現在の政権政党は民主党だが、ここにもトラック利権集団がおり、鉄道勢力に対し優位に立っている。具体的な氏名は書かないが、高速道路1,000円を推進する議員だと言えばお分かりいただけるだろう。自民党、民主党を問わずトラック利権集団は存在している。原子力利権勢力と同じで、これらが日本を支配している。だが、これらの勢力が支配している状況では、日本は世界の動きから完全に取り残されるだろう。

日本では軽油を燃料とするディーゼルエンジンを搭載したトラックが有利なように、税制を組み立てている。ガソリン税に対し軽油引取税は安い。道路の建設、補修に掛かる経費は自動車重量税によっても賄われているが、これらの税額を比較すればトラックがいかに不当に安い税負担しかしていないことに気がつくであろう。これらの不満のガス抜きのために軽自動車制度が存在し、維持費の安い乗用車が存在している。この問題について、今やどこの新聞も自動車雑誌も触れようとしないのは、彼らの存在意義がないことを意味している。

かつて日本には宅配便はなかった。宅配便の役目を果たしていたのは国鉄小荷物で、小口の個人の荷物は国鉄の旅客駅に持っていったものだ。到着しても、駅に取りに行けば配達より安かったので駅まで取りに行ったものだ。これらの需要が第一次石油危機以後、小口荷物に進出した大手運輸会社の「宅配便」に移った。配達時間まで指定すればそのとおりに来てくれるが、このようなサービスは日本にしかない。トラック労働者は朝早くから夜遅くまで、過酷な労働を強いられている。それでいて、給与は月額20万円を少し上回る程度だと言う。

何でも便利になればいいなどと国民を洗脳してきた利権集団だが、資源を浪費し人間を浪費する社会がこの先も続くわけがない。もともと日本は質素倹約を大切にする社会であったが、戦後、電通が国民を洗脳し「使い捨て社会」に変えてしまった。しかし欧州は資源を大切にする社会である。電気製品でも長く使うし、自動車でも古い車が多い。古い自動車には税制で有利な規定がある。新しい自動車が売れれば業界の利益になるが、そうではなく自助努力を促す方針のようだ。日本が駄目になってしまったのは、利権集団のための社会になってしまったからだろう。ここから脱しなくては日本の未来はないのである。