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志位委員長の代表質問 衆院本会議 「しんぶん赤旗」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/556.html
投稿者 AAA+ 日時 2011 年 11 月 02 日 11:34:53: HRvoVvuTAqkVc
 

(写真)質問する志位和夫委員長=1日、衆院本会議

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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-02/2011110204_01_0.html

2011年11月2日(水)
志位委員長の代表質問 衆院本会議


 日本共産党の志位和夫委員長が1日、衆院本会議で行った代表質問は次の通りです。

[大震災と原発災害からの復興財源をどうするか]

 私は、日本共産党を代表して、野田総理に質問いたします。

 まず東日本大震災と原発事故の復興財源についてうかがいます。


<あらかじめ決めた範囲内でなく、古い枠組みを見直し大胆に財源の確保を>

 大震災から8カ月近くが経過し、被災地では復興に向けて懸命の努力がつづけられていますが、生活と生業(なりわい)の再建は遅々として進んでいません。原発事故は、なお収束の見通しがたたず、放射能被害は拡大し、賠償と除染の遅れが被災者をさらに苦しめています。復興をすすめるうえで、その財源をどう確保するかは、最大の問題となっています。

 今回の大震災は、かつてない地震・津波災害に、原発災害がくわわるという、未曽有の規模の大災害です。すべての被災者の生活と生業の基盤を回復し、原発災害への全面賠償と除染をすすめ、地域社会全体の復興をすすめるという大仕事は、これまでの古い政治の枠組みのもとで財源枠をあらかじめ決め、その範囲内で施策を行うという小手先の姿勢では、到底なしとげることはできません。

 総理にうかがいます。復興を本格的に前進させようとすれば、住宅再建への支援額・支援対象の抜本的拡大、店舗・工場の復旧のための直接支援の創設をはじめ、従来の枠組みをこえた新たな対策がどうしても必要です。くわえて、原発対策には特別の財源が必要となります。あらかじめ決めた財源枠の範囲のなかでという姿勢でなく、必要なことは何でもやる、そのためにこれまでの古い枠組みを聖域なく見直し、大胆に財源を確保するという姿勢が強く求められると考えますが、いかがですか。

<庶民増税はすべて法人税減税で消え、復興財源は1円も生まれない>

 この点で政府・与党の姿勢はどうでしょうか。

 政府・与党は、「復興財源」として、15年間で、8・8兆円の所得税・住民税の増税など庶民増税を中心に、11・2兆円の増税を行おうとしています。

 ところがその一方で、法人税減税は、この大震災のもとでも財界にいわれるまま予定通り実施し、政府が行うとしている「課税ベースの拡大」を含めても、法人税減税による税収減は、15年間で総額12兆円にものぼります。

 総理、15年間で、庶民増税を中心に11・2兆円の増税を行っても、総額12兆円の法人税減税を行えば、差し引きでマイナス8000億円、庶民増税はすべて法人税減税で消えてしまうではありませんか。これでは、復興のための財源は1円も生まれず、借金が増えるだけではありませんか。庶民増税は、大企業減税の財源づくりが目的ではありませんか。答弁を求めます。

<一般の復興財源――歴代政権が聖域にしてきた分野にメスを入れよ>

 日本共産党は、財源問題を解決するうえで、地震・津波災害の復興財源――一般の復興財源と、原発災害の賠償・除染などのための財源――原発災害対策財源を、それぞれ確保する、その抜本的方策として、つぎの提案をするものです。

 第一に、一般の復興財源は、古い政治の枠組みに切り込む歳出・歳入の見直しで確保すべきです。歴代政権が聖域としてきた米軍への「思いやり予算」や米軍基地関連予算、政党助成金を廃止するだけでも、15年間に5兆円の財源が生まれます。

 歳入では、法人税減税と証券優遇税制の延長――大企業と大資産家への減税のばらまきをやめれば年間1・7兆円、15年間で25兆円を超える財源が生まれます。

 これらを実行すれば、庶民増税なしに復興財源を確保することは可能です。政府が、被災地の復興に責任を持って取り組むというのなら、歴代政権が聖域にしてきたこれらの分野にメスを入れることは避けて通れないと考えますが、いかがですか。

<原発災害対策の財源――「原発埋蔵金」を活用し「基金」の創設を>

 第二に、原発災害対策の財源をどう確保するか。

 賠償と除染にかかる費用は巨額のものとなることが予想されます。

 環境省の試算でさえ、今後除染が進められることになる年間追加被ばく線量1ミリシーベルト以上の地域は、1万1600平方キロ、国土の3%に及ぶとされています。ところが、政府が提出した第3次補正予算案で計上された除染予算は、わずかに2400億円、来年度予算とあわせても1・2兆円です。これではあまりに少ない、本腰を入れて除染に取り組む姿勢とはほど遠いと考えますが、いかがですか。

 賠償と除染にかかる費用は、第一義的には事故を引き起こした加害者である東京電力が負担すべきです。同時に、東電をはじめ電力業界は、核燃料サイクル計画などのために、「使用済み核燃料再処理等引当金」をはじめ約19兆円の積み立てを計画的に行っており、すでに4・8兆円の積み立て残高があります。しかし、使用済み核燃料の再処理と核燃料サイクルは、原発以上に危険きわまりないものであり、中止すべきものです。そこで、この積立金――いわば「原発埋蔵金」を、国が一括して管理する基金に移し、「原発賠償・除染・廃炉基金」を創設し、原発災害対策の財源として活用することを提案するものです。

 電力業界だけでなく、原子炉メーカー、大手ゼネコン、鉄鋼・セメントメーカー、大銀行など、原発ビジネスを推進し、巨額の利益をあげてきた「原発利益共同体」に属する大企業にも、「基金」への応分の拠出を求めるべきです。原発を推進してきた「日本原子力産業協会」に属する主要100社の内部留保の合計は80兆円にものぼります。これらの大企業には、資金を拠出する社会的責任とともに、十分な体力もあります。

 総理は、10月7日の党首会談で、私がこの提案を行ったさい、「ご指摘の原発関係のお金については、今後、エネルギー政策全般を見直すなかで洗い出し、洗い出したお金は可能な限りそちらの方(賠償と除染)につかっていく」と答えました。私は、総理が、この言明をただちに具体化・実行し、原発災害対策のための巨額の財源をまかなう抜本的方策をとることを、強く要求します。答弁を求めます。

[TPPへの暴走に反対、経済主権・食料主権を尊重した経済関係の確立を]

 つぎにTPP(環太平洋連携協定)交渉参加問題について質問します。

 政府・与党が、11月中旬のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、TPP交渉への参加表明を行うことを念頭に、検討を進めていることに、広範な国民の不安と怒りが広がっています。

 TPP参加がもたらすものは何か。私は、四つの大問題について、総理の見解をただすものです。

<大震災からの復興への最大の妨げになるのではないか>

 第一は、これが大震災からの復興への最大の妨げになるという問題です。

 いま被災地では、大震災によって破壊された農地を復旧するための懸命の作業が続けられています。しかし、岩手県、宮城県、福島県の3県で、来年度までに営農が再開できると見込まれている農地の面積は、農林水産省の試算でわずか37%にとどまっています。

 「農地を復旧しても、TPPによる米価の暴落で、地域農業はつぶされてしまう」、「TPPへの参加を検討していると聞いただけで、復興への気持ちがくじかれてしまう」、総理は、被災地からのこの痛切な声にどう答えますか。被災地の主要産業である農林水産業への打撃をどう考えているのですか。

 総理は、大震災からの復興を「最優先課題」と言いました。その言葉が真実であるならば、いまなすべきはTPP参加ではありません。壊された農地の復旧に全力をあげ、生産・加工・流通一体で農林水産業のインフラ(基盤)復旧に全力をあげることではありませんか。答弁を求めます。

<「自給率50%」と「関税ゼロ」がどうやって両立できるのか>

 第二は、国民への食料の安定供給を土台から壊すという問題です。

 TPPとは、農産物も含めてすべての品目の関税をゼロにする協定です。「関税ゼロ」となったら、農水省の試算によると、食料自給率は40%から13%に急落し、コメ生産の90%は破壊され、農林水産物の生産は4兆5千億円も減少します。一方、政府は、昨年3月に、食料自給率を50%に引き上げる「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定しています。「自給率50%」と「関税ゼロ」がどうやって両立できるのか。総理、国民にわかるように具体的に説明していただきたい。

 政府は、10月、現在1戸あたり平均2ヘクタールの耕地面積を、今後5年で10倍まで拡大し、20〜30ヘクタールにするという「大規模化」の方針を打ち出しました。この方針自体が、中小農家、兼業農家を切り捨てるという大問題をはらんだものですが、たとえ20〜30ヘクタールにしたところで、平均耕地面積が200ヘクタールのアメリカ、3000ヘクタールのオーストラリアとどうやって競争せよというのか。

 すでに1戸あたり平均耕地面積が22ヘクタールになっている北海道でも、TPPに参加したら、農業と関連産業、地域経済が2・1兆円もの損失をこうむることが、道の試算で明らかにされています。どんなに「大規模化」をしたところで、アメリカやオーストラリアとの競争が不可能であることは、火を見るよりも明瞭ではありませんか。

 どの国でも、自国の主要な農産物を関税で守ることは、当たり前に行われています。すでに日本の輸入農産物の平均関税率は12%まで下がり、EUの20%、メキシコの43%、韓国の62%、インドの124%と比較しても、日本は世界で最も「農業が開かれた国」になってしまっています。

 地球的規模での食糧危機と飢餓の広がりのなかで、自給できる力を持ちながら、自国の農業を破壊し、外国からの食料に頼る道を選ぶことは、世界にも顔向けできない行為だと考えますが、答弁を求めます。

<暮らしのあらゆる分野で米国の対日要求が強要されるのではないか>

 第三は、TPPでは農業と食料だけでなく、暮らしと経済のあらゆる分野が交渉対象とされ、米国の対日要求が強要されるという問題です。

 TPPとは、関税撤廃だけでなく、関税以外の貿易障壁――「非関税障壁」の撤廃を大原則とした協定です。そして、これまで米国の通商代表部の報告書などでは、つぎのような対日要求が列挙されてきました。

 「食の安全」にかかわっては、牛肉のBSE(牛海綿状脳症)対策で日本が行っている月齢制限などの規制の緩和、残留農薬や食品添加物の規制の緩和、遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃など、日本国民の食の安全を脅かす要求が列挙されています。

 「医療」にかかわっては、混合診療の全面解禁、株式会社の病院経営への参入、血液製剤の輸入規制の緩和などの要求が並んでいます。保険のきかない医療が拡大し、お金持ちしかよい医療を受けられなくなる、医療に利益第一が持ち込まれることで不採算部門の切り捨てや地域からの医療機関の撤退などが進むことなどが、強く危惧されています。

 「政府調達」にかかわっては、米国は、政府や地方自治体の官公需――物品購入や公共事業に、アメリカ企業を参入させることを要求しています。それぞれの地方自治体が行っている中小企業、地元企業への優先発注などが、「非関税障壁」として排除されれば、地域経済は深刻な打撃を受けることになります。

 農業以外のこれらの懸念にたいし、政府は「TPPの交渉対象になっていない」などと弁明しています。「TPPおばけ」などと中傷する議論もあります。たしかにこれらの対日要求のなかには、TPPのこれまでの交渉では議論されていないものもあります。しかし、日本が参加すれば交渉対象となる可能性が大いにあります。

 総理に2点うかがいたい。

 第一。いま例示したアメリカによる対日要求の諸項目が、TPPの交渉対象にならないという合意あるいは保証がありますか。

 第二。これらの諸項目がTPPの交渉対象になったとき、一つでも「ノー」といえるものがありますか。あるならば具体的に明示していただきたい。答弁を求めます。

<アメリカに日本をまるごと売り渡す亡国の政治に断固として反対をつらぬく>

 第四に、総理は、TPPに参加すれば「世界経済の成長を取り込む」ことができるとのべていますが、そんな保証がどこにあるかという問題です。

 仮に日本が交渉に参加して、TPPが10カ国の枠組みになったとすると、日米だけで10カ国のGDP(国内総生産)の91%を占めることになります。つまり、日本にとってのTPP参加とは、事実上の日米FTA(自由貿易協定)締結となる、より正確にいえば「例外なしの関税撤廃を原則とする日米FTA」の締結と同じことではありませんか。

 それではTPP参加によってアメリカへの輸出が増えるでしょうか。アメリカへの輸出の最大の障害となっているのは、関税ではありません。円高とドル安です。TPP参加による関税撤廃と円高・ドル安によってもたらされるのは、アメリカからの一方的な輸入拡大ではないですか。そしてそれがもたらすのは350万人もの失業者だということは、農水省の試算でも示されている通りです。失業者が街にあふれれば、労働者の賃下げ、家計と内需の縮小がいっそう深刻になるでしょう。

 総理、TPP参加によって「世界経済の成長を取り込む」どころか、アメリカの対日輸出戦略に日本が取り込まれる。これが、真実の姿ではありませんか。それは日本経済を成長させるどころか、内需縮小と衰退への道ではありませんか。

 日本共産党は、アメリカに日本をまるごと売り渡す、このような亡国の政治には、断固として反対をつらぬきます。

 従属の論理ではなく、お互いの経済主権・食料主権を尊重した平等・互恵の経済関係の確立にこそ、日本の未来があるということが私たちの確信であります。

[普天間基地――「県内移設反対」の県民の総意への認識を問う]

<県民の頭越しに事をすすめる「強権国家」――この批判にどう答えるか>

 つぎに沖縄の米軍基地問題について質問します。

 この間、日米防衛相会談が行われ、日本側は、「辺野古移設」の日米合意の強行にむけた第一歩として、年内に「環境影響評価書」を沖縄県に提出することを確約しました。米側は、これを「歓迎」し、「環境影響評価」が終了したら、ただちに沖縄県に対して埋め立て申請を行うよう要求しました。

 私は、「県内移設反対」「普天間基地の閉鎖・撤去」という沖縄県民の総意を無視し、県民の頭越しに事を進めようという政府の強権的姿勢に強く抗議します。

 沖縄タイムスは社説で「民主主義が泣いている」と書きました。琉球新報は社説で「多くの県民の目には『日米同盟』のためなら手段を選ばぬ『強権国家』としか映らないだろう」と書きました。総理は、「民主主義が泣いている」、「強権国家」という沖縄の批判にどう答えますか。


<沖縄県民の総意の根源には、戦後66年にわたる重い歴史の累積がある>

 稲嶺名護市長が、「オール沖縄で県内移設を受け入れる状況にない」と断言しているように、「県内移設反対」はもはや揺らぐことのない沖縄県民の総意です。

 私が、総理に問いたいのは、沖縄で形作られたこの総意、噴き出している怒りの根源に、何があると認識しているのかという根本問題です。

 私は、沖縄県民の総意の根源には、戦後66年にわたる異常な基地の重圧が、忍耐の限界を超えているという、重い歴史の累積があると考えます。

 なぜ沖縄本島の18%も占める基地が存在するのか。もともと沖縄の米軍基地は、太平洋戦争末期、凄惨(せいさん)な地上戦をへて米軍が占領したさいに、住民を12の収容所に強制的に囲い込み、広大な民有地を強奪して建設されたものでした。普天間基地がつくられた場所には、民家も、役所も、郵便局も、墓地も、サトウキビ畑もあったのです。さらに1951年以降、米軍は銃剣とブルドーザーで、民家と農地を押しつぶして基地を拡張しました。ハーグ陸戦法規は、占領下の略奪や私有財産の没収を禁じています。沖縄の基地は、生まれながらにして国際法違反の基地なのです。総理には、そういう認識がありますか。答弁を願いたい。

 こうしてつくられた米軍基地によって、戦後66年間、沖縄県民は耐え難い苦しみを背負わされてきました。沖縄県民の心に共通して刻まれている痛ましい事件・事故があります。6歳の少女が強姦(ごうかん)され、殺されて、海岸に打ち捨てられた由美子ちゃん事件。小学校に米軍機が墜落してたくさんの児童が亡くなった宮森小学校の惨事。米軍機から落下傘で降下されたトレーラーに、少女が自宅の庭で押しつぶされて亡くなった隆子ちゃん事件。島ぐるみの怒りが噴き上がった1995年の少女暴行事件。沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落したあわや大惨事というあの事故。これらは、沖縄県民ならば誰もが知る、忘れようにも忘れることができない、心に深く刻み込まれた悲劇です。

 「県内移設反対」――21世紀の今になって新しい海兵隊の基地をつくることは絶対に許さないという県民の総意は、こうした歴史の痛みと苦しみの累積の上につくられたものなのです。総理には、そういう認識がありますか。

 そういう認識が少しでもあるならば、アメリカに命じられるまま、「使い走り」のように、県民の頭越しに力ずくで新基地建設を押し付けるなどという愚かな行動はとれないはずです。

 沖縄問題を解決する道は一つしかありません。それは、「辺野古移設」の日米合意を白紙に戻し、普天間基地の無条件撤去を求めて、米国政府と本腰の交渉を行うことです。そのことを総理に強く求めて、私の質問を終わります。


 

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コメント
 
01. 2011年11月02日 13:55:04: tXeRGquu5w
「賠償と除染にかかる費用は、第一義的には事故を引き起こした加害者である東京電力が負担すべき」なのか?

http://www.fromhc.com/column/2011/05/post-129.html

「異常に巨大な天災地変」なら東電は免責されるはずだが。原賠法に照らして東電の法的責任は問われないはずだが。

ちなみに原賠法は、この免責規定も含めて、共産党も賛成したものだ。

それなのに共産党は、民主党政権に同調して、原賠法を無視するのか?

共産党は、自分たちも原賠法に賛成したという過去を、黒歴史にするのか?

