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NY株価急落・危機主因は財政再建原理主義にあり (植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/11/senkyo117/msg/561.html
投稿者 祈り 日時 2011 年 8 月 05 日 12:03:03: HSKePa2Cm.aPs
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/ny-3ccd.html
2011年8月 5日 (金)
NY株価急落・危機主因は財政再建原理主義にあり


 NYダウが前日比512ドル安の急落を示し、世界経済に暗雲が広がっている。と言うよりも、世界経済の暗雲を読み込んで株価が急落したと表現する方が適切かも知れない。
 
 世界経済には三つの大きな問題が存在する。欧州の財政危機、米国の債務残高上限引上げ、そして日本の増税問題である。
 
 欧州では南欧諸国を中心に財政赤字が拡大し、政府債務の履行について不安感が高まった。ギリシャの財政危機では、EUによる資金支援が決定されたが、民間金融機関にも負担を求めたため、ギリシャ国債の一部が債務不履行に陥ったとの評価が格付け機関からなされている。
 
 ギリシャ以外のスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドなどの財政危機も深刻であり、これがユーロ不安をもたらすとともに、世界経済の不安要因のひとつになっている。
 
 日本では政府が大震災の復旧・復興対策の規模を今後5年間で19兆円とし、その財源のうち、10兆円を復興増税で賄う意向が示された。経済が危機に直面するなかでの10兆円増税問題が重くのしかかっている。
 
 米国の問題は二つに分けて考えることが必要だ。8月2日までの焦点は政府債務残高の引き上げが実現するのかどうかにあった。議会における債務上限引上げ法案の可決がなければ、米国政府は債務不履行に陥る。米国金融市場が大混乱に陥ることが警戒されていた。
 
 ぎりぎりの段階で債務不履行は回避された。これによって不安が払しょくされたのかと言うとそうではない。債務上限引き上げ法が成立したのに株価が急落し、米ドルも強い下落圧力を受けているのだ。
 
 その理由は、米国政府と議会が財政赤字大幅削減の方針を示したからだ。背後には2012年の大統領選をめぐる政局がある。2010年の中間選挙では共和党が大躍進した。上院、下院で過半数を制していた民主党が大敗し、下院の与野党勢力分布が逆転した。オバマ政権は共和党の主張を取り入れなければ政権を運営できない状況に追い込まれたのだ。

 共和党には、オバマ政権に失点をあげさせることが、大統領選に有利に働くとの計算が働く。つまり、政策運営のインセンティブが国民経済にとってマイナスの方向に設定されるという「不幸」な状況が生まれているのである。
 
 このことと、共和党の伝統的な政策主張があいまって、超緊縮財政政策が共和党から主張され、それが債務引上げ法案可決の条件に組み入れられたのである。
 
 結論から言えば、債務上限引上げ法案とともに、超緊縮財政政策が米国に強制されるとの図式が生まれたわけである。この超緊縮財政政策こそ、米国株価急落の主要原因である。
 
 米国では、今回の米国議会の政策決定を1937年の米国の経済政策と重ね合わせる論議が盛んに示されている。大恐慌時代の1937年にルーズベルト政権が増税や緊縮財政に舵を切り、米国の不況を深刻化させ、長期化させたことと、今回の米国政府・議会の対応が重なるというものである。
 
 大恐慌不況は深刻化、長期化して、これが第二次世界大戦の引き金になったことはよく知られている。

 米国経済、世界経済は2009年に危機に陥った。背景にあるのは600兆ドルにも膨れ上がった、デリバティブ金融商品の想定元本である。サブプライムローンと言う金融債権を原商品として、様々な派生金融商品が机上で創出され、その規模が制御不可能な規模に膨張した。
 
 600兆ドルを1ドル=100円で換算すると、6京円になる。日本のGDP規模の100倍を上回る規模だ。この想定元本のわずか1%が損失になるとしてもその金額は600兆円になる。この規模の損失が発生したと見て間違いない。
 
 この危機に対して米国政策当局は経済政策を総動員した。財政金融政策をフルスロットル状態に移行し、さらに金融機関の資本増強策を全面実施した。
 
 この政策対応が功を奏して、株価は反発、経済も一定の改善を示した。ただ、副作用として財政赤字が年間1兆ドルをはるかに上回る規模に拡大した。
 
 米国議会はこの財政赤字拡大に対して、超緊縮財政を強制し始めている。この超緊縮財政がもたらすものを予測して、まず株式市場、為替市場が動き始めたのである。

 実は、この状況は日本にも先例がある。1996年に橋本政権が消費税増税を含む超緊縮財政政策の方針を打ち出してから日本株価は暴落に転じていった。97−98年と株価は暴落し、経済は急降下、その延長上に金融危機が発生した。
 
 この危機を打開したのは小渕政権だった。財政金融政策を総動員し、さらに金融機関の資本増強策を実行した。この積極政策が功を奏して日経平均株価は2000年に2万円を回復、経済・金融市場は明確な改善を示した。
 
 ところが、小渕元首相が脳梗塞で倒れられて、状況が急変した。後継政権となった森・小泉政権は財務省路線に完全に乗って、超緊縮財政運営を開始したのである。
 
 その結果、2万円の株価は7600円に暴落し、経済は急降下、金融不安が再び広がったのだ。

 米国の政策対応は、日本の11年遅れの対応である。2000年から2003年にかけての超緊縮財政政策が日本経済を破壊したように、このまま進めば、2011年から2014年までの超緊縮財政政策が米国経済を破壊し、世界の金融市場に大混乱を引き起こす可能性が高い。金融市場の地下には、デリバティブ金融商品残高6京円が生み出す損失という巨大マグマが蠢いていることを忘れてはならない。
 
