そう思えば、無謀な拡大路線を取り、ガラパゴス技術の典型のような
ハイブリッドに社運を賭け（その間にドイツ勢は内燃機関の効率化を
達成）、NHKに役員を送り込んで「トヨタが正しい」との宣伝まで
行なって国内他社に不利な報道を繰り返した、全て説明がつく。

経団連会長としても格差拡大に多大な「功績」をあげているしな。

同社の創業者アンドレ・シトロエン氏は、大恐慌で自動車の販売が急減した時に逆の手法を取った。どこのメーカーも新規投資に対し慎重になっていた頃だが、彼は長年温めてきた革新的な自動車のアイデアを実現するチャンスだと考えた。低重心で操縦性を飛躍的に高める前輪駆動方式を採用する。車体はフレーム付を廃してモノコックボディとする。また空気抵抗の少ない車体とする。また前輪独立サスペンションと4輪油圧ブレーキを採用する。当初は自動変速機の開発も考慮されていた。この革新的な自動車の開発のために、アンドレ・シトロエン氏は優秀なエンジニアを新たに採用した。その中に、かつてヴォアザン航空機会社で技術者として活躍したアンドレ・ルフェーブル氏があった。

アンドレ・ルフェーブル氏はフランスの航空機の先駆者として知られるガブリエル・ヴォアザン氏の下で働いていた天才技術者で、ヴォアザン社が第一次世界大戦後、自動車に転換すると、自動車技術者と同時にテストドライバーとして働いた。しかし1929年の大恐慌で同社が倒産すると不本意ながらルノーに転職した。しかしルノーは保守的な経営者の下で製品も陳腐化しており、ルフェーブル氏は腐っていた。その時、ヴォアザン氏は親友のアンドレ・シトロエン氏に彼を紹介し、シトロエン社に転職した。そして僅か1年足らずで革新的な前輪駆動車を開発した。

彼の常識にとらわれない革新的な技術の導入で、シトロエン社は世界大恐慌を乗り切った。実際には1934年に経営破たんし、ミシュランタイヤが同社を継承したのだが、その過程で創業者は病で亡くなってしまった。ミシュランタイヤは、同社の天才技術者アンドレ・ルフェーブル氏に注目したのだ。彼に言った言葉はこうだ。「君が個人的に興味をもち、やりたいことがあるならば遠慮はいらない。好きなだけやって欲しい。費用など気にするな。最終的に製品に結びつかなくても、それはかまわない。」ここまで気に入られたのである。

アンドレ・ルフェーブル氏は病に倒れて1958年に引退するまで4人の社長に仕えた。そして7CV、11CV、15CV、TUB、H、2CV、DS19、ID19など幾多の先進的な自動車を開発した。これらの自動車は、同時代の自動車とまったく違う革新性に満ちていた。言うならば、現在の道路環境の使用に耐えるのである。彼は世界の自動車の歴史の半分以上をつくったと評価されている。現在は世界的なミニバンブームだが、それの先駆となるTUBなど、1939年に登場している世界初の前輪駆動ミニバンであった。

世界的な経済の行き詰まりを打開する、革新的な自動車の登場が待たれている昨今であるが、これを実現できるのは誰か。シトロエンは再び経営危機に陥り、1974年に倒産してプジョーの傘下にある。これにより革新的な製品を送り出すことができない状況が続いている。しかし世界の人々は、シトロエンが歴史に残した偉大な名車をしっかりと覚えている。そして、再びかつての革新的な自動車を出して欲しいと願っている。当方は日本国内で同車の同好会活動をしているが、外国における同好会の熱心さは驚くほどだ。彼らは言う、奇跡は起こると。

シトロエンは1934年、1974年と2回の倒産を経験しながら生き残ってきた。そして2014年が迫りつつある。40年周期の大変革期を迎えつつあるのだ。欧州経済が危機的状況で破綻も近いと見られる。プジョーの行き詰まりも近い。その時に受け皿になるべく、同好会が準備を進めている。未来の自動車は何か。実はアンドレ・ルフェーブル氏がDS19の後に開発していながら、彼が病気になって引退したためお蔵入りになっている自動車がある。コクシネル(てんとう虫)だ。佐助殿の言われる「丸の1ボックス型」そのものの自動車である。写真を掲載する。
http://www.citroenet.org.uk/phototheques/nec2009/cms-cocinelle.html
http://www.citroenet.org.uk/prototypes/c8-c10/cocinelle.html

これに宇宙エネルギー発動機を組み合わせれば、未来を先取りする自動車になる。