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メディア ・ ウォー
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投稿者 taked4700 日時 2012 年 8 月 23 日 14:58:50: 9XFNe/BiX575U
 

http://blog.goo.ne.jp/leonlobo2/e/b99eab454de636e51bace5d3d04bcb02
中司達也のブログ 『報道写真家から』 の続編


メディア ・ ウォー
2012年08月21日 17時44分43秒 | 時事・評論
この世界には、われわれが信じているような “報道” というものは見当たらない。
報道と呼ばれているものは、すべからく政治的意思の延長にすぎない。


BBCの “無断誤用”

いままさに行われている西側メディアによる中東報道は、報道などではない。純粋な戦争政策だ。
カダフィ大佐やアサド大統領は、絶対悪。「フリーダム・ファイター」や「自由シリア軍」は、絶対善。
そして、絶対善を支援(操作)する 「国際社会」 は、超絶対善だ。

典型的なハリウッド映画的構図というしかない。現実世界にそんな展開が存在するわけがない。しかし、世界中のメディアが一糸乱れず連動することによって、架空に現実味と臨場感が備わる。世界は架空の構図を真実だと信じて疑わない。

「国際社会」という超絶対善の意向を反映するメディアは、シリア破壊の側面攻撃を担当している。したがって、メディアには免罪符が渡されている。シリア報道のすべては捏造報道だと考えて差し支えない。捏造でないシリア報道を見つける方が極めて困難な作業だ。記事やレポートの内容は、あらかじめ決められた構図から決して逸脱しない。<絶対悪>対<絶対善>の戦いだ。もはや、捏造の域さえ超えている。おとぎ話だ。

しかし、屈することのないシリア政府の姿勢に、「国際社会」は焦りと苛立ちを募らせている。それがメディアの報道に反映される。シリア軍による残虐行為の証拠としてメディアが掲げる写真や映像の中には、何年も前にまったく別の国で撮影されたものが混じっている。ニュースに掲載される写真や映像の出所をいちいち追跡する者などまずいない。


5月27日、BBCのWebサイトは、シリアのホウラで発生した虐殺事件を報じた。記事には画像が添付されていた。体育館のような場所に、白布に包まれたおびただしい数の遺体が並べられている衝撃的な写真だ。

その写真の撮影者である Marco di Lauro は、BBCのサイトを見て椅子から飛び上がるほど驚いた。ホウラの虐殺とされるその写真は、彼が2003年にイラクで撮影したものだったからだ。しかも、その写真は自身のサイトでしか公開していない。BBCによる明らかな無断使用であり、かつ、はなはだしい誤用だった。

同日、英国テレグラフ紙は、BBCによる “誤用” をキャプチャー画像とともに報じた。


2012.05.27 BBC News uses 'Iraq photo to illustrate Syrian massacre'
http://www.telegraph.co.uk/culture/tvandradio/bbc/9293620/BBC-News-uses-Iraq-photo-to-illustrate-Syrian-massacre.html

テレグラフ紙の指摘に対してBBCは、その写真はホウラの虐殺としてWeb上で広く流布されていたので、権利が放棄されたものと考え、出所を調べなかったのだと、信じがたい言い訳をした。そして、掲載後にソースを突き止め、間違いであることが判明したので写真を削除したと、平然と述べた。

インターネット上に出回っている、仔細不明な画像を転用してから、そのあとで出所を調べるなどというのは、よほど無責任な素人のすることだ。BBCのような大メディアが犯すことはあり得ない。要するにBBCはしらばっくれたのだ。写真の出所を最初から知っていたことは間違いない。その上でホウラの虐殺の証拠として掲載したのだ。無断使用や誤用ではなく、確信犯的捏造と言える。

同じ英国のメディアに揚げ足を取られてしまったため、BBCは画像を削除し、動画に差し替えた。


2012.05.27 Syria massacre in Houla condemned as outrage grows
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-18224559

上記のキャプチャーが現在のBBCの記事だが、 Marco di Lauro の写真と比べると、虐殺を伝える場面としては、いかにもインパクトが小さい。BBCがこれを使いたくなかったのも無理はない。

テレグラフ紙のインタビューに、di Lauro は次のように答えている。


「私は本当に驚いている。BBCのような報道機関が、何者か (アクティビストや市民記者、またはその他すべて) によって配布されたような写真を、ソースも調査せずに、ためらいもなく掲載するなんて」
"What I am really astonished by is that a news organization like the BBC doesn't check the sources and it's willing to publish any picture sent it by anyone: activist, citizen journalist or whatever. That's all.