フェアではないな。


02. 2011年11月02日 14:37:49: bQDsJffDvU
このところ「しんぶん赤旗」のクリップが多い。投稿者は同一人物。党員数を整理したら実働活動家が公式数字の半分程度に激減していることが判明。これだけでも購読者数激減する。それに加え、購読料の500円値上げで、産経新聞購読料を上回ってしまった。かくして新規購読者を獲得するべく、こうして本掲示板に頻繁登場となったのだろう。
しかし、コピペ記事はありきたりのものばかり。せめて投稿者のコメントなりが付されているのであれば、議論のしようがあるがそれも無い。
赤旗独自の取材に基づいたスクープをコピペするよう投稿者には求めたい。たとえば、ベトナム政府代表者との会見は赤旗ならではという記事であった。共産党は「検察審査会」の現在のありようを肯定している。日曜版には弁護士にそれを語らせている。こうした記事を、投稿者のコメントつきで投稿すべきだろう。また、国土交通省幹部による天下り斡旋も皆が知りたいことだ。

出来ることなら、先の中央委員会総会の概要と、投稿者のそれへのコメントなぞも読んでみたいものだ。


03. 2011年11月02日 15:08:11: UEP6JpXgMc
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日本共産党 第25回大会決議

2010年1月16日採択

(目次)

第1章 日本政治の「新しい時期」とそれをつくりだした力
 (1)前大会決議と、日本政治の大きな変化の始まり
 (2)歴史問題の前向きの打開と、今後の課題について
 (3)総選挙は「過渡的な情勢」と特徴づけられる「新しい時期」を開いた
 (4)国民の世論と運動、日本共産党のたたかいが「新しい時期」を開いた

第2章 「過渡的な情勢」のもとでの日本共産党の任務
 (5)「過渡的な情勢」のもとでの国民の認識の発展過程と、わが党の任務
 (6)国民要求にこたえて現実政治を前に動かす
 (7)「二つの異常」をただす改革(1)――「異常な対米従属」の打破
 (8)「二つの異常」をただす改革(2)――「ルールある経済社会」を
 (9)日本の政治の反動的逆行を許さない
 (10)「国民が主人公」の日本へ――新しい条件をくみつくし国民的共同を

第3章 大きく変わりつつある世界と、日本共産党の立場
 (11)世界では平和と社会進歩への激動が進展しつつある
 (12)米国・オバマ政権と、日本共産党の立場
 (13)世界に広がる平和の地域共同体の動き
 (14)民主的な国際経済秩序を求める動きの進展
 (15)どうしたら人類は「核兵器のない世界」に到達できるか
 (16)地球温暖化対策の到達点と今後の課題について
 (17)日本共産党の野党外交の発展について

第4章 国政と地方政治での躍進、強大な党建設をめざす方針
 (18)参議院選挙での党躍進の条件、政治的意義について
 (19)参議院選挙の目標と方針について
 (20)地方政治の新たな特徴と、地方選挙の方針について
 (21)綱領実現をめざし、中期的展望にたった「成長・発展目標」をもって奮闘する
 (22)「過渡的な情勢」を前にすすめる質量ともに強大な党建設を

第5章 激動の世界と未来社会への展望について
 (23)世界の資本主義の矛盾の深まりと、科学的社会主義への注目
 (24)21世紀の世界の現実のなかでの未来社会への動き
 (25)党綱領の示す21世紀の世界史的な展望にたって
第1章 日本政治の「新しい時期」とそれをつくりだした力
(1)前大会決議と、日本政治の大きな変化の始まり

 私たちは、この党大会を、日本政治の大きな変化の始まりという激動的情勢のもとで迎えている。

 4年前の第24回党大会決議は、「自民党政治の危機とゆきづまりは、外交でも、内政でも、最も深刻な段階をむかえている」とのべ、その根底に、世界の他の資本主義国にも類例のない「自民党政治の三つの異常な特質」――「過去の侵略戦争を正当化する異常」「アメリカいいなり政治の異常」「極端な大企業中心主義の異常」があることを指摘し、これらの異常をただす日本改革の方針を、党綱領にそくして全面的に明らかにした。

 前大会決議は、2005年の総選挙で、小泉・自民党が、郵政問題一本に争点をしぼるという国民をあざむく方法で議席の大幅増を果たしたことについて、「うそとごまかしが明らかになれば、政治の大きな激動はさけられない」「日本の情勢は、古い政治の枠組みを打開する新しい政治を切実にもとめる、歴史的時期をむかえている」とのべた。

 この提起は、日本の情勢と展望を正確に見通すものだった。それは4年間におこった日本政治の大きな変化によって証明された。
(2)歴史問題の前向きの打開と、今後の課題について

 「過去の侵略戦争を正当化する異常」については、靖国神社参拝に固執しつづけた小泉首相への内外の批判の高まりと国際的孤立、「戦後レジームからの脱却」をスローガンに戦前・戦中の体制への逆行をめざした安倍首相の惨めな政権投げ出しなどによって、「靖国」派は重大な打撃を被り、事態の前向きの打開がはかられた。わが党は、歴史問題の打開を、「民主的政権の樹立を待たずに実行すべき、急務中の急務の課題」(前大会決議)と位置づけ、逆流を克服するうえで重要な積極的役割を果たした。

 逆流の根を断つ仕事はなお残されている。侵略戦争を肯定・美化する歴史教科書の問題を解決し、「植民地支配と侵略」への反省を教科書に反映させることが必要である。いまだに解決をみていない旧日本軍「慰安婦」問題などについては、政府としての謝罪と補償をおこなうことが急務である。

 2010年は、日本帝国主義が朝鮮半島全体を軍事的強圧のもとに併合してから100周年となる。日中でも、日韓でも、両国政府・両国国民間で、歴史認識の基本を共有することは、21世紀に日本が東アジアの人びとと真の平和と友好を築いていくうえで、土台となる重要な課題であり、わが党はそのために引き続き力をつくす。日朝両国関係の正常化にさいしても、歴史問題を、解決すべき諸懸案の一つとして、重視してとりくむ必要がある。
(3)総選挙は「過渡的な情勢」と特徴づけられる「新しい時期」を開いた

 2009年8月におこなわれた衆議院選挙での国民の審判は、「過渡的な情勢」と特徴づけることができる日本政治の「新しい時期」を開くものとなった。

 主権者・国民が、自民・公明政権への退場の審判をくだしたことは、日本の政治にとって前向きの大きな一歩であり、新しい歴史のページを開く意義をもつ、歓迎すべき出来事である。国民が総選挙の審判にかけた思いは、自公政権によってもたらされた耐えがたい暮らしの苦難、平和の危機をとりのぞきたい、「政治を変えたい」という強い願いである。これは一時の選挙での審判にとどまらず、選挙後の情勢全体を前向きに動かす大きな力として作用しつづけている。

 同時に、日本の政治は、「二つの異常」――「異常な対米従属」「大企業・財界の横暴な支配」から抜け出す方向を定めるまでにはいたっていない。国民は、「自公政権ノー」の審判をくだしたが、民主党の政策と路線を支持したわけではないし、自公政治に代わる新しい政治は何かについて答えを出したわけではない。暮らしの苦難、平和の危機をもたらした政治の根源に何があるのか、旧来の政治に代わる新しい政治の中身が何かについて、多くの国民は模索と探求の途上にある。国民が、新しい政治を本格的に探求する「新しい時期」がはじまったのである。

 民主党中心の新政権が示している過渡的な性格は、情勢のこうした過渡的な特徴を、その最初の局面で反映したものにほかならない。新政権の政策には、「政治を変えたい」という国民の願いを反映した前向きの要素も混在しており、そのなかにはある範囲で、財界・大企業やアメリカの意向と矛盾する要素も存在する。同時に、新政権の政策・路線には、「二つの異常」から抜け出す立場は示されていないし、国民の利益に反した問題点も少なからず顕在化している。くわえて、衆院比例定数削減の方針にみられる議会制民主主義を危うくする逆行的要素など、民主党固有の否定的政策の存在も軽視できない。

 わが党は、新政権のもとで、「政治を変えたい」という国民の期待にこたえるとともに、不安や批判を代弁して問題点をただし、日本の政治をさらに前にすすめる「建設的野党」として奮闘する。
(4)国民の世論と運動、日本共産党のたたかいが「新しい時期」を開いた

 日本政治の「新しい時期」を開いた力は何か。それは暮らしと平和を壊す旧来の政治と国民の利益との矛盾であり、国民の世論とたたかいである。とくに「構造改革」の名でおしつけられた新自由主義の政策によって、社会的貧困と格差がきわめて深刻となり、その打開をもとめる国民的なたたかいが、社会のあらゆる分野でおこったことは、日本の政治を動かす大きな力となった。

 日本共産党は、情勢の前向きの変化をつくるうえで重要な役割を果たした。国民の暮らしにかかわる決定的場面――たとえば1999年の労働者派遣法改悪による派遣労働の原則自由化、後期高齢者医療制度へのレールを敷いた2000年の健康保険法改悪の「付帯決議」、1993年から95年にかけてのコメ輸入自由化にさいして、国民の利益にたって反対をつらぬいたのはわが党だけだったが、どの問題でも、いまではわが党の主張が国民多数の声となり、現実政治を動かしている。

 小泉・安倍政権ですすめられた「構造改革」路線の暴走に対して、前大会決定が、「社会的連帯で社会的反撃を」との国民への呼び掛けをおこない、党があらゆる分野で国民運動との連帯・共同を広げ、強めるために奮闘したことは、この路線を破たんに追い込むうえで重要な役割を果たした。

 1993年以来、財界など支配勢力が主導してすすめてきた「二大政党づくり」のくわだての狙(ねら)いは、(1)同じ古い政治の土台のうえで、「二大政党」による政権交代をおこなう体制をつくりあげ、この体制のもとで悪政を競い合わせ、危機に陥った旧来の政治の延命をはかるとともに、(2)小選挙区制導入と、「二大政党」以外は選択肢の外におくというキャンペーンの両方によって、日本共産党の活動と存在を日本の政界から締め出し、あわよくば抹殺することにおかれていた。

 しかし、総選挙で示された国民の審判は、古い政治の担い手だった自民・公明に厳しい退場の審判をくだし、旧来の政治からの変化を強く求めるものとなった。日本共産党が、支配勢力による最大の狙い――政界からのわが党の排除・抹殺という狙いに抗して、この数回の国政選挙でその地歩を維持し、意気軒高に活動していることは、全国の支持者、後援会員、党員の支援と奮闘のたまものであり、支配勢力の最大の誤算である。

 日本の情勢の深部で広がった支配体制と国民の利益との矛盾の蓄積が、政治の前面にあふれ出し、国民的規模での新しい政治の探求という巨大な奔流となっている――これがいまおこっていることである。わが党は、日本政治の「新しい時期」を開いた国民の世論と運動、日本共産党のたたかいの力に自信と誇りをもち、日本の政治が「過渡的な情勢」から、さらにすすんだ段階へと発展することを促進するために、知恵と力をつくす。
第2章 「過渡的な情勢」のもとでの日本共産党の任務
(5)「過渡的な情勢」のもとでの国民の認識の発展過程と、わが党の任務

 「過渡的な情勢」のもとでの国民の探求の過程、認識の発展の過程には、さまざまな曲折や試行錯誤もあるだろうが、国民が、自らの切実な要求を実現することを出発点にしながら、つぎのような政治的な体験を一つひとつ積み重ねるなかで、日本の政治をさらに前にすすめる自覚と力量を高めていく必然性がある。

 ――一方で、新しい情勢のもとで、運動と力関係のいかんで、国民要求が一定の範囲内で実現する条件が生まれている。旧来の政治ではなかなか実現しなかった要求が、新しい情勢のもとで実現する。そのことは、「国民が声をあげれば政治は変わる」という自覚と確信を広げるものとなるだろう。

 ――他方で、要求の本格的な実現には、なお、大きな障害があることが実体験されるだろう。たとえば労働者派遣法の抜本改正をすすめようとすれば財界の抵抗にぶつかる。沖縄の基地問題を解決しようとすれば日米軍事同盟の体制にぶつかる。国民要求と「二つの異常」とのかかわりが、これまでよりも直接的な形で明らかになってくるだろう。

 ――各種の政治勢力の性格や役割が、このプロセスをつうじて試されることになるだろう。民主党政権の過渡的な性格や限界・問題点、「二つの異常」を特徴とする古い政治の代弁者としての自民党の反動的な姿勢、「建設的野党」としての日本共産党の役割が試され、国民の前で明りょうとなっていく。

 ――これらの政治的体験の総体が、新しい政治を探求する国民の自覚と力量の前進の推進力となるだろう。そして、国民は、一つひとつの政治的体験をつうじて、暮らしと平和にかかわる自らの切実な願いを実現しようとするならば、日本の政治が「二つの異常」から抜け出し、「国民こそ主人公」の新しい日本にすすむ必要があるという認識を発展させることになるだろう。

 このプロセスは自然にすすむものではない。切実な要求の実現を求める国民のたたかい、それを阻むさまざまな逆行の動き、そのせめぎ合いのなかで、新しい政治への国民の探求は前進する。日本の政治が「二つの異常」から抜け出す力を、国民の間にいかにつくりあげていくか。その自覚と力量の前進を後押しし、促進するところに「過渡的な情勢」のもとでの日本共産党の任務がある。

 とくにつぎの三つの任務が重要となっている。
(6)国民要求にこたえて現実政治を前に動かす

 第一の任務は、国民要求にこたえて現実政治を前に動かすことである。国民の切実な要求から出発し、現実の政治を一歩でも二歩でも前に動かすために力をつくすとともに、要求の本格的な実現のためには「二つの異常」をただす根本的な改革が必要であることを、明らかにしていく。そうした見地で、各分野で、旧来の政策のどこを転換すべきか、それぞれの「要」をにぎったたたかいが重要である。
イ、暮らしと経済の分野

 雇用――失業給付の延長、失業者への支援の抜本的な拡充をすすめる。日本社会の貧困と格差を深刻にした最大の元凶である労働法制の規制緩和路線と決別して、労働者派遣法の抜本改正など規制強化へと転換し、「雇用は正社員が当たり前の社会」をめざす。時給千円以上をめざし全国一律の最低賃金制度の確立をはかる。

 社会保障――後期高齢者医療制度のすみやかな撤廃をはじめ、社会保障費削減路線が生んだ数々の「負の遺産」を是正する。受益者負担主義を転換し、医療、介護、障害者福祉などの利用料は無料化をめざして負担軽減をはかる。社会保障を"大企業の利潤追求の場"に明け渡し、公的責任を後退させる市場化・民営化路線を抜本的に転換し、介護・保育・医療・年金などの充実を、国の責任ではかる。憲法25条の生存権を保障する社会保障、「権利としての社会保障」を、社会のあらゆる分野でうちたてる。

 中小零細企業――倒産・経営危機を回避するため、信用保証制度など融資面での支援の抜本的拡充とともに、緊急の休業補償・直接支援をおこなう。大企業優先の産業政策から、中小企業を文字どおり「日本経済の主役」として位置づける政策への転換をはかり、それにふさわしい製品開発や人材・後継者育成などの「振興策」、大企業の横暴から中小零細企業を守る「規制策」をすすめる。

 農林漁業――再生産が可能な農家収入を保障する価格保障・所得補償と、関税など国境措置の維持・強化を一体ですすめる。歯止めない輸入自由化路線を転換することは要をなす問題である。ミニマムアクセス米の「義務的」輸入をやめ、日本農業に甚大な打撃を与える日米FTA(自由貿易協定)、日豪EPA(経済連携協定)に反対するとともに、貿易拡大一辺倒のWTO(世界貿易機関)農業協定の改定など、各国の食料主権を保障する貿易ルールの確立を求める。林業を、地域経済と低炭素社会実現に不可欠な産業として国政に位置づけ、外材依存政策を転換し、国産材の利用拡大と森林の整備をすすめ、林業・木材産業を再生させる。漁業が、食料の供給とともに、海洋・国土・環境保全の役割を果たすよう、水産資源の維持・回復、水産物価格の安定・省エネ対策など漁業経営の支援をおこない、漁業・漁村の振興をはかる。

 子育て支援――子ども手当など経済的給付の充実とともに、長時間労働の是正や男女ともに家族的責任を果たせるようにするための雇用のルールの改革、認可保育園の大幅増設によって待機児童を解消するなど、「子育てがしにくい」という日本社会のあり方を変える総合的な取り組みをおこなう。

 地球環境――2020年までに1990年比25%削減という温室効果ガス削減の中期目標は重要な一歩前進だが、これを実効あるものにするには、政府が、排出量全体の7割を占める産業界と公的削減協定を締結し、大企業に温暖化対策での社会的責任を果たさせることが不可欠である。化石燃料依存をあらため、再生可能エネルギーの利用を抜本的に高める。温暖化対策を口実にした原発推進は、放射能汚染という深刻な環境破壊を生みだすものであり、反対する。

 税制――大企業や大資産家にたいする行き過ぎた優遇税制をあらため、応能負担の原則にたった民主的税制(生計費非課税、総合・累進、直接税中心)の再構築をはかる。消費税増税、配偶者控除や扶養控除の廃止などによる庶民増税にきびしく反対する。
ロ、平和と民主主義の分野

 米軍基地――「米軍再編」の名による基地強化・固定化に反対し、縮小・撤去をめざす。沖縄・普天間(ふてんま)基地の問題は、「対等な日米関係」を主張している新政権の最初の試金石となる重大な問題である。「海兵隊は抑止力として必要」「日米安保があるから」という"二つの呪縛(じゅばく)"に縛られたままの対応では問題は解決しない。破たんした「県内たらい回し」路線、「移設条件付き返還」路線ときっぱり決別し、無条件撤去を強く求める。沖縄と本土が固く連帯して、「基地のない沖縄」「基地のない日本」をめざす一大国民闘争を発展させる。米軍への「思いやり予算」を撤廃するとともに、約3兆円にものぼるグアム移転経費を含む「米軍再編」経費の負担を中止する。

 自衛隊――インド洋であれソマリア沖であれ、憲法違反の自衛隊の海外派兵はすみやかに中止し、撤退を求める。世界のどこにでも自衛隊を派兵できる恒久法である「海賊対処」法を撤廃するとともに、世界の紛争への軍事介入を可能にする海外派兵恒久法に強く反対する。海外派兵型装備の導入・開発の全廃など、大幅軍縮への転換をはかる。

 核兵器――「日米核密約」を公開・廃棄し、「事前協議」条項を無条件に実施させ、「非核三原則」の厳正な実施をはかる。「核の傘」から離脱し、名実ともに「非核の日本」をめざす。核兵器廃絶を主題とした国際交渉のすみやかな開始など、「核兵器のない世界」にむけて被爆国としての真のイニシアチブを発揮する。

 憲法――改憲派はこの間の政治情勢の変化のなかで打撃を受けたが、憲法改定への危険は過小評価できない。民主党のマニフェストには、同党の「憲法提言」にもとづく改憲志向が明記されている。国連の決定があれば海外での武力行使を「合憲」とする解釈改憲を求める動きも根深い。憲法改悪に反対するゆるぎない国民的多数派をつくるためにひきつづき努力するとともに、憲法を平和と暮らしに生かすたたかいを発展させる。前進しつつある「九条の会」に連帯し、その一翼を担って奮闘する。

 教育――国の制度として少人数学級に踏み出すとともに、教育のすべての段階での教育費負担の軽減・無償化、とりわけ高校と大学の学費無償化をはかる。世界でも異常な競争主義と序列主義の教育を根本からあらため、学習指導要領の強制をはじめ教育内容への国家的統制をやめさせる。教育への国家的介入をすすめる憲法違反の改悪教育基本法を抜本的に改定し、日本国憲法と子どもの権利条約の原理に立脚し、一人ひとりの子どもたちの主権者としての人格の完成を目的とし、国民の教育権、教育の自由と自主性を擁護・発展させる新しい教育基本法策定への国民的合意の形成をはかる。

