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タクシン元首相派が勝利―タイ初の女性首相誕生へ
2011年 7月 4日 7:23 JST
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【バンコク】タイ下院総選挙（定数500）の投開票が3日行われ、野党・タイ貢献党候補で国外逃亡中のタクシン元首相の妹インラック氏（44）が決定的な勝利を収めた。同国初の女性首相誕生がほぼ確実となり、軍部による政治支配に対する挑戦となる。
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Reuters
次期首相候補のインラック氏（バンコク）
選挙管理委員会の非公式な開票結果によると、タクシン元首相派の貢献党は500議席中、推定261議席を獲得し、アピシット首相が率いる与党民主党は162議席にとどまっている。開票率は94％。
この結果、実業家のインラック氏が議会で首相に選出されることがほぼ確実だ。また、これはドバイに逃亡中のタクシン元首相の勝利でもある。タクシン氏は通信事業で巨万の富を築いたポピュリスト的な政治家で、5年前の軍部クーデターで失脚したが、逃亡先の海外から支持者を結集し、タイ国内での反政府デモにもつながった。同氏が逃亡先のドバイから帰国するのか、帰国するとすればいつかは不透明だが、当分の間、東南アジアでも有力な経済国であるタイ統治で大きな役割を果たす公算が大きい。
バンコクの貢献党本部では勝利したインラック氏がカメラマンたちに囲まれるなかで、支持者にあいさつし、「兄タクシンから電話があり、勝利を祝福し、激励してくれた」と述べた。その後、インラック氏は記者会見で、より広い連立政府を樹立するため既に少数政党と話し合ったと述べ、賃金と生活水準を引き上げる公約を実現すると約束した。
政治アナリストらは、政治的に経験の少ないインラック氏が長期間にわたって政権の座にいられるかどうかが焦点だとしている。また中国が東南アジアに対する影響力を広げていることに米国が関心を強めている時期に、インラック氏が米国の主要同盟国であるタイの政情を安定化できるかどうかがカギになる。
2006年のクーデター以降、街頭の暴力行動や空港閉鎖などが続き、「ほほえみの国」というキャッチフレーズのタイのイメージが損なわれた。アナリストたちは、司法の政治化の傾向も強まっていると指摘する。2008年だけで、タクシン派の首相2人が裁判所と衝突して辞任している。既に選挙管理委員会によると、今回の選挙で票がカネで買われたとの苦情が196件寄せられている。今後、選挙結果に対する異議申し立てにつながる可能性もある。
しかし、消息筋によると、タイ貢献党と軍部高官は過去数週間、秘密裏に今回の選挙にどう対処するかを協議しており、選挙、クーデター、政府解体という悪循環を脱却する方策を話し合っているという。
同時に、軍部はタクシン元首相支持派「赤いシャツ」との流血なしには2006年のクーデターを繰り返すことは不可能と自覚しているという。昨年、「赤いシャツ」を中心とする何万人もの反政府デモ隊がバンコクの街頭に繰り出し、治安部隊と衝突。90人以上が死亡した。
消息筋は、インラック氏が兄のタクシン氏の利益をあまりに急速に助長する行動をとらない限り、軍部としても貢献党と共存する意思があると述べている。
記者: James Hookway
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