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2011.04.12 東日本大震災が“東日本大震災有事”に転化する危険、統一地方選挙の結果をみて(リベラル21)
http://www.asyura2.com/11/senkyo111/msg/463.html
投稿者 gataro 日時 2011 年 4 月 12 日 00:18:52: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-1547.html

2011.04.12 東日本大震災が“東日本大震災有事”に転化する危険、統一地方選挙の結果をみて
関西から(8)

広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
        
 4月10日の統一地方選挙の結果には唖然として声も出なかった。そこには東日本大震災の現実を直視することで、日本の政治や地域経済のあり方を根本から見直そうといった革新的視点はカケラもなく、未曾有の大震災に打ちのめされた「現実主義的思考」(大勢順応主義)が、ただ大洪水後の廃墟のように広がっているだけだ。

 たしかに今回の選挙は国政の帰趨を直接争う選挙ではなく、地方選挙だという事情は一定程度考慮すべきなのかもしれない。でも全国一斉に実施される「統一地方選挙」であり、しかも東日本大震災直後の地方選挙なのだ。そこには、戦後の成長型国土政策・地域開発政策の結果が沿岸地域における未曾有の「大津波災害」となって目の前にあらわれ、原発を成長戦略とするエネルギー政策の結果がチェルノブイリ級の「原発集中事故」というかたちで劇的に浮上しているのである。

 そのような深刻な現実に直面しながら、歴史的因果関係に思いをめぐらすこともなく、地方選挙を通して日本の戦後体制や「国のあり方」を問うという政治視点もなく、ただ結果としての悲惨な現実に国民が「秩序正しく耐えて我慢している」だけだとしたら、また無能な政府の指示にしたがって地方自治体が右往左往しているだけだとすれば、それは「日本の現実」というには余りにも悲しい事態だといわなければならない。

 しかし残念ながら、そのことが否定しようのない現実であることを象徴するのが、石原氏が圧勝した東京都知事戦の結果だろう。東京一極集中によってもたらされた財源を湯水のように使い、東京オリンピック招致を名目にした官費(海外)旅行で贅沢三昧の限りを尽くしてきた張本人が、こともあろうに国民に対しては「我慾」を戒め、大地震はそのための「天罰」だと宣うのである。

 そんな「天に唾する」極めつきのファッショ的人物であり、また「原子力推進論者」で「東京湾に原発をつくってもいいよ」といってはばからない石原氏を、東京都民は「原発事故に直面する有事のリーダー」として支持し、200万票という大量得票で知事に選んだのである。

 一方、大阪ではどうか。ここでも橋下氏率いる「大阪維新の会」がただ口先とパフォーマンスだけで大阪府議会の過半数を占め、大阪市議会と堺市議会ではともに第1党に進出した。また愛知県議会でも、河村氏が代表を務める「減税日本」が大きく議席を伸ばした。選挙前の予想では、テレビ画面のほとんどが東日本大震災関連のニュ−スで覆われているメディア状況のもとでは、彼らが得意業とする「劇場型選挙」が封じられて、戦況は不利だと伝えられていたにもかかわらずである。

 私は、今回の統一地方選挙にあらわれた世論状況を次のように見る。それは戦後体制の行き詰まりがもたらす閉塞感が一層深刻化し、その打開を求めて政権交代に期待をかけた民主党に裏切られるなかで、人々の鬱積した気持ちのはけ口が石原・橋下・河村氏のようなファッショ的「個人」に向かう流れが次第に強まりつつあるということだ。そしてその背景には、既成政党に対する不信感の高まりとともに、自民・民主など支配政党間の主要政策に違いがなくなったという客観的な事実が横たわっている。

 支配政党間の政策のカベがなくなれば、どの政党・どの会派の議員が当選しようとしまいと有権者にとっては関係がなくなる。その結果、中身はどうあれ、口当たりのいい政策(有権者にとって都合の悪い政策を明確に掲げる政党はいない)をともかく実現してくれるリーダーシップのある首長に期待がかかるようになる。

 まして「有事」ともなれば、議会が十分に議論をしている暇がない。有権者の目には首長の存在がより大きく映るようになり、それも「即断即決」を旨とする首長が一段と頼もしく見えるようになる。東日本大震災で日本全体が「有事状況」になってしまった今回の統一地方選挙において、知事など現職首長が圧倒的に強かったのはそのためだ。

 「有事」と「ファッシズム」との間には密接な関係がある。「平時」にファッシズム的状況が急速に広がるのは難しいが、今後、東日本大震災の復旧復興対策がつまづき、加えて原発事故が収束せずに危機的状況が長期化するような事態ともなれば、被災地域はもとより国民全体にわたってファッショ的首長への期待が急激に高まることは避けられない。

 今回の統一地方選挙とくに前半戦の首長選挙は、次の国会政局の前兆を示唆するうえで見逃すことのできない政治イベントだったといえる。石原・橋下氏のようなファッショ的首長が有権者の圧倒的支持で選ばれる世論状況のもとでは、国政においても同様の動きが必ず起こると見なければならない。それも現在のような菅政権のもとでの「生ぬるい連立劇」ではなく、「石原型首長」を頂く本格的ファッショ政権が成立する可能性についてである。

 思えば、東京都知事選挙と大阪府会・市会議員選挙において、革新陣営が通常の選挙体制と選挙公約で臨んだことが戦略上の誤りだったといえる。選挙公約の柱となった「福祉と防災」などは通常選挙の内容であって、石原・橋下氏に対する対抗戦略としてはいかにもパンチに欠ける。こんな生易しい公約は、この種の人物にとっては痛くも痒くもないからだ。

 東日本大震災とりわけ福島第1原発事故が予断を許さない危機的状況をもって深刻化しつつあるとき、私たちは東日本大震災の復旧復興対策はもとより、“東日本大震災有事”に対する備えもゆめゆめ怠ってはならないと思う。私の友人たち(原子核工学や原子炉工学の専門家)は、事態を極めて深刻に受け止めている。それはこれまでの原子力安全体制を一新しなければ対応できないほどの深刻な危機であり、そのためには「危機管理」を掲げた専制的政権が登場してくる可能性が十分にあるということである。
 

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