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野田内閣が発足した。一言で言えば「増税路線内閣」。野田氏は党役員人事では、小沢氏に近い輿石参院議員を幹事長に、鳩山氏の側近である平野前官房長官を国対委員長に、そして前原氏を政調会長に起用した。民主党代表選後に唱えた「党内融和」の約束を守った。同様に、閣僚人事でも彼の主張通りに「増税路線」人事を断行したということだ。彼に投票した民主党議員は「増税」に文句を言えない。
内閣の今一つの特徴は、「論功行賞人事」。その両方を具備したのが、安住淳氏の財務大臣である。彼は、代表選で劣勢が伝えられた野田氏を、岡田前幹事長や玄葉前政調会長と共に応援した。野田氏が第１回目の投票で前原氏を上回る票を得、決選投票に臨めたのは、彼ら党役員の応援があったからだ。野田氏が、岡田前幹事長の入閣に最後まで拘ったのも、彼の功に報いようとしたのだと言っても間違いないだろう。
安住氏は被災地の宮城県石巻市の出身。早大卒業後、ＮＨＫ記者を経て９６年に衆院議員に初当選。以来５期・１４年間の議員生活で、農水行政や外交安保畑を歩んだ。菅内閣では、党選対委員長で参院選惨敗の責任者でありながら、その後、国対委員長に就任した。そこで国会対策は経験したが、国家財政や為替問題など、財務畑は全くの門外漢であることは間違いない。それだから財務大臣になったとも言える。
２日の夕刊フジは、「参った。ニュース速報で『財務相に安住氏』と流れた瞬間に株は下げ幅を広げた」と、相場をウオッチしていた株式市場関係者はぼやいたと伝えている。「財務相という重要ポストとしてはあまりに軽く、経済政策の手腕にも強い不安がある。早晩、財務省に丸め込まれて増税に走るのでは」という懸念が市場に広がったためだと、市場関係者は述べたそうだ。誰もがそう考えるし、その通りだ。
野田首相と財務官僚たちにとって「増税」を推し進めるには、財務大臣は誰でもよかった。と言うか「財相は軽くてパーがよい」のだ。また、楽天証券経済研究所の山崎元氏が、「安住氏はキャンペーンの先頭に立つのが得意な人なので、討論会用の財務大臣といえるのではないか」と言うように、党内の増税反対派や国民を誑かすには、彼はうってつけの人材なのだろう。言うなれば２代目パペット（操り人形）なのだ。
毎日新聞は、海江田前経産相が「財務省内閣」だと不満を漏らしたと報じているが、不満でも何でもない、ただ、本質を述べただけだ。野田内閣は９５代目だそうだが、過去にこれほど軽量な大蔵・財務大臣は存在しなかったと断言しても過言ではない。党役員人事が「党内融和」的であるとして、野田氏を評価する声があったが、この人事を見ただけで、野田人事に合格点を与えることは躊躇せざるを得ない。
また野田氏は、認証式後の記者会見で、復興財源は時限的増税だと明言した。“徹底した歳出削減”を行なった上でとは述べたが、それを蓮舫行政刷新担当・公務員改革相に期待したのだろうか。そうではなくて、国民にこれ以上歳出削減は難しいと思わせるために、彼女のパフォーマンスに期待したのだろうか。国民も、彼女のパフォーマンスに誑かさされるほど、馬鹿ではないと思うが・・・。
そして、元大蔵官僚の古川元久氏の国家戦略・経済財政担当相。古川氏は貧乏神の前任者よりは若さはある。だが菅内閣で、藤井、仙谷両氏などと「税と社会保障一体改革」をまとめた増税派である。彼が、２年前の政権交代時に、国家戦略局構想を説明していたことを憶えている。だが、政調会は復活し、民主党も自民党と同じ政策決定構造になって来た。所詮、実行力の乏しい大蔵省出身のパペット政治家だろう。
新首相が「論功行賞人事」を行なうのは当然だ。そのために「適材適所」の言葉とは程遠い人事になることも否めない。玄葉外相や平岡法相（司法試験合格の大蔵官僚出身）も、そういう見方をすれば納得できるだろう。人事の「党内融和」と、政策面での「党内融和」とは決して同じではない。さて、この先この政策面での「党内融和」がどう進むのだろうか。そこに注目して行きたい。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=113581
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