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「災後」の混迷 地に堕ちる“居座り”菅首相の求心力 「復興提言」の実現も不透明  毎日フォーラム 
http://www.asyura2.com/11/senkyo117/msg/720.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 8 月 09 日 23:59:39: igsppGRN/E9PQ
 

「災後」の混迷 地に堕ちる“居座り”菅首相の求心力 「復興提言」の実現も不透明
http://mainichi.jp/select/seiji/forum/special/news/20110707org00m010024000c.html
2011年7月8日 毎日フォーラム

 政治が混迷している。東日本大震災の発生から3カ月以上たって復興基本法がようやく成立したものの被災地そっちのけの“政治空白”が続いている。「東日本大震災復興構想会議」(議長・五百旗頭真防衛大学校長)は6月25日、「復興への提言」を菅直人首相に手渡したが、現政権はすでに本格的な復興への推進力を喪失。再生エネルギー法案へのこだわりも政権延命の思惑が見え隠れし、「税と社会保障の一体改革」の先行きにも暗雲が立ち込める。「戦後」に次ぐ「災後」の国難の真っただ中で、政治が機能停止状態に陥っている。

 ◇「防災から減災へ」提言

 復興構想会議は首相の私的諮問機関として震災発生から1カ月以上たった4月14日に発足した。6月20日成立の復興基本法で法定化され、提言の重みが増した。

 集中的な議論をとりまとめた「復興への提言」は25日の会議で、五百旗頭議長は菅首相に手渡し「我々なりに未来に向けた青写真となるべき提案を盛り込んだつもりだ。政府がこの提言を真摯に受け止め、誠実に速やかに実行することを強く求める」と注文した。

 この時期の提言は当初は「第1次」と位置づけられ、年末に最終的な提言を出す予定だった。しかし被災地の深刻な状況に配慮し「現時点で出しうるすべて」(五百旗頭氏)をまとめ、政府に対して早急な制度設計と事業着手を促した。背景には任命権者の菅首相の退陣時期が取りざたされるような政治状況への不信と不満があるとみられる。

 提言は4章立ての本文34ページに19の図表を付け、資料編も添えた。「悲惨のなかの希望」とのサブタイトルは五百旗頭議長の強い思いが込められているという。今回の大震災を地震と津波、原発事故、その後の風評被害も含めた「複合災害」と位置づけ、算定が難しい原発災害を除いても直接被害総額は約16兆9000億円(内閣府)に上るとした。

 第1章「新しい地域のかたち」では、「物理的に防御できない津波が存在する」ことを教えられたとし「大自然災害を完全に封ずることができる思想」を捨て「災害時の被害を最小化する減災の考え方が重要」と防災思想からの転換を示した。

 被災地を具体的に(1)平地に都市機能が存在しほとんどが被災した(2)平地の市街地が被災し高台の市街地が被災を免れた(3)斜面が海岸に迫り平地の少ない市街地および集落(4)海岸平野部(5)内陸部や液状化による被害が生じた−−と地域を類型化して復興施策を例示した。

そのうえで、防波堤や防潮堤など「線」による防御思想から、河川、道路、まちづくりも含めた「面」による多重防御へ転換し、道路や鉄道など公共施設の盛り土も防災施設に位置付ける。防災集団移転促進事業や土地利用規制など既存手法の検討と必要な改良をする、としている。特に土地利用については、都市計画法、農業振興地域整備法、森林法などに分かれている煩雑な手続きの一元化を求めている。

地域の復興の担い手と合意形成の主体は、あくまでも市町村とし、地域の住民、NPO、企業などと連携し自主的で総合的な施策を作る。国はビジョンと理念、支援メニューなど復興の全体方針を示し、都道府県は市町村を包括する広域行政課題に対応する役割を担うようにする。

 さらに、将来起こり得る災害からの復興に備え、制度や事業は全国で活用可能な恒久措置化を求めている。1959年の伊勢湾台風を契機に災害対策基本法、95年の阪神大震災により被災市街地復興特別措置法などが作られた例を挙げ、今回の震災の特徴である津波による壊滅的な被害に対応する一般的な制度の創設が必要だとしている。

 第2章「くらしとしごとの再生」では、くらしの復興には「地域包括ケア」と「学校の機能拡大」を挙げた。地域包括ケアはすでに厚生労働省が推進している政策の拡充を目指す。保健・医療、介護・福祉サービスを一体化し被災した人々を「つなぐ」とともに、雇用の創出を図る。「緊急雇用から雇用復興へ」、さらに「産業振興による本格的雇用の創出」につなげることの重要性を強調している。製造業や農林水産業など地域産業の復興のために、「特区」手法の活用を薦めている。

 復興構想会議の委員でもある村井嘉浩宮城県知事が提案し、地元漁協が反発して話題を呼んだ沿岸漁業に民間会社を参入しやすくする特区構想については、「漁業者が主体的となった法人が漁協に劣後しないで漁業権を取得できる仕組み」と、地元漁業者に配慮しつつ導入を明記した。しかし、経営力や資本力に乏しい地元漁業者が中心の企業形態が成り立たつかについて懐疑的な専門家もおり、制度の実効性に問題が残る。

