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被災した東北の人々の心情/東日本被災地の復興の思想は何か!( 平野貞夫氏・日本一新第45号)
http://www.asyura2.com/11/jisin17/msg/232.html
投稿者 玄米 日時 2011 年 4 月 23 日 10:10:45: 2d9ai05XDFDx6
 

4月22日配信の「日本一新第45号」は、次のような構成です。

前半は平野貞夫氏の『「日本一新運動」の原点-51』

後半は達増拓也岩手県知事の「東日本大震災津波・岩手からの報告」

長いメルマガですので、当投稿では平野貞夫氏の論文のみを掲載します。

達増知事の論文は、同じく「自然災害板」に別投稿として掲載します。


*** メルマガ「日本一新第45号」より 引用開始
◎「日本一新運動」の原点―51

              日本一新の会・代表 平野 貞夫

(被災した東北の人々の心情)

 今回の東日本大震災で、未曽有の被災を受けた東北の人々の様
子が、テレビなどで報道されている。それに対して多くの人たち
から「被災したはずなのに東北の人々は決して不平をいわない。
小さな善意にも心底から感謝する。その純な気持ちが直に伝わっ
てくる。素晴らしい」と、感想をもらすのを聞く。確かにその一
面もあるかも知れないが、果たして東北の人々の心情をそのレベ
ルだけで考えてもよいものだろうか。
 このことで、京都造形美術大学教授で磐座(いわくら)学会会
長の、渡辺豊和氏が重要な発言をしている。渡辺氏は私の尊敬す
る友人で、世界的に知られている建築家だ。縄文文化の研究者と
しても有名である。阪神淡路大震災の際、神戸の復興を「曼荼羅
都市」とし、鎭魂の心をもって都市再建すべしとの設計案を出し
た人である。私も国土庁(当時)に要請したが、残念なことに実
現しなかった。
 東北は秋田県の出身で、岩手県との境で生まれている。先祖は
岩手県の被災地で、親族の多くが被災している。その渡辺氏が、
「磐座学会会報」(21号)の巻頭で次のように述べている。
 テレビで放映される被害者たちの談話などを聞いていると、気
候風土の厳しさがあのような気持ちを育むのかも知れないが、と
して、東北の人々は「自身の身体で自己表現しようとする内に秘
めた激しい欲求に起因している」と。そして、「東北の人々は現
代の機械尊重の文明を信じていない。東北出身の私にはそのこと
がよくわかる。ところが皮肉なことに今度の震災でもっとも難儀
な問題は原発なのだ」とし、テレビで放映される被災者たちのほ
とんどは、農業や漁業従事者であり、この農業や漁業は直接身体
を使う仕事だから、彼らは身体で自己表現しているのだと、渡辺
氏は論じている。さらに、「高度科学技術文明が限界にきている
のは誰の目にも明らかだし、このまま進展したら間違いなく人類
は滅亡する」と結論づけている。

(東日本被災地の復興の思想は何か!)

 大震災の数日後、達増岩手県知事から電話があり「岩手県の被
災地復興イメージづくりに、渡辺豊和さんの協力を得たい」と言
うことであった。達増知事は今回の大震災の本質を理解し、復興
の思想を「高度科学技術文明の限界と人間の復活」にと、懸命で
あった。この発想が復旧復興の原点でなければならない。そのた
めに渡辺氏の話を紹介したわけだ。
 大震災から一ヶ月が過ぎて、それぞれの立場の人物が復興につ
いて、いろいろ発言しているが、被災者の心情や被災地の歴史的
文化を無視したものが多い。
 代表的なものをいくつか挙げてみよう。

