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個人という権利の希薄さはどこから来ているのか
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投稿者 月と星 日時 2011 年 2 月 21 日 13:37:35: vebXXayRfpINQ
 

日本の歴史においては国民という概念は明治時代まで存在していない。江戸時代でさえ大多数の武士は藩を中心に物を考えていたし、百姓、町民に至っては藩主への忠誠という概念さえなかった。持っていたのは武士階級だけである。その武士階級でさえ江戸という安定期に至る前までは損得勘定によって主君を変えていた。「7度主君を変えねば武士とは言えぬ」と言われているように、生き抜くための知恵のような現実的な考えが当たり前であった。武士以外の人々は大多数が農民であり搾取される側であり続けた。権力は朝廷から武士、そして明治期から昭和の敗戦までの天皇制という官僚側に移ってきたが、武士以外の民衆側の自由という概念は今とは大きく異なる身分制の中にあるものであった。

国民として意識されたのは、明治時代の先進国に追いつけという「富国強兵」政策の中での偏った教育に中から生まれており、欧米各国の個人の権利を認めたものからの国民という概念とは違っている。当初の理念は国民という存在は欧米のようなものになるという期待があったかもしれないものの、日清、日露という戦争の勝利による国粋主義の台頭によって、個人というものの考え方は全体主義の中に埋没されてしまったのである。その面影は今も色濃く残っている。特に官僚側の考え方には強く、警察学校では依然として「国民を教育する」と公言されているくらいである。官尊民卑は依然として強く、税金を払う側と使う側という意識はほとんど変わっていない。

戦後、戦勝国側から日本に行われたことは、民主主義を植え付けるという建前の国家形態の変更であった。天皇制を実権のない象徴に変え、憲法により武力の行使を禁止し、軍部の暴走を二度と起こさないために民主主義という制度を施行した。理念は正しかったが、基本的には米国側の都合で実質的な内容は変えられてきおり、そのことは自衛隊の創設などを見れば明らかである。制度は官僚側の都合のよい形の運用に変えられ、自民党という傀儡政権を使った疑似民主国家の形態で動かされ、つい最近までその実態を国民は理解してこなかった。わが国は民主国家ではなかったのである。何度も投稿しているように、議院内閣制を悪用して「閣法制度」によって立法権を持ち、「判検交流」や「起訴便宜主義」などの制度により司法権までに権力を行使できる体制を作り上げ、全ての省庁、検察、警察、地方の県庁以下の全てにわたり「記者クラブ」という制度で情報統制を可能にし国民を統制してきた。国民の代表者たる国会議員については、恣意的に運用できる政治資金規正法や公職選挙法などによって今でも統制がなされている。国家予算は官僚が作り、特別会計という別の財布を各省庁が勝手にもち使える仕組みを作った結果、本来あるべき予算は一般会計という全体の1/3程度のものに限定されて運用されている。地方の首長は大統領制と同じであるが、それらの殆どは官僚の天下り先にされるとともに、中央集権化による補助金という予算配分によって支配を行っている。

このような中での国民は、数々の規制により自由な経済活動も制限されている。バカ高い高速道路というものに象徴される、官僚による公的財の私物化によって自由な移動も利用も制限されている。生活に必要なあらゆる公的な書類の取得についても料金が取られ、税金まで恣意的な法律の解釈で取られており、個人の自由はますます狭められつつある。明治以来の感覚も含めた個人の意識は「村八分」に代表される感覚と、恣意的な見えざる官僚側の規制により委縮したものに成り果て、個人の自由の感覚は海外とは全く違った異質のものになっている。良くいえば統制されて秩序正しい国であるが、裏を返せば偽りの公共に対する統制に服従させられたものに過ぎない。国民の中に鬱積する感覚が増加しているのは当たり前である。

過去の政治の在り方を変えるのは始まりに過ぎない。官僚社会主義の国に本当の意味の自由もないし未来もない。国民は中東の各国のように覚醒すべきなのだ。  

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コメント
 
01. 2011年2月21日 14:36:36: OGe04VAHos
システムと個人なんて、すでに古い話だ。最近の例では、村上春樹の壁と卵のスピーチが現代風に語っている。要は民主主義だろう。それ以外をつうじては、システムと人間個人の自由は解決されない。古い話だ。そんなことより、もっと日本の民主主義(とシステムの関係)について突っ込んで考えられたほうがいい。