 被災地のインフラ再構築にあたり、地域に見合った先端的な自立・分散型エネルギーシステムの導入を目指す。東北を再生可能エネルギーの利用促進の先進地域と位置づけ、日本のエネルギー政策の転換を先取りする意気込みだ。

 これらの復興事業を推進していくための十数兆円ともいわれる必要財源について、提言は「国・地方の復興需要が高まる間の臨時増税措置として、基幹税を中心に多角的な検討を速やかに行い、具体的な措置を講ずるべきだ」と増税を明記した。

 添付資料で、国と地方の長期債務残高が、阪神大震災当時の94年度末368兆円に対し、10年度は869兆円で国内総生産比では75%から181%に跳ね上がっている財政事情を説明。「次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合う」と、復興構想7原則に沿った考えを示した。増税に対しては政府・与党内にも異論があり、国民の負担増では「税と社会保障の一体改革」にも連動し、今後議論が紛糾しそうだ。

 第3章「原子力災害からの復興に向けて」で、「国の態勢の一元化と必要な法整備を含めて、長期的な視点から国が責任をもって再生・復興に取り組むべき」とした。「福島の大地がよみがえるときまで、大震災からの復興は終わらない」との認識の共有も求めている。

 第4章「開かれた復興」では、「成熟した先進国家の災害からの復興過程」を世界に示し、これを契機に世界共通課題である環境問題をけん引する国家を目指すべきだと記した。

 ◇政局に翻弄される再生エネルギー法案 7月にも当面のエネルギー需給安定策

 菅首相がにわかにご執心なのが再生エネルギー特別措置法案だ。6月15日に国会内で開かれた市民団体の集会に出席した菅首相は「(この法案を)何として通したい。通さないと政治家としての責任を果たしたことにならない」とボルテージを上げ、「菅の顔を見たくないという人も国会には多い。それならこの法案を通した方がいい。そういう作戦で行こうかと思う」とおどけ気味に語り、退陣表明をした首相とは思えない意気軒高ぶりだった。

 家庭や企業が風力・太陽光・地熱・バイオマスなどで発電したエネルギーを全量電力会社に固定価格で買い取らせることを定めたこの法案は、政権交代を果たした09年総選挙の民主党のマニフェストに盛り込まれていた。温室効果ガスを20年までに90年比25%削減することを国際公約に掲げた政府方針に沿うものとして、経済産業省が取りまとめた。法案は奇しくも大震災が発生した当日の3月11日午前の閣議で決定され、4月5日に国会提出された。

 買い取り価格は法案成立後に決めるが、発電事業者の採算と国民負担のバランスを考慮して設定し、太陽光は1キロワット時当たり30円台後半、その他の再生エネルギーは同15〜20円と見込まれる。経産省は制度の導入で再生エネルギーの設備規模は09年の1470万キロワットから、10年間で3200万〜3500万キロワット増え、二酸化炭素排出量は約2%削減できると試算している。

全量買い取りをビジネスチャンスとみて、孫正義ソフトバンク社長が大規模太陽光発電所進出を打ち出すなど、民間企業がエネルギー事業に参入する動きが相次いでいる。商社や電機メーカーは新エネ分野に積極的に投資しており、同法案には好意的だ。

一方、電力業界は業務用電力料金(1キロワット時11〜14円)より高く買い取るものの、そのコストを電力料金に上乗せして徴収できるので、発送電分離案などに比べれば抵抗感が少ない。制度導入から10年後では上乗せ負担額は標準家庭で月150〜200円になると見られている。

 ただ、鉄鋼などの大口需要者には電力料金の値上げになるため、反対の空気が強く、経団連の米倉弘昌会長は「電力価格が上昇すれば、企業の海外移転が進みかねない」と批判している。

 菅首相がここへきて再生エネルギー特別措置法案を重要法案に格上げしたことについて、与党内からも唐突と受け止める向きが多い。首相周辺でも「4月末になって『あの法案はどうなっている』と意欲を示した」と話しており、政権延命策とみる政界関係者が多い。とはいえ、原発事故をきっかけに、首相は電力業界の独占的体質に風穴を開けたいとの思いを強めており、その錦の御旗に再生エネルギー法案が位置づけられているようだ。

 一方、現実の原子力発電については、海江田万里経済産業相が6月18日に、追加原発安全対策を評価して、安全確認の完了を宣言。原発が立地する地元自治体に停止中の原発の再稼働を要請した。これについて菅首相は翌19日「私も全く同じだ。全ての原発を停止するとは言っていない。浜岡は例外的で特別な事情があるが、他の安全性が確認されたものは稼働していく」と述べ、東電の福島や中部電力の浜岡(静岡県御前崎市)以外の原発は運転を続ける考えを示した。

