甲状腺ガンは３倍の可能性も！　小学校校庭の年間２０ｍＳｖ問題を告発した小佐古内閣官房参与「辞任」の裏に菅降ろしあり
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/3426
2011年05月02日（月） 高橋 洋一　：現代ビジネス

　４月３０日、小佐古敏荘内閣官房参与が辞任した。辞任の理由は政府の東京電力福島第１原子力発電所の事故対応への抗議だ。

　小佐古氏の辞任記者会見資料によれば、「１．原子力災害の対策は法と正義に則ってやっていただきたい」として、官邸の対応はその場限りであり、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム（ＳＰＥＥＤＩ）の計算結果が活用されていないことなどをあげている。さらに「２．国際常識とヒューマニズムに則ってやっていただきたい」として小学校等の校庭利用の線量基準が年間２０ｍＳｖとしたことをあげている。

　ＳＰＥＥＤＩについては、私も３月に出演したテレビで発言した。今回のような万が一の場合に備えてこれまで１００億円以上の税金を投入してきており、その存在は関係者であれば誰でも知っていた。

　枝野官房長官の説明では、データが不十分なため使えなかったというが、その言い訳は怪しい。シミュレーションというのは、事故発生当初モニタリングデータが不十分な時にそれを補うものだ。これを活用しておけば、同心円状の避難区域より、風向きや地形などのよってきめ細かい避難誘導ができ、福島・飯舘村のような行き違いは回避できただろう。

■子供の甲状腺ガンは３倍に

　小学校等の年間２０ｍＳｖの問題はさらに深刻だ。４月２９日テレビ朝日「朝ナマ」で石川正純北海道大学大学院教授が示したデータは、私にとってちょっとショックだった。
１００ｍＳｖ以上では各種のデータがあるが、２０ｍＳｖでは確たることはいいにくいとの前提で、様々な見解をまとめると、甲状腺ガンの発がんリスクは年間１０万人当たり０．３〜２．６例であるという。

　子どもはもともとガン発症がきわめて少ない。ガン全体でも、１０万人当たり１０例未満だ。甲状腺ガンに限ると１例にもならない。それが年間２０ｍＳｖ浴びると、最大で３例くらい増加することになる。甲状腺ガンでは発がんは３倍程度、ガン全体でも３割程度押し上げるということになる。

　テレビ番組中では間違って発言すると影響が大きいので発言しなかった。番組後、石川先生に確認したところ、だいたいそのようなところのようだ。

　これをどのように評価するのかは人それぞれだろう。しかし、私は、辞任した小佐古氏の「通常の放射線防護基準に近いもの（年間１ｍＳｖ，特殊な例でも年間５ｍＳｖ）で運用すべき」という意見はそのとおりだと思う。

　政府は、枝野官房長官が「小佐古氏には誤解がある」とか「水規制で小佐古氏は甘い提言をした」とか泥仕合になっている。

　ただ、小学校等の年間２０ｍＳｖについては、原子力安全委員会が決めたことになっているが、正式な委員会を招集せずに文科省からの要請から２時間後に回答していたと報道されている。これが事実であれば、かなり問題だ。

　このように正式な委員会を経ないで決める方式を「持ち回り」というが、その場合、ほとんど事務局の意向通りになる。それぞれの委員のところに事務局の役人が資料を「持って回り」、委員の了解をとることが多いので、委員同士のやりとりが行われない。それに議事録もとられない。今回の場合、それほどの緊急性があったかどうか問題だ。緊急性より安全性が重要なはずで、「持ち回り」で済ました責任は問われるべきだ。

■辞任会見に同席した小沢派代議士

　内閣参与というのは、総理へのセカンドオピニオンといえば聞こえはいいが、よほど人間関係が特別でないと忙しい総理に直接会って頻繁に意見交換するというわけにもいかない。それゆえ、意思疎通がうまくいかなったのであろうが、この時期に辞任というのも異常だ。

　小佐古氏はこれまで原発推進の立場で政府に協力してきた。その人が政府に抗議して辞任するのだから、穏やかでない。

　政治的な見方をすると、辞任の記者会見に同席した民主党の空本誠喜衆院議員の存在が気にかかる。同氏は菅降ろしを画策しているとされる小沢系だ。

　５月１日（日）の参議院予算委員会も興味深かった。通常であれば、与党民主党議員の質問はよいしょばかりで面白くないが、１日は違った。特に、川上義博参議院議員（民主党）の質問は野党顔負けの鋭い突っ込みを政府にしていた。