 まず、菅首相が陸前高田市などを視察した際、復興は「山を削
って高台に住宅を建てることにし、エコタウンをつくる」と語っ
たことだ。海辺の山々を削れば何が起こるか。環境破壊どころか
災害の原因となる。災害は地震や津波だけではない。何がエコか、
不見識も甚だしい。
 次の暴論は、復興構想会議の議長となった五十旗頭真氏の発言
で「災害のガレキを一個所に集め、希望の丘公園をつくればよい」
というものだ。この程度の発想しかできない人物が大学教授で、
しかも、国防の根幹ともいうべき防衛大学校長というから、日本
という社会は余程人材がいないようだ。この欠陥人間を、復興構
想会議の議長に座らせる菅首相の頭の中はどんな構造をしている
のか、問うまでもなかろう。
 もうひとつだけ紹介しておく。とうの昔に過去の人物になった
と思っていた竹中平蔵氏だ。東北被災地の復興に「TPP対応型
の強い農業」などをつくるビジョンを明確にしろとの主張だ。被
災地を高度経済成長策によって復興させようということだ。これ
だと高度科学技術文明のシンボルである、競争的資本主義を東北
で実現しようという主張である。私は、被災地の歴史と文化がそ
れを許すことはないと断言する。
 大震災の復旧と復興の基本思想は、被災者の「幸福」を回復・
確定することを通じて、被災地を再び災害のない安心して生活が
できる場所にすることである。従って災害の真っ最中に「山を削
ってエコタウンをつくる」とは、被災地の事情も知らず、彼が得
意とする「その場の思いつき」でしかなく、内閣総理大臣が発言
することでは断じてない。
 東日本大震災の復旧・復興には、高度科学技術文明の限界と反
省を基本思想としなければならない。そして近代科学技術の長所
を活用して、「人間と人間の共生」、「人間と自然の共生」を実
現する新しい国づくりを、根本発想とすべきではなかろうか。こ
れであれば、東北という、一地方の問題ではなく、いつ起きるか
も知れない東海、東南海、南海地震などに対する備えにつながる
のではないか。 

(復旧・復興財源をめぐる国家観の対立)

 4月19日(火)の読売新聞(東京14版朝刊)は、一面トッ
プに『消費税3%上げ検討』復興財源 政府、3年限定 201
2年度にも、という見出しで特ダネ記事を出した。ごく一部のマ
スコミを除き、多くのメディアは消費税増税を主張する菅政権の
情報操作の手助けを、かねてからやっていることは誰でも知って
いることだ。
 菅政権内部では、被害総額を約25兆円と見立て、消費税率3
%の引き上げで約7・5兆円を確保し、3年間の復旧に必要な支
出の大部分を賄うという魂胆である。しかも、それだけではない。
8%となった消費税率を、その後は名目を変更して恒久化しよう
と画策している。
 これは大震災を利用して、税と社会保障の一体化という菅政権
の謀略を強行しようとすることに他ならない。世論調査では消費
税率アップに対し、支持率が60〜70パーセントあるというが、
これは巨大メディアの情報操作であり、このような不条理を許す
ことはできない。
 この謀略の思想は、総被害額をなるべく抑え込み、従来の災害
原型復旧だけとする官僚の発想によるものだ。新しい東日本をつ
くるという考えは微塵もない。福島第一原発災害の国民への被害
に配慮するつもりはまったくないようだ。要するに従来の劣化し
た官僚国家体制を続け、自分たちの既得権益を維持発展させよう
とする考えだ。
 この発想に対する政治家たちの反応が鈍いことも問題である。
一部に増税反対の声があるが、財源論に説得性がない。さまざま
な形での国債発行論があるが、政策として集約されていない。大
量の赤字国債の発行が「市場を混乱させる」という岡田民主党幹
事長の主張に、政治家としてまとまった反論ができていない状況
だ。増税論も反対論も、それぞれの政治家自身に、「共生社会」
を理念とする国家観がないからだ。
 この「共生」という国家観を前提に、財源をどう賄うか、これ
に智恵を出すべきである。昨年の民主党代表選挙の際、私が提案
したのは「民間の埋蔵金」の活用である。それは金融機関(銀行・
郵便局・保険会社など)の「休眠口座」を、法律によって公的に
活用できるようにして、財源とすることである。「休眠口座」と
は、死亡・行方不明者、相続人がいない人、規制のない時代にネ
コやイヌの名前で口座を作ったものなどのことで、いまは放置さ
れている。
 英国では、最近、20年間使用されていない「休眠口座」を法
律で公的に活用しており、大きな成果を上げている。日本では、
この「休眠口座」にどの程度の資金があるか、専門家の推測によ
れば「可能性として50兆円程度」ということだ。現実問題とし
て「30兆円程度」のものは確保できると思う。これは増税とか
国債とかいった厳しい議論のあるものとは違う。金融機関がこれ
まで国民に迷惑を掛けてきたことを思うと、国民的合意は難しい
ことではない。
 これ以外に、どの程度の財源が必要となるか、それは復興計画
構想によるが、私の発想だと、直接間接の復興費と、それに伴う
社会や経済の再生も「共生社会」実現のために必要となる。50
兆円、否、場合によっては100兆円という財源を必要とするで
あろう。その財源の確保については、既成の官僚的発想でなく、
場合によっては、子孫への価値を残す建設国債や、英国の「コン
ソル公債のような永久国債発行の措置」などの検討を含め、叡智
を集めるべきだ。
 大震災を悪用して火事場泥棒ならぬ津波泥棒の如く、消費税率
アップを恒久化しようとする菅政権は直ちに退陣すべきである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*** 引用終了
 