 学術・文化・スポーツ――学術、文化、スポーツの各分野への短期的な効率主義や成果主義の持ち込みによる予算縮減を許さない。大学の基盤的経費を充実し、科学・技術の基礎研究と若手研究者支援を抜本的に拡充する。芸術・文化の支援とスポーツ振興への国の責任を果たし、国民の権利として文化とスポーツが保障される社会をめざす。

 男女平等――国連女性差別撤廃条約を具体化・実現し、社会のあらゆる分野での女性差別を一掃する。女性労働者の2人に1人以上が非正規雇用労働者として不安定、低賃金のもとにおかれ、昇進・昇格のうえで深刻な差別を受けている事態を抜本的に打開し、均等待遇を実現し、女性も男性もともに仕事と家庭の両立ができる社会をめざす。
(7)「二つの異常」をただす改革(1)――「異常な対米従属」の打破

 第二の任務は、旧来の政治の「二つの異常」をただし、党綱領が示す「国民が主人公」の新しい日本への改革をめざす国民的合意をつくることである。

 この問題では、前項に示した国民の切実な要求から出発して改革の必然性を明らかにしていくとりくみとともに、わが党がめざす日本改革の方針を実行することが、日本の政治にどういう新しい時代を開くかについて、広く明らかにしていく独自の努力をおこなう。とくに世界の動きにてらして、日本の政治の「異常」を広く明らかにし、改革の合理性、必然性を示していくことは、重要である。

 一つは、「異常な対米従属」の政治を打破し、独立・平和の日本をきずく改革である。

 2010年は、1960年に国民的規模の反対闘争が展開されるなか、それを押し切って日米安保条約が改定されてからちょうど50周年の節目の年となる。この半世紀で、軍事同盟をめぐる世界の情勢はどう変化したのか、そのなかで日米軍事同盟はどういう特質をもっているのかを、広い視野にたって検証し、打開の道を示すことが大切である。

 世界は、この半世紀に、大局的にいえば、軍事同盟から抜け出して、外部に仮想敵をもたない、開かれた地域の平和共同体が世界各地に広がるという方向に大きく変わりつつある。

 この半世紀に、多くの軍事同盟が、解体、機能不全、弱体化におちいった。旧ソ連を中心とした軍事同盟は、ソ連崩壊とともに基本的に解体・解消した。米国を中心とした軍事同盟も、東南アジア条約機構(SEATO)の解散、中東地域の中央条約機構(CENTO)の解散、オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ合衆国安全保障条約(ANZUS)の機能停止、米州相互援助条約(リオ条約)の機能停止と、全体として解散・機能停止がつづいた。その結果、米国を中心とした軍事同盟で、現在、実態的に機能しているものは、北大西洋条約機構(NATO)、日米、米韓、米豪の軍事同盟の四つしかない。これらの軍事同盟のもとにある国は、31カ国、国連加盟国数の16%、人口は10億8千万人で世界人口の16%にすぎない。

 半世紀前はどうだったか。1960年当時は、米ソを中心とした軍事同盟のもとにあった国の数は52カ国をかぞえ、当時の国連加盟国の53%、軍事同盟のもとにある国の人口は植民地を含めて世界人口の67%を占めていた。人口の67%から16%に――半世紀前に軍事同盟に覆われていた世界は、大きく変わった。軍事同盟は、21世紀の今日の世界で、「20世紀の遺物」というべき、時代錯誤の存在となっているのである。

 くわえて、日米軍事同盟は、米国を中心とした四つの軍事同盟のなかでも、他に類のない異常な特質をもっている。

 ――日本の米軍基地は、1980年代以降に面積では2倍以上に広がった(自衛隊との共用を含む)。海外に駐留する米軍総数は、世界的規模ではソ連崩壊後に、約61万人から約28万人へと半数以下に減っているにもかかわらず、在日駐留米兵数は4万人前後とほとんど変化がない。

 ――在日米軍基地は、海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群、航空宇宙遠征軍など、日本防衛とは無関係の、干渉と介入が専門の「殴りこみ」部隊がつぎつぎと配備され、米国の侵略的な世界戦略の一大根拠地として強化されてきた。海兵遠征軍が配備されている(沖縄、岩国)のも、空母打撃群と遠征打撃群の母港がおかれている(横須賀、佐世保)のも、世界で日本だけである。米国防総省の発表では、この数年をみても、日本に駐留する米軍は、陸海空海兵隊の4軍そろって、常時、2千人から3千人以上が、イラクやアフガニスタンの戦争に投入されている。在日米軍基地は、「殴り込み」戦争の最前線の基地として、常時、戦時下におかれているのである。

 ――在日米軍による事件・事故・犯罪・住民生活への被害は、きわめて深刻である。1995年におこった沖縄での米兵による少女暴行事件のさい、米兵が裁かれた女性暴行事件や未成年者へのわいせつ行為などの性犯罪が、米軍基地のある他の国々と比べて突出して高いことが問題となったが、その実態は現在も変わっていない。犯罪をおこした米兵が日米地位協定の治外法権的な特権によって守られるという屈辱的事態が繰り返し問題になっているにもかかわらず、半世紀にわたって日米地位協定がいっさい改定されないままであることも、異常きわまりないことである。

 ――米軍駐留経費負担として、国民の血税をつぎ込むことの「気前良さ」でも、日本は「世界一」の異常な国である。米国防総省の「共同防衛における同盟国の貢献度」報告(2004年)によれば、日本の米軍駐留経費負担は、米国の同盟国27カ国(当時)のなかでも突出しており、2位のドイツ以下26カ国の合計を上回る。米国政府自身が、「日本にいるほうが安上がり」と公言するような世界でも突出した米軍駐留経費負担が、米軍の居座り、基地増強をもたらしている。

 ――半世紀前の安保改定時に、安保条約を「対等なもの、日本の自主性を確保するものに改める」として、その道具立てとして宣伝された「事前協議」制度は、「日米密約」と一体のものであり、まったく実体のない国民を欺く「虚構」でしかなかったことが、つぎつぎと明らかになっている。米軍の日本からの出撃行動も、艦船や軍用機の寄港・通過による核兵器の持ち込みも、米国との「事前協議」の対象とせず、自由勝手におこなえることが、「日米密約」でとりかわされ、それにそった運用が現在まで続いていることは、否定しがたい事実となっている。

 ――「米軍再編」の名で、日米軍事同盟の体制は、日米安保条約の枠組みさえこえた、地球的規模の「日米同盟」への侵略的変質を深めている。2006年6月の日米首脳会談では、「新世紀の日米同盟」と題する「共同宣言」がかわされ、「21世紀の地球的規模での協力のための新しい日米同盟」が宣言された。日米が、世界における共通の戦略目標をもち、米軍と自衛隊の軍事一体化をはかり、基地体制の抜本的強化をはかる――これがいますすめられようとしていることの中身である。

 ――日米安保条約のもとで、日本経済は米国への従属と支配のもとにおかれている。米国政府は、1994年から毎年、日本に「年次改革要望書」を提出し、新自由主義のおしつけと市場開放を迫ってきた。金融の自由化、郵政民営化などは、いずれも米国の要求から始まったものである。こうした経済的従属の「制度化」がはかられている国は、世界でも日本だけである。こうした米国の理不尽な要求の「制度化」は、日本財界・大企業の横暴な要求とも結びつき、日本経済のゆがみを一段と激しいものとし、そのゆがみは世界経済危機のもとで国民生活が陥った特別に深刻な苦難という形で噴き出した。

 新政権は、「対等な同盟」ということを強調しているが、この軍事同盟の不平等性、従属性、侵略性の深さは、世界に二つとないほど異常で、突出したものである。それは、恒久平和主義を世界で最も先駆的な形でうたった日本国憲法第9条とは、根本的に相いれない存在である。

 日米安保条約を解消し、基地のない日本、独立・平和の日本を築くためには、国民多数の合意が必要である。そのために、わが党は、平和を求める国民の願いを実現するたたかいを、立場の違いをこえた共同の力ですすめながら、その願いを阻む根源に日米安保条約が存在することを、広く明らかにしてたたかう。同時に、改定から50年をへて、世界でも突出した従属性と危険性を、その全身にまとっている日米軍事同盟の真実の姿を、広い国民の共通の認識とするために、力をつくす。

 また、東アジアに平和的環境をつくりあげていく平和外交と一体に、日米安保条約廃棄の国民的合意をつくりあげていく努力が大切である。わが党は、北朝鮮問題の解決のためには、困難はあっても「6カ国協議」の枠組みを復活させ、これを通じて核・拉致(らち)・ミサイル・歴史問題など諸懸案の包括的解決をはかり、これを地域の平和と安定の枠組みに発展させるという立場での対応を堅持する。
(8)「二つの異常」をただす改革(2)――「ルールある経済社会」を

 いま一つは、世界でも異常な「財界・大企業の横暴な支配」を打破し、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」をつくる改革である。

 党綱領では、「ルールなき資本主義」の現状を打破し、「ルールある経済社会」をつくる改革をすすめるさいに、「ヨーロッパの主要資本主義諸国や国際条約などの到達点も踏まえ」ることが重要だと指摘している。すなわち、わが党がめざす当面の経済改革は、机上で考え出したプランではない。世界の人民のたたかいを反映して、すでに国際条約の形で確立しているルールや、欧州の主要資本主義諸国ですでに実現しているルールを踏まえて、日本の現状にふさわしい形で具体化しようというものにほかならない。

 「ヨーロッパの主要資本主義諸国や国際条約などの到達点」にてらすと、「ルールなき資本主義」といわれる日本の現状がいかに異常かが一目瞭然(りょうぜん)となる。
イ、国際条約の到達点にてらして 

 まず、国際条約の到達点にてらして、日本の現状はどうか。

 国際労働機関(ILO)が採択した183の条約(失効5条約をのぞく)のうち、日本が批准しているのは48の条約で、わずか4分の1にすぎない。とりわけ、日本は、1号条約(8時間労働制)をはじめとする18本の労働時間・休暇関係の条約を1本も批准していないが、そうした国は主要な先進資本主義国のなかで、米国と日本だけである。111号(雇用における差別禁止条約)、158号(解雇規制条約)、175号(パートタイム条約)など、焦点となっている一連の条約も未批准である。世界の他の国には見られない「過労死」「派遣村」という現状は、こうした政治の姿勢から生まれているのである。

 国連女性差別撤廃条約(1979年に国連総会で採択)は、雇用にかかわる男女平等から、女性の社会進出と家庭の問題を両立させることまで、女性に対するあらゆる差別の撤廃を義務づけた画期的な条約だが、日本はこの条約を形式的に批准しながら、実質的にはまったく実行していない。2009年8月に国連女性差別撤廃委員会から日本政府に出された勧告は、「本条約が、拘束力のある人権関連文書として、また締約国における女性に対するあらゆる形態の差別撤廃及び女性の地位向上の基盤として重視されていない」などと厳しく批判し、条約の完全実施にもとづく差別の是正を強く求めている。

 国連の社会権規約委員会からは、公的年金に最低保障が存在しないことへの懸念が表明され、最低保障を取り入れるべきだとの勧告を受けている。国際人権規約の学費無償化条項を留保しているのは、日本とマダガスカルのみであり、日本が世界一の高学費の国となっていることも、恥ずかしいことである。

 わが党は、雇用、社会保障、教育、男女平等、人権と民主主義など、あらゆる分野で、国際条約の水準を日本の常識にする改革を、政治の責任ですすめることを求めてたたかう。
ロ、欧州の主要国の到達点にてらして

 欧州の主要国の到達点にてらしても、日本の異常な立ち遅れは深刻である。

 欧州連合(EU)は、経済的共同体の関係が発展するにつれて、ヨーロッパに共通する「社会的なルール」づくりを積極的にすすめている。とくに1990年代以降、社会労働政策で共通の基準を確立する動きがすすんでいることは注目される。

 残業や変形労働時間を含めて週48時間を超えた労働を禁止した「労働時間指令」、パートタイム労働者とフルタイム労働者の均等待遇を定めた「パートタイム労働指令」、雇用契約期間の定めがある労働は合理的理由がある場合に限定する「有期労働指令」、派遣労働者と正社員との均等待遇を定めた「派遣労働指令」などが、欧州連合の共通のルールとしてつくられている。欧州規模での、労働組合、経営者団体、公共企業体連合の協議がおこなわれ、団体協約が結ばれるという、ルールづくりをすすめる制度的枠組みもつくられている。欧州の経験は、日本の経済の民主的改革をすすめるうえで重要な参考になる。

 現下の世界経済危機にさいしても、「社会的ルール」があるかどうかによって、国民に被害があらわれる規模と度合い、その形態は大きく違っている。ヨーロッパ諸国でも、世界経済危機の被害を受け、失業者も出ている。しかし、日本での「派遣村」に象徴されるような、職を失うとともに住居も奪われるという事態は、欧州では生まれていない。労働者のなかで非正規雇用労働者は1割前後であり、失業給付が1年から3年程度保障され、生活扶助も手厚いうえに、住まいに関する権利が国民に広く保障されているからである。「ルールなき資本主義」の国・日本では、経済危機が特別に残酷な形であらわれているのである。

 「ルールある経済社会」への転換は、今日の日本の経済と社会が直面している諸問題――貧困と格差の拡大、「使い捨て」労働の広がり、社会保障の劣悪化と将来不安の増大、長時間労働による労働者の健康破壊と家族への多大な犠牲、少子化問題、地域社会の崩壊、環境問題などの解決をはかり、日本社会と経済の健全な発展への大きな道を開くものである。

 それは、日本経済が、今日の経済危機から抜け出し、家計・内需主導で安定的に成長するうえでも、最も合理的な方策である。今日の世界経済危機は「金融危機と過剰生産恐慌の結合」という性格をもっているが、日本で起こっていることも「過剰生産恐慌」にほかならない。この10年余で雇用者報酬が大幅に落ち込む一方、大企業の内部留保は急増した。大企業が利益をあげても、勤労者に還元されず、巨額の内部留保として蓄積された。このことが家計・内需を著しくやせ細らせ、日本経済を外需頼みの脆弱(ぜいじゃく)な経済にする結果となった。ここには「ルールなき資本主義」の深刻なゆがみが、象徴的な形で示されている。大企業が蓄積した過度の内部留保を、雇用や中小企業、社会に還元させる政策への転換が必要である。「ルールある経済社会」を築くことは、そのための具体的な方策にほかならない。それはまた、中長期的な視野でみれば、大企業の健全な発展にもつながることを、強調したい。

 この改革をすすめるためには、「大企業にたいする民主的規制を主な手段として、その横暴な経済支配をおさえる」(党綱領)ことが必要である。この課題にかかわって、わが党は、この間の大企業による無法な「非正規切り」にさいして、日本経団連や主要な大企業と直接の会談をおこない、雇用への社会的責任を果たすことを求めたが、これらの活動は労働者の生活と権利を守るとともに、わが党が政権を担う党への力量を高めていくプロセスとしても意義あるとりくみである。「国際競争力」を呪文(じゅもん)のように繰り返すことで、自らの社会的責任を逃れようとする大企業・財界の身勝手な論理を打ち破ることは、重要な意義をもつ。わが党は、「大企業に正面からモノが言える党」として、国民とともに「ルールある経済社会」への改革をすすめるために力をつくす。
(9)日本の政治の反動的逆行を許さない

 第三の任務は、日本の政治の反動的な逆行を許さないということである。

 「過渡的な情勢」とは、主権者・国民の審判によって、日本の情勢が大きく前に踏み出したという新しい情勢だが、それが今後どういう方向にすすむかは不確定であり、それは国民の世論と運動、政治的な力関係のいかんによって決まってくる。私たちは、このプロセスを逆行させ、「二つの異常」の政治の枠内に閉じ込めようとする動き、そうした動きが現実のものとなる危険性を、決して過小評価してはならない。

 とくに、民主党政権において、またこの政権にかかわって、つぎのような民主主義に逆行する一連の問題点があらわれていることは重大である。
イ、「脱官僚依存」を名目にした「国会改革」について

 民主党は、「脱官僚依存」を名目にして「国会改革」をすすめようとしているが、ここには憲法の民主主義と平和の諸原則にかかわる重大な問題点がある。法律によって「官僚による答弁禁止」を決めることは、国民の代表者である国会と国会議員が行政機構、官僚機構を直接に調査・監督する権能――国会による「国政調査権」「行政監督権」を決定的に弱めるものである。

 さらに、民主党の「国会改革」の方針では、内閣法制局長官も官僚だとして、その国会答弁を禁止することに特別の重点をおいている。一方、新政権は、憲法解釈について、内閣法制局長官の過去の答弁にしばられず、「政治主導」で決めていくとの見解を示している。これは解釈改憲を歯止めなくすすめる危険性をはらんでいる。

 歴代の内閣法制局長官は、憲法9条についての解釈改憲を積み重ね、憲法違反の自衛隊の海外派兵を合理化する論立てをすすめてきた。しかしそれでも、憲法9条のもとでは、「海外での武力の行使」「武力行使と一体になった活動」などは禁止されているとの一線を超えることはできなかった。民主党の立場は、「国連の決定があれば、武力の行使をおこなうことも、憲法上許される」というものだが、これは解釈改憲を積み重ねてきた内閣法制局であっても、到底踏み込むことが不可能な、特異な憲法解釈である。

 民主党がすすめようとしている「官僚答弁の禁止」の真の狙いの一つは、憲法解釈を「政治主導」の名で自由勝手に変え、民主党の特異な憲法解釈をおしつける――これまでの自民党政権ですら違憲としてきた自衛隊の海外での公然たる武力行使を「合憲化」する、きわめて危険なものといわなければならない。

 わが党は、国会の「国権の最高機関」としての機能を決定的に弱め、「政治主導」の名で解釈改憲を歯止めなしにすすめようとする動きに、きびしく反対する。
ロ、財界の青写真による強権的国家づくりに反対する

 民主党政権がいま、「政治主導」の名ですすめようとしていることの本質は何か。「二大政党づくり」の青写真を体系的に示した2002年10月の経済同友会の提言――「首相のリーダーシップの確立と政策本位の政治の実現を求めて」を読むと、いま民主党政権がすすめようとしていることは、この青写真を驚くほど忠実に実行に移すものになっていることがわかる。経済同友会の「提言」の中心点はつぎの通りである。

 ――「内閣と与党の一元化推進による首相のリーダーシップの確立」。そのために「与党政策責任者が閣僚を兼ね、......内閣と与党の一層の一元化を推進する」。また、「大臣・副大臣・政務官がチームとして力を発揮するよう首相主導の組閣・人事を徹底する」。