「報道機関が、昨日シリアで発生した虐殺を証明する写真として、2003年に撮影されたまったく別の虐殺の写真を使うとは、実に驚くべきことだ」
"What is amazing it's that a news organization has a picture proving a massacre that happened yesterday in Syria and instead it's a picture that was taken in 2003 of a totally different massacre.
2012.05.27 BBC News uses 'Iraq photo to illustrate Syrian massacre'
http://www.telegraph.co.uk/culture/tvandradio/bbc/9293620/BBC-News-uses-Iraq-photo-to-illustrate-Syrian-massacre.html


彼の驚きは当然だ。天下のBBCが、無責任な素人同然の行為を平然と行ったのだから。

BBCも間違いを犯すと、短絡に片付けるべきではない。人間は間違いを犯すものだが、あり得ない間違いと区別して考える必要がある。うっかりパラシュートを忘れてスカイダイブした例などない。メディアにとって、画像の出所を調べもせずに掲載するというのは、身投げも同然の行為だ。平然とそれを行ったのには、明確な理由と目的があったからだ。

di Lauroは、 「プロパガンダのために誰かが他人の写真を使っているということだ」 と端的に述べている。

仕組まれたホウラの虐殺

5月25日にシリアのホウラで発生した虐殺は、異様というべき犯行だった。殺害方法や殺害現場の有様は凄惨と言うしかない。虐殺はすべて凄惨なものだが、ホウラの虐殺は何かが違う。それは虐殺のための虐殺としか思えない。

世界のメディアは、シリア軍がホウラ市民を虐殺したのだと断定し、激しく非難した。しかし、その根拠は「アクティビスト」を名乗る人物の証言だけだ。上記のBBCの記事でも「アクティビスト」の証言だけを根拠にしている。シリア軍が行ったという明確な証拠は示されていない。メディアにとって「アクティビスト」を名乗る人物の証言は、いっさいの検証を必要としない絶対的証拠として位置づけられている。この前提がなければ、シリア軍を悪魔として描けなくなるからだ。そうなると<絶対悪>対<絶対善>の戦いというシリア報道の構図さえ成り立たなくなる。

シリア軍には市民を殺害する理由や動機が存在しない。そんなことをすれば、シリア政府が困難な立場に置かれることは歴然としている。政府に不利になるとわかっている行為を、なぜシリア軍が行う必要があるのか。そうした疑問や矛盾を覆い隠すために、メディアは 「アクティビスト」 という絶対的証言者を設定する必要があるのだ。

ホウラの虐殺は、世界の非難をアサド政権に集中するために周到に準備された作戦だったと考えれば、すべてが納得できる。アサド政権を非難する巨大な国際世論さえ形成すれば、あとは、イラクやリビアと同じ展開が期待できる。そのためには、できるだけ残忍で衝撃的な虐殺事件が必要だった。

BBCが、Marco di Lauro の写真を盗用したのは、国際世論を形成するためのインパクトのある画像が必要だったからだ。最もインパクトがあるのは、虐殺現場の写真だが、それはあまりにも凄惨すぎて使えない。生々しすぎる写真は読者から反発を受ける。BBCとしては、虐殺現場に代わる衝撃的な写真が欲しかった。そこで目をつけたのがWeb上で流布されていた画像だ。 おそらくすぐに出所を突き止めたはずだ。あるいは、もともと知っていたかも知れない。di Lauro はGetty Imagesという業界では有名なストックフォトサービスと契約しているからだ。

この写真には、湾岸戦争における 「原油まみれの水鳥」 のような役割が与えられたのだ。国際世論の怒りを誘発し、アサド政権を追い詰める、という筋書きだ。ところが、期待したほどのセンセーションを引き起こすことはなかった。テレグラフ紙による暴露が水を差したとは言えるが、それが原因とは思えない。

di Lauro の写真が、衝撃的であることは間違いない。彼がサイトで公開しているオリジナル写真には息を呑む。しかし、この写真は、国際世論の怒りを煽るという目的には適していない。衝撃的ではあるが、反面、水を打ったような静寂に満ちた作品なのだ。この優れた作品が訴えているのは、決して報復や復讐ではない。観る者のこころを引きとどめ、熟考をうながすような強い力がある。

