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野田新政権はまたすぐ潰れる 野田新首相で大連立民主分裂現実化
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2011/8/30 日刊ゲンダイ ：「日々担々」資料ブログ
それにしても財務省ひもつきの最低首相を選んだ民主党政権によるこの国の沈没の道
--小沢一郎憎しで一致するこの国のﾏｽｺﾐの大勝利は戦争に突入した歴史の再現へまっしぐら
◆首相になる野田の能力はどのくらいなのか
ｱﾚﾖｱﾚﾖという間に､財務省ﾋﾓつきの野田佳彦(54)が民主党の新代表に選ばれてしまった｡ﾏｽｺﾐが｢人気の前原か､小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟ支援の海江田か｣なんて騒いでいる間隙を突いてだから､多くの国民はｷﾂﾈにつままれた思いだろう｡
それにしては驚きも何もない｡そもそも国民は野田という地味男にまるで関心がない｡だから､株式市場も野田新代表決定で上げ幅を縮小させていた｡
しかし､この男はとにかく財務省の組織内候補だ｡無視しているわけにはいかない｡今回の代表選でも財務官僚が民主党議員に接近して票集めをしていたほどだ｡野田政権になったら､｢実質､勝(栄二郎財務次官)政権｣なんていわれているから危険だ｡
｢ま､言いにくいことですが､野田さんの党内の評価は低い｡人柄はともかく､ｷﾚがない､ｾﾝｽがない､深みがないで､一言でいえば､“ﾊﾞｶ”扱い｡民主党の先輩たちは平気で“野田なんてﾊﾞｶ”と言い合っていますよ｣(事情通)
そんな男だから､財務省はｶｲﾗｲにうってつけというわけだ｡財務官僚の操り人形首相の誕生なんて､冗談じゃない｡
◆何ができるのか､何をしてきたのか
野田といえば､唯一最大の語り草が､弟分の永田寿康議員を偽ﾒｰﾙ事件で自殺に追いやったこと｡今もぶり返されるｴﾋﾟｿｰﾄﾞはそれしかないから情けない｡
｢偽ﾒｰﾙ事件は､前原代表時代に起こった｡当時の国対委員長が野田氏で､永田議員の国会質問を許してしまい､大失態事件を引き起こした｡政権交代後の鳩山内閣で､ｸﾞﾙｰﾌﾟのﾄｯﾌﾟのうち野田氏だけが大臣になれなかったのは､その影響だと思います｣(評論家･塩田潮氏)
藤井裕久の引きで財務副大臣になり､さらに菅が財務大臣を辞めたことで昇格したが､大臣になってからの野田の政治実績は景気や円高対策での無為無策を見れば明らか｡政権交代実現を国民に実感させる予算編成､自公時代とは違う経済政策とか､そういうものが何もない｡いるのかいないのか分からない財務大臣だった｡
菅に負けず劣らずの中身空っぽ首相の誕生なのである｡一体､この国はどうなるのか｡
◆こんな代表選結果で何が起きるのか
経済ｱﾅﾘｽﾄの菊池英博氏がこう危惧する｡
｢野田だけは､絶対に首相にしてはいけない｡危険人物です｡彼はいきなり大連立と大増税を掲げて代表選に名乗りを上げた｡これは､民主党の政権交代ｽﾛｰｶﾞﾝを否定するもので､国民への裏切り行為です｡まして､この大ﾃﾞﾌﾚ不況の中で緊縮増税路線を進めたら､日本経済は沈没ですよ｡新卒者の3人に1人が就職できない時代なのに､野田首相が誕生したら､日本のGDPは2､3年で400兆円を割るまでに収縮し､2人に1人が就職できなくなってしまいますよ｣
野田は代表選の演説では､票欲しさから大連立も消費税ｱｯﾌﾟもひとまず“封印”していた｡しかし､ﾊﾞｯｸに財務省がつき､大連立で何でもやらせようと操っているのだから､衣の下に鎧(よろい)である｡