 ――「政策本位の政治を実現する政治改革」を実現する。そのために「各政党は政権政策(マニフェスト)を示して総選挙を戦う」。「各政党が、詳細な数値目標、達成時期、具体的な財政的裏付け等を明示した政権政策(マニフェスト)を党の方針として世に問い、選挙に勝った政党が政権政策を実行する。その後政権政党が次回選挙までに政策を自己評価するとともに、有権者は現政権の業績評価を行い、同じ政権を継続させるか、政権を交代させるかの意思決定をするという政治のサイクルを確立する」(政権政策〈マニフェスト〉による政治サイクル)。

 ――「真の政権交代を可能にする『単純小選挙区制』を導入する」。「衆議院議員総選挙とはまさに政権を選択する選挙となるべきであり、与野党とも政権政策(マニフェスト)を示すとともに、次の首相候補及び閣僚候補を明確に示した上で選挙を戦うことが求められる。そのために、真の政権交代を可能にする選挙制度として『単純小選挙区制』の導入を検討してはどうか。『単純小選挙区制』による総選挙は、首相公選的要素を持った政権選択の選挙となる」。

 この青写真では、主権者である国民が、その意思を国政に反映する機会は、総選挙だけということになる。総選挙で、「政権政策」(マニフェスト)をもとに、ある政党を選んだら、つぎの総選挙までは「政権政策」の実行は政権を獲得した政党に白紙委任される。そこには、「国権の最高機関」としての国会が、不断に国民の民意に耳を傾けて審議をつくし、一つひとつの政策を決定していくという民主主義のプロセスは存在しない。

 総選挙の役割は、「政権選択」と「次の首相」を選ぶということのみに矮小(わいしょう)化される。国民の多様な意思を反映した代表者を選出し、多様な意思を国会に反映するという、議会制民主主義にとって死活的に重要な問題は無視される。こうしたゆがめられた役割に、もっともふさわしい選挙制度として、「単純小選挙区制」が提唱される。

 総選挙によって選出された首相は、「内閣と与党の一元化」によって、上意下達の「リーダーシップ」を発揮すべきだとされる。「議院内閣制をとる我が国では、政策決定の権限と責任は、首相を中心とした内閣にある」(経済同友会の「提言」)とされ、首相が政治・行政の最高権限をもつ存在だと規定される。

 これらの全体に共通するのは、「国権の最高機関」「唯一の立法機関」としての国会の権限と役割を否定すること、主権者である国民の民意にたえず耳を傾けた民主主義のプロセスを否定することにほかならない。

 わが党は、財界の青写真にそってすすめられようとしている強権的国家づくりに強く反対する。日本国憲法に定められた国民主権、議会制民主主義の原則を擁護・発展させるために全力をつくす。
ハ、比例定数削減に反対し、政治制度の民主的改革を

 政権についた民主党が、マニフェストに明記している衆院比例定数80削減は、財界が強権的国家づくりの青写真の「要(かなめ)」に位置づけている「単純小選挙区制」にむけての重大な一里塚であり、議会制民主主義破壊の方針である。かりにこれが強行されるならば、民主・自民両党で9割以上の絶対多数の議席を独占し、国民の民意をゆがめる小選挙区制の害悪は、いっそう極端なものとなる。消費税増税反対の声も、憲法9条改定反対の声も、国民多数の声が国会にとどかなくなる。

 1994年に、細川政権によって小選挙区・比例代表並立制の導入が強行されたさい、その推進勢力は、小選挙区制は「民意の集約」をはかり「政権の選択」のためのもので、それだけでは国民の多様な民意の反映をはかれないとの理由から、「民意の反映」を「担保」する制度として比例代表を組み合わせるという説明をしたものだった。並立制のもとで、「民意を反映」する唯一の部分である比例代表を大幅に削減することは、自らのかつての言明すら反故(ほご)にし、選挙制度にとって最も重要な民主的原則――「国民の民意を鏡のように反映する」という原則を根底から否定する暴論である。

 わが党は、衆院比例定数削減の動きにたいして、それに反対する一点で、あらゆる政党、団体、個人との共同を追求し、国民的大闘争によって、必ずこの反動的くわだてを打ち砕くために全力をあげる。

 さらに、わが党は、小選挙区制の撤廃、政党助成金の撤廃、比例代表中心の制度への選挙制度の抜本的改革を要求してたたかう。選挙供託金の国際水準なみへの引き下げ・選挙活動の自由化を強く求める。企業・団体献金の即時禁止を要求する。選挙制度改革にあたっては、定数3〜5の以前の中選挙区制に戻すこともよりましな選択肢となりうる。
ニ、マスメディアのあり方が根本から問われている

 民主党政権の直接の問題ではないが、マスメディアのあり方について、問題点を率直に提起したい。この十数年来続いている財界主導の「二大政党づくり」の動きのなかで、マスメディアの大勢は、いっかんしてこの動きを礼賛・推進する異常な役割を果たしてきた。その根本にはどういう仕組みが働いているのか。

 「21世紀臨調」という財界人、研究者、報道関係者、一部の知事・市町村長などからなる「運動体」がある。この運動は、その前身にあたる「民間政治臨調」(1992年発足)の時代に、小選挙区制導入に重大な役割を果たし、「21世紀臨調」(1999年発足)に衣替えして以降は、「国のあり方の改革と未完の政治改革とを『車の両輪』と位置づけて活動を進める」、国家改造の「運動体」であることを公然と宣言して活動をおこなってきた。小選挙区制の推進、「政権選択選挙」の推進、「首相を中心とする内閣主導体制」の推進――これらがこの「運動体」がとりくんできたことである。

 「21世紀臨調」が発行している「物語で読む21世紀臨調」は、2002年10月に経済同友会が発表した「提言」について、「マニフェストを作成することで政党政治のサイクルを立て直すことを経済界としては初めて明確な形で提言した」ものと高く評価している。強権的国家づくりという点で、両者のめざす方向は同じである。この間、民主党がすすめている「国会改革」にさいしても、「21世紀臨調」の「学者有志」らによる「提言」が、民主党に提示されるなど、この動きのブレーンとしての役割を果たしている。

 重大なことは、「21世紀臨調」の中核をなす155人の運営委員の中に、73人にのぼるマスメディア関係者が参加していることである(2009年11月現在)。「物語で読む21世紀臨調」によると、「21世紀臨調」は「何よりも改革実現のための運動体」であり、「(数々の提言を)公表するにとどまらず、マスメディアを通じて日常的な世論形成を行い、......改革を具体化し、実現していくことに最大の力点が置かれた」と、マスメディアを、自分たちに都合のよい世論を形成する手段として利用することを、あからさまに述べている。こうして「二大政党づくり」の大キャンペーンをすすめる仕組みがつくられているのである。

 「新聞倫理綱領」では「正確と公正」「独立と寛容」をうたっている。放送法では「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を放送事業者に義務づけている。これらにてらして、財界主導ですすめられている「二大政党づくり」と、強権的国家づくりという、特異な立場を推進する「運動体」に、多くのマスメディア関係者が参加し、「日常的な世論形成」をはかることが許されるか。公正、公平、独立というジャーナリズムの魂を、自ら投げ捨てるものではないか。わが党は、そのことを率直に指摘し、良識あるマスメディア関係者と広く協力するとともに、マスメディアが「社会の公器」としての責務を自覚して、こうしたあり方を見直すことを求める。

 情勢の反動的逆行を許さず、日本国憲法に定められた平和と民主主義の諸原則を守り発展させることは、日本共産党の重大な任務である。
(10)「国民が主人公」の日本へ――新しい条件をくみつくし国民的共同を

 国民要求にこたえて現実政治を前に動かす、「二つの異常」をただす改革をめざす国民的合意をつくる、情勢の反動的逆行を許さない――「過渡的な情勢」のもとで、日本共産党はこの三つの任務を果たし、日本の政治が「二つの異常」から抜け出す力を国民の間につくりあげていくために力をつくす。わが党がこの任務をやりとげるならば、日本の政治は「過渡的な情勢」を前向きに抜け出し、おのずと「国民が主人公」の民主的政権――民主連合政府を樹立する条件が開けてくるだろう。

 わが党のめざす民主主義的な変革は、「労働者、勤労市民、農漁民、中小企業家、知識人、女性、青年、学生など、独立、民主主義、平和、生活向上を求めるすべての人びとを結集した統一戦線によって、実現される」(党綱領)。

 この点で、総選挙が開いた新しい情勢のもとで、わが党の綱領的展望が、広範な国民と響き合う条件が、いよいよ広がっていることは重要である。農協、医師会、歯科医師会、自治体関係者など、従来の保守層のなかに大変動が起こっている。これまで保守基盤の中核をなしてきた団体、業界で、自民党支持を見直し、「全方位」ですべての政党と関係を持つという動きが広がっていることは、歓迎すべき重要な変化である。わが党は、国民のなかで起こっている大きな激動、新しい条件をくみつくし、広い視野にたち、国民的共同――統一戦線運動の新たな発展のための探求を前進させる。

 労働運動では、一致する要求を掲げ、ナショナルセンターの違いをこえた共同が、さまざまな分野ですすんでおり、それを発展させることが重要になっている。こうした共同の流れをさらに発展させ、労働者の要求を実現していくうえでも、連合指導部が、特定政党支持路線と労資協調主義路線という二つの重大な弱点を克服できるかどうかが問われている。労働者が要求にもとづく共同行動を前進させるうえで、結成20周年を迎えた全労連が果たす役割は、いよいよ大きくなっており、その発展が強く期待される。

 日本共産党が、1980年に提唱した革新懇運動は、2010年で30周年をむかえ、大きく発展しつつある。全国革新懇(「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」)に結集している草の根の革新懇は、地域、職場、青年で、合計801に達し、450万人を擁する組織として成長をつづけている。著名な知識人、文化人、経済人、宗教者をふくめ、各界の保守・無党派の方々を広く結集し、革新懇運動は、いま、新たな発展の段階を迎えようとしている。

 革新懇運動の活力、魅力の源泉は、草の根からの国民の要求にもとづく多彩な共同のとりくみをすすめると同時に、「三つの共同目標」――平和・民主主義・生活向上の三つの分野で、日本の政治を大本から変える革新の目標を堂々と掲げ、その目標に賛同する政党、団体、個人を広く結集し、国民多数の合意をつくることを、一貫して運動の大目標にしていることである。こういう国政革新の目標を掲げた統一戦線運動は革新懇運動だけであり、その役割は、総選挙後の新しい情勢の展開のもとでいっそう輝きをましている。わが党は、革新懇運動を、綱領的な任務として重視し、運動の「提唱者」の党として、その発展のためにあらゆる知恵と力をそそぐ。

 日本共産党が、高い政治的、理論的な力量をもち、広く国民諸階層と結びつき、強大な組織力をもって発展し、国政と地方政治での政治的比重を高めることは、新しい政治への国民的共同と統一戦線を発展させるための決定的な条件である。私たちは、2010年という節目の年に開かれるこの大会で、2010年代を党躍進の歴史的時代とするために、全力をつくす決意を新たにするものである。
第3章 大きく変わりつつある世界と、日本共産党の立場
(11)世界では平和と社会進歩への激動が進展しつつある

 前大会決議では、党綱領の立場を踏まえて、アメリカの動向に複眼で分析をくわえた。当時の第2期ブッシュ政権が、一方で、イラク戦争の泥沼化に象徴される一国覇権主義の孤立と破たんに直面しながら、なおそれに固執をつづけていること、他方で、「軍事力一本やりでは対応できない状況に直面して、米国政府のなかに、国際問題を外交交渉によって解決することを模索する動きがおこっていることは注目される」と指摘した。

 さらに、前大会決議では、「戦争と抑圧の国際秩序」に代わって、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序」をめざす流れが、地球的規模で豊かで多面的な広がりをみせながら前進していることを明らかにした。

 この4年間をふりかえると、世界では、さまざまな曲折や逆行をはらみながらも、全体としては、綱領と大会決定が見通した方向で、平和と社会進歩への激動が進展しつつあることが明りょうである。

 それは、日本共産党が日本でとりくんでいる社会変革の事業が世界の本流に立ったものであることを、力強く示すものとなっている。
(12)米国・オバマ政権と、日本共産党の立場

 党綱領の立場を踏まえて、アメリカの動向を事実にそくして複眼でとらえるという見地は、米国に誕生した新政権のもとで、ますます重要となっている。

 2008年におこなわれた米国大統領選挙では、イラク戦争に反対するなどブッシュ政権の軍事・外交政策を厳しく批判したバラク・オバマ氏が当選した。わが党は、オバマ政権の発足にあたって、「アメリカ建国以来初の黒人大統領の誕生であり、この歴史的な出来事がアメリカ社会の民主的活力の発揮につながっていくことを期待している」と表明するとともに、アメリカが直面している諸困難・諸矛盾は、すべて、アメリカ一国の利害を優先させた政策的誤りの累積と結びついていることを指摘し、新大統領が、どのような方向でそこからの転換をはかるかを注視してきた。さらに日米関係では、旧来の支配と従属の関係を脱却し、対等・平等の日米関係への転換をはかることを提起したいと表明した。発足から1年たったオバマ政権の軍事・外交戦略は、なおその全体像が明らかになっているとはいえないが、つぎのことは事実として確認できる。
イ、単独行動主義からの一定の転換、核問題での前向きの変化

 一方で、ブッシュ前政権がすすめてきた一国覇権主義が深刻な破たんに陥り、国連を無視した単独行動主義からの一定の転換が生まれつつある。オバマ政権は、イラク戦争の誤りを認め、米国・イラク間で結ばれた協定にもとづいて米軍の撤退をすすめている。

 核兵器廃絶という国際政治の重要な課題で、前向きの変化が生まれつつある。オバマ米大統領は、2009年4月のチェコの首都プラハでの演説で、米国大統領として歴史上初めて、「核兵器のない世界」を追求することを米国の国家目標とすること、広島・長崎への原爆投下が人類的道義にかかわる問題であることを表明し、その立場から核兵器廃絶にむけて行動する責任を表明した。オバマ大統領は、2009年9月に開催された国連安全保障理事会の首脳級特別会合で「核兵器のない世界のための条件を築くことを決意」すると明記した決議を採択するうえでも積極的役割を果たした。核兵器問題でのオバマ政権の一連の行動は、問題点や限界をはらみつつも、全体として歓迎すべき前向きの変化である。

 米国に前向きの変化を促した根本の力は、平和を願う世界諸国民の世論と運動であり、とりわけ核兵器問題での変化は、被爆者を先頭にした被爆国・日本での長年の核兵器廃絶をめざすたたかいが重要な役割を果たしたことを、強調したい。
ロ、軍事的覇権主義への固執、日米関係における支配・従属

 同時に、米国の軍事的覇権主義への固執には根深いものがある。オバマ政権のもとで、2010年の早い時期にアフガニスタン駐留米軍は3倍化され、約10万人にまで膨張する動きになっている。しかし、アフガニスタンの情勢は、いっそうの泥沼化の様相を深めている。外国軍の存在自体が住民の反発を招き、無差別の軍事掃討作戦によって住民の犠牲が拡大し、それらが報復テロをひきおこすという悪循環をもたらし、反政府勢力タリバンの活動は拡大している。さらに、オバマ政権は、パキスタン領内への無人機による越境爆撃を拡大し、パキスタン政府にタリバン支持勢力への軍事攻撃を求めて圧力をくわえている。これらは、パキスタン国内から内政干渉との反発をよんでいるだけでなく、報復テロを主要都市に拡大させ、パキスタン情勢をいっそう不安定化させている。

 わが党は、アフガニスタンへの軍事的介入を強化するオバマ政権の動きに、きびしく反対する。アフガニスタン・パキスタン問題の解決のためには、軍事的報復の道から政治的和平への転換が強く求められる。

 日米関係においても、米国政府には、これまでの覇権主義的な対日支配を変更する姿勢は見られない。その一つの要因として、日本側に、これまでの卑屈な従属的態度を変え、本腰を入れて対等・平等な日米関係を求める根本的転換の姿勢がみられないことがあげられる。同時に、米国が、オバマ政権のもとでも、地球的規模での軍事的介入と干渉のための「米軍再編」をすすめ、日本をその最大の戦略拠点と位置づける基本政策を変えていない現実を指摘しなくてはならない。オバマ大統領は、「日米関係は対等なパートナー」とのべたが、この言葉が真実のものであるならば、異常な従属的な関係はすみやかに正されるべきである。文字通りの対等・平等の関係をつくりあげてこそ、日米両国、日米両国民の間に、真に心が通った友好関係が築かれるというのが、私たちの確固とした信念である。

 わが党は、世界の平和と進歩の世論とたたかいのもとで、米国に起こった前向きの変化に対しては、これを歓迎し促進するという態度をとる。同時に、覇権主義のさまざまなあらわれに対しては、きびしく批判し、その根本的転換を求めていく。
(13)世界に広がる平和の地域共同体の動き

 破たんが明りょうとなった一国覇権主義の世界支配に代わって、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざす動きが大きく発展しつつある。世界の各地で、その担い手として、平和の地域共同体が全体として豊かな広がりを見せていることは重要である。

 アジアでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)憲章の発効(08年12月)とASEAN共同体の創設にむけての前進、東南アジア友好協力条約(TAC)の大きな広がりなど、地域の平和共同体のひきつづく前進がみられる。TACは、EU(欧州連合)と米国の加入によって、加入国は52カ国、人口の合計で世界人口の68%に達することになり、ユーラシア大陸の多くの国々、オセアニア諸国、米国を含め、世界を覆う一大潮流に発展している。SCO(上海協力機構)、CICA(アジア相互協力・信頼醸成措置会議)など、何層にもなる多様な地域共同の枠組みがつくられていることも注目される。

 民主的変革が面を覆って広がるラテンアメリカで起こっている変化は、劇的である。南米諸国連合(UNASUR)の正式発足(2008年5月)に続き、2010年には、南米・中米・カリブ海の33のすべての国ぐにで構成される「中南米・カリブ諸国機構」発足にむけた首脳会議が開催される。この機構発足にむけた首脳会議の宣言には、各国の政治体制を問わず、紛争の平和解決、領土保全の尊重など、国連憲章の諸原則を尊重し、「公正で、平等で、調和のとれた国際秩序を構築する」ことが高らかにうたわれている。

 中南米における平和共同体の動きは、この地域の平和と安定のための機能を発揮しつつあることが重要である。この間起こったコロンビア政府軍による隣国エクアドルへの越境攻撃問題や領土問題をめぐり73年間も続いたパラグアイ・ボリビア紛争を平和的に解決するうえでも、ラテンアメリカにおける地域の平和共同体が現実に大きな役割を発揮している。それは、地域の集団安全保障の機構へと、質的に重要な前進をつくりつつある。

