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TPPに参加するかしないか、正しい戦略は何か(日本経済復活の会Blog)-デフレ状態のまま参加すれば、日本は壊滅する
http://www.asyura2.com/11/senkyo105/msg/362.html
投稿者 JAXVN 日時 2011 年 1 月 23 日 10:28:25: fSuEJ1ZfVg3Og
 

「TPPに参加するかしないか、正しい戦略は何か(No.37)

TPPに参加すべきかすべきでないか、まず情報を得ようと色々調べてみた。経済発展のためであれば、間違いなく参加を選択するだろう。しかし、今の政府にTPP参加を強行させると、財源不足を理由に露骨に農家切り捨てをやってしまうのではないかと心配している。

TPPに参加した場合の経済への影響に関しては、内閣府と農水省と経産省でそれぞれ試算がしてあり、それを内閣府が『EPAに関する各種試算』というタイトルでまとめたものを発表している。
http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/101027strategy02_00_00.pdf
しかし、この資料は説明が意味不明で、内閣府に問い合わせてみたら、たらい回しにされたあげく、更に分からなくなってきた。そこで今度は農水省に電話して、試算の内容を聞いた。今度は明快な説明があったので、まずTPPの農業への影響から説明することにする。

農水省の試算は、TPP(参加国はシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナムなど)というのでなく、全世界を対象に今すぐ関税を撤廃し、何らの対策を講じなかった場合である。
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/pdf/shisan.pdf
このとき、生産額は4.1兆円減少、自給率は40%から14%に減り、農業と農業関連産業への影響はGDPにして7.9兆円の減少となり、340万人程度の就業機会が減少する。これは、それぞれの農産物について競争力を検討し計算したもの。4.1兆円の減少額の内訳は次のグラフで示されている。

http://ajer.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/01/18/371.jpg

それでは、全世界を対象とせず、TPPに限定したらどうかということだが、ほとんど変わらないとのこと。つまり、TPPまでできれば、もう全部解放したのとほぼ同じということ。そうであれば、TPPと言わず、もっと広くFTAAP(21カ国)とかEUとかにも拡大すればよく、世界中恐いものは何も無くなることになる。

GDP7.9兆円減ということだが、これに対応する戦略とは
@農家が犠牲にならないよう十分な対策を講じる
A農水省の試算は、何も対策を講じない場合で、一気に市場開放する場合であり、準備をすれば当然GDP減少幅は縮小する。大規模化、大型機械化、ロボット化を推進し、農業が産業としての国際競争力をつける。これに関しては、すでに説明した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/tppno16-ea86.html
B農業の大規模化、大型機械化、ロボット化を推進すれば、当然人手が余る。その人手を他の産業で有効利用する。

経産省の試算では、TPPに参加せず、韓国が米韓FTA,中韓FTA,EU韓FTAを締結したとき、10年後には10.5兆円のGDPを失うことになるとのことだ。経産省は10年後のGDPは680兆円程度を考えている。また内閣府では、TPPに参加したときのトータルでの影響は、GDPを2.4兆円〜3.2兆円増加させるとの試算を発表している。

これらの試算は、簡単には比較できない。忘れてはならない事はデフレ脱却をどうするのかということだ。市場開放すれば、外国製品がどっと入ってきて、農業を始め国際競争力のない産業は一掃され、失業者が増加し、デフレは悪化する。デフレ脱却をした後ならTPPも検討に値するが、それをおろそかにしてTPP参加など論外だ。それは経済政策の失敗に対する非難を避け、国民の目をそらすための策略にすぎない。

デフレ脱却・財政健全化は50兆円の景気対策を5年間続けることにより達成できるという試算をすでに示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-bd0c.html
もしこの政策が実行されたときのGDP押し上げ効果は、初年度で36兆円、5年後は141兆円である。景気対策をやらなければ141兆円失うのである。GDP押し下げ幅として農水省試算の7.9兆円や経産省試算の10.5兆円も、この1割にも満たないことが分かる。それは日本のGDPの大部分が外需でなく内需だからである。民間消費だけでGDPの55%を占める。