02. 天橋立の愚痴人間 2011年2月21日 14:45:12: l4kCIkFZHQm9g : Y2dRlum0bo
「7度主君を変えねば武士とは言えぬ」
これは初期の武士道であったと思います。

それが江戸時代に入り朱子学者、林羅山など官学により武士の心意気を骨抜きにされてしまいました。

以後、お上意識が強まり個人の権利の自覚が無くなったまま、明治維新を向かえ、西欧民主主義を受け入れることになります。
ところが西欧民主主義が唱える個人の人権の主張、自由の主張には飛びつきましたが、西欧民主主義の成立の過程で起きた、市民の権利を得るための権力側との闘争のことには触れずじまいで、結果、安直な民主主義が根ついてしまいました。

日本の民衆は現在まで、自分の権利の主張には熱心ですが、それを確保するためには市民は常に権力側を監視しなければならないと言うことに思いを馳せません。

司馬遼太郎は、このような事を指して明治以後の我が国の文化を接木文化と言っていると思います。
今日おきている市民デモは、形はまだまだ不十分ですが、市民が市民のために体制にNOを突きつけている意味では、僅かながらそのことに目覚める一つのもよおしではないかと評価も出来ます。

我が国の民意の身勝手さを指摘し、警鐘を鳴らしたいと思います。

月と星さんが指摘されることには一々同感いたします。


03. 2011年2月21日 15:17:22: OGe04VAHos
民主主義はシステム(春樹の「壁」)じゃない。
より人間的にシステムを改良していくための手段。
なので

>安直な民主主義が根ついてしまいました

ということは起こらない。起こるのは、安直なシステム依存の根付き。

>市民は常に権力側を監視しなければならない

ことが民主主義的にシステムを改良していくための行為にあたる。


04. 2011年2月21日 20:28:24: yxstEvnWG6
明治憲法は王権神授説にもとづいた前近代憲法で、個人という権利の希薄さの要因は、近いところではここに遡ることが出来るのではないでしょうか。

権力者と国民の契約はなく、天照大神の子孫である天皇への王権神授という形式をとっています。
民定憲法(自由民権運動)の動きもあったが、薩長に封じられました。
戦争を経て、軍部は米国になくされましたが、軍部以外の薩長から続く組織は、米国の都合で温存され継続され今に至っています。

個人の権利が希薄であるのも、お上の都合で罪をあげてブタ箱に都合の悪い人間をぶちこんでしまうのが今に続いているのも、当然といえば当然の帰結です。


05. 天橋立の愚痴人間 2011年2月21日 23:21:45: l4kCIkFZHQm9g : Y2dRlum0bo
「7度主君を変えねば武士とは言えぬ」
と言うようなものが武士道の始まりと考えられているように江戸時代以前の我が国の民は結構、上下関係を自由に考えていました。

現代日本人の無気力、権力に対する従順さは、江戸時代の儒教(朱子学)精神が蔓延したからと思います。

明治維新も維新成立後の国体の中枢は江戸幕府の官吏によって占められて、明治政府自身も中央集権の確立に躍起となっていたため、また欧米に追いつくための富国強兵政策を中心としていたために、西欧民主主義本質を意図してか否か知りませんが見誤っていたと思います。

欧米人は自分の権利は日本人以上にうるさいですが、同時にそれを保障させるために政治のありようにも注意を払っています。

それは、フランス、イタリアの最近のデモでも良く判るでしょう。
政府がこれでは自分達が立ち行かないと見ると強烈なデモに訴えて抗議します。
年金問題などでも、西欧ではすぐに暴動になんるが、何故日本人は大人しいのであろうと言うことは良く聞く言葉です。

日本人は西欧民主主義のうち、都合の良い反面だけを取り入れてきたと言うことです。
明治から、先の敗戦までは、それでも政治がそのようであったので情状酌量の余地があるとしても、戦後の60年は国民の責任であります。

しかしながら、国民を弁護しようとすれば下記のことも考えられます。
GHQの指導部で官僚組織のありようを指導しようとした高官が、成功しなかったと言う言葉を残して日本を去った話もあります。

官僚共は、明治以来の天皇の吏僚としてのプライドを捨てようとせず、国民を掌握することに精を出してきました。
結果、江戸時代の幕府、大日本帝国のシステムを引き継いだ官僚共が、今度は官僚自身のための為政を行ってきたと言うことです。

古代中国において宦官が国を私物化したのと同じです。
このようにして戦後60年を経た現在でも、国民は御上(官僚)を眺めて生活しているのです。

ここらで、国民自身が目を覚まさねばなりません。


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