早い話､与謝野馨を首相にするのと変わらない｡これじゃあ､株価も上がらない｡復興景気の気分どころではないのだが､民主党議員たちはそんな貧乏神をﾄｯﾌﾟに選んでしまったのだ｡
◆こんな代表選結果で何が起きるのか
野田は代表選演説で､2年間は解散はしないと宣言していた｡地味で人気のない野田なら実際に解散･総選挙はないだろう､政権にしがみつけると計算して､民主党議員は野田支持に雪崩を打った｡だが､問題はそんな虫のいい話がずっと続くかどうかだ｡
評論家の塩田潮氏はこう言う｡
｢野田氏は慎重な調整型政治家｡最初は支持率も低い｡小渕元首相のように少しずつ支持率を上げていくのが理想でしょうが､たぶん､すぐに成果は出ない｡9月､10月､11月と何も新鮮味がない政治が続くでしょう｡そこを国民が我慢できるかどうかです｣
大震災､原発事故であらゆる面が壊れた日本｡じっくりｺﾂｺﾂの政治で間に合うのか｡財界やﾏｽｺﾐは辛抱強く付き合ってくれるのか｡｢もっとｽﾋﾟｰﾃﾞｨｰにやれ｣の批判が渦巻き､すぐに正念場を迎える可能性の方がずっと大きい｡
◆小沢を追放したﾏｽｺﾐは小沢系を拒否しているが､そもそも小沢は犯罪人なのか
それにしてもひどかったのが､この間の｢小沢憎し｣のﾏｽｺﾐ報道だ｡
大新聞は代表選が始まる前から｢主役は小沢氏｣と書き立て､“小沢ｷﾝｸﾞﾒｰｶｰ”だの“小沢支配”だのと批判記事のｵﾝﾊﾟﾚｰﾄﾞだった｡連日のように｢反小沢結集｣｢小沢阻止連合｣の見出しが躍ったものだ｡
野田の勝利を受けた読売(夕刊)なんて､｢党内の多数が小沢一郎元代表の『復権』にﾉｰを突きつけたことを意味する｣と書いていた｡｢そこまで書くか｣と言いたくなってくる｡
こうも徹底的にやられたら､国民は嫌でも小沢が悪の親玉で､海江田がその手先のように映る｡世論の小沢への拒否反応も､代表選に影響したのは間違いないのだ｡
しかし､そもそも小沢は復権が許されない“犯罪者”なのか｡
大ﾏｽｺﾐが洪水のような検察ﾘｰｸ報道で袋叩きにした小沢の｢政治とｶﾈ｣は､検察のﾃﾞﾀﾗﾒが次々と発覚｡裁判では｢小沢無罪｣が確定的になっている｡
大ﾏｽｺﾐと検察は敗北している｡しかし､自分たちの非を認めたくない｡報道のﾃﾞﾀﾗﾒを無理やり正当化するために､小沢を犯罪人扱いし続ける｡異常だし､狂気だ｡政治評論家の本澤二郎氏が言う｡
｢記者ｸﾗﾌﾞが27日に主催した代表選候補5人の共同会見が象徴的でした｡海江田氏に質問した全国紙の記者3人は､政策は一切聞かず､小沢氏に関する質問ばかりを繰り返した｡さすがに海江田氏も『私は小沢氏本人ではない』と怒ったが､そのあまりに露骨で品格のないやり方には､ほかの記者たちも驚き､呆れたほどです｡NHKは生中継していたが､あれを見たら､事情を知らない国民や民主党の若手はﾀﾞﾏされて当然ですよ｣
戦前戦中の日本でも､報道機関はｼﾞｬﾏ者に｢非国民｣のﾚｯﾃﾙを貼って排除し､国と国民を誤らせたが､同じ狂気が続いているのだ｡大ﾏｽｺﾐこそがこの国のがんだ｡
◆小沢排除で民主党民主党は壊れ､ｶﾞﾀｶﾞﾀになったのではないのか
そもそも､09年の総選挙で308議席を獲得し､政権交代を果たした民主党政治が､たったの2年でｶﾞﾀｶﾞﾀに壊れてしまったのはなぜか｡ｱﾎな民主党議員はもう忘れてしまったらしい｡
多くの有権者は､小沢が掲げた｢国民の生活が第一｣の公約を支持し､民主党に政権を託したのだ｡それなのに､権力亡者の菅が､検察捜査とﾏｽｺﾐの小沢叩きに便乗し､｢脱小沢｣｢ｸﾘｰﾝな政治｣を叫んで小沢排除に突っ走った｡揚げ句､官僚に取り込まれて､ﾏﾆﾌｪｽﾄの見直し､消費増税路線に百八十度ｶｼﾞを切る｡その結果､昨年の参院選で大惨敗し､国会のﾈｼﾞﾚを生んで苦しんでいるのである｡
