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「税と社会保障の一体改革」をめぐる毎日新聞の薄い社説(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
http://www.asyura2.com/11/hihyo12/msg/657.html
投稿者 元引籠り 日時 2012 年 2 月 09 日 21:07:11: dkOnWN./sADdA
 

うちの記事で不当な『抱き合わせ商法』と評させていただいた「社会保障と税の一体改革」についてですが、この「カイカク」について毎日新聞に出ていた社説が、「消費税値上げ真理教」に毒された決まり文句てんこ盛りの世論誘導のための洗脳文のように思えました。

「消費税上げ」以外に可能な方法として「所得税や法人税」も一応は示しているので零点ではありませんが、詳しい検証もないし、問題意識ももれなく表現されているとは言えず、結局消費税値上げが最優先と言いたげなので、合格点はあげられません。

●毎日jp - 毎日新聞のニュース・情報サイト
社説:一体改革素案決定 反対なら代替案示せ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20120107ddm005070058000c.html
2012年1月7日

 ようやく政府・与党が「税と社会保障の一体改革」素案を決定した。消費税率を14年に8%、15年に10%へと引き上げる法案を年度内に国会に提出するという。負担増になる課題の多くを見送った社会保障改革はもの足りないが、せっかくできた改革の流れをつぶしてしまっては元も子もない。ここは駒を前へ進めるべきだろう。
 改めて指摘しておきたい。昨年までは高齢者(65歳)になる人が年間100万人台だったが、今年は200万人を超える。これから4年連続で200万人以上が高齢者になる。人口の最も多い団塊世代が完全に年金受給者側に回るわけだ。家族や地域のつながりが弱い都市部での増加率が特に高く、医療や介護サービスがなければそのうち「介護難民」があふれ出るだろう。
 今でも年間10兆円もの借金をしながらなんとか社会保障をやりくりしているのだ。少子化は改善の兆候が見えず、今後ますます現役から高齢世代へと人口が移る。毎年十数兆円の財源を安定的に確保しなければならないのだ。民主党内には消費増税への反対が根強いが、予算の組み替えや無駄の削減だけでは必要な財源が出てこなかったことを踏まえれば、「消費増税に賛成か反対か」という設問自体がもはや現実的な意味を持たないと考えるべきだ。
 消費税を上げないならば、(1)所得税や法人税や相続税などを大幅に上げるか(2)年金・医療・介護保険料や自己負担を大幅に上げるか(3)社会保障の給付を大幅に削減するか(4)今のまま借金を続け、子どもたちに負担を先送りするか−−何らかの代替案を示すべきだ。ただし、借金頼みはとうに限界に来ている。
 もちろん消費税以外の改革も必要だ。所得税の最高税率は課税所得5000万円超部分を45%に引き上げることが素案に盛り込まれたが、もっと累進性を高めて高所得者に負担を課してもよいのではないか。中間層がやせて貧困率が高くなれば社会全体の経済活動が停滞し、結果的に高所得者にも悪影響が出る。
 物価に合わせた年金支給の引き下げが素案に盛り込まれたが、社会保障制度内の負担増と給付減はさらに必要だ。高齢者の負担が重くなる改革案はほかにもある。戦中戦後に苦労してきた人が多いことを思うと心苦しいが、制度を崩壊させないためにいずれは議論が避けられない。
 一方、国民全体で薄く広く負担するのが消費税だ。それで医療や介護の財源が得られる利点を改めて感じないわけにはいかない。つまるところ痛みと恩恵の比べ合いである。野田佳彦首相はもっとわかりやすく国民に説明してはどうか。

毎日新聞 2012年1月7日 東京朝刊

(転載ここまで)

「財源を安定的に確保しなければならない」...この種の文脈で出てくる「財源」という言葉。財源がないから社会保障は減らさなければならないと言いたげなこの種の主張。

こういう時に「財源」という言葉を無意識に出してしまう毎日新聞さんに言いたいです。「財源」という言葉がそんなにお好きなら、ジブチだのなんだのへの自衛隊の(違憲の疑いがある)海外派兵費用、アメリカ国債を日本が買う費用、政党助成金、官房機密費などなどなどなどについても、「それらの財源はどこにある?」と、一貫した問いを発してください。なぜ私がそう言いたくなるかは、次の記事で書きました。

■「財源はどこに?」 (不定期連載『決まり文句を疑う』)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1337.html

