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大地震、大津波…「60秒サバイバル」入門1 シナリオ想定に基づく防災対応には限界
http://www.asyura2.com/11/jisin17/msg/212.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 21 日 09:31:27: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://president.jp.reuters.com/article/2011/04/21/ABBB6B48-65BB-11E0-A78C-C0093F99CD51.php
大地震、大津波…「60秒サバイバル」入門【1】
プレジデント 2011年4.18号

「世界一の津波構造物といわれた釜石の防波堤でさえ一気に破壊された。ハザードマップなど、シナリオ想定に基づく防災対応には限界がある」

吉田典史=文 AP/AFLO=写真
キーワード: 「60秒サバイバル」入門 生活 東日本大震災 

国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の大地震。激しい揺れの後、最高10m以上の津波が押し寄せた。災害から身を守るためには、どうすればいいのか。第一には「逃げるが勝ち」という心構えを持つことだ。
3月13日、宮城県気仙沼市の様子。世界三大漁場である三陸沖を代表する漁港で、水揚げ金額は約280億円(2008年)だった。(AP/AFLO=写真)
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3月13日、宮城県気仙沼市の様子。世界三大漁場である三陸沖を代表する漁港で、水揚げ金額は約280億円(2008年)だった。(AP/AFLO=写真)

3月11日14時46分、三陸沖で「東北地方太平洋沖地震」が起きた。地震の規模を示すマグニチュードは9.0。国内観測史上最大で、アメリカ地質調査所によれば世界でも4番目に大きい地震だった。宮城県栗原市では震度7を観測。震度7の観測は2004年の新潟県中越地震以来、7年ぶりである。

この地震では太平洋沿岸部に最高10メートル以上とみられる国内最大級の津波が押し寄せ、特に岩手・宮城・福島の各県では甚大な被害が出た。警察庁によると、死者9079人、行方不明者1万2782人(3月22日現在)。約31万人が避難生活を強いられている。日を追うごとに、被害の全容が明らかになりつつある。

さらに地震と津波の影響から、東京電力・福島第一原子力発電所が、放射能漏れ事故を起こしている。政府は、福島第一・第二原子力発電所の周辺住民に対し避難指示を発令。原発が操業停止となった影響で電力需給が逼迫。東京電力は管内で計画停電を実施している。

今回の震災は、これまでの「被害想定」を根本から覆すものだった。たとえば三陸海岸は、1896年の明治三陸地震、1933年の昭和三陸地震、そして60年のチリ地震津波と、たびたび津波の被害を受けており、それぞれの港には世界有数の防波堤がつくられていた。

釜石港の防波堤は63メートルと世界最深で、マグニチュード8.5の明治三陸地震の揺れや津波にも耐えられるとして09年に完成したばかりだった。宮古市田老には総延長1350メートル、高さ10メートルの防潮堤が備えられ、地元では「万里の長城」と呼ばれていた。しかし、そのいずれもが今回の津波で破壊された。

津波被害が甚大だった宮城県・南三陸町では、3月20日現在で約1000の遺体が見つかっているが、町民1万7600人の約半数にあたる8000人がいまだに行方不明だ。しかも庁舎全体が壊滅し、仙台法務局気仙沼支局(気仙沼市)の保存データも喪失したことから、戸籍データそのものが完全消滅した恐れもある。

南三陸町の庁舎は、チリ地震津波を教訓にした鉄筋3階建ての防災対策庁舎だった。高さは約11メートル。ところが津波の警報を聞き、約30人の職員と庁舎屋上に上がった佐藤仁町長は、まもなく津波にのみ込まれた。佐藤町長は記者会見でこう振り返った。

「庁舎近くの住宅から、職員の妻が流されていくのが見えた。津波は何度も何度も襲ってきた。俺たちだけでも助かるぞ、と職員を鼓舞した。波が収まってからはネクタイを燃やして暖を取った。生き残った私たちは、つらくてもしっかり生きなければならない」

震災について釜石市で実態調査を進める群馬大学の片田敏孝教授は「従来の防災は被害想定に縛られていた」という。

「世界一の津波構造物といわれた釜石の防波堤でさえ一気に破壊された。ハザードマップなど、シナリオ想定に基づく防災対応には限界がある。これまでの防災は災害後の迅速な救援・復旧に力点が置かれていたが、想定を上回る事態は必ず起きる。『備える防災』だけでは限界がある。これからは『人を死なせない防災』を前提に、避難対策へ力を入れるべきだろう」

実際に釜石市では避難訓練の徹底により、市内の小中学校全14校の児童・生徒約3000人のほぼ全員が無事だった。釜石市の人口は約3万9000人。3月20日午前10時現在で、死者493人、行方不明者620人と報じられている。地震発生時、児童・生徒らは下校の直前で教室にいた。このため警報と同時に集団で行動を開始。あらかじめ決めていた近くの高台に避難した。片田教授はいう。

「どこにいても災害からは無縁ではない。残念ながら、住民の危機意識は防災施設が整うほど下がる傾向がある。多くの災害では避難が迅速ならば命は守れる。人間には『自分は助かるだろう』とリスク情報を軽んじる傾向がある。そうした『情報理解の非対称性』を踏まえたうえで、防災対策をやり直す必要がある」

震災前に『津波災害』(岩波新書)を上梓し、津波への警鐘を鳴らしていた関西大学・河田惠昭教授は「そもそも堤防はそこに来る津波を想定し、つくられてはいない」と話す。

「10メートルを超える高さの津波は、どのような海岸護岸や堤防も乗り越えてしまう。大津波警報(高さ3メートル以上の津波)が発令されたら、まずは避難することだ。そうすれば、命は助かる」

しかし、最近の津波災害では住民の避難率の低さが問題視されてきた。消防庁によると、10年2月のチリ沖で起きた地震津波では、168万人に避難指示や勧告が出されたが、このうち市町村が避難を確認できた住民は6万3000人で、避難率はわずか3.8%だった。しかも避難率は年々低くなっている。

河田教授はこうした傾向を憂慮し、「再び三陸地域に大津波が来れば、万を超える犠牲者が出る恐れもある」と危機感を募らせていた。それがついに現実のものとなってしまった。

※すべて雑誌掲載当時

>>「大地震、大津波…『60秒サバイバル』入門」の目次はこちら  

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