あとは周知の通りだ｡小沢がいなくなってｼﾛｳﾄ集団と化した民主党政権は､自公につけ込まれ､政権交代の目玉だった｢子ども手当｣を事実上､廃止してしまった｡｢高校無償化｣｢農家戸別補償｣｢高速道路無料化｣の残り3Kも撤回を迫られ､自民党には公約ｳｿの反省文まで要求されるﾃｲﾀﾗｸだ｡
いまや当初の民主党政治は見る影もない｡
｢今回の代表選の結果に一番喜んでいるのは､いつまでも既得権益を手放したくない財界やｵｰﾙ霞が関､大ﾏｽｺﾐなどの“旧勢力”でしょう｡彼らからすると､実力者の小沢氏さえ排除できれば､誰が首相になろうと大差はない｡官僚ﾍﾞｯﾀﾘの菅政権がそうだったように､簡単に操縦できる｡民主党は今こそ原点に戻らなければならないのに､また大ﾏｽｺﾐに踊らされ､同じ過ちを繰り返しているのです｣(本澤二郎氏=前出)
小沢排除に何の意味があったのか､そこを考えようとしない多くの民主党議員｡つくづく､どうしようもない連中だ｡
◆野田が民自公連立路線を唱える意図は何か
｢まず､信頼できる相手と思ってもらえる関係になるかどうかだ｡粘り強く付き合いながら(大連立を)視野に入れていきたい｣
代表選後の会見で､野田が改めて強調したのは大連立についての意気込みだ｡代表候補に名乗りを上げて以降､野田は｢下心でなく､真心でお願いすれば聞いてもらえる｣｢101回でもﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞしたい｣と､青くさい青年の主張のように民自公連立路線を唱えてきたが､なぜここまで大連立が必要なのか｡
｢ひとことで言えば､小沢排除の論理です｡自公両党と連立を組めば､目の上のﾀﾝｺﾌﾞである小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟの影響力が薄まる｡仮に小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟがまとめて党を飛び出ても政権は延命できる｡つまり､脱小沢派が実権を握り続けるための安易な数合わせ｡史上最低の菅首相を支え､ｸﾋﾞが当然の政権中枢ﾒﾝﾊﾞｰの生き残り策に過ぎません｣(政治評論家･山口朝雄氏)
大連立に前向きなのは､前原前外相も同じだ｡これまで自民党の大島副総裁を窓口に大連立を仕掛けてきたのは､仙谷官房副長官である｡大連立を目指す連中はそろって｢脱小沢派｣なのだ｡彼らの意図は明白だ｡
野田が｢もうﾉｰｻｲﾄﾞにしましょう｣と挙党態勢を呼び掛けたところで白々しい｡野田が大連立を唱える限り､不毛な小沢排除の論理は延々と続く｡
◆原発も電力独占も自民党の利権政治だが､民主党はそれをﾌﾞﾁ壊すのをやめるのか
野田が小沢排除の大連立路線を突き進めば､この国の政治はｸﾞﾁｬｸﾞﾁｬになる｡ﾊｯｷﾘ言って一巻の終わりだ｡元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏は､こう警鐘を鳴らす｡
｢今回の原発事故だって“真犯人”は歴代の自民党政権ですよ｡原発行政にしろ､電力独占にしろ､長年にわたった利権政治が日本をﾒﾁｬｸﾁｬにしたのです｡自民悪政をﾌﾞﾁ壊し､この国を立ち直らせるのが民主党の使命であり､国民が政権交代に託した切実な願いだったはず｡民主党が自民党と手を握るなんて国民を裏切る犯罪行為です｡大連立が実現すれば､原発事故の原因究明は“臭いものにﾌﾀ”で闇から闇｡その上､復興に名を借りた大増税路線にまっしぐらです｡国民が今以上に疲弊してしまうのは明らかで､それを知りながら､大連立に好意的で加担するような一部ﾒﾃﾞｨｱも罪深い｡敗戦確実と知りながら､戦争へ突入した戦前の報道さながらです｣