 現在日本にある54基の原発のうち、37基が定期点検と被災で停止している。残る17基のうち、5基は8月までに13カ月に1度の定期検査に入ることになっている。現在定期検査中の11基は夏までに運転再開は可能だが、地元自治体の同意がないと事実上再開はできない状況だ。

このまま運転停止が続くと、ドミノ式に電力不足が深刻化し、日本経済に重大な影響が出ることが予想されるため、海江田経産相が地元自治体に再稼働を要請したものだが、原発14基が集中立地する福井県の西川一誠知事は20日、「国の対策は立地地域が求めるものになっていない」と述べ、再稼働に慎重な姿勢を示した。また、新潟県の泉田裕彦知事は「原発事故の検証が終わっていない中、安全宣言を出すことに違和感を持つ」と述べ、国側のスタンスとの食い違いをみせた。このため、政府の思惑通り、定期点検を終えた原発が運転を再開できるか不透明な状況が続きそうだ。

政府の新成長戦略実現会議(議長・菅首相)の下部組織の「エネルギー・環境会議」(議長・玄葉光一郎国家戦略担当相)は22日初会合を開き、原発への依存度を低下させる方針を確認する一方、短期的には現実に即した解決策を検討するとして、定期点検を機に停止中の原発の再開に向け地元の理解を得る方策を探るなど、7月にも当面のエネルギー需給安定策をまとめることになった。

◇どうなる「税と社会保障一体改革」 増税シナリオに異論続出

 昨年12月に11年半ばに成案を得ると閣議決定した「税と社会保障の一体改革」は、東日本大震災の復興費用の財源問題とも絡み、「首相が辞任するというのだから議論をいったん休止した方がよい」との意向が与党民主党内に強く、混迷を深めている。

 税と社会保障の一体改革に関する政府の集中検討会議(議長・菅首相)は6月2日、社会保障改革案を決定した。(1)年収65万円未満の高齢者の年金を月額1万6000円加算する(2)年収に応じて医療介護の自己負担額に上限を設定し、上回る部分は公費で負担する(3)年収が1000万円を超える年金受給者の基礎年金を減額する(4)70〜74歳の高齢者の医療費の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる−−などの内容で、改革の初年度の15年度には(1)(2)の機能強化分だけで4兆円がかかり、(3)(4)の給付抑制策で1.3兆円がカットできるが、費用負担は現行より2.7兆円拡大するとしている。

 さらに、特別会計の積立金などの「埋蔵金」で賄っている基礎年金の国庫負担割合を50%に維持するための財源(年2・5兆円)や高齢化により年1兆円ペースで増える社会保障費の自然増分を賄う必要がある。このため消費税率を15年度までに段階的に10%まで引き上げる必要があると結論づけた。

 この増税シナリオは与謝野馨・経済財政担当相が主導したもの。しかし、6月20日に予定されていた政府・与党の「税と社会保障の一体改革」の最終案決定は、民主党内から消費税の10%への引き上げについて異論が続出して、取りまとめを先送りした。昨年の参院選で菅首相が「消費税率10%」を掲げて大敗した記憶がまだ新しく、「辞任表明した首相の下では議論できない」との声が相次いだからだ。

 また、東日本大震災の10兆円とも15兆円とも言われる復興財源問題も、税と社会保障の一体改革に大きく絡んでいる。復興財源はいったん復興債(新規国債)を発行するものの、国債増発に伴う市場への悪影響は避けたいとして、その償還財源は明記することが政府・与党の共通認識になっている。通常の国債とは別勘定にして管理する手法が取られる。

 すでに今年度に予定していた法人税の実効税率5%引き下げの見送りは決まっており、復興財源に充てられる見通し。枝野幸男官房長官は「消費税は社会保障財源で(増税が)検討されており、混乱させることはよくない」と消費税以外で復興財源をもとめる方針を打ち出しており、仙谷由人官房副長官は所得税と法人税の税率を1割増しにする定率増税を提唱している。

 政府高官は「復興債の償還期間を10年とすると、年間1兆数千億円になる。所得税と法人税を一定期間引き上げれば対応できる」と話しており、復興財源は所得・法人税の臨時増税でカバーされる見通し。このように復興のためとはいえ大増税が間近に迫っているなかで、社会保障充実のためとはいえ消費税の引き上げは明示しづらいという空気が漂っている。

 財源的に唯一の光明は、7月中の国会提出が予定されている2兆円規模の11年度第2次補正予算案の財源が確保されていること。財務省によると6月末に確定する10年度決算で2兆円程度の剰余金が発生し、これを全額2次補正の財源に充てることができるからだ。

 10年度の国の税収は41兆円を超え、昨年秋時点の見込み額(39.6兆円)から1兆6000億円程度上ぶれする。国債の元利払い費も想定を下回ることから、2兆円程度の剰余金を確保できる見通しとなった。このうち5000億円強が自動的に地方交付税に充当され、残る約1・4兆円が二重ローン対策、復旧・復興予備費などに充てられる。

 

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