 つまり、経済政策は積極から中立に戻す局面ではあっても、積極を超緊縮に転換する局面ではないのだ。1937年まで遡らなくとも、2000−2003年の日本に、反面教師の重要事例がある。これを踏まえて、米国は経済政策運営の基本スタンスを「超緊縮」から「中立」に直ちに切り替える必要がある。この政策対応が遅れれば、米国金融市場の混乱は、世界金融市場の大混乱を引き起こしてしまうに違いない。
 
 日本でも、大手術の輸血用血液を手術の患者からの献血で賄うような、狂気の治療を行うべきでない。復興債を発行することを決めているのだから、まずは全額を復興債で賄うべきだ。経済復興を増税で賄おうという財政再建原理主義が世界経済の最大のリスクであることを肝に銘じる必要がある。

 

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コメント
 
01. 2011年8月05日 12:20:05: UNVmC1jPBo

資本は常に極大利潤を求める。
それこそが資本が負った宿命なのだ。
日本経済はずっとひ弱な培養経済であった。

「、、、日本ほど資本主義の発達が戦争に結びつく国はない。、、、」
『アジアのためのたたかい』エドガー・スノー

「日本では、大工業、ことに兵器工業は、最初から国家独占、つまり天皇制国家を通じてその利害を一にする財閥、大地主および軍閥の独占事業であった。」
『世界の独占体と平和』ジェイムス・アレン

http://esashib.web.infoseek.co.jp/kenpo05.htm
4大財閥の経済的地位の真の増加は、太平洋戦争中に起こっている。
すなわち太平洋戦争中の4年間で、4大財閥は巨大なる発展を遂げたのである。たとえば重工業においては、全国投資額に占める割合を18・0%から32・4%に増やし、金融においては、25・2%から49・7%に増加させているが、まさに太平洋戦争は、4大財閥に巨大な富を生んだのである。
大財閥に途方もない富を生み出し続けるために、若者たちを侵略強盗殺人の犯罪者(靖国英霊)に仕立て上げて行ったのだ。
財閥と軍部の間に対立関係があったなどという意識的に流布された言説は作られたものに過ぎない。(参照・『日本財閥の解体と再編成』東洋経済新報社、1973年刊・P65・エレノア・M・ハードレー著)。


02. 2011年8月05日 13:01:13: rWmc8odQao
「経済復興を増税で賄おうという財政再建原理主義が世界経済の最大のリスクであることを肝に銘じる必要がある。」

大賛成です。増税を嫌がっているのではないです。モノゴトには順序があって、「鼻血も出ないほど無駄を削って」「資産売却して」「デフレ脱却して」それからですね。

植草氏、がんばってください。応援しております。


03. 2011年8月05日 16:39:47: BDDFeQHT6I
この状況で日本が増税のデフレ容認の経済政策を採れば、中国・韓国のインフレ懸念による引き締めと相まって投機資本は現物にしか行き場がなくなる。
世界は不況下の原料高で景気浮揚の手懸りを失う、本来日本は今頃は復興景気でバブル状態であってもよいはずだが、政治の混迷で景気は失速したままだ、その上増税などと聞いただけで益々不況になる。
増税の実施時期が何時かなど問題ではない、今は増税の「ぞ」の字も許されないはずだ、何でも良いから新しい内閣で復興予算の大規模で早急な執行が待たれる、補正予算を組んだら半分近くが予備費だったなどと言う馬鹿馬鹿しい政治を早く終らせる必要が有る。

04. 2011年8月05日 22:31:30: 28juHyKEPA
誰のための財政なのかと云うことだ!?

現実は悲しいかな、決して主権者たる国民のための財政とはなっていない!
財政が豊かになって大喜びしているのは、既得権を貪る悪徳官僚、悪徳政治家、悪徳財界、ご主人アメリカ様である。

アメリカは今置いておいて、本来国民のために頑張る政治家であれば、財政再建なんて、まちがっても声高々には決して叫ばない。国民のほんとうに苦しい生活を理解しているからだ。

声高々に言っている政治家なんて、国民のことなど何一つ考えず、貪りまくっている自らの既得権が縮小化されることに恐れをなして叫んでいるだけである。<財政豊→既得権拡大 財政逼迫→既得権縮小と云う図式をインプットしておきましょう>まさにヤクザと同じレベルであります。

日本では今、そんな政治家や総理大臣が毎日TVに出て、厚顔無恥にも声高々に財政再建と叫びまくっているが、これは、「国民共めが、俺はヤクザだ!シャバ代をもっと出しやがれ!」といっているのと同じことである。国民のほんとうに苦しい生活なんて何一つ理解しようともしないで私欲のみにとりつかれたヤクザのような政治家なのである。

それにしてもこの国はヤクザのような政治家や総理大臣だらけで、いかれすぎであります。

「財政再建を声高々に叫んでいるか否か」は、国民のために頑張ろうとしている政治家を見分ける最も分かりやすいフィルターなのです。
このことをよく知っておくと、騙されなくなり、主権在民をこれまでよりも勝ち得るようになるのだと思います。

皆さま、選挙の際は、財政再建を高々に叫んでいるか否かを十分見極めてから投票しましょう。我々国民が主権者になるためにも!

「国家」と「国民」と云う言葉を今一度問い直しましょう。本質が見えてくると思います。


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