新たな政策を実施しようとすると呪文のように対立派から出てくる「財源はどこにあるキイキイ」という「批判」。

それを言うなら、すべての政策について「財源はどこにある?」と問わなければなりません。しかし、現実には、「財源はどこにある?」という「批判」は、教育、福祉、医療、生活保障など、ほとんど特定の分野にしか向けられません。一方、たとえば政府が新たな兵器を導入するとき、また、米軍に無条件に協力するとき、法人税減税を行おうというとき、高級官僚のための再就職斡旋機関を作ろうというとき、国営漫画カフェを作ろうというとき、などなどには、「財源はどこにある?」という批判はなかなか出てきません。教育、福祉、医療、生活保障などに「財源はどこにあるキイキイ」と文句を言う陣営は、これらのことにも「財源はどこにあるキイキイ」と叫ばなければならないはずなのですけど。

このことだけでも、「財源はどこにあるキイキイ」というだけの「批判」は薄っぺらで一方的なものであり、聞くに値しないことがわかります。別の言葉で言えば、「財源はどこにあるキイキイ」という言葉が向けられる対象が何かを観察することによって、お政府様やお財界様やおマスコミ様がどのような政策をやりたいか、あるいはやりたくないかがわかるのです。

ついでに言うと、なにかというと「財源はどこにあるキイキイ」という文句をかかげる新聞は思考停止か不公平かその両方かですから、お金を出して読むに値しないと断言してよいと思います。
(後略)

(引用ここまで)

この毎日社説は、辛うじて「もっと累進性を高めて高所得者に負担を課してもよいのではないか」という主張がましなくらいです。「国民全体で薄く広く負担するのが消費税」という一節は消費税をめぐる現実を反映していません。それと同時に、この一節は中身も薄い決まり文句にすぎないのです。こういう決まり文句がこういうところでぽろぽろと出てくるのは、この社説執筆者が消費税についていろいろな角度から本気で勉強していないことを露わに示しているのです。「カテゴリ : 税制、税金、財政」の記事から、二つだけリンクさせていただきます。

■「社会保障の財源に消費税を充てるのは不適切である」 (森永卓郎氏)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1322.html

■斎藤貴男氏の新著「消費税のカラクリ」を薦めながら、橘木俊詔氏と神野直彦氏にツッコミを入れてみた。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1938.html


「財源」をどうするって、その原則は簡単ではないでしょうか。「課税」ということに話を限れば、超高所得層、高所得層、利益をあげている大企業に、その所得や利益に応じた応分の負担を求めること。キャピタルゲインのような不労所得に、西欧諸国並みの税をかけること。そこから始めなければなりません。

問題は高齢者とか若者とかいう世代の間で負担が違うということではなく、各個人や各企業の貧富度に応じた負担をお願いすることです。つまり、担税力のあるところに応分の負担をお願いするという、当たり前のことです。

担税力のあるところにどこまで負担を求めるかについてはいろいろな意見はあるでしょう。しかし、「つまるところ痛みと恩恵の比べ合いである。野田佳彦首相はもっとわかりやすく国民に説明してはどうか。」などと書いている暇があれば、、超高所得層、高所得層、利益をあげている大企業に何パーセントの追加負担(増税)をお願いしたらどれだけの税収になるか、ということは試算できるでしょう。毎日新聞はそういう試算や主張を「代替案」として出してもいいのではないですか。

そういう試算もしないで消費税を上げさえすれば解決するのだと言わんばかりの社説には、お金を出して読む価値はないと言わせていただきます。

「社会保障制度内の負担増と給付減はさらに必要だ」という発想しかしないでおいて、「子どもたちに負担を先送りするか」と毎日新聞は問いを出しています。しかし、「超高所得層、高所得層、利益をあげている大企業に、その所得や利益に応じた応分の負担を求める」というごく当然の「富の再分配」という発想をしないでおいて、「社会保障制度内の負担増と給付減」をするだけの政策(と呼べるなら...)をすすめておいて数十年がたって、今の「子どもたち」が年金を受け取る世代になったらその世代やさらにその時代の「子どもたちの負担」は軽くなっているか、といったら、そんなことは全くないと思うのです。

毎日新聞には、もう少し多角的な勉強の跡のある、読み応えのある社説を書いていただきたいと切に願います。

http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-3179.html  

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コメント
 
01. 五十嵐正 2012年2月16日 16:43:32 : WnNgshjApR/ts : oR3jC2ZdlQ
ざっと読ませて頂き、ほぼ同感の御提唱が多いと感じました。
時間が空いたとき、ゆっくり読ませて頂きます。

御説中の「財源」のことばは、あまりキリキリしないで、[原資]とか[お金]と読替えたら、どうでしょうか。
恥ずかしながら、小生の駄文も御参考に一度読んでみて下さい。
  「社会保障とその財源・消費税(下書き)」
    http://ctzn26.blog137.fc2.com/
以上


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