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生き生き箕面通信1166 ・ナベツネさんが「オレは怒っている」と、ブチ切れ
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2012-02-17 06:38:39 生き生き箕面通信
おはようございます。
生き生き箕面通信1166（120217）をお届けします。
・ナベツネさんが「オレは怒っている」と、ブチ切れ
珍妙なというべきか、お笑いというべきか。天下のナベツネこと、
読売新聞グループの渡邉恒雄会長・主筆が怒り心頭です。「私は
TBS『運命の人』に怒っている」と題する４ページにわたる緊急
寄稿をサンデー毎日（2月19日号）に寄せました。
内容は、「西山君、一言ワビよ」に尽きます。元毎日新聞記者、
西山太吉氏が逮捕された事件を小説にした山崎豊子原作の
「運命の人」。これをTBSがドラマにしたもので、日曜日夜9時
からの放映中のものです。
ナベツネ氏の言い分は、「西山君は清潔で有能なヒーロー的
大記者になっているのに対し、オレはいやしい金権記者に描か
れた。ケシカラン」。そして、書きました。「オレは、現役記者の
時代に政治学、政治史、米国政治、政治一般などに関して20冊
ほどの著書を出版した。しかし、当時、西山君の著書というものは
見たこともない」と。言外に「どんなもんだい。オレの方がよっぽど
優れておろうが」と、鼻をピクピクのご様子です。
さらに、「オレは、（逮捕されてかわいそうな西山君のために）、
裁判では西山弁護にのめりこんだ」とも。にもかかわらず、テレビ
では、「田中角栄から送られた現金を西山君は返したが、渡邉は
受け取ったうえ、『足りないからもっとよこせ』と言った下等なたか
り記者と描かれている」と、頭から湯気を立つほどのご立腹です。
これに対し、サンデー毎日の今週号（2月26日号）では、佐高
信氏が「小説のモデルが小説のモデルに『ワビを言え』と迫る
ナンセンス」というコラムを書いています。このコラムでは、こんな
エピソードも紹介していました。山崎豊子さんが銀行を舞台に
した話題作「華麗なる一族」を書くにあたって、当時全国銀行
協会会長で三菱銀行頭取だった田実渉氏に、「こういう小説を
書こうと思っているのですが、全銀協あたりではどういう受け取り方
をなさいますか」と尋ねた時のことです。田実氏は、「大銀行の
幹部たる者、小説は小説として読む訓練くらいはできている
でしょう」と答えたそうです。
そして、佐高氏は、コラムをこう結びました。「渡辺さんは、
小説をほとんど事実として怒っているわけですが、田実氏の
『小説は小説として読む訓練くらいはできているでしょう』とい
う言葉をどう思いますか」と。
実際のところ、ナベツネ氏が怒る相手は、テレビ・ドラマの
プロデューサーか、原作者の山崎氏に対してでしょう。それ
を西山氏に対して「謝れ」と居丈高なのは、どう見てもお門
違い。珍妙に見えてしまうのです。
第一、ナベツネ氏がそんなに怒るほど身ぎれいだったか。
現在の読売新聞本社社屋が建つ東京・大手町の土地は国
有地をナベツネ氏が無理やり払い下げさせたいきさつがあ
ります。当時の佐藤栄作首相がいったん白紙撤回した時は、
ナベツネ氏が、大蔵省（当時）に強かった経済部の氏家斉一郎
氏と奔走し、とくに読売の紙面で反佐藤キャンペーンを張って、
佐藤氏を追い込み、いわば国民の財産を一私企業が不適切
に奪ったのです。
さらに、ナベツネ氏をはじめ読売の記者は、内閣官房の官房
機密費をちゃっかり受け取っています。官房機密費の追及が
できないのは、そのためです。
ナベツネ氏の大記者というイメージには、うさんくささがつき
まとうのです。そもそも政界で影響力を持つとされるのは、当時
の大物、大野伴睦氏にかわいがられ、名代のような役割まで
果たしたからです。つまり現役記者でありながら、自民党大物の
一員としてフィクサー的な役割もする、”あってはならないジャー
ナリスト”、つまりジャーナリスト失格だったのです。
今回の珍妙な「寄稿」は、老いの繰りごとに堕しています。
ナベツネ氏は「不徳のいたすところ」と神妙にかしこまってこその
場面のはずです。
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