少子高齢化の時代、大規模景気対策を行えば、人手が足りなくなるという意見がある。だからこそ市場を開放し、農業の大規模化・ロボット化で340万人の人手を確保し国際的に競争力のある産業に人手を回せば、日本は豊かになっていく。貧しく、重労働を強いられる農業に固執することはないではないか。50兆円も景気対策に使えるのだから、そのうちの一部を農業とその関連産業に従事する人たちへの十分な援助に使えばよい。

農水省の試算では340万人で7.9兆円のGDP、つまり1人当たりのGDPは232万円となる。日本のGDPは490兆円で全就業者数が6252万人だから1人当たり平均783万円のGDPを稼いでいることになる。これにより農業が如何に非効率かが分かる。農業は働いても働いても金にならない。それなら、農業は大型機械やロボットなどに任せ、十分な転職支援金を受け取って、もっと快適な職場に移ったらどうだろう。もちろん、日曜菜園など園芸を趣味として楽しむのもよい。それは生活費を稼ぐのでなく、人生を楽しむための娯楽としての農業がやれるようになるのが理想だ。クラインガルテンと言って、ドイツではすでに200年の歴史を持ち、日本でも滞在型市民農園として盛んになりつつある。

市場開放の問題は農業に限ることではない。生産性の低い分野の産業を国の助成金でいつまでの支え続けていることはない。他にもっと快適で高収入の職場があれば、移るべきだ。そもそも、日本の製造業が育ち国際競争に勝ってきたということは、他国の製造業を潰してきたということであり、市場が開放されていたことの恩恵を受けたからである。国際競争に勝てない自国の産業を保護しながら、他国の産業を潰してはいけない。常に我々は諸外国の発展にも寄与する形で自国の発展を考えるべきである。大規模景気対策は自国の発展のみならず、世界経済の発展に貢献するのだということをすでに示した。
http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/no-e743.html

最も重要なことは、デフレを脱却し、失業者を減らし、常に人手不足の状態にしておくことだ。そうすれば、非効率な産業から高付加価値の産業への転職が容易になる。これぞ真の構造改革である。小泉氏は「構造改革なくして景気回復なし」と言ったのだが、これはまちがいで「景気回復なくして構造改革なし」が正しい。好景気のときの市場開放は、構造改革を推進するが、デフレ下での市場開放は経済を崩壊させるだけだ。

TPPに対する不安材料は人的交流だ。ベトナムあたりから安い労働力がどっと入って来ると困るということは、ほとんどの人が同意するだろう。TPPでは、労働者の受け入れをどの程度まで要求してくるのか分からない。人の受け入れに関する主な要望の例として内閣府が発表しているのは次の通り。
@インドネシア、フィリピン: 看護師・介護福祉士候補者受け入れ制度の改善
Aタイ: スパセラピスト・介護福祉士
Bベトナム: 看護師・介護福祉士
Cインド: インドネシア、フィリピンと同様の看護師の受け入れ、
資格相互承認(医師・歯科医師・看護師・会計士・建築士)
D韓国:  国家技術資格(放送通信技士・自動車整備技士・電算応用機械製図技能士等)
の相互承認
E中国:  訪日査証発給の円滑化、技術実習生協力の推進

一部に移民を大量に受け入れてGDPを拡大せよという意見もある。しかし、日経モデルで示したように移民を受け入れなくても大規模財政出動で十分GDPは伸びる。移民を大量に受け入れると、犯罪が増加するし、日本国内で民族間の紛争が始まる。TPPで、人的交流も制限が掛けられないとなれば、TPPでなく個別のFTAやEPAの推進も検討すべきだと思う。発展する中国と言え、まだ1人当たりのGDPは日本の10分の1にすぎない。

