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鳩山由紀夫前首相の「方便」発言が取り沙汰されているが、鳩山前首相は真相を述べたまでである。本来、鳩山前首相は普天間基地の県外ないし、国外移設の方針を最後まで貫くべきであった。鳩山前首相自身はその意向を当初は有していたと思われる。
　
　鳩山前首相の行動には二つの大きな誤りがあった。第一は、政権主要閣僚に本当に信頼できる人物を配置しなかったことだ。普天間問題ついて言えば、平野博文官房長官、岡田克也外相、前原誠司沖縄担当相、北澤俊美防衛相が担当大臣になるが、平野氏を除くすべての関係閣僚が対米隷属派議員だった。
　
　これらの対米隷属派＝悪徳ペンタゴン勢力議員が県外移設、海外移設実現に向けて努力した形跡は皆無である。米国に隷属し、辺野古移設案への回帰をひたすら誘導し続けたのだ。鳩山前首相は内閣人事で、政策目標に適した人材配置を行うべきだった。
　
　第二の誤りは、県外移設、国外移設実現に向けて、鳩山前首相が意思を貫き通さなかったことだ。いかなる強い圧力がかかろうとも、総理大臣として主権者国民と約束したことを守り通す強さが必要だった。鳩山前首相が新聞社の取材に応じて心情を吐露したのは、こうした点について、真摯な反省の気持ちがあるからだと思われる。
　
　鳩山前首相の首相時代の行動のあり方に対して批判をすることは容易である。しかし、逆に言えば、それほどまでに日本の意思を貫くことに対する風圧が強かったことが推察されるのだ。この時期に、鳩山前首相が真相を明かしたことを批判する向きがあり、その批判を理解できないわけではないが、この行動から透けて見える鳩山前首相の真意を推し量る必要がある。
　
　鳩山前首相は菅直人氏の対米隷属の姿勢を批判しているのだ。普天間を辺野古に移設するための大義名分は「抑止力」しかない。しかし、この「抑止力」の根拠は薄弱であることを鳩山前首相が暴露したのである。
　
　つまり、日本の主権者国民の総意を踏みにじって辺野古に新たな巨大軍事基地を建設する正当な理由は存在しないことを鳩山前首相は明らかにしたのである。
　
　自分自身で「抑止力」を理由に辺野古移設を示しておきながら、この期に及んで「抑止力」論に強い根拠はないことを明らかにしたことを無責任だと批判する声がある。たしかに無責任である面は否めない。
　
　しかし、「抑止力」論に強い根拠がないことが真実であるなら、その真実を明らかにせず、主権者国民の意思を踏みにじって辺野古での巨大軍事基地建設をこのまま容認することの方が、はるかに罪は深い。

菅直人氏はひたすら米国の言いなりになり、普天間の辺野古移設を強行しようとしているが、まだ最終的な結論は得られていない。沖縄の主権者国民が辺野古への移設をまったく認めていないからである。
　
　まだ、方針転換を行う余地はあるのだ。この段階で、鳩山前首相が真相を暴露したのは、自分自身に対する批判が巻き起ころうとも、主権者国民の意思を踏みにじる辺野古軍事基地建設をこのまま容認することは間違いであることに気付いたからであると思われる。
　
　米国が辺野古移設を要求しているのは日本の安全のためではない。米国軍隊が日本の国土を自由に使用する権利を手放したくないこと、最新鋭の基地設備を日本の負担で整備させたいからなのだ。また、駐留地としての沖縄がグアム・サイパンよりもはるかに快適だからなのだ。
　
　米国は米国の利益しか考えていない。米国は日本を隷属国としか捉えていない。日本が米国の命令に歯向うことを断固許さないとの姿勢を保持しているにすぎない。
　
　国会審議を見ても、旧自公政権の面々と、民主党の現執行部は米国の手先として発言する売国人で埋め尽くされている。これが日本の議会人であることを恥ずかしいと感じる主権者国民がどれほど存在することか。嘆かわしい現状である。北澤防衛相は鳩山政権の閣僚を務めておきながら、前首相を罵倒する発言を臆面もなく行った。このような背徳の人物を閣僚に起用したことを鳩山前首相は心底後悔しているだろう。
　
　海兵隊の沖縄駐留にもはや正統性は存在しない。いまからで遅くない。普天間基地の海外移設決定に向けて主権者国民が行動を起こさねばならない。もちろん、政界大再編が不可欠である。