脱小沢派と大ﾏｽｺﾐの共犯関係｡この国は間違いなく沈没の道をたどっている｡
◆今回の代表選で民主党は原点に回帰し国を再生できなくなった
今回の代表選は､民主党に与えられた最後のﾁｬﾝｽだった｡大ﾏｽｺﾐの世論誘導に踊らされ､小沢排除でｶﾞﾀｶﾞﾀになった党内を立て直す絶好の機会だった｡もう一度､民主党の原点に立ち戻り､2年前に国民と約束したﾏﾆﾌｪｽﾄの理念に回帰して､日本再生に取り組むべきだった｡
しかし､野田新代表という愚かな選出で､最後にして最大のﾁｬﾝｽをみすみす失った｡
野田は代表選の決意表明で｢浪人中に子育てをしていて､“ああ､子ども手当があったらな”と思うことがあった｡ﾏﾆﾌｪｽﾄの方向性に間違いはない｣と歯が浮くようなｾﾘﾌでﾏﾆﾌｪｽﾄ堅持を訴えたが､そのﾏﾆﾌｪｽﾄの撤廃こそ､自民党の大連立の条件だ｡いきなり矛盾をはらんだ野田に､原点回帰は不可能だ｡法大教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う｡
｢野田氏は大連立､大増税､ﾏﾆﾌｪｽﾄ見直しという有権者裏切りの三冠王｡国民が期待を託した『民主党らしさ』から最もかけ離れた新代表です｡野田氏がねじれ国会を恐れるあまり､自民党にｽﾘ寄るほど､民主党は存在意義をなくして政権交代の意義も失われていく｡もともと野田氏は財務省べったりだし､決選投票の2･3位連合で支持を得た以上､前原前外相を閣内で優遇すれば､外交政策の右ﾌﾞﾚと従米路線が強まりかねません｡財務省と米国の言いなりという自民党以下の政権の誕生で､小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟを中心に政権批判の声が再び高まる｡安定政権どころか､早くも分裂含み｡民主党は野田氏の新代表選出で終焉を迎えたのです｣
きょうで歴史的な政権交代から丸2年｡記念すべき日が民主党の命日となりそうなのだ｡
◆どうやっても新政権はすぐ潰れ総選挙は避けられない
野田民主党の命運は､つまるところ､経済問題や外交の立て直しに加え党内の結束にかかっている｡しかし､野田を選んだことで､手品師でもない限り､どう考えたって政権運営は難しい｡最初から綱渡り政局が続く｡
｢すべて人事が大事｡それによって､長持ちするかどうかが見えます｡菅政権と同じ人物にﾎﾟｽﾄを与え､居抜きのようなことをやっていたら､終わりです｡そこが最大のｶｷﾞ｡自民党などの野党にとって､野田首相は攻めにくい相手ですが､それでも外交や経済問題で失敗が見えれば､すかさず解散を求めて総攻撃してきますよ｣
菅がﾒﾁｬｸﾁｬに壊した民主党政権を引き継ぐのは､ｶﾞﾚｷを集めてﾊﾞﾗｯｸ小屋を急ごしらえするようなもの｡
棟梁の腕が優秀なら､1年くらいは嵐にも耐えられる｡しかし､党内ﾊﾞﾗﾊﾞﾗで基礎はﾕﾙﾕﾙ｡おまけに棟梁が腕の悪い野田では､外交で一大事が起きたり､ｽｷｬﾝﾀﾞﾙが持ち上がっただけでも､野田ﾊﾞﾗｯｸ小屋はあっちこっちが壊れてﾍﾟｼｬﾝｺだ｡すぐに潰れて総選挙に追い詰められるのは､避けようがないことなのである｡
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