国境を開けば、すさまじい数の移民・難民がなだれ込むのは間違いない。限られた国土で人口を増やせば、食糧自給率も下がってくるし、CO2排出量を下げるのも苦労する。無理に人口を増やさなくても、むしろ1人当たりのGDPを増やして、日本をゆったりと生活できる場所にしたいものだ。

本稿を書いた後で、内閣府の試算をした川崎氏から電話があり、丁寧に説明していただいた。内閣府の試算はGTAPという経済モデルを使っている。TPPに参加した場合のプラスの効果とマイナスの効果を総合的に考慮し、その様々な波及効果まで計算してある。それによると、TPPに参加し100%自由化した場合のGDP押し上げ効果は2.4兆円〜3.2兆円である。予測値に幅があるのは、TPPの加盟国がどこまで広がるかによって変わるという意味である。ところがGDP押し上げ効果だが、日中EPAが実現するとそれだけで3.3兆円でありTPPを上回る。日米EPAなら1.8兆円、日欧なら1.3兆円である。何も、融通の利かないTPPにこだわることはなく、日中・日米・日欧のEPAを確実に進めていけば、そのほうが効果が大きいのだから、そういった方法とも比較検討も行うべきだろう。それ以外の国も同時並行で2国間で進めることもできる。」

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-bd79.html  

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コメント
 
01. 2011年1月23日 11:17:44: SAzUG6v4rw
試算はそれぞれ適当な変数を与えて、年月を掛け合わせたものにすぎない。
今のまま消費者つまり生活者の収入を萎えさせ地方を衰退させる政策を続けるかぎり日本のGDPが680兆になるなどそれこそ幻想にすぎない。

TPPが世界だと、あまり笑わせないでいただきたい。加盟国のGDP合計は日米、オセアニアを除くと中国1国の5分の1もない。

日本はオーストラリア、ニュージーランドからは農産物、石炭、鉄鉱石を買い、工業製品を売る相互補完関係があり何も別の協定は必要はない。

早い話、問題は日米の関係にすぎない。貿易・経常収支の大赤字で今後資金流入が細るだけのアメリカにこれ以上いったい何を売るのかね。


02. 2011年1月23日 16:43:31: nw9xLgK3ZI
 中日新聞のコラムに良い記事が有るので紹介する。

 中日新聞 紙つぶて

政治ことばの罠 内橋克人
 およそ百六十年前、ペリー来航で迫られた「日米和親条約」、二年後のハリス
来日で締結した「日米修好通商条約」の実質は隷属的・片務的な不平等条約そ
のものであった。定められた領事裁判権とは治外法権だったのであり、何より
も日本は自ら関税の高を決める「関税自主権」をさえ剥奪された。
 欧米列強から押し寄せる商品には無関税、逆に輸出する国産品の関税は相手
次第。輸出入を扱う商社、金融すべて相手国資本。ために日本の生糸など、土
着の農村手工業品は壊滅した。
 近代日本が関税自主権を手にできたのはようやく第一次大戦後のことだ。七
十年近い辛酸のときを近代日本は嘗めている。
 列強の脅威のもと、歪んだ「第一の開国」の歴史を知るものならば、拳を突
き上げるごとく「平成の開国を!」などと叫ぶであろうか。
 「農業保護のために他の産業が犠牲になっている」と指弾したこの国の外相。
東京発マスコミまで憑かれたように「開国」に唱和する。事実は逆だ。
 農業は既に開き過ぎるほど開いている。穀物自給率28%。飼料用トウモロ
コシ全量輸入。大豆94%、小麦86%ともに輸入依存。そんな先進国はほか
にない。
 1990年代は規制緩和、改革、グローバル・スタンダード・・・。そして
いま開国。
 国を開くとは何かー下心を秘めた「政治のことば」の罠を見抜く冷徹が国を
救う。(経済評論家)

                                 73才ど田舎の爺


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