　

コメント
01. 2011年2月17日 10:31:05: qqCNcK3o9g 　鳩山さんの応援をしたいのだが、口が軽いのと、意志薄弱、お人よしで何か物足りなさを痛感させられる。温室育ちが仇となっているのか。まだまだ小沢さんに根性を叩きこんで貰わなければいけない。
02. 2011年2月17日 10:56:26: rWmc8odQao 考えてみれば、東京より地方の住民のほうがマスゴミによる「洗脳・汚染」度合いが少ないのかもしれません。地域政党の勃興もむべなるかな。 ちなみに、おくあきまさお氏の北澤評 「この北沢防衛相は、昔は自民党土建県議で「道路の北沢」とポスターに刷り込んでいたと語り草。防衛に見識などないはず─と地元自民党系関係者。機を見るに敏で、今は鳩叩きが得と読んだつもりか」 「（鳩山氏は）羽田孜元首相への義理立てで（北澤氏を防衛相にした）」 「北沢は７３の高齢で次はないので、恩知らずの風見鶏 」 https://twitter.com/#!/tuigeki/status/37904654041878528 https://twitter.com/#!/tuigeki/status/37912662306328576 https://twitter.com/#!/tuigeki/status/38044060639952896 鳩VS風見鶏、の鳥類（？）対決。 ホモ・サピエンスはいないのか… 植草氏、応援しております。
03. 一隅より 2011年2月17日 11:41:40: PnbUj1IYwR18o : EDdl3oR2Vp ＞「鳩山前首相の行動には二つの大きな誤りがあった」？　そうでしょうか。 植草氏のいう第一の誤りについては、鳩山さんはすでにこう言っています。つまりきちんと悪の元凶をあげて追及しています。 ＞「岡田（克也）君は外相当時、マニフェスト（政権公約）に『県外』とまで書かなかったと話したが・・・一致して行動していただきたいという思いはあった」 ＞「北沢俊美防衛相は、政権交代後、どこまで防衛省の考え方を超えられるか・・・ということが本当はもっと勝負だった気がする」 第二の誤りについて。 ＞「心情を吐露」とか、「真摯な反省の気持ちがあるから」という見かたはあたっているでしょうか。 植草氏は、鳩山さんを擁護、応援しようとしているのでしょう。その点は評価できるのですが、どうやら、「鳩山さんはふらつく、弱い」などという世間の（マスコミ捏造の）風評に乗っかって、そのうえで、「弱いながらもがんばった」という論の進めかたのようです。 しかし本当にそうでしょうか。植草氏の、「たしかに無責任」とか、鳩山さんが「間違いであることに気付いた」、という評価は疑問です。 そもそも鳩山さんが昨年、「学べば学ぶほど」抑止力とわかったと発言したとき（2010年5月4日）、これが皮肉に聞こえなかった人がいたのでしょうか。人びとは本当に鳩山さんが、無知で不勉強だったが学んでお利口になったとでも思ったのでしょうか。 当時マスコミ、電波芸人たちはこぞってそう言いました。今回も同じです（＞「万死に値する」 琉球新報2月14日社説）。 社民党や、日本共産党までわけのわからないことを言っている。福島みずほも、「本当にひどい」などとトンチンカンなことをいっています。 そもそもアメリカの新聞が「ルーピー」とかいった論調に、誰も彼もが乗っかってものをいうことが解せない。 鳩山さんの「学べば学ぶほど」発言が皮肉だった以上、今回の「方便」発言も、皮肉であり、強烈な攻撃に決まっているじゃないですか。植草氏のいうように「反省」ではないでしょう。 前回「学べば学ぶほど」のときも、今回も、マスコミがこれを意図的に曲解、捻じ曲げようとするのは、彼らのうそ、デマによる必死の防戦でしょう。 （それとも小沢さん攻撃に続いて、それがあまり効果がなくなってきたものだから、今度は鳩山さん攻撃のムードを盛り上げようとしているだろう。） 沖縄の「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代さんは− ＞「抑止力に立脚した日米共同声明の虚構性が（鳩山発言によって）あばかれた」、と捉えて、 ＞「政府が『沖縄に基地が必要』としていた前提（抑止力）が崩れた」以上、これを日米共同声明の見直しを迫る機運の追い風にしたい、と述べたそうだ。 正しい態度と思います。 （以上 J-CASTニュース 2011/2/14 18:30 http://www.j-cast.com/2011/02/14088000.html） 植草氏も、「鳩山前首相方便発言で辺野古移設の正統性が消滅」と、正しく進むべき方向を捉えているのだから、鳩山さんにも「誤り」、「反省」があったなどと譲歩してみせる必要はないと考えます。