　例えば、山口公明党代表の「復興を増税で賄うのは拙速」を引用したり、みんなの党の「国債整理基金の１０兆円」を使えなどと政府に質問したのは、与党議員質問としては異例だ。これらのここ数日の動きは民主党内部で倒閣モードになってきていることを示しているのでないか。

　菅総理は辞めないという執念は凄いらしい。総理は自ら辞めないと思えば他の人が辞めさせることは難しい。しかし、菅政権の場合は、内部から炉心溶融（メルトダウン）しているようだ。

　菅降ろしの後はまったく見えない。菅抜きと菅抜き・小沢抜きという二つのパターンがあるが、いずれにして「期間限定・ワンポイント後は総選挙」という枠で民・自の大連立の可能性が高い。
　

コメント
01. 2011年5月02日 09:40:20: LXuCZARosk ひょっとするとバカ菅だからこの程度の被害ですんでいるのかもしれない。 自民党あたりに政権があれば、利権がらみのデタラメな施策はもっと凄かっただろう。 とくに小泉一派なんかが台頭してくれば。 鳩山はそのことを危惧して小沢に意見をいったのかもしれない。
02. 2011年5月02日 09:41:28: LXuCZARosk それにしても前原、仙谷が静かだな。ｗ
03. 2011年5月02日 09:52:38: rP8CFAFQTg ＞「期間限定・ワンポイント後は総選挙」という枠で民・自の大連立の可能性が高い。 高橋さんの願望かもしれないが、それだけは、勘弁して欲しい。 「菅降ろし」に成功した後は、 小沢派＆日銀批判議連主導の政権で、 ねじれ解消は、公明党か、みんなの党などとの中連立が望ましい。 ねじれのままでは、何一つ、法案が通らない。 復興も景気対策もどんどん遅れていく。 １００％マニフェストを実現することは、ねじれがある以上もはや不可能だが、 せめて５０％程度は認めてくれるよう公明党やみんなの党と交渉し、連立する以外、 いまの統治不能状態を解消する方法はない。 次の首相（代表）はそれを成し遂げることができる能力のある人がよい。
04. 2011年5月02日 09:54:39: ECOMFUxCqc 枝野を支持する馬鹿世論を見ると、死んでも治らないと思う。 悪しき隣人発言の中国挑発は批判したくせに、そのおかげか火事場泥棒スクランブルが増えて迷惑しているのに TVに出ている枝野を支持する忘れっぽい馬鹿な日本人と「ひとつになろう」、「がんばろう」 というCMを 金かけて作る嘘つきも、あんな気持ち悪いCMに感化される日本人も、ほとほと愛想をつかしている。
05. 2011年5月02日 10:18:49: rWmc8odQao 「「持ち回り」で済ました責任は問われるべきだ。」 賛成です。政局うんぬんは個人的な意見として… でも責任追及もさることながら、まずは「子供のレスキュー」が優先順位１位です。 ・２０ミリシーベルトの撤回 ・地面等の放射線量の測定 ・それに基づく区分け（入っていいところと悪いところを分ける） ・住民の避難と生活補償 という感じでしょうか。
06. 2011年5月02日 10:27:03: 0Mw6yFUajc 「ひとつになろう」汚染垂れ流しに、無為無策、皆で這入ろう癌病棟。
07. 2011年5月02日 10:50:22: MM1RvqGcMc 今回の一件で、少なくとも民主党に政権の運営は無理だとわかった。 なにより総理大臣が、馬鹿・無能な人間だった。 海外では、政権が自民党であれば、 我々に早急に従い、水素爆発を止められただろうとの声がある。 指導者を選びそこなった日本に、明るい未来はないだろうとの事だ。
08. 2011年5月02日 10:57:10: lsRZ1M8bbw 海外では、政権が自民党であれば、 我々に早急に従い、水素爆発を止められただろうとの声がある。 馬鹿馬鹿しい投稿だ。 どんな政権だろうが、日本の問題である。 最終責任者は内閣総理大臣である。 このように思いますが。 自民党狂信者よ、
09. 2011年5月02日 11:05:32: iQbyKB7nPA 自民党政権だろうがなんだろうが、同じこと。 要は、官僚組織が問題なんだということをだれも指摘しない。 受験競争でしか通用しない頭をもった連中には危機管理能力を求めることは森に水を求めるに等しいてことだ。 菅を批判してもしょうがない。官僚組織の動脈硬化をマスコミは批判できない。 すべてのこの国の元凶は官僚だ。
10. 2011年5月02日 11:40:46: jGKzU7J4XE 選挙というフィルターが無いだけに、官僚・司法と御用学者は最悪だ。しかも小市民の 親たちは、「お受験」に勝ち残って子どもが官僚や大学教授にでもなってくれればと 思ってるから、もともと批判の対象ですらないんだな。で、やりたい放題。非難の矛先 は安易に残された政治家だけに向かうと。加えて、愚民はアメリカ礼賛で洗脳されてる から、米帝＋売国人殺し官僚の最強タッグはホクホクだな。