 こうした動きが起こるなかで、これまで米国の中南米支配の道具とされてきた米州機構(OAS)総会(2009年4月)で、中南米諸国の一致した要求のもと、過去のキューバ排除決議を無効にする決議が、米国もふくめ全会一致で採択された。この排除決議は1962年に、「マルクス・レーニン主義を支持することは米州システムと両立しない」ことを理由におこなわれたものだったが、それが半世紀ぶりに無効とされたことは、南北アメリカ大陸で起こっている巨大な変化を象徴している。国連総会でも、キューバへの経済封鎖に反対する決議は、アメリカ、イスラエル、パラオの3カ国のみが反対で、加盟国187カ国が賛成するという空前の表決で採択された。

 これらの世界の動きは、党綱領に明記された「国連憲章に規定された平和の国際秩序を擁護し、この秩序を侵犯・破壊するいかなる覇権主義的な企てにも反対する」という立場が、世界の圧倒的な大勢となりつつあることを示している。
(14)民主的な国際経済秩序を求める動きの進展

 世界でいま、新しい国際経済秩序を求める動きが進行している。

 2008年以後深刻化した世界経済危機は、従来の世界の経済秩序のあり方が、世界の構造変化とあわなくなったことを、誰の目にも明らかにするものとなった。それは、一握りの発達した資本主義国だけでなく、新興国や途上国も対等の権利をもって参加する、公正で民主的な国際経済秩序への流れを大きく加速させた。

 米国・ピッツバーグで、2009年9月に行われた「G20」首脳会議では、「G20を国際経済協力の第一の協議体として指定し」、その定例化を決定した。この首脳会議声明は、「G8」サミット(主要国首脳会議)に代表される旧来の経済秩序のあり方では、直面する金融・経済危機には対応不能だという現実を証明するものとなった。

 さらに、ピッツバーグ・サミットで採択された文書「持続可能な経済活動のための中核的価値」では、「経済発展および繁栄には異なるアプローチがあること、また、これらの目標に到達するための戦略は、各国の状況によって異なりうることを認識する」と明記している。こうした内容に「G20」の文書として初めて言及したことは、「G20」ではさまざまな「異なるアプローチ」で経済発展をすすめている新興国、途上国が重要な位置を占めているだけに、注目される。

 世界経済危機によって、アメリカ政府が、IMF(国際通貨基金)、世界銀行などとともに、「ワシントン・コンセンサス(合意)」として世界におしつけてきた新自由主義は、世界各国からの激しい批判の的となり、重大な打撃をこうむった。この路線の破たんは、ブラウン英首相の「ワシントン・コンセンサスは終わった」、オバマ米大統領の「市場が脱線する危険性について人為的な無頓着さがあった」などの発言にみられるように、主要国の当事者が認めるにいたった。

 さらに、「G20」の限界もすでに指摘されていることは注目される。デスコト国連総会議長のイニシアチブで設置された専門家委員会の2009年の報告(「スティグリッツ国連報告」)は、「G20」のイニシアチブを評価しつつも、「グローバルな制度的取り決めに関する必要な改革についての決定」ができるのは、「幅広い合法性を備えている唯一の機関」である国連のほかにはないと言い切り、国連加盟国のすべてが参加する「G192」の枠組みを主張している。

 米国政府・IMF・世界銀行が「司令塔」となり、「G8」を主要な舞台として、世界全体を支配してきた古い経済秩序が、世界経済危機のなかで、矛盾を表面化させ、いま壊れつつある。そして、世界は、古い経済秩序に終止符を打ち、それに代わる新しい民主的な国際経済秩序に本格的にすすもうとしている。

 党綱領は、「一部の大国の経済的覇権主義をおさえ、すべての国の経済主権の尊重および平等・公平を基礎とする民主的な国際経済秩序の確立をめざす」ことを明記しているが、そのことが、国際政治において、現実の日程にのぼってきている。
(15)どうしたら人類は「核兵器のない世界」に到達できるか

 この間、「核兵器のない世界」をめざす国際政治に大きな進展がおこった。2009年4月のオバマ米大統領のプラハでの「核兵器のない世界」をめざす演説につづき、09年9月には国連安全保障理事会で、核軍縮・不拡散をテーマとした初の首脳級特別会合が開催された。この会合で核保有5カ国を含む全会一致で採択された決議は、その前文で「核兵器のない世界のための条件を築くことを決意」すると明記するとともに、核不拡散条約(NPT)第6条にしたがって、核軍備の削減と撤廃にむけた誠実な交渉をおこなうことをよびかけるものとなった。同時に、決議は、その前文で、「自国核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」を合意した、2000年のNPT再検討会議について、その「成果を想起する」ことが明記された。

 こうして、「核兵器のない世界」の追求は、いまや核保有国も含めた世界の圧倒的世論となっている。いま問われているのは、どうすれば人類はこの目標に到達できるかということである。核兵器廃絶を現実のものとするうえで、二つの核心をなす問題がある。
イ、核兵器廃絶のための国際交渉のすみやかな開始を

 第一は、核軍縮の個々の部分的措置を前進させることと一体に、核兵器廃絶そのものを主題とした国際交渉をすみやかに開始することである。

 いまとりくまれている米ロ間の新しい戦略核兵器削減条約の交渉開始、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准・発効、兵器用核分裂物質の製造を禁止する条約(カットオフ条約)、世界各地での非核地帯条約など、核軍縮の個々の部分的措置のそれぞれが積極的意義をもつことはいうまでもない。

 同時に、そうした部分的措置の積み重ねだけでは、「核兵器のない世界」に到達できないことは、戦後の核問題をめぐる外交の全歴史が証明している。核軍縮の部分的措置と一体に、核兵器廃絶の国際交渉を開始してこそ、「核兵器のない世界」への道は開かれる。核兵器廃絶の国際交渉に踏み出すことは、個々の部分的措置をすすめるうえでも最良の力となる。

 この点で、2010年5月におこなわれるNPT再検討会議は重要な意義をもつ。2000年のNPT再検討会議では、「自国の核兵器廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」を含む13項目の「実際的措置」を合意したが、それには「いかなる国の安全も損なわない」ことが前提とされながらも、「適切な限り早期における、自国核兵器の完全廃絶にいたるプロセスへのすべての核保有国の参加」が含まれている。2010年のNPT再検討会議で、この合意を再確認し、すべての核保有国が、核兵器廃絶への現実的プロセスに参加し、その第一歩を踏み出すことを、強く求める。
ロ、「核抑止力」論からの脱却を

 第二は、「核抑止力」論から脱却することである。「核抑止」とは、いざとなれば核兵器を使うという脅しによって、自らの「安全」を守ろうという考えであり、それは核使用が前提となって初めて成り立つ論理である。「核の傘」=「拡大抑止」は、他の国の核兵器の脅しによって、自らの「安全」を守ろうという考えだが、自国の核であれ、他国の核であれ、核による脅しに頼り、核使用を前提とする点では、少しも変わりがない。「核抑止力」論、「核の傘」論こそ、「核兵器のない世界」への最大の障害であり、国際社会が、とりわけ被爆国・日本が、この誤った考えから抜け出すことが強く求められる。

 もはや「核抑止力」論とは決別すべきだという声が、国際社会からも強くあがっている。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、2009年9月に開かれた国連NGO年次総会でのあいさつで、「核兵器は道義に反するものであり、いかなる軍事的価値も与えられるべきではない」と強調するとともに、「核抑止論は明らかな誤りであるどころか、核兵器が安全保障と究極の防衛を提供するという考えを国から国へと広め、連鎖的な伝播(でんぱ)をも引き起こすものであることを、世界の指導者は認識しなければなりません」とのべた。

 元米国務長官のジョージ・シュルツ氏は、「核兵器は非道徳だ。現代の世界にあって一体誰が核兵器のボタンを押せるだろうか。何十万、何百万という人が死ぬとわかっている核兵器を落とせるわけがない。文明国の指導者なら核は使えないのだ。使えなければ抑止力にならない」とのべている。

 核兵器は、「道義に反する」「非道徳」なものであり、21世紀の世界においては、文明国ならば使用できない非人道的兵器であり、使用できなければ「抑止力」にならない。また、ある国が「核抑止」によって自らの安全を守ろうとすれば、核で脅された側も同じ論理で核兵器を持とうとし、核保有の「連鎖的な伝播」――歯止めない核拡散を招く。ここには「核抑止力」論の本質を突く、痛烈な批判が示されている。
ハ、核兵器廃絶の世論と運動を広げるとき  

 日本共産党は、党綱領に「人類の死活にかかわる核戦争の防止と核兵器の廃絶」を明記している党として、あらゆる機会をとらえて、「核兵器のない世界」を現実のものとするために、奮闘してきた。2009年4月にはオバマ米大統領にあてて、核兵器廃絶にむけた具体的行動を要請する書簡を送った。同年9月にカザフスタンの首都・アスタナで開かれた第5回アジア政党国際会議では、アスタナ宣言に「核兵器のない世界を目標とする」という内容を盛り込むために、力をつくした。

 原水爆禁止世界大会は、各国政府と国連の代表、海外代表も広く参加して、年ごとに発展しつつある。わが党は、この運動に連帯し、被爆国・日本から核兵器廃絶の圧倒的世論を広げるために奮闘する。また、国際政治の舞台でも、この流れを強めるために、ひきつづき知恵と力をつくす。
(16)地球温暖化対策の到達点と今後の課題について

 2009年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催された国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)での合意は、途上国への資金援助がともかくも盛られたのは積極面だが、世界全体で2050年までに温室効果ガスを50%削減することも、そのために先進国が掲げるべき積極的な中長期の削減目標の数字も、いっさい明記されない不十分な内容となった。

 今後の取り組みとして以下の諸点が重要である。

 第一に、地球温暖化に歴史的責任を負っている先進国が、条約に定められた「共通だが差異ある責任」の原則にたって、(1)率先して野心的な中長期の法的拘束力のある削減目標を掲げ、他の国はどうあれ、それをみずからの責任として実行する、(2)途上国にたいして、同じ道をたどらなくても経済成長は可能であることを示し、それにふさわしい技術・資金援助をおこなう、という「二重の責任」を果たすことである。

 第二に、人類共通の課題であるだけに、途上国の側もふさわしい努力が求められる。そのさい先進国並みの発展水準を達成する途上国の"発展権"を保障することは、当然必要である。途上国が、温暖化ガスを大量排出しながら経済発展をとげてきた先進国とは違う、削減しながらの発展の道を開くことができるよう、先進国による途上国支援の拡大強化が不可欠である。こうした先進国の努力を前提として、途上国としても、国際的な拘束力のある枠組みに積極的にくわわることが期待される。

 第三に、日本政府は、国連で約束した2020年までに25%削減という中期削減目標について、他の国がどうであれ前提なしに責任を負う態度を確立するとともに、産業界との公的協定など、その裏付けとなる総合的な対策をもって、この問題にとりくむことが、強く求められる。

 2010年10月には、生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋で開かれる。温暖化の進行は希少生物を絶滅の危機に追い込んでいる。生物の多様性の維持のためにも温暖化の抑制は不可欠であり、議長国としての日本政府の役割は重要である。
(17)日本共産党の野党外交の発展について

 日本共産党の野党外交は、前大会以降の4年間に、地域的にも、内容的にも大きく発展した。中国、韓国、ベトナム、南アジア、中央アジア、中東、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アフリカの諸国、イスラム世界などとの交流が、新たに発展した。核兵器問題での米国大統領との書簡のやりとりを通じて、米国政府との公式の話し合いのルートがつくられた。

 前大会以降、わが党代表団は、第4回アジア政党国際会議(韓国・ソウル)、第5回同会議(カザフスタン・アスタナ)に出席し、会議の成功のために奮闘した。第14回、第15回非同盟諸国首脳会議にオブザーバーとして参加した。

 野党外交のなかで、党綱領と世界の流れとの響きあいが、強く実感された。侵略戦争と植民地支配の反省を踏まえて真の友好関係をつくること、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざすこと、地球的規模での核兵器廃絶の追求、「ルールある経済社会」をめざすことなど、党綱領の立場が、世界各国との交流のなかで生きた力を発揮した。侵略戦争に反対し、自主独立をつらぬいた党の歴史の生命力も、交流を通じて実感された。また、世界各国との交流は、世界にたいする私たちの認識をより豊かなものとした。

 とりわけ強調したいのは、党綱領に明記している「社会制度の異なる諸国の平和共存および異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存の関係の確立に力をつくす」ことの重要性である。これはイスラム世界、キリスト教、仏教など、異なる価値観をもった諸文明間の交流において重要であるだけではない。世界のそれぞれの国には、それぞれなりの発展の歴史があり、発展の仕方も、その到達点も、社会制度や価値観もさまざまである。特定のものさしや、一断面だけで、その国を判断するのではなく、その国の発展の内的論理、発展の過程をよく理解し、それを相互に尊重しあい、誠実な対話をつうじ相互理解と協力をはかっていくという姿勢が重要である。わが党は、どの国の政府、政党との交流にさいしても、こうした姿勢を堅持して、野党外交を引き続き発展させる。

 この間、わが党と、中国共産党、ベトナム共産党との間で、理論交流が大きく発展した。これは外国の党との交流関係の新しい形態であり、中国共産党もベトナム共産党も、その意義を高く評価しており、継続と発展の意欲を表明している。どちらの党も、今後とも国際的に重要な役割を果たす政権党であり、両党と理論面で深い交流をおこなうことは、日本共産党にとっても重要な意義をもっている。

 これまでの理論交流で、先方の問題提起にこたえるなかで、わが党自身の理論をより発展させる必要に迫られ、実り豊かな成果を築いてきた。それぞれの国の共産党は、科学的社会主義(マルクス主義)のとらえ方の点でも、独自の歴史と特質をもっている。理論交流は、独自の歴史と特質をもったものが、共通の世界的な諸問題へのとりくみを通じて、双方の見地を接近させていく形態としても、独特の意義をもちうる。わが党はこのとりくみを引き続き発展させる努力をはらう。
第4章 国政と地方政治での躍進、強大な党建設をめざす方針
(18)参議院選挙での党躍進の条件、政治的意義について

 6カ月後に迫った参議院選挙で、日本共産党が躍進に転じることは、日本の政治にとっても、わが党自身の今後の発展を考えても、きわめて重要な意義をもつ。「過渡的な情勢」のもとでたたかわれる参議院選挙での党躍進の条件と政治的意義を三つの角度から強調したい。

 第一に、この選挙は、民主党を中心とする新政権のもとでの最初の国政選挙であり、まったく新しい政党配置のもとでたたかわれる。すなわち新政権を構成する与党3党(民主党、社民党、国民新党)、国民から退場の審判がくだった自民党と公明党、「建設的野党」としての日本共産党が、それぞれ真価を試される。

 民主党は、さきの総選挙では「政権交代」を訴えれば勝利できた。また、これまでは、野党第1党が民主党、第2党が日本共産党という配置のもとで、「民主党には問題があっても、自民党よりもまし」という形で、自民党への批判や不満から民主党に支持が集中する状況があった。しかし参院選ではそうはいかない。政権党としての1年近くの「実績」が問われ、今後政権党としてどういう政治をおこなうかの「中身」が問われる。自民党と公明党は、国民からあれだけきびしい審判を受けた以上、自らのこれまでの政治に対する総括と反省が問われる。それ抜きにはどんな政策を掲げても信頼をえることはできないだろう。そういう政党配置のもとで、「建設的野党」としての日本共産党の値打ちを広く浮き彫りにできる新しい条件が生まれてくる選挙となる。

 第二に、この選挙は、新しい政治を求める国民の探求が、新政権のもとでの約1年間の体験をつうじて、前進・発展するなかでの選挙となる。旧来の自民党支持基盤が大規模に崩れ、これまで保守と呼ばれてきた人びとが、自らの切実な要求をたくすことができるのはどの党かを、探求しているさなかのたたかいとなる。

 この間、JA全中(全国農業協同組合中央会)全国大会、全国森林組合大会にわが党代表が初めて招待され、そこでのあいさつに共感が寄せられた。さまざまな団体が自民党支持の枠組みから自由になって、すべての政党の政策を自由に比較してみたら、わが党の政策が要求に一番ぴったりするという状況が生まれている。総選挙で民主党に投票した人びとも、その大部分は、旧来の政治を変えたいという模索の第一歩としての支持であり、この人びとも自らの体験をつうじて、その認識を前進・発展させていくプロセスのさなかにある。

 こうした政党支持基盤の流動化と激変のもとで、たたかいいかんでは、これまでの他党支持者、無党派層のなかで、日本共産党の支持を大規模に獲得し、政党間の力関係を大きく前向きに変える選挙にしていく条件が大きく広がっている。

 第三に、この間の数回にわたる国政選挙で、わが党が、「二大政党づくり」の厳しい情勢のもとで陣地を持ちこたえてきたことは全党の奮闘の重要な成果だが、もちろん、私たちは、衆議院選挙で連続3回とも9議席、衆参とも400万票台という得票にとどまるわけにはいかない。陣地を持ちこたえてきた状況から、何としても前進・躍進へと転じる選挙にしていく必要がある。

 日本共産党の勝利は、国民の新しい政治への探求のプロセスをさらに促進し、「過渡的な情勢」を前にすすめる最大の力となる。わが党は、きたるべき参議院選挙で必ず前進・躍進をかちとるために、後援会員、支持者の協力を得て、全力をあげて奮闘する。
(19)参議院選挙の目標と方針について

 参議院選挙では、「比例を軸に」をつらぬき、「全国は一つ」の立場で奮闘し、比例代表選挙で650万票以上の得票を獲得して5議席を絶対確保することを目標とする。比例代表選挙では、「日本共産党」と党名での投票をよびかけることを基本にする。全国どこの党組織も、5人の全員当選に共同して責任を負っていること、この目標を全党の一致結束した力で達成することを、全党の共通の強い自覚にすることが大切である。

 選挙区選挙では、全選挙区で候補者を擁立・勝利をめざし、東京選挙区で議席を絶対確保することを目標とする。かつて議席をもったことのある北海道、埼玉県、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県で、積極的に議席獲得への挑戦をおこなう。選挙区のたたかいも、政党選択――比例代表選挙を中心にすえるという立場を堅持し、比例で日本共産党躍進の波をつくりだすなかで、選挙区での勝利をめざすというとりくみが重要である。

 すべての党組織と党支部で、「650万票以上」にみあう得票目標とそれを達成する方針をもち、自覚的な活動にとりくむ。参議院選挙をたたかう活動方針の基本は、支部の「政策と計画」のなかに得票目標をしっかりと位置づけて、「四つの原点」にもとづく活動を「支部が主役」でとりくむことにある。とくにつぎの諸点に留意して、選挙勝利をめざすとりくみをすすめる。

