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《今日の論点》第二次補正予算案を先送りする菅首相のおそるべき無責任／災害援助も復旧も放り出すような無責任首相を打倒しなければ日本は亡ぶ／すべての国会議員は無責任な菅内閣打倒のために決起しなければならない（森田実の時代を斬る）
「君主がぼんくらで無能、仕事について優柔不断で、人まかせにして自分の考えというものがない。このようなとき、国は亡びるであろう」（『韓非子』）
５月16日の衆議院予算委員会で、菅首相の究極の無責任発言が飛び出した。東日本大震災の本格的な復興対策のための第二次補正予算について、菅首相はこう述べた。
「被災地の自治体、県などが７月、８月に再建復興計画を出す。そういった意見も踏まえながら考える必要がある。拙速に過ぎるのは気をつけなければならない」 菅首相は、第二次補正予算編成を８月以降に延ばすとの考えを表明したのだ。おそろしいほどの無責任発言である。
第一次補正予算の規模は、わずか４兆円だ。これでは８月までもたない。第二次補正予算の編成を８月以後に延ばすというのは、常識的にみれば、第二次補正予算を使えるようになるのは、早くても10月以後になるおそれ大である。11月になれば東北地方は寒い季節になる。それまでに４兆円の第一次補正予算はなくなってしまう。第二次補正予算編成の先延ばしは、東北地方にとって「死」を意味するようなことだ。
第一次補正予算の４兆円は少なすぎる額である。第二次補正予算を早期に編成し実施しなければ、震災の被災者救済、復旧の予算が不足するおそれ大である。それでも菅首相は第二次補正予算編成を遅らせようとしている。政界では、これは菅首相の究極の延命策だとみられている。狂気の沙汰である。こんな無責任な首相は辞めさせなければならない。
―「政事乱るるは則ち冢宰（ちょうさい）の罪なり」（荀子）―
［１］人間の社会が平和で安定しているときは、政府は無用の長物であってよい。しかし危機の時は違う。危機の時こそ政府は働かなければならない。政府は、危機打開のために存在するのだ。ところが菅政権は2011年３月11日、東日本大震災によって発生した日本の危機に、まったく役に立たない。無能力で無責任である。こんな無責任な政府は直ちに代えなければならない。
［２］菅首相が行った浜岡原発操業停止は、菅内閣支持率、不支持率にはほとんど影響を及ぼさなかった。国民の多くは浜岡原発停止は支持したが、これによって菅政権への支持・不支持はほとんど変化しなかった。国民は冷静である。
［３］亀井静香国民新党代表の「与野党による復興実施本部」構想には与野党とも協力すべきだった。内閣不信任案が可決されて衆院解散になる可能性がある状況下では、本格的な大連立政権は困難だが、亀井氏の実施本部構想なら、与野党が協力できる。副総裁クラスが参加すればよいのである。亀井静香国民新党代表の国民を思う高潔な熱意は生かすべきだった。だが挫折した。この最大の原因は菅首相の不誠実にあった。菅首相は、少なくとも谷垣自民党総裁と山口公明党代表に実施本部構想を直接話して、協力を求めるべきだったが、これをしなかった。野党は菅首相を信用できなかった。
［４］菅首相は、いまの日本において重要なことが二つあることがわかっていない。一つは、被災地の多くの人々の生存権が危機的状況にあり、この人々を救済することは政府の第一義的な責任であること。もう一つは、福島原発事故が世界の問題であり、国際政治の中心問題であり、この問題の解決なしには日本の国際的信用を保つことはできないということ。菅首相にはこの自覚がない。
［５］菅首相は東日本大震災という大危機においても霞が関にいる約30万人の官僚を働かせようとせず、役所の幹部に、自らのいらだち、感情をぶつけるだけで、官僚を突き放した。困難にあたって30万人もの官僚を働かせていない菅首相の責任は重大だ。
［６］短期的な政局の中心テーマは第二次補正予算の編成である。菅首相は、第二次補正を先延ばしする意向だ。これほど無責任なことはない。野党は、菅内閣不信任案を衆院に提出し、菅首相の退陣を求めるべきである。民主党が菅首相を守るなら、民主党は国民の敵となる。菅首相の第二次補正予算編成の先送りを許してはならない。
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