テレグラフ紙の横槍がなかったとしても、BBCが期待したような怒りの渦は巻き起らなかっただろう。BBCはこの作品の衝撃度にだけとらわれ、それが訴えているものまでは読み取る余裕がなかったように思う。

BBCのような大メディアが、出所も明らかでないような写真をうっかり使用するなどということは絶対にあり得ない。BBCはこの写真の出所を知った上で、明確な目的のもとに平然と盗用を行ったのだ。

メディアは、シリア政府を追い詰めるためなら、手段は選ばない。相手は絶対悪なのだから、どのような行為も正当化される。世界のメディアによる一方的な反アサド捏造報道はますますエスカレートする。

爆弾、誘拐、殺人: 標的にされるシリアの国内メディア

いま世界中のメディアは、アサド政権を追い詰めようと捏造報道の生産に励んでいる。
一方で、シリア国内のメディアは孤軍奮闘を続けている。

しかし、紛争が長引く中で、シリア国内のメディアやジャーナリストに対する攻撃が頻発している。これまでに、記者やレポーターが誘拐され、殺害されるという事件が発生している。また、テレビ局が爆破されたり、武装襲撃を受けたりしている。あるいは、偽の衛星テレビ局が現れて偽放送を流したり、インターネットのニュースサイトにはサイバー攻撃が加えられたりしている。

アサド政権に対する国民の支持率は高い。「国際社会」がこの戦いを有利に進めるためには、シリア国民と政府を分断する必要がある。それには国民から情報を奪うことだ。

テレビやラジオ放送、インターネット通信に携帯通信が途絶えれば、政府は機能しなくなったというサインになる。情報から隔離された人間は不安になり、結束も揺らいでしまう。アサド大統領が辞任するというデマはこれまでに何度か流布されている。しかし、アサド大統領がテレビに登場すれば、簡単にウソだとばれる。「国際社会」としては、何とかしてシリア国内のメディアを機能不全に陥れたい。

シリア政府が、国内メディアのすべての報道関係者を護衛することは不可能に近い。反政府武装勢力がその気になれば誘拐や殺害はたやすい。執拗に報道関係者を付け狙えば、恐れをなして活動を停止するか、あるいはシリアを逃げ出すかも知れない。

西側のメディアは、シリア政府から少しでも取材規制をされると言論弾圧だ、検閲だと大騒ぎするが、シリアのメディアが爆破されても、記者が誘拐され殺害されても、まったく無関心だ。言論の自由とは、西側のメディアやジャーナリストのためだけの特権的な概念なのだ。

7月14日、Syrian Arab News Agency(SANA)というシリア国営通信のWebサイトがサイバー攻撃を受けてダウンした。ボットを仕込んだ多数のコンピュータから大量のアクセスをかけるDDos攻撃のようだ。現在、SANAはドメイン名を変更して通常通り運営している。SANAには英語、仏語、西語、中国語、トルコ語、アラビア語のバージョンがあり、シリア発のニュースを直接閲覧できる貴重なサイトだ。

Syrian Arab News Agency (SANA) 
http://sana.sy/index_eng.html     ※ 表示に時間がかかることがある

8月16日には、シリア国内を移動中のイランの英語放送局PressTVの車両が、反政府武装勢力に待ち伏せ攻撃を受けた。死者や負傷者はでなかった。シリアの友好国のメディアも当然攻撃対象となっている。では、欧米のメディアなら安全かというと、例外的事例もある。

6月8日、武装勢力に動向していたイギリスのChannel 4の記者が、戦闘地域で政府軍の近くに置き去りにされるという出来事があった。この記者は、反乱軍は自分をシリア軍に撃ち殺させるつもりだったと、述べている。首尾よく彼が射殺されれば、シリア軍はジャーナリストと知っていて狙い撃ちしたのだと言い立てたことだろう。ヨーロッパ人の記者が死ねば、欧米のメディアはここぞとばかりにシリア政府を非難したに違いない。


アサド大統領は、「 西側とのメディア・ウォーには勝てない 」 と発言したことがある。
「 しかし、これはカウント戦ではない 」 とも続けて述べた。

欧米のメディアが大量投下する圧倒的物量の捏造報道には到底太刀打ちできない。
だが、欧米の報道とは、虚構に満ちた塵の山にすぎない。
降り積もっていく塵を数えることはできない。

「 重要なのは、真実、それだけだ 」
 

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