04. 2011年2月17日 15:11:54: a3ZqR8iWaU 私は鳩山氏が首相当時に抑止力を認める発言をしたとき残念でありませんでした。 だからその発言が「方便」であったことはむしろ喜ばしいことです。 改めて抑止力を否定したのですから。 抑止力を否定する発言をした者を集団リンチにかけるために あえて本質的な議論をする報道ではなく「方便」だけ切り抜き報道をしたのでしょう。
05. 2011年2月17日 15:15:21: a3ZqR8iWaU 04です 誤）残念でありませんでした。（残念じゃなかった） ↓ 正）残念でなりませんでした。（残念で仕方がなかった） これでは180度意味が違いますね・・・
06. 2011年2月17日 15:38:53: rWmc8odQao 政治家どうしでやりあってもホントにダメなやつは批判できません。 孫崎享氏のTweetより 「鳩山氏発言で最も重要な部分。外務･防衛官僚が全く協力しなかったこと。」 （外務、防衛両省に新しい発想（県外）を受け入れない土壌があったのでないかという質問に対し）本当に強くあった。私のようなアイデアは一笑にに付された所はあるのではないか。本当は私と一緒に考えるべき」 「防衛省、外務省が実は米国との間のベースを大事にしたかった」 https://twitter.com/#!/magosaki_ukeru/status/38120610169098240 https://twitter.com/#!/magosaki_ukeru/status/38122449820192768 ホントにダメなやつは外務、防衛の官僚です。
07. 2011年2月17日 16:35:24: tvXHhSjW42 鳩山氏の【方便】発言は確信犯でしょう。 やがて来る政界大再編と日本のあり方をにらんだ上での布石でしょう。 いずれ来る国民主権内閣へのﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄだと思いますよ。
08. 2011年2月17日 19:46:25: l0D0EousDo 鳩山さんの発言は、彼が今も沖縄の期待を裏切ったことを残念に思っていることと、なんの協力もしなかった北沢、前原、岡田などへの怒りから発していると感じられる。決してふっと漏らしてしまった失言ではなく、この時期に言うからにはそれなりの決意で語った本音だと思う。鳩山さんは沖縄に援護射撃をしているのである。その意味では、彼の誠意を感じる。
09. 2011年2月18日 09:03:23: ExWxqvOaKh 「内閣総理大臣」の絶対的権力をもってしても動かしがたい壁があり、 それを強行突破すると肉体的生命をも失いかねない（死んでしまったら 政治家として何もできない）との認識を踏まえていたのでしょう。 そういう状況下で、辞任前の「抑止力」云々は鳩山氏一流の修辞法を使って 「判る人には判る」表現をしたのだと思っていました。今回の発言で、 それが証明された訳です。
10. 2011年2月18日 20:42:47: R6qHzHmmkQ >　「学べば学ぶほど」抑止力とわかったと発言したとき >　(外務、防衛両省に新しい発想（県外）を受け入れない土壌があったのでないかという質問に対し）本当に強くあった。私のようなアイデアは一笑にに付された所はあるのではないか。 この二つを重ねると「自分は官僚を説得できなかった。」という事になりますね。それでも官僚を批判しないのは、鳩山氏の人柄なのでしょう。「甘さ」と言えるかもしれませんが。

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