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コメント
 
01. 2011年4月23日 11:11:23: mEDoM0uCGg
>菅首相が陸前高田市などを視察した際、復興は「山を削って高台に住宅を建てることにし、エコタウンをつくる」と語ったことだ。

平野さん、遅い!
それは菅が来る前、津波の直後には住民の間で話題になっていた。
米崎から横田に向う道路沿い。脇ノ沢、長部は海岸段丘沿いの山を削って居住する。
こっちはもうそのつもりで、金や工事の工面をはじめた。
住民の動きは政府より早い。
被災しても、手盛ちの金のあるものは大船渡や住田の貸家にすでに移動した。
医者や公務員などの専門職は失業しないから、財産を完全に失っても移転先でゼロから生活を再建出来る。
企業も半分以上が津波を被っておらず事業を継続している。津波をかぶったところでも本社を他の県内支店に移して働く気持ち満々だ。そういうところも失業していない。
被災しても、失業しても多くの人がめげていない。むしろ燃えている。
金さえ出してくれれば、勝手になんとか出来る。そういう部分も多い。

政府に財源問題なんか存在しない。
復興のための金は無限に捻出出来る。
政令で震災記念硬貨100兆円分を発行し、日銀の口座に預金すれば良い。
おろす時は日銀券だ。政府は無限に資金を調達出来る。
だったら、こっちの都合で金をくれ。
こっちで勝手に復興して請求書を政府に送る。政府は上記の手続きで請求書に応じて支払いだけをする。
その後のインフレやデフレなど知ったことか!
平野さんは政府と議論なんかする必要はない。
そんなヒマはない。
彼らと話なんかしていたら、どんどん時間が経ってしまう。それだけ復興がおくれる。
政府による復興計画はありがたいが、遅すぎるのだ。
こっちでは震災後にも死人が出ている。
政府の計画を待っていたら、もっと死ぬ。
まして消費税増税など話にならない。


02. 2011年4月23日 11:31:39: FFuNfLHeO2
政府紙幣を発行すれば、負債もない。ベーシックインカムが必要だ。

03. 2011年4月23日 21:48:21: FmB0JlnSpg
この連中も口先だけで、無能の臆病集団だ。
内閣を組閣している与党なのに、何一つ有効な手立てを講じていない。
何をこいても妄想ばかり、全く期待していない。

04. 2011年4月24日 14:14:28: b0BBMkGSuM
 余りにも、モタモタしているものだから、このような事態にも対処できないで居る小沢さん・平野さんがそこ居る。
 お二人さんとも、悲しいほど読み違いをなさって、このような結果に、なんて思う次第。
 情けなくて仕方がありません。縄文人と自称?しているにしては、鈍い。(涙) 今、得俵で堪えている状態。モタモタせずに官を降ろしなよ〜!グズグズしすぎだよ。本年の1月12.13日だったのだよ。
 悔やんでもせん無いこと。(涙)疎すぎだよ。

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