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羅針盤を見つけられない中央銀行 危うくなる独立性
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投稿者 sci 日時 2011 年 10 月 24 日 07:09:13: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/26790?page=2
羅針盤を見つけられない中央銀行

2011.10.24(月)
Financial Times

国際決済銀行(BIS)のシニアエコノミスト、クラウディオ・ボリオ氏は8年前、複雑な信用市場の行き過ぎによって、世界の金融システムは制御不能になりつつあると警告する論文を共同執筆した。当時この論文は、多くの政策責任者に馬鹿にされたとは言わないまでも、ほとんど無視された。

 しかし、今にしてみると、この論文は先見の明があるように見える。事実、ボリオ氏と共著者のビル・ホワイト氏(同じくかつてBISに勤務していた)は、最近の金融危機で名声が傷つかなかった数少ないエコノミストに数えられるほどだ。
金融危機を予言したBISエコノミストの警鐘

 そのことを考えると、投資家は、ボリオ氏が執筆したばかりのもう1つの論文に目を通した方がいいかもしれない。

 この論文は、債務担保証券(CDO)のような証券化についてではなく、中央銀行に関するもっと大きな問題について考察している。前回の論文と同じように先見の明があるかどうかは現時点ではまだ分からないが、その結論は目が覚めるようなものだ。

 ボリオ氏は、世界各国の中銀はほとんど不可能な課題に取り組んでいると主張する。中銀に対する投資家や政治家の期待は急速に高まっているが、中銀自身は、2007年以降のこの世界で途方に暮れているという。ボリオ氏の例えを使えば、近年の荒れた海の中にあって、中銀は機能する「羅針盤」を見つけるのに苦労しているのだ。

 本質的な問題は、危機によって中銀が不安定な状態に放り込まれたことだ。2007年以前は、中銀が低インフレと安定成長が続く大平穏(Great Moderation)を生み出したように見えたため、その名声はとてつもなく高く見えた(アラン・グリーンスパン氏を「マエストロ」と称賛した論評を思い出してほしい)。

 だが最近では、2007年以前のそうした中銀の知的モデルの多くの要素に欠陥があることが明らかになっている。

 中銀は、金融の安定の監視を犠牲にして、物価の安定を監視することで頭がいっぱいになり過ぎていた。また、経済を統制するうえで短期金利の力を過大評価していた。そして、国内問題だけに目を配っていれば金融政策を決定できると――間違って――考えていたのだ。

 これまでところは明白だろう。ボリオ氏は、これらの欠陥に対処できるかもしれない合理的な対策のリストを提供している。

 中銀は、マネーの動向と金融の安定に対する認識を組み合わせた幅広い使命感を身につける必要がある。市場に関しては、国内的な見方ではなく、国際的な見方をする必要がある。金融の安定を監視するためのより優れたツールを必要としている。政府の干渉から自らを守る対策を講じる必要がある。

 最後に、とりわけ中銀は、短期金利を量的緩和などによって抑え込むことが問題を解決するという考えを捨てる必要がある、とボリオ氏は考えている。こうした低金利政策は普通の景気後退局面なら機能するかもしれないが、バランスシート不況を治すことはできない。

 代わりにボリオ氏は――多くの日本の当局者と同様――、過度に低利の資金は、最終的な調整を妨げ、問題を長引かせる傾向があると主張する。「時間非整合性」問題とでも呼ぶといいだろう。

 だが、ボリオ氏が提案した必要な改革のチェックリストは当たり前のように聞こえるかもしれないが、憂鬱な事実は、そのほとんどが単なる幻想に過ぎないことだ。確かに、中銀の中には、金融分析を組み込んだより柔軟な対応を採用しているところもある。例えば、「マクロプルデンシャルな政策措置」は今、大流行している。

 各国中銀は、グローバルな協調がもっと必要だとも言っている。だが、いざ現実的な政策となると、中銀はまだ、国内的な知的枠組みと責務に基づいて行動している(「輸入された」コモディティーの価格がどのように英国のインフレ予想を覆しているかを説明する時のイングランド銀行の苦しさを見るといい)。

危うくなる中銀の独立性

 「政策立案者が思い通りに使える主流の分析的枠組み」は、金融と実体経済の相互作用を説明するには不十分だ、とボリオ氏は指摘する。

 しかも、中銀はまだ量的緩和によって超低金利を追求することで景気を浮揚させようとしているため、財政政策の決定に巻き込まれるようになっている。その結果、中銀は多くの点で政治的に脆弱になっている。

 「これから数年間は、中央銀行の独立性に対する圧力が強まる可能性が高い」。ボリオ氏はこう書き、次のように付け加える。

 「中央銀行は今、経済を管理し、完全雇用を復活させ、力強い成長を確保し、物価の安定を維持できることを示せという非常に大きな圧力に直面している・・・これは、多くの人が考えるより難しい注文で、中央銀行だけでは達成できない難題だ。あえて、そうではないというふりをすれば、中央銀行の信頼と国民の支持を弱める恐れがある」

 ここで心に浮かぶのは米国だが、ボリオ氏は如才なく米国に言及することは避けている。
8年後の中銀の姿は?

 皮肉屋は、こうしたことはどれも、今のもっと幅広い病を反映しているだけだと反論するかもしれない。結局のところ、「羅針盤」を持っていないのは中央銀行だけではなく、政治家も投資家も同じだからだ。

 だが、こうした意見がBISの中枢から出てきているという事実は特筆すべきことだ。それが、一部の中銀総裁が今、内々に話していることを反映しているということを考えるとなおさらだ。

 少なくとも、投資家は中銀が今から8年後にどんな姿になっているか問うべきだろう。米国だけでなく、とりわけ、問題を抱えたユーロ圏においては・・・。
By Gillian Tett  

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