 ――結びつきと要求にもとづく活動を、「四つの原点」のなかでも根本の課題として重視する。党員の持つあらゆる日常的な「結びつき」に光をあて、つねに新しい結びつきを広げ、それを生かした活動を思い切って強める。国民の暮らしの「SOS」を受け止め、苦難軽減のために献身する活動にとりくむ。生活相談、労働相談、アンケート、署名などの多面的な活動をすすめる。

 ――大量宣伝、対話と支持拡大を、今日の情勢にふさわしく発展させる。「草の根」の宣伝力を抜本的に強め、日常化する。とくに若い世代の心にとどく宣伝を重視する。つじつじでの系統的なハンドマイク宣伝、職場門前、大学門前宣伝や地域・職場での政治新聞の定期的発行を強化する。インターネットの活用を重視し、とりくみを抜本的に強化し、双方向型での情報発信をおこなう。

 対話と支持拡大では、「対話の広がりいかんが勝敗を分ける」という立場で、支持拡大とともに、対話の広がりを思い切って重視する。対話は、「相手の政治への思いと要望を聞く」「共産党のここが好きという気持ちを伝える」という見地でとりくめば、だれにでもできる活動である。気軽に、楽しく、みんながとりくむ運動として、有権者の過半数と対話することを目標に、広大な規模でとりくむ。

 ――党員拡大と「しんぶん赤旗」読者拡大の大きな高揚のなかで選挙をたたかう。この数回の選挙で、私たちは、「実力が足りなかった」ということを、教訓の根本としてひきだした。それを参議院選挙では絶対に繰り返さない。党員拡大の飛躍とともに、読者拡大では前回参院選時比3割増に正面から挑戦する。新しい情勢のもとで生まれている党躍進の条件、チャンスを現実のものにするには、党勢拡大の大きな上げ潮で選挙をたたかうことが、不可欠である。それは容易ではない仕事だが、他に安易な道はない。

 ――選挙の日常化の要として後援会活動の強化をはかる。380万人を超えた後援会員との日常的結びつきと協力関係のネットワークを築く。後援会ニュースを活用し、得票目標にみあう後援会員の拡大にとりくむ。地域支部の28%、職場支部の66%が対応する単位後援会を持っていない現状を抜本的に打開する。地域・職場・学園のすべての支部が、対応する単位後援会を確立する。共通する要求で活動を大きく広げることのできる分野別後援会を強める。

 ――支部を基礎とした「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」「集い」を、参議院選挙にむけ、100万人の規模でおこなう。参議院選挙勝利にむけた活動の全体を推進する「軸」として、この活動を位置づける。「集い」は、総選挙にむけた活動でも大きな力を発揮したが、総選挙が開いた新しい情勢のもとで、多くの国民が政治への関心を高め、新しい政治への探求を強めており、この活動はいよいよ重要である。
(20)地方政治の新たな特徴と、地方選挙の方針について

 2011年4月のいっせい地方選挙の政治目標と候補者決定をいそぎ、地方議員と予定候補者が参議院選挙を一体にたたかう態勢をつくる。

 市町村合併のおしつけなどによる大幅な議員定数削減のなかで、この間の地方選挙では議席占有率を目標と結果をはかる基準にしてきたが、いっせい地方選挙とこれからの中間地方選挙では、議席増そのものを重視する。それぞれの選挙で議席占有率、議案提出権、空白克服の三つの目標での前進をめざし、適切な議席獲得目標と積極的な得票目標を掲げて奮闘する。

 いっせい地方選では、道府県議、政令市・区議、県庁所在地、主要な地方都市をとくに重視し、ここでの政党間の力関係を変えるとりくみが重要である。現有議席の絶対確保と前進とともに、四つの県(群馬、福井、愛知、熊本)での県議空白克服、県議空白の政令市(18政令市中10市)での空白克服、前回選挙で議席を後退させたところの失地回復などを、とりわけ重視してとりくむ。

 自公政権退場という新しい政治情勢のもとで、地方政治でも激変が起こりつつある。旧来の自民党支配の重しがとれ、地方議会で住民の利益にたった意見書・決議が次々と採択されている。自治体首長との間でも、保守支配のくびきから解放され、対話やさまざまな協力関係が生まれている。地方政治で起こっている住民要求実現にむけた新たな条件をとらえ、共同の流れを大きくし、「住民福祉の機関」としての地方自治体を確立するたたかいに、新鮮な意気込みでとりくむ。

 地方政治での「オール与党」政治の矛盾が激しくなり、その崩壊過程がはじまっている。多くの県(現在30府県)では依然として「オール与党」政治が継続しているが、自公政権退場の審判がくだったもとで、住民との矛盾が激化している。民主党は、国政では「無駄を一掃する」「国民の生活が第一」といいながら、地方議会では、無駄なダムなどの大型開発に賛成したり、福祉切り捨ての「地方行革」に賛成するなどの状況は、多くのところで変わっておらず、深刻な矛盾のもとにある。

 わが党は、「オール与党」によって推進されてきた住民生活切り捨ての「逆立ち」政治を転換し、地方自治の再生を掲げる日本共産党の値打ちを浮き彫りにし、一つひとつの地方選挙で確実に勝利・前進するために力をつくす。そのさい、地方選挙における選挙戦の様相の激しさと厳しさを直視することが重要である。民主党は、地方での政治的地歩を広げるために、各地で大量に立候補者を増やす動きを強めている。自民党と公明党は、生き残りのために、必死のとりくみを展開している。一つひとつの選挙戦の勝利は、早くから候補者を決め、日常的な選挙準備に系統的にとりくみ、他党に負けない構えを確立し、やるべきことをやりぬいてこそ、可能になる。

 首長選挙では、日本共産党と無党派の人びとなどとの共同で築かれている革新・民主の自治体の流れを発展させるために、努力をはらう。
(21)綱領実現をめざし、中期的展望にたった「成長・発展目標」をもって奮闘する

 直面する参議院選挙勝利のために全力をつくすとともに、全国すべての地方党機関、地域、職場、学園の党支部が、国政選挙での政治的力関係を抜本的に変える「成長・発展目標」をもつという、新しい提案をおこなう。

 綱領実現をめざし、中期的展望にたって、それぞれの党組織が、つぎのような「成長・発展目標」をもち、その実現のために系統的に奮闘する。

 「成長・発展目標」の基本は、国政選挙で、どの都道府県、どの自治体・行政区でも、「10%以上の得票率」を獲得できる党をめざすということである。そのさい、すすんだ都道府県、党組織では20%から30%以上の得票率をめざす。早期に5%以下の県をなくすことも重要である。

 「10%以上の得票率」という目標は、党組織によっては、すでにそれを超える得票率を獲得しているところもある。党組織によっては、直面する参院選での「650万票以上」にみあう得票目標が、「10%以上の得票率」となるところもある。同時に、この目標は、多くの党組織にとっては、何回かの国政選挙での奮闘の積み重ねによって、その達成が可能になる目標である。到達点はまちまちだが、全国どの都道府県、どの自治体・行政区でも、綱領実現をめざすならば、越えるべきハードルとして、「10%以上の得票率」という「成長・発展目標」を持ち、この水準を突破しようというのが、この提案である。

 さきの総選挙の比例代表選挙で「10%以上の得票率」をえた自治体・行政区は、3府県(京都、高知、大阪)、政令市の44の区、東京の9特別区、45一般市、56町村、合計157自治体・行政区にとどまっている(全自治体・行政区の7・87%)。

 得票率が5%以下の自治体・行政区は、12県、政令市の6区、278一般市、526町村、合計822自治体・行政区ある(全自治体・行政区の41・22%)。

 この現状にてらすならば、どの都道府県、自治体・行政区でも「10%以上の得票率」の実現をめざすという目標は、文字通り政治的力関係を抜本的に変える大志ある目標である。どの党組織も「10%以上の得票率」をめざすということは、衆議院選挙の小選挙区で、財政的な心配もなく、全区で候補者を擁立してたたかう力をつけるということである。またそれは、国政選挙で過去最高の得票をめざすということである。比例代表選挙で820万票を得た1998年の参院選で、わが党は全国平均で14・6%の得票率を獲得し、37都道府県で10%を超える得票率を記録している。全国どの自治体・行政区でも「10%以上の得票率」を実現するならば、全国平均では20%に迫る得票率、1000万票を超える得票を獲得することになるだろう。それは、政党間の力関係を変え、多くのところで第3党の地歩を確保し、すすんだところでは第1党、第2党の地歩を得ることになるだろう。そして、この目標の実現は、日本政治が現在の「過渡的な情勢」から前向きに抜け出す方向にすすむうえで、決定的な力となるだろう。

 2010年代の最初の年に開く党大会において、全党がこの大志ある「成長・発展目標」をもち、その実現をめざして系統的なとりくみをすすめ、2010年代を党躍進の歴史的時期とすることを提案する。当面する参議院選挙での、比例代表選挙での「650万票以上」という目標を、その第一歩として位置づけ、その達成に全力をあげよう。

 この目標を実現するために、どれだけの党員、「しんぶん赤旗」読者の陣地を築くかの目標を、有権者比でもち、その実現をめざして奮闘する。さきの総選挙の実績をみると、10%を超える得票率を得た党組織は、どこも、おおよそ有権者比で0・5%以上の党員と日刊紙読者、2%以上の日曜版読者をもっていた。得票率での抜本的な前進のためには、それにふさわしく党員、読者を大幅に拡大する、意欲的、計画的な努力と奮闘が絶対に必要である。同時に、すべての党員が条件にそくして党活動に参加する強く温かい党づくりをめざして、綱領学習・綱領読了をすすめること、「党生活確立の3原則」――支部会議に参加する、「しんぶん赤旗」日刊紙を読む、党費を納める――で大きな前進をはかる目標もあわせて持つことが必要である。

 このとりくみのなかで、それぞれの世代の活力を生かしながら、新しい世代への党活動の継承を着実にはかるとりくみに、思い切って力をそそぐ。年配の党員の多くが、これまで蓄積してきた党活動の経験、長い人生経験を生かして、元気に活動し、大きな役割を担っていることは、わが党のかけがえのない財産である。同時に、わが党の年齢構成をみるさい、若い世代、働き盛りの世代を党に迎え入れ、党活動の世代的継承をはかることは、きわめて重要である。そのため、とくに職場支部の活動強化と若い世代の結集、青年・学生支部の結成と強化、民青同盟地区委員会の再建・発展を全党的に位置づけ、計画と方針をもち、ゆるがず推進する。

 次期総選挙にむけて、それぞれの衆院比例ブロックでの力関係を変え議席増を確実に実現する政治戦略をもち、それにもとづく系統的な活動にとりくむ。同時に、中期的展望にたって、日常的・系統的な活動で、小選挙区で勝利する選挙区を全国各地でつくりだすことを、「成長・発展目標」のなかに位置づける。
(22)「過渡的な情勢」を前にすすめる質量ともに強大な党建設を

 総選挙がつくりだした「過渡的な情勢」をさらに前向きに前進させ、日本の政治が「二つの異常」から抜け出す力を国民の間につくりあげていくうえで、日本共産党が、国民と広く結びつき、理論的にも組織的にも強大な党に成長することは、決定的な条件となる。私たちは、2010年代を、党建設の面でも、歴史的前進を党史に刻む時代とするために、全力をつくす。

 党建設の方針については、第22回党大会での党規約改定をふまえ、この間の3回の党大会(第22回大会、第23回大会、第24回大会)で、その基本を全面的に明らかにしている。それを前提として、つぎの諸点を強調したい。
イ、「政策と計画」を持った「支部が主役」の党づくり

 前大会以降、「支部が主役」の党づくりという点では、支部を基礎とした国民要求にこたえた多面的な活動の発展、7割の支部でとりくまれた「大運動」「集い」、2回にわたる「職場問題学習・交流講座」にもとづく職場支部の活動強化、支部を基礎にした党員拡大が継続的な前進の軌道にのりつつあることなど、さまざまな分野で貴重な前進の端緒がつくられた。この間、「政策と計画」をもった支部は52%から82%へと前進した。

 同時に、この努力は道半ばである。9中総決定で総括したように、総選挙で立ち上がった党員がのべで5〜6割、日々の活動参加が選挙本番で2割前後だったが、この根本の原因は日常平素の「支部が主役」の党づくりの努力が、道半ばであることにあった。

 「大運動」「集い」のとりくみの発展、支部と党員に展望と活力をあたえる政治指導、支部会議の定期開催の努力、一つひとつの支部の実情や党員の悩みに丁寧に耳を傾け困難をともに打開していくとりくみなどをつうじて、強まりつつある「支部が主役」の活動を、いかにして全党の圧倒的大勢にし、すべての党員が参加する党活動をつくることができるか。ここに強く大きな党づくりの成否をにぎる最大のカギがある。

 「綱領を語る集い」を、支部の日常活動として発展させることは、「支部が主役」の活動を発展させる重要な要となる。本来この運動は、「大運動」と銘打たなくても、綱領実現をめざして支部が日常的にとりくむべき、党の基本の活動であることを強調したい。
ロ、党員拡大と「しんぶん赤旗」読者拡大

 私たちは、9中総決定で、総選挙で掲げた目標を達成できなかった教訓として、「自力をつける途上でのたたかいだった」とのべ、「どんな激しく厳しい条件のもとでも、ゆるがず前進できる強大な党をつくる――ここにこそ、総選挙からくみだすべき最大の教訓がある」ということを強調した。

 この総括に立って、全党は、党大会にむけて、「党躍進特別期間」を設定し、「すべての党支部で新たな党員を迎えるとともに、すべての党組織が『政策と計画』『総合計画』で掲げた党員拡大目標を達成する」「読者拡大は、全国すべての都道府県、地区、支部が、参院選を、前回参院選の陣地を大きく上回ってたたかうことを展望して、党大会までに......前回党大会水準を突破する」ことを目標とし、その達成にむけてとりくんできた。党員拡大では、前大会からの約4年間に、3万4千人を超える新しい党員を迎え、党員数は前大会時を上回り、40万6千人となった。「しんぶん赤旗」読者の拡大では、石川県と4地区委員会が、日刊紙、日曜版ともに前大会時を上回って大会を迎えたが、全党的には前大会時を超えるにいたっていない。

 参議院選挙にむけた党勢拡大の目標としては、「躍進期間」の到達を踏まえ、党員拡大でさらに進んだ前進の目標をたてるとともに、「しんぶん赤旗」の読者拡大では、参院選を、日刊紙、日曜版とも前回参院選時の1・3倍の読者へと拡大し、全党的には35万人の日刊紙読者、160万人の日曜版読者に前進してたたかうことを目標に奮闘する。さらに、中期的展望にたった「成長・発展目標」にふさわしい党員、読者の拡大の目標を有権者比でもち、その実現をめざして力をつくす。

 読者拡大について、すでに(2009年11月時点で)日刊紙、日曜版とも、前大会水準を上回り、前進している三つの地区委員会(千葉・東葛(とうかつ)、石川・金沢、長崎・北部)の活動では、つぎのような共通した教訓がみられる。

 ――国政と地方選挙の得票目標の実現に執念を燃やし、総合的な活動のなかで、前進のための独自追求をはかり、毎月、拡大目標をもつ支部を5〜6割に広げ、「力持ち」の党員の奮闘をけん引力に、4〜5割の支部が毎月成果をあげている。

 ――綱領と決定、日々の「しんぶん赤旗」にもとづく機関と支部での政治討議を重視し、「しんぶん赤旗」の役割、目標達成の意義を繰り返しみんなのものにし、とくに日刊紙拡大に独自の手だてをとっている。

 ――機関あげての努力で7〜8割の支部が「支部が主役」の配達・集金体制を確立し、常勤者や議員の過重負担をなくし、非常勤の党員を結集した機関紙部を確立している。

 ――6割前後の支部が新入党員を迎え、党に新鮮な力をもたらし、党員拡大と読者拡大が相乗的に発展している。

 これらの先進的教訓に学んで、「しんぶん赤旗」読者を拡大するために、情熱と大志をもってとりくむことを心からよびかける。

 多くのマスメディア関係者が、「二大政党づくり」を推進する仕組みのなかに組み込まれ、マスメディアの大勢が、この動きを礼賛・推進する異常な役割を果たしているもとで、「しんぶん赤旗」を広範な国民に広げ、民主的な国民世論の形成に大きな影響力をもつ国民的メディアに成長させることは、日本の政治・社会の発展にとって死活的に重要な課題となっている。「しんぶん赤旗」は、現在の世界がどのように大きく変わっているか、日本政治でいまおこっている変化の本質は何か、現状を打開する展望はどこにあるかなどについて、「タブーなく真実を伝える新聞」であり、平和、民主主義、生活向上を願うさまざまな人びとの絆(きずな)となる「国民共同の新聞」である。マスメディアが抱えている決定的な弱点とのかかわりでも、日本の良心・良識にたった「しんぶん赤旗」をどれだけ普及できるかは、日本の民主的変革の事業の成否を左右する重大な意義をもつ。

 党が発行する雑誌の普及を重視してとりくむ。
ハ、綱領学習を中心とした党の質的建設

 前大会決定は、党綱領の読了党員が34・2%にとどまっていることを、わが党の重大な弱点と指摘し、綱領を学ぶことを「党づくりの第一義的優先課題」としてとりくむことを強く呼びかけた。しかし、この課題では、抜本的打開がはかられず、読了党員はなお4割程度にとどまっている。「綱領を語る集い」は大きくすすんだが、党員の綱領学習は「集い」とは別に、独自の努力が必要とされる課題である。この点で、党中央の系統的なイニシアチブに弱点があったことを、率直に反省しなければならない。

 第25回大会期の一大課題として、綱領学習と綱領読了のとりくみを、抜本的に強める。新たに党の教育制度として、地区、支部指導部の責任で「綱領講座」を開き、綱領そのものをテキストとし、その読み合わせをおこない、質疑で理解を深めるという形で、すべての党員が綱領学習・綱領読了をすすめる。繰り返し綱領を読み、綱領に立ち戻って、情勢と党の任務を明らかにする党の気風をつくりあげる。

 あわせて、綱領の理論的基礎をなしている科学的社会主義の世界観的な確信を自らのものとする努力を強める。科学的社会主義の古典学習を大いに推奨する。
ニ、職場支部の活動の本格的な前進

 私たちは、前大会決定にもとづいて、2度にわたって「職場講座」を開き、この分野の活動の新たな探求・発展にとりくんできた。2回の「職場講座」の内容は、職場支部の法則的な前進の方針を示すものであり、これをすべての職場支部のものとするとともに、ひきつづき系統的に「講座」の開催と職場支部援助の体制確立にとりくみ、労働者のなかに不抜の党をつくるために、知恵と力をつくす。

