★阿修羅♪ > 国際6 > 428.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
日朝交渉を妨害する韓国 元公安調査庁第二部長 菅沼光弘(月刊日本)
http://www.asyura2.com/11/kokusai6/msg/428.html
投稿者 元引籠り 日時 2012 年 2 月 10 日 20:35:50: dkOnWN./sADdA
 

元公安調査庁第二部長 菅沼光弘

金氏朝鮮の確立
―― 12月19日、唐突に金正日総書記の死が発表され、同時に三代目・金正恩体制が発足した。この北朝鮮の権力移譲がもたらす国際政治への影響をお伺いしたい。まず、北朝鮮の内部は今、どうなっているのか。
菅沼 確かに金正日の死自体は突然であったが、三代目・金正恩体制への移行過程は既定路線として周到に準備が進んでいた。2010年5月に金正日は訪中したが、その時に金正恩を同行している。金親子は吉林省の毓文中学校を訪れているのだが、これは国父・金日成の革命の原点とされる場所だ。この訪問の折には北京から長春まで胡錦濤がわざわざ駆けつけたという。この政治的演出が意味しているものは、金正恩が金日成の嫡孫であることを内外に示し、次代の北朝鮮の指導者として、中国から承認を得たということだ。
 帰国後の同年9月28日に第三回労働党代表者会議が開かれたが、ここで朝鮮労働党の組織に本質的な転換が行われている。すなわち、金正恩を支える組織として大掛かりな転換が行われた。それは、人事の刷新、首脳部の若返りといったレベルに留まらない。党規約という労働党の根幹に関わる部分に修正が行われたのだ。
 これまで、労働党は、「偉大な首領金日成同志により創建された主体型の革命的マルクス・レーニン主義の党」と定義されてきたのだが、それがこの時に、簡潔に「偉大な首領・金日成同志の党」となった。さらに、規約には「金日成朝鮮」という文言まで盛り込まれた。この言葉は1995年4月16日付『労働新聞』に現れたのが初出とされるが、この言葉が規約という公的文書に明記されたことが大事だ。
 すなわち、名実ともに、北朝鮮は金王家を頂点とする王朝体制への移行を遂げたのだ。
 共産主義を旗印に掲げる国家の最大の問題点は、独裁的指導者死後の権力闘争にある。レーニン死後、スターリン死後、あるいは毛沢東死後にどれだけ過酷な権力争いが行われたかを見ればそれは明らかだろう。党は分裂の危機に見舞われる。
 だが、王朝であれば、権力の移行は血の原則に基づいて行われる。「金日成朝鮮」という言葉は、「李成桂朝鮮」、すなわち李氏という王朝が国家そのものである「李氏朝鮮」に比肩することができる。いわば、三代目金正恩への権力移行が果たされたことによって、「金氏朝鮮」が名実ともに確立したのだ。
 王朝には王朝の問題もある。血族内部での権力闘争だ。金正恩の有力なライバルと目されてきたのは長男・金正男だ。その容貌と巷間伝えられる逸話とは異なって、正男は極めて優秀だと言われている。英語はもちろんフランス語も堪能で、豪快な親分肌なので慕う人間も多いという。東京ディズニーランドに遊びに来た姿が有名だが、金正男はバカ殿を演じていた可能性が高い。
 実際、金正日も父・金日成存命中は徹底してバカ殿のふりをしていた。偉大な首領である金日成にはまったく及びません、と、常に一歩引いていたのだ。そうしなければ権力の簒奪者として命が危ないからだ。そして金日成没後、権力を掌握すると、ライバルである異母弟・金平一(もしくは金平日。金日成と金聖愛の息子)を大使という形で体よく国外へ放逐し、金平一派に徹底的な粛清を行った。現在に至るまで金平一は北朝鮮に戻ることはできないでいる。
 金正恩も、こうした歴史を繰り返すだろう。金正男は何らかの形で権力の中心から放逐されるか、粛清される可能性が高い。金正恩は着実に権力基盤を固めている。これまで金正恩の肩書きは「朝鮮人民軍大将」「党中央軍事委員会副委員長」「党中央委員」の三つだったが、金正日の葬儀を終えた直後、12月30日の政治局拡大会議において、人民軍最高司令官に推戴された。さらに、年明け早々、105戦車師団の視察に赴いている。金正日が金日成の死後一年間は喪に服して目立った行動を取らなかったのとは対照的だ。この105戦車師団とは、1960年8月に金日成と金正日が訪れ、先軍思想指導を行った歴史的な場所だ。ここを訪れることで、金正恩は金正日の遺志を継いで先軍政治を推進する姿勢をアピールしたのだ。
 もともと、金正日は12年には金正恩へ権力を委譲する予定だったと思われた。12年は金日成の誕生年を元年とする主体元号によると「主体101年」という、新しい時代の始まりであり、この年に「強盛大国の大門を開く」ということが宣伝されていた。新時代を新しく若い指導者に委ねるという演出を金正日は考えていたのだろう。死によってそれが少し早まったものの、金正日が描いたとおりに、権力は正しく金正恩へ移行され、金正恩も着実に権力を固めている。
 金正恩がまだ若年で経験も不足していることから、長老たちによる集団指導体制が取られるのではないかという観測もあるが、あくまでも北朝鮮は金王朝だ。主権者は金正恩であることに変わりはない。金正日時代もそうだったが、表に出ている長老たちとは別に、金日成総合大学を卒業し、アメリカにも留学をしたような極めて優秀な若い世代がブレーンとして金正恩を支えている。こうした体制がある限り、北朝鮮内部が根幹から動揺するような事態は起こらないだろう。