11. 2011年5月02日 11:48:46: AdKaaFvNBE 【　タヌキ腹組“ぽんぽこ”のお節介な怪説・笑説　】 ＞菅降ろしの後はまったく見えない。菅抜きと菅抜き・小沢抜きという二つのパターンがあるが・・・・・ 　“菅抜き・小沢抜てき”もありますが・・・・・
12. 2011年5月02日 13:13:47: txfDxGOXwI 高橋氏は参院での過去の予算委員会をよいしょばかりでつまらないと言うが 認識不足も甚だしい。高橋は参院軽視で殆ど見た事もないんだろう。 衆院と違って参院予算委員会メンバーは骨抜きになってないと思いますよ。 過去森ゆう子、有田芳生、谷岡郁子等は検察審査会はじめ野党以上に鋭く 政府を追及する質問をしていたよ。昔の自公政権時代とは違ってた筈。
13. 2011年5月02日 14:24:04: esWafj9Wfg 学校放射線基準はIAEAの基準 (Pub996_web-3.pdf) に比べて緩すぎると思います。見直す必要があると思います。何故このようなことになったのかという責任追及は暇な国会議員に任せるとしても。 たしかに癌の確率が若干上がるのは政治家にすれば（小泉さんの台詞？のように）たいしたことじゃないかも知れませんが、IAEAの基準を破るのはまずいんじゃないかと思います。
14. 2011年5月02日 16:30:01: txfDxGOXwI ＞政治的な見方をすると、辞任の記者会見に同席した民主党の空本誠喜衆院議員の存在が気にかかる。同氏は菅降ろしを画策しているとされる小沢系だ。 何で小澤さんと結び付けるのか理解できない。 空本議員議員は東大工学部大院時代の小佐古氏の教え子で東芝出身。 数少ない原子力に詳しいエンジニア議員で空き缶に放射線量基準の 権威として推薦し参与として起用された。 あの記者会見を見て小佐古氏の辞任が政局を演ずる役者として見るのは よほどエンジニアのメンタリティに音痴なのか、心が歪んでいるかだろう。 生粋のエンジニアは記者会見なんて苦手だし近くにお膳立てする人がいなけりゃ 一人では会見出来ないのが分らないかな。 策略謀略に長けた大蔵官僚経験者は習い性で穿った見方しか出来ないんだろうな。 寂しい人だ。
15. 2011年5月02日 19:15:49: pRjsNFz8BI もしも　自民党政権だったら ゲッペルス　飯島がフル回転、 小泉にこのぐらいの量ならタバコのほど危険じゃない といって、根拠の火消しをしただろう しかし、この危機を実際に打開できたかは疑問 はじめからアメリカに丸投げだろう アメリカも的確なアドバイスしてないし 多分　アメリカとフランスは日本で いろいろ処理に参加し、ノウハウを蓄積しようと しているのではないか とうすると、まだやることなすことダダ漏れの 現在の方が 自公時代よりましだ ゴミと厄人を屈服させ 本当の民主主義国家にならなければならない
16. 2011年5月02日 20:39:23: 5I2sJdroLg ここで原発の利権を解体すれば、官僚の利権連合に大打撃となる。 影響は、地域独占電力業界、産経省原子力利権屋、官僚天下り法人組織、クソ宣伝屋、クソ原子力学者、クソマスコミに及ぶ。ここでデタラメ原発利権屋の組織をことごとく叩き潰せば日本の将来に希望が見えてくる。 彼等の連合からネズミが少しずつ逃げ出しつつある。この小佐古もその一人である。沈む行く船からは、逃げ出すネズミが増えてくるものだ。 それでもタイタニックに最後まで乗っているアホは多い。
17. 2011年5月03日 12:46:02: eJcwQUA9aU １４さん 全くその通りです。空本氏が単に小沢系ということだけで「辞任の裏に管降ろしあり」と決めつけるとは。呆れてものが言えない。ブログのタイトルに騙された。週刊誌よりも卑劣なタイトルで読者を欺くとは情けない。

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