 この間のとりくみのなかで、重要な前進の一歩を踏み出したのが、非正規雇用労働者のなかでのたたかいである。派遣労働などでの大企業の横暴をただし、人間らしく働ける労働のルールを求めるたたかいは、社会全体に大きな影響をあたえ、労働法制の規制緩和から規制強化へと流れの変化をつくりだした。とくに、無法な「派遣切り」にたいして、少なくない労働者が勇気をもって立ちむかい、たたかいのなかで労働組合への結集・結成がすすみ、そのなかから少なくない新入党員を迎え、新しい支部が生まれていることは、きわめて重要である。たたかいこそ人間らしい労働のルールをつくる力であり、労働者の階級的自覚と成長の力である。長い間、職場支部が、きびしい迫害のもとで党の旗を守り、不屈に活動し、非正規の仲間に心を寄せて粘り強い活動をしてきたことが、たたかいの発展の大きな力となった。

 わが党は、新たに発展しつつある人間らしい労働を求める運動に、心からの激励と連帯のとりくみをすすめ、それをさらに大きく発展させるために奮闘する。そのなかで強大な党をつくるために力をつくす。労働者のなかでのたたかいと党づくりに、新たな情熱、探求と開拓の精神をもって挑戦し、大きな前進をかちとる。
ホ、若い世代のなかでの活動の強化

 全国青年大集会の発展にみられる若い世代のなかでの雇用問題のたたかい、原水爆禁止世界大会などで発揮されている平和のエネルギー、高すぎる学費引き下げを求める若者の運動の広がりなど、若い世代が、その連帯を阻むさまざまな困難を乗り越えて、暮らしと平和を守るたたかいを生き生きと発展させていることは、日本の大きな希望である。わが党は、これらのたたかいへの連帯と支援を思い切って強める。

 若い世代の広大な結集をめざして、その悩みや願いをとっくりと聞き、交流と連帯の「居場所」づくりをすすめ、その努力とむすんで切実な願いの実現をめざすたたかいの発展に力をつくす。同時に、党や科学的社会主義に関心を強めている若い世代の「知的めざめ」に働きかけ、党綱領が示す現状打開の展望、科学的世界観、社会観を広げることが重要である。大学での「党と科学的社会主義を語る大小の自主講座」のとりくみを抜本的に強める。

 民青同盟の地区委員会再建のとりくみでは、前党大会後、新たに37地区が再建され、65地区となった。この仕事を「党と民青同盟の共同の事業」として前進させる。党は、民青同盟の相談相手として、その実情、要求、努力、苦労によく耳を傾け、親身な援助を改善・強化する。

 党機関は、青年・学生のなかでの活動の強化を、担当部門、担当者まかせにするのではなく、党と革命運動の未来がかかった問題として、党活動・党建設の中心の一つに位置づけ、総力をあげて探求・挑戦し、うまずたゆまず系統的な努力をはかる。民青同盟への親身な援助とともに、学生の中での活動の戦略的な重要性を自覚し、学生の革新的結集に開拓者の精神でとりくむ。
ヘ、機関の政治力量と態勢、財政活動の強化

 「支部が主役」の党活動を発展させる党機関の指導と態勢の問題については、2中総決定、3中総決定、8中総決定などで解明した方針が重要である。

 とりわけ、地区委員会の確立・強化をはかることは、その要となる重要な課題である。党中央として、地区委員長の政治的・組織的力量を引き上げることを援助するために、「地区委員長研修会」を開催する。

 補助指導機関をつくり態勢強化をという第24回党大会のよびかけにこたえて、現在、補助指導機関は、665(対象自治体の54・6%)で確立され、重要な役割を発揮しつつある。補助指導機関をすべての対象自治体で確立し、地区委員会の活動を強化する。

 党機関の指導姿勢として、綱領と党の方針を正確に全党のものにする指導とともに、「聞く力」が重要である。支部と党員の置かれている条件、悩み、要望などに真剣に耳を傾け、心を寄せ、ともに困難を打開していく姿勢が大切である。

 財政問題については、党費納入の低下傾向の打開を財政活動の根幹に位置づけ、すべての党員が参加する強く温かい党づくりの中心課題としてとりくむ。財政問題を、担当者まかせにすることなく、県・地区機関でよく論議し、機関役員全体の共通認識にするとともに、支部に実態と打開の方向についてよく伝え、理解を得て、「四つの原則」にもとづく財政活動を党組織全体のとりくみにしていくことが大切である。

 こうした努力のなかで、党のかけがえのない宝である専従活動家への給与を保障し、健康な心身を保全し、必要な態勢の維持・強化をはかることに特段の力をそそぐ。
ト、系統的な後継幹部づくりにとりくむ

 2度にわたる「特別党学校」のとりくみは、重要な成果をあげている。受講生は、党機関役員、国政や地方選挙の候補者、政策・理論活動家など、さまざまな分野で積極的な役割を果たしている。中央として「特別党学校」をひきつづき系統的におこなう。都道府県でも若手幹部育成の特別教育がおこなわれているが、これらのとりくみも貴重である。

 将来を展望した幹部政策として、中央委員会の構成のあり方を見直し、とくに准中央委員については、後継幹部として成長することを任務として位置づけ、将来性のある若い幹部、新しい幹部、女性幹部の大胆な抜てきをはかる。
チ、市民道徳と社会的道義をまもり、規律ある党生活を

 党規約第5条では、党員の権利と義務の第一に、「市民道徳と社会的道義をまもり、社会にたいする責任をはたす」ことを明記している。党内のごく一部だが、社会のさまざまな病理現象、退廃的風潮におかされ、社会的モラルに反する誤りがおこっていることを重視しなければならない。党の機関を先頭に、党規約を守り、率直で活発な自己・相互批判をおこない、規律ある党生活を築き、社会進歩の促進のためにたたかう人間集団にふさわしいモラルを確立していくことに力をそそぐ。
第5章 激動の世界と未来社会への展望について
(23)世界の資本主義の矛盾の深まりと、科学的社会主義への注目

 21世紀の世界を大きな視野で見ると、資本主義という体制の是非が問われる時代に入っていることが、強く実感される。この間、日本でも、世界でも、「資本主義の限界」ということが、メディアでも広く言われるようになっている。これは世界的規模での資本主義の矛盾の深まりを反映したものである。

 マルクスが、「資本主義的生産の真の制限は、資本そのものである」とのべたように、資本主義の矛盾・制限とは、それがより大きな剰余価値の生産を、生産の動機および目的としていることにある。こうした「利潤第一主義」は、今日の世界において、つぎのような社会的害悪・災厄となってあらわれている。

 ――世界的規模でも、それぞれの国でも、社会的貧困と格差が広がっている。米国と日本の貧困率は、発達した資本主義国のなかでも最悪水準にまで拡大した。国連開発計画「人間開発報告書」2005年版によれば、1日1ドル未満で生活する10億人の人びとを、極度の貧困から救うのに必要な費用は、世界の最富裕層10%の所得の1・6%にすぎない。そこまで世界の格差は拡大した。

 ――政治的独立をかちとった発展途上国に、資本主義が自立的な発展の道を提供できない。世界の飢餓人口(慢性的な栄養不足の人口)は、1990〜92年には8億4200万人だったものが、2009年には10億2000万人に増え、過去最高になったと推定されている。

 ――現在進行している金融危機と過剰生産恐慌は、資本主義がどんな手だてをつくしても、資本主義の「死にいたる病」である恐慌を解決する力がないことを示した。世界経済危機にたいして、世界各国は、国際的な協調によって、とりあえずの金融・財政的対応をおこなったが、全体として過剰生産恐慌から抜け出すにはいたっていない。

 ――地球温暖化について、英国政府の報告書は、人類史上最大の「市場の失敗」であることを認め、現行の資本主義のあり方に疑問を呈した。地球環境の破壊は、資本主義に地球の管理能力があるかどうかを、根本から問うものとなっている。先進的なとりくみをおこなっている欧州の関係者からも、「利潤第一の考え方では温暖化は止められない。社会システムの根本的改革が必要だ」という指摘がなされている。

 これらの問題に対して、日本でまずめざすべきは資本主義の枠内での民主的改革――「ルールある経済社会」への改革であり、国際的には、「すべての国の経済主権の尊重および平等・公平を基礎とする民主的な国際経済秩序」(党綱領)をつくることが課題となる。同時に、そうした改革をぎりぎりまで追求したとしても、「利潤第一主義」という枠組みでは、なお諸問題の根本的な解決がはかられず、資本主義を乗り越える新しい体制への前進の条件が熟してくる。これが、私たちの展望である。

 2009年11月、英BBC放送は、「ベルリンの壁崩壊から20年、自由市場の資本主義に対する不満が広がっていることが明らかになった」として、国際世論調査(27カ国で調査)の結果を発表した。それによると、「自由市場の資本主義」をどう考えるかの問いに、「資本主義はよく機能しており、規制強化は能率低下を招く」と答えた人はわずか11%、「規制と改革で対処できる問題を抱えている」と答えた人は51%、「致命的な欠陥を抱えており、新しい経済システムが必要だ」と答えた人が23%にのぼった(フランスは43%、メキシコは38%、ブラジルは35%)。資本主義の母国・英国の放送局が、こうした調査をおこない、世界で23%の人が資本主義に代わる「新しい経済システム」が必要と答えていることは、注目される。

 ソ連崩壊時に喧伝(けんでん)された「資本主義万歳論」は、はるか過去のものとなった。世界の資本主義の矛盾の深まりのもとで、資本主義の前途への不安・不満が広がり、世界各国の少なくない人びとが資本主義を乗り越えた新しい社会への模索をはじめている。世界でも、日本でも、科学的社会主義とマルクスへの新鮮な注目が広がっているが、これは偶然でも一過性のものでもない。世界の資本主義の陥っている深刻な矛盾に、その根拠がある。
(24)21世紀の世界の現実のなかでの未来社会への動き

 21世紀の世界の現実のなかに、未来社会への動きが、さまざまな形であらわれていることに注目すべきである。

 人類史のなかで16世紀に誕生した資本主義は、19世紀から20世紀にかけて、世界「全体」を支配するところまで発展したが、20世紀前半に、資本主義から離脱して社会主義をめざす国ぐにが登場し、続いて、20世紀後半には、植民地体制が崩壊し、21世紀のいまでは、発達した資本主義諸国が支配している領域は、人口では世界人口の13・6%と、ごく一部でしかなくなっている。

 社会主義をめざす国ぐには、世界政治、世界経済に占める比重を、年を追うごとに高めつつあり、とくに中国は、その経済規模でやがてどの資本主義大国をも追い抜く勢いとなっている。ソ連崩壊後14年間の経済成長は、発達した資本主義諸国が1・8倍、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)の国ぐにが2・4倍、社会主義をめざす国ぐには4・8倍である。社会主義をめざす国ぐには、国民1人当たりのGDPではなお発展途上国の段階にあり、そのことにもかかわって、さまざまな「政治上・経済上の未解決の問題」(党綱領)が生じている側面があることも、注視する必要がある。

 AALA諸国は、独立・平和・非同盟・覇権主義反対の方向で、大きな共通性をもっている。ここでは資本主義の道を選んで経済発展に成功したのはごく少数で、ラテンアメリカでは、従属国時代および左翼政権下の国民的闘争の経験から、資本主義とは別個の道を探究しようという動きがあらわれている。

 ベネズエラ、ボリビア、エクアドルでは、国づくりの方向として「21世紀の社会主義」を掲げているが、これらの国がそれぞれ独自の特徴をもちながらも、選挙を通じて社会変革をすすめようとしていること、国有化万能でなく市場経済を活用しつつ生産手段の多様な所有形態を認めていること、ソ連型の社会モデルを模倣せず各国独自の条件を重視していることは、注目される。
(25)党綱領の示す21世紀の世界史的な展望にたって

 党綱領は21世紀の世界史的な展望についてつぎのようにのべている。

 「世界史の進行には、多くの波乱や曲折、ときには一時的な、あるいはかなり長期にわたる逆行もあるが、帝国主義・資本主義を乗り越え、社会主義に前進することは、大局的には歴史の不可避的な発展方向である」。

 「21世紀の世界は、発達した資本主義諸国での経済的・政治的矛盾と人民の運動のなかからも、資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究する努力のなかからも、政治的独立をかちとりながら資本主義の枠内では経済的発展の前途を開きえないでいるアジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広範な国ぐにの人民の運動のなかからも、資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている」。

 日本共産党が、こうした未来社会への展望をもっていることは、目の前で解決が迫られている問題の打開の道筋とその意義を、より大きな視野と展望のなかで明らかにする力ともなっている。社会主義・共産主義をめざす綱領の展望が、世界の現実の中で実証されつつあることに、深い確信をもって、未来にのぞもうではないか。


04. 2011年11月02日 15:20:22: w4yZTghJKs
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第3回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告

 志位和夫委員長が3日、第3回中央委員会総会でおこなった幹部会報告は次の通りです。


 みなさん、おはようございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、心からのあいさつを送ります。

 第3回中央委員会総会の任務は、大震災・原発事故問題とのかかわりで日本の政治の現状を明らかにし、国民的たたかいの課題を提起するとともに、いっせい地方選挙の教訓と現在の情勢をふまえ、いかにして強大な党建設をすすめるかについての方針を提起することにあります。私は、幹部会を代表して中央委員会総会への報告を行います。
1、大震災・原発問題と日本の政治の現状

 報告の第一の主題は、大震災・原発問題と日本の政治の現状についてであります。
大震災・原発事故――日本の政治のあり方を根本から問う
長期にわたって国民の力を総結集して打開すべき国政の最大の課題

 3月11日に発生した東日本大震災は、巨大地震と津波による甚大な被害のうえに、東京電力福島第1原発事故による被害がくわわり、わが国の歴史でも未曽有の大災害となっています。私は、あらためて亡くなられた方々への深い哀悼の気持ちとともに、被災された方々への心からのお見舞いを申し上げます。

 災害発生から4カ月近くが経過しましたが、多くの被災者が、なお心身ともに苦しみのふちにあり、依然として先の見えない不安のもとにおかれている。大震災への対応では、当面する被災者への救援の課題にかかわっても難問が山積しており、復旧・復興のためには長い道のりが必要になります。福島原発事故は、チェルノブイリ原発事故と並ぶ世界最悪レベルの過酷事故(炉心溶融にいたる事故)となり、なおその収束の見通しがたたず、被害が拡大する深刻な事態が続いています。

 大震災と原発事故は、日本国民が、今後、長期にわたって正面からとりくみ、その力を総結集して打開をはからなければならない、国政の最大の課題となっています。
日本の政治のあり方の根本が問われている

 そして、この大震災と原発事故は、これまでの日本の政治のあり方の根本を問うものとなっています。

 一人ひとりの被災者の苦しみに心を寄せ、破壊された生活と生業(なりわい)の基盤回復のために国が責任を果たすことを原点にすえた復旧・復興にとりくむのかどうか。原子力災害から国民の命と健康を守る緊急の課題にとりくみながら、原発依存のエネルギー政策を大本から見直すのかどうか。日本の政治のあり方の根本が問われています。
日本共産党はどういう姿勢でとりくんできたか

 日本共産党は、この危機にたいして、どういう姿勢でとりくんできたか。
被災者の緊急の願いにこたえて――被災地と全国の党組織の連帯したとりくみ

 わが党は、この危機にさいして、(1)被災者救援と原発事故の危機収束などの緊急の課題では政治的立場の違いを超えて力をあわせるとともに、(2)復興のあり方とその財源問題、原発・エネルギー問題をどうするかなどについては、独自の立場からの積極的提言を行うという基本姿勢にたって、奮闘してきました。

 党国会議員団は、被災直後から、繰り返し被災地を訪問し、つぶさに実情をつかむとともに、国にたいする要望を聞き取り、3月31日の「第1次提言」、5月17日の「第2次提言」として政府に提起し、その実現のために奮闘してきました。

 わが党は、被災者や国民の運動とむすんで、被災者が緊急に求めている課題に全力をあげてとりくんできました。「マイナスではなく、せめてゼロからのスタートを」という痛切な要求の実現に力をつくし、「二重ローン」の解消の問題を国政の重要課題におしあげてきました。被災者生活再建支援法による支援金のすみやかな満額支給、支給額の引き上げや支給対象の拡大を迫ってきました。第三セクター三陸鉄道などの公共交通や、地域医療の再建にむけた公的支援への道を開いてきました。原発被害にたいして、全面賠償を原則とすること、農漁業者・商工業者へのすみやかな仮払いを行うことを強く求めてきました。わが党が率先して提起した問題を、他党もとりあげ、党派を超えた声となっている場合も少なくありません。

 被災地の党員と党組織、党地方議員は、震災で家族や同志を失い、事務所を失うなど大きな打撃を被りながら、献身的に救援・復興の先頭に立って奮闘しています。被災地の同志たちが、避難所で、仮設住宅で、破壊された漁港で、地方議会で、被災者救援の先頭に立ち、復興への希望と展望を語り、住民の信頼を高めていることは、「国民の苦難軽減のために献身する」というわが党の立党の精神を体現したものであり、全党の誇りであります。

 党がとりくんだ震災募金は6億7千万円をこえ、被災した82の自治体、46の漁協、22の農協に届けられています。党の呼びかけによる救援ボランティアは約7千人にのぼり、とくに若い世代の大奮闘は現地に希望を運んでいます。被災3県にたいして、全国の党組織が分担して支援にとりくんだことは、現地の党組織を励ますとともに、支援にとりくんだ側も自覚と誇りを高め、全党的な連帯の絆を強めています。党機関支援募金には1億3千万円が寄せられています。私は、全党が、引き続き被災地支援のとりくみの発展をはかることを心から呼びかけるものです。
復興をどうすすめるか――「二つの原則」を堅持することの重要性

 復興をどうすすめるのか。わが党は、「第2次提言」で、「二つの原則」を堅持することを提起しました。

 第一は、一人ひとりの被災者が、破壊された生活の基盤を回復し、自分の力で再出発できるように支援することこそ、復興の最大の目的であり、この目的を達成するための公的支援を行うことは、憲法第13条の幸福追求権、第25条の生存権などにてらして国の責務であるということです。

 第二に、復興の進め方については、「計画をつくるのは住民合意で、実施は市町村と県・国が連携して、財政の大半は国の責任で」を原則にすべきであり、被災地の実情を無視した「上からの青写真の押し付け」を許さないことが必要だということです。

 この原則は、政治的立場の違いを超えて、誰もが否定することができない当たり前のものであり、多くの被災者の共感を得ています。同時に、財界と政府が主導して、この原則に背くさまざまなゆがみや逆行――大震災に乗じて「構造改革」路線を押し付けようとする動きも起こっています。それだけに、わが党が、災害の当初からこの原則を堅持することの重要性を主張しつづけていることの意義はきわめて大きいものがあります。
原発事故にどう立ち向かうか――「安全神話」をただし、「原発からの撤退」を提起