金正恩には戦争をする「胆力」がある
―― 三代目体制のもと、北朝鮮は内政・外交においてどのような政策を取るのか。
菅沼 これまでの既定路線を着実に進めていくだろう。すなわち、「強盛大国の大門を開く」ための先軍政治をより一層強力に推進するだろう。「強盛大国」とは、「政治思想大国」「軍事大国」「経済大国」という三つを併せ持つ国家になるということだ。政治思想についてはすでに「主体思想」という概念によって完成している。また核保有によって軍事大国も達成した。残るは経済大国だ。
 北朝鮮は金正日死去の直前から「咸南の炎」、「21世紀の新しい産業革命の炎」と称して、産業を軽工業からさらに重工業発展大キャンペーンを展開していた。その中心となるのが咸鏡南道の道都・咸興市の興南地区だ。ここには戦前、日本窒素社の巨大肥料工場があり、日本が化学産業の重点地区として開発した場所だ。創設者の野口遵は鴨緑江をせき止めて巨大なダムを作り、当時としては世界最大の水豊水力発電所も作っている。こうした旧大日本帝國の残したインフラを最大限に活用しつつ、重工業を発展させるのが現在の内政の最重要課題だろう。
 とはいえ、先軍政治という大きな枠組みは変わらない。軍事を最優先とするこの方針の根幹には、朝鮮戦争は法的には終結しておらず、北朝鮮が未だにアメリカと「休戦状態」であり、従って、状況によってはいつでも再び戦闘状態になりうるという背景がある。また、金日成による朝鮮革命の目標は朝鮮半島の統一だ。韓国との統一という目標が未だ果たされていない以上、戦闘は続く。金日成が死んだ時、その遺体は赤い革命の旗に覆われていたが、足の爪先が盛り上がっていた。つまり、軍靴を履いたまま遺体は安置されていた。靴を履いたまま埋葬するのは北朝鮮の風習というわけではない。これは、金日成の魂は未だに戦闘態勢にあり、北朝鮮はその遺志を継いで、今後も金日成の祖国解放戦争を継続するという決意の表明だ。今回公表された金正日の遺体も、やはり同じように靴を履いていた。すなわち、戦闘はまだ継続しているのであり、南北の統一は未だに国家目標だということだ。
 金正恩は、後継者として相応しい『胆力』を持っている、と言われている。三代目が金正恩に決定するまでの経緯はいろいろあっただろうが、その時決め手になったのは、容貌とこの『胆力』だ。金正恩の容貌は国父・金日成にそっくりで、「金日成朝鮮」の指導者としてふさわしい神話的な風格がある。そして、『胆力』があるのだが、これは「右顧左眄することなく戦争を遂行できる能力」のことだ。
 金正日は政治能力が高い優れた指導者だったが、実はこの『胆力』には欠ける所があった。戦争よりも映画や音楽、芸能といった文化的なものを好む、文人肌の政治家だったのだ。金正日時代に決定的な軍事行動がついに起きなかったのも、金正日個人の資質に負う所は非常に大きい。
 だが、金正恩は『胆力』がある、すなわち、直接的な軍事行動を取るハラが座っている。それを、金日成時代からの軍事のスペシャリストである李英浩総参謀長が補佐している。李英浩は対韓強硬派だから、今後、軍事的に韓国をゆさぶってくるだろう。
 また、今年の四月には韓国で国会議員選挙が行われる。今、韓国国内は米韓FTAの是非をめぐって国論が二つに割れている。現在の観測では与党ハンナラ党は大敗し、年末の大統領選挙では親北朝鮮派の大統領が登場する可能性が高い。そうなれば、李明博大統領は逮捕される可能性が高い。親北朝鮮の政権が韓国にできれば、南北融和は一気に進む可能性もある。ハンナラ党が大敗した場合、北東アジア情勢は重大な緊張局面を迎える。南北の統一という問題は単に韓国、北朝鮮間の問題ではなく、北東アジアの安全保障を根幹から揺るがす位相転換となるからだ。すなわち、米中露を巻き込んだ国際的緊張が高まることになる。

http://gekkan-nippon.com/?p=2022  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 国際6掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 国際6掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