り替えると表明した。
 プーチン首相は旧ソ連諸国による地域統合組織「ユーラシア同盟」を創設する方針を打ち出し、旧ソ連圏への影響力回復を優先課題に掲げている。ドルへの不信が兆していることを追い風に、経済分野で外交攻勢を強める可能性も大きい。
旧ソ連主要国の外貨準備(単位:億ドル、2010年末ベース)
[出所:米中央情報局(CIA)]
国名       準備高   世界ランク
ロシア     4794      3
ウクライナ    345     45
カザフスタン   282     49
トルクメニスタン 180     60
ウズベキスタン   98     70
アゼルバイジャン  64     80
ベラルーシ     34     98
 (モスクワ=金子夏樹)
日本経済新聞10月22日朝刊P.8
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