 原発事故にどう立ち向かうか。わが党は、事故の収束のために、日本の研究者・技術者の知恵と力を総結集する体制をつくること、政府として責任をもって危機収束の戦略と展望を示すこと、原発事故に関するあらゆるデータを掌握し国民に公表すること、放射能被害への国民の不安に応える責任ある措置をとることなどを求めてきました。

 同時に、この大事故を引き起こした根本に、「安全神話」にどっぷりとつかり、わが党や市民団体の繰り返しの警告を無視して重大事故への備えをとらなかった、歴代政府と東京電力など電力業界、財界の姿勢があることを、きびしく追及してきました。

 1979年のスリーマイル島原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故という二つの過酷事故を経て、1988年に国際原子力機関(IAEA)が過酷事故対策をとることを各国に勧告していたにもかかわらず、日本政府は、「日本では過酷事故は起こり得ない」として何の対策もとりませんでした。

 さらに、1994年に「原子力の安全に関する条約」が結ばれ、原子力発電の「推進機関」と「規制機関」の分離を義務づけたにもかかわらず、日本では「規制機関」が「推進機関」の下に置かれるという国際条約違反を続けてきました。

 これらは、わが国の原子力行政がいかに国際的に無法で異常なものかを示す象徴であります。原発をもつ世界の主要な国のなかで、日本のような「安全神話」にしがみつき続けた国は、他に一つもありません。ここには、「ルールなき資本主義」のいわば“原発版”があることを、きびしく指摘しなければなりません。

 さらに、わが党は、5月1日、福島原発事故が突きつけた深刻な現実を踏まえて、従来の原発政策を発展させ、政府に「原発からの撤退」と「期限を決めた原発ゼロへのプログラムの策定」を求めるとともに、6月13日に、党としての「提言」――「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を――国民的討論と合意をよびかけます」を発表し、対話と共同のとりくみをすすめてきました。
日本共産党への新たな共感の広がり――震災問題でも、原発問題でも

 こうした日本共産党の姿勢と活動は、これまで党とは接触のなかった人々も含めて、多くの人々の心に響き、共鳴し、共同のとりくみがひろがっています。

 一つは、被災地での響きあいであります。党調査団や党国会議員団が訪問した、自治体、漁協・農協・商工会議所などでは、どこでも復興にむけた方向の一致が得られ、心通う話し合いが行われています。

 この間、「しんぶん赤旗」には、岩手、宮城、福島の3県の漁協・農協のトップの方々が登場し、思いの丈を語ってくれました。そこでは、被災地の苦難に真剣に心を寄せるわが党の政治姿勢に対する信頼や共感とともに、漁場を荒らす大企業参入の動きへの怒り、「安全神話」をふりまきながら原発推進をはかってきた国と東京電力への憤り、大震災のさなかにTPP(環太平洋連携協定)参加を持ち出し復興への希望をつぶす政治への批判がのべられ、そうした政治のゆがみをただす日本共産党への期待が語られています。

 いま一つは、原発問題での響きあいであります。不破社研所長の「連続教室」での講義『「科学の目」で原発災害を考える』への大きな反響にみられるように、わが党が、先駆的に原発の危険の本質を明らかにし、「安全神話」と「利潤第一主義」にたった歴代政府と電力業界・財界による無謀な原発推進路線にたいして早くから警鐘を鳴らし続けてきたことに、広い社会的注目が寄せられています。

 「原発からの撤退」の「提言」にたいして、各層・各分野の広範な人々から歓迎の声が寄せられています。福島県復興ビジョン検討委員会は、「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」などを柱とする復興基本理念をまとめましたが、その座長をつとめる福島大学名誉教授の鈴木浩氏は、「『原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入』を求める共産党の提言は、私たちの復興の理念とも相通じるもので注目しています」との感想を寄せています。「計画的避難区域」に指定され、全村避難を余儀なくされた福島県・飯舘村の菅野典雄村長は、「原発からの撤退は全県民の願い」と、わが党の「提言」に大きな共感を寄せてくれました。

 危機のもとで、少なくない人々が、日本共産党の主張と姿勢に新たな注目と共感を寄せています。それは、震災問題でも原発問題でも、わが党が、いま問われている問題の根源にある政治のゆがみを大本からただす党であること――党の綱領路線への共感や信頼に発展しうるものです。ここに確信をもって、たたかいを発展させようではありませんか。
「二大政党」はこの危機にどう対応しているのか

 それでは「二大政党」は、この未曽有の危機にさいして何をしているのか。
被災者そっちのけの党略的政争に国民の批判と怒りが広がる

 民主党政権の大震災・原発への対応は、たいへんだらしがないものです。多くの問題点が噴き出し、国民の信頼をまったく失っています。

 震災問題では、どんな政権であっても当然行うべき救援の手だてがあまりに遅く、多くが手つかずで残されています。被災者が一刻も早い復興への光を求めているにもかかわらず、生活と生業の基盤回復に政府が本格的に乗り出す姿がまったく見えません。現地の実情を無視した「上からの押し付け」と、増税論だけが突出しています。

 原発問題でも、「安全神話」にとらわれて「過酷事故」への備えを行わなかったという根本問題にくわえて、事故後の対応についても、わが党が再三求めた研究者・技術者の総力を結集した体制をつくるという責任を果たさず、政府が責任をもって危機収束の戦略と展望を示し実行するという責任を果たさず、もっぱら東京電力に対応を「丸投げ」するという姿勢に終始しています。国民への情報公開という点でも、後になって重要な情報を小出しにするという姿勢が、事故収束への内外の英知の結集を妨げ、国民の信頼を大きく損なっています。この政権は、危機に対応する当事者能力を欠いているといわなければなりません。 

 自民・公明両党は、原発大増設をすすめてきた自らの責任への反省をまったく行わないまま、震災問題と原発問題を、民主党政権を攻撃するために、党略的に利用するという姿勢に終始しています。

 未曽有の危機のもとで、被災者そっちのけの党略的政争に明け暮れる民主党、自民・公明両党の双方にたいして、多くの国民が、「この国難のもとで、政治は何をやっているのか」という強い批判と怒りをつのらせているのは当然であります。
悪政を共同で推進――「大連立」につながる危険

 民主党と、自公両党は、みにくい「党略的政争」を繰り広げる一方で、国民に苦難を押し付ける政治を共同ですすめています。

 民主党と自公両党などが強行した「復興基本法」は、「住民合意を尊重し、上からの押し付けはあってはならない」という復興の原則に真っ向から反し、財界の号令にしたがって農林水産業切り捨てをすすめる「新成長戦略」を押し付けるものであり、庶民増税などを打ち出す「復興構想会議」にお墨付きを与えるものとなりました。

 原発問題でも、首相は、福島原発事故を契機とした、原発縮小・撤退を求める国民世論の高まり、ドイツやイタリアでの原発撤退の流れに背を向け、ここでも財界の号令にしたがって、サミットで「最高水準の原子力安全を目指して取り組む」とのべ、定期検査中の原発の再稼働についても「安全宣言」を出すなど、新しい「安全神話」をふりまきながら、原発推進に固執しています。一方で、自民党は、事故後の政府の対応のあれこれを「追及」するだけで、原発からの撤退を求める動きを「集団ヒステリー状態」(自民幹事長)と攻撃した姿勢に象徴されるように、これまでと変わらない原発推進の姿勢をあらわにしています。

 消費税増税問題では、党首討論で、首相が、「税と社会保障の一体改革について政府案を出せば協議に乗っていただけるか」とのべると、自民党総裁は、「私どもはすでに(消費税増税の)ルビコンを渡っている。どうぞあなた方も渡っておいでになって一緒に議論しよう」と答え、実質的に消費税増税の大連合がつくられていることが示されました。

 沖縄の米軍普天間基地問題でも、民主党政権は、名護市辺野古に「V字形基地」を建設するという、自民・公明政権が米国政府と交わしたものとまったく同じ計画を、米国との間で合意しました。ここでも民主・自民・公明の「日米安保絶対、米軍基地押し付け」の大連合が形成されています。

 こうした動きのなかから、民主、自民の双方に「大連立しかない」という動きが見え隠れしています。「大連立」によって選挙制度改悪、憲法改定など、かねてからの反動的野望を一気にすすめようという動きに、強い警戒が必要であります。
根本には「二大政党」が共有する古い政治の行き詰まりと破たんがある

 一方でみにくい「党略的政争」、他方で悪政の共同推進――これが戦後未曽有の危機のもとで「二大政党」がとっている態度であります。

 戦後未曽有の災害は、民主党政権だけでなく、「二大政党」といわれる勢力の全体が、危機への対応能力をもたず、日本の政治のかじ取りを行う力を失ってしまっていること、その政治的劣化ぶりを、くっきりと浮き彫りにしました。

 その根本には、「二大政党」が共有している日本の政治の「二つの異常」――「異常な対米従属」「大企業・財界の横暴な支配」という古い政治の枠組みそのものが、行き詰まりと破たんに突き当たっているという事実があります。それがいま、大震災と原発事故という危機のもとで、抑えようもなく噴き出しているのであります。
大災害の克服をつうじて新しい日本への前進を

 いまの日本にとって最大の課題は、日本国民の総力をあげて、未曽有の大災害によって生じた危機を乗り越えるとともに、それを通じて、国民だれもが安心して暮らせる新しい日本への前進を実現することであります。この国民的課題をすすめるために、日本共産党が先駆的役割を果たすことが、強く求められています。

 危機のもとで、多くの国民がこれまでの政治への見方を大きく変え、政治の真実とは何かについて、新たな探求と行動をはじめています。被災地では、これまで保守の立場だった人々もふくめ、日本共産党のなかに復興への希望を見いだし、共同の輪が広がっています。これまで「安全神話」のウソに包まれ、その正体が見えなかった原発という存在、原発依存のエネルギー政策について、多くの人々が根本からその是非を考え始めています。

 わが党が、いま国民のなかに広く打って出て、対話とたたかいをすすめ、「国民が主人公」の新しい日本への綱領的展望を語るならば、多くの国民の探求と日本共産党の主張が合流する条件は大いにある。そこに確信をもって意気高く奮闘しようではありませんか。

 
2、各分野で日本の前途を開く国民的闘争を

 報告の第二の主題として、各分野での日本の前途を開く国民的闘争についてのべます。
被災者支援と復興のたたかい
震災4カ月――復興をめぐる政治的対決点が浮き彫りに

 まず被災者支援と復興のたたかいです。

 わが党は、大震災発生の当初、被災者の救援と復興のために、政治的立場の違いをこえて全力をあげることを提起してきました。同時にここにきて、復興をめぐる政治的対決点も浮き彫りになってきています。

 一つは、大震災から4カ月近くたちましたが、政府の復旧・復興に向けた対策、とりわけ生活と生業の再建にむけ国が本腰を入れて乗り出すという、待ち望まれている施策が遅々としてすすんでいないことです。このもとで、被災者の生活と仕事の困窮がすすみ、「この地域から人がいなくなってしまう」という危惧が現実のものとなりつつあります。被災者と被災地の窮状に向き合い、困難を打開し希望を示す血の通った施策をすすめるのか、被災地の生活基盤の回復という災害対策の根本を忘れた冷たい政治に終始するのか。これは日本の政治のあり方の根本が問われる対決点であります。

 いま一つ、住民の合意を尊重した復興か、震災に乗じて「構造改革」を推し進めようとする財界の描いた青写真を上から押し付けるのかが、重大な対決点となっています。

 政府の「復興構想会議」の発表した「提言」は、財界が求める農林水産業への「民間企業の参入」「大規模化」「集約化」を、上から押し付けようというものになっています。また、復興財源として、「震災復興税」の創設を提唱しましたが、これも「国民に広く負担を求める復興税の導入」(経済同友会)という財界の意向に沿ったものであり、消費税増税に道を開くものにほかなりません。

 しかし、こうした動きは、被災地の実情を無視した暴論として、大きな矛盾と反対にぶつかっています。水産業をめぐっては、財界の青写真にそった、漁港の「集約化」と大企業を沿岸漁業に参入させようとする「水産特区構想」の動きに対して、長年、沿岸漁業を守り育ててきた漁業協同組合は激しく反対しています。船を失い、漁港も、加工業、流通業も破壊されるもとで、漁業者が一体となって必死に再建しようとしているとき、復興にむけたまともな施策をとらず、漁業者を追い詰めたあげく、その絆を分断して、「構造改革」路線を押し付ける。こんなひどい政治を許すわけにはいきません。世界有数の豊かな漁場と東北の水産業を守り、真の復興をかちとるたたかいに、わが党は、固く連帯してたたかいぬく決意を表明するものであります。
被災地の復興運動への全国的支援を――「ルールある経済社会」めざすたたかい

 復興のたたかいでは、被災3県に、「救援・復興をめざす県民センター」(共同センター、県民会議)が設立され(岩手は9日に設立予定)、わが党も一員として参加しています。「県民センター」が「被災者が主人公の復興」をすすめる共同のセンターとして、これまでの政治的立場の違いをこえ、大きく発展することが期待されます。

 同時に、被災地の復興運動への全国的連帯と支援を、引き続き発展させることを訴えるものです。

 阪神・淡路大震災のさいに、全国的に広がった住宅再建の個人補償を求める運動は、まだ不十分ながら被災者生活再建支援法へと実を結び、今回の大災害でも被災者の暮らしを守るうえで重要な足がかりとなっています。阪神のたたかいが、いま東北のたたかいに生きているわけです。

 今回の大震災からの復興のたたかいのなかで、この制度をさらに拡充するとともに、「二重ローン」の問題の解決や、水産業、農業、商工業などの各分野での災害対策の新しい制度・ルールをつくらせることは、いま苦しんでいる被災者の生活の支えになるとともに、今後、この日本ではどこでも起こりうる自然災害のさいに、被災者を救う制度となって働くことになるでしょう。

 それぞれの地域で「福祉・防災の街づくり」にとりくむとともに、被災地復興への全国的支援を強めることは、党綱領が示す「ルールある経済社会」を築く重要な内容の一つであることを強調したいと思います。
「原発からのすみやかな撤退」を国民的世論にする一大闘争をよびかける

 つぎに、「原発からの撤退」を求める「提言」(以下「原発撤退提言」)の意義と、この問題での国民的討論と合意をどうやってつくりだすかについて報告します。
わが党の先駆的な活動の蓄積のうえに、さらにそれを発展させたもの

 今回の「原発撤退提言」は、原発問題にたいする日本共産党の半世紀にわたる先駆的な活動の蓄積のうえに、それをさらに発展させたものであります。

 日本で原子力発電が問題になったのは、1950年代中ごろからですが、日本共産党は、いまの原発技術は未完成で危険なものだとして、その建設には当初からきっぱり反対をしてきました。その後も、大事な局面ごとに、政府や電力会社のふりまく「安全神話」のウソを追及し、原発のもつ重大な危険性と、それを管理・監督する政府の無責任さを具体的にただしてきました。

 形だけの審査体制、使用済み核燃料の危険性、住民の避難体制の欠如、東海大地震の予想震源地での原発増設の危険、「規制機関」が「推進機関」から分離されていない問題、福島原発を明示しての地震・津波対策の欠如など、今回の福島原発の事故で明らかになった多くの問題点は、わが党が30年来の国会質問でただしてきた問題でありました。

 さらに、わが党は、2000年の第22回党大会で、当時、ドイツなどが原発から撤退する動きを示していることに注目しつつ、「低エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの開発をすすめながら、原発からの段階的撤退をめざす」という方針を明確にしました。
「原発撤退提言」で発展させた認識と方針の中心点について

 こうした蓄積のうえに、今回の「原発撤退提言」では、福島原発事故の経験を踏まえ、いくつかの認識と方針の発展を行っています。その中心点について、3点ほど報告しておきたいと思います。

 第一は、原発という技術のもつ本質的な危険性とは何か、他の通常の技術にはない「異質な危険」とは何かを突き詰めて解明したことであります。

 「原発撤退提言」では、「原発がそのなかに巨大な『死の灰』をかかえ、それを閉じ込める保証がない――ここにこそ原発のもつ重大な危険性の本質があります」とのべ、原発が巨大な「死の灰」を生みだし、人類がそれをコントロールする手段をもちあわせていないことにこそ、原発の危険性の本質があることをズバリ明らかにしています。

 そして、原発事故には、他の事故には見られない「異質の危険」があること、すなわち、ひとたび重大事故が発生した場合に、放射性物質が外部に放出されたならば、それを完全に抑える手段は存在せず、被害を、空間的、時間的、社会的に限定することは不可能となることを明らかにしています。このことは、福島原発の事故を通して、多くの日本国民が実感していることだと思います。

 ひとたび重大事故を起こしたら、人間社会に、このように他に類のない「異質の危険」をもたらす現在の原発という技術は、いったい社会的に許容できる技術なのか。このことが、正面から問われなければなりません。

 第二は、第一の問題とも密接にかかわって、現在の原発は本質的に未完成で危険なものであり、世界有数の地震・津波国日本ではその危険がとりわけ深刻なものになることを考えるならば、「安全な原発などありえない」ということを、明確にしたことです。

 首相は、「世界最高水準の安全性をもった原子力開発を進める」、「しっかりとした安全基準をつくる」などといい、「安全基準」を高めれば「安全な原発」となりうるかのようにのべて、原発推進に固執しています。こうした議論を根底から打ち破るうえでも、原発という技術において、いったい客観的な「安全基準」が設定できるのかを、突き詰めて明らかにする必要があります。

 どんな技術でも、「安全基準」とは、「事故のもたらす被害の大きさ」に「事故の起こる確率」を掛け合わせたものを、「事故のリスク(危険)」と考え、それが社会的に許容できるかどうかによって決まってきます。ところが、原発においては、通常の技術と違って、最大・最悪の事故がもたらす被害はあらかじめ想定することができないほど巨大なものです。福島原発事故で大気中に放出された「死の灰」は、原子炉のなかの「死の灰」の1〜2%といわれていますが、この事故の被害がどこまで拡大するかさえ、いまだに予断をもっていうことはできません。さらに、原子炉のなかの「死の灰」の50%、80%、100%が放出される事故も起こりえますが、その場合にどれだけの恐るべき被害が出るかをあらかじめ想定することはできません。それは原発のもつ「事故のリスク(危険)」は想定できないほど大きいことを意味します。

 さらに、どんな技術でも、「安全基準」が客観性をもっているかどうかは、実証――実験、実践をつうじてためされます。飛行機にしても、自動車にしても、「安全基準」は実験や実際に使ってみることによってためされます。ところが、原発においては、ある「安全基準」を決めたとしても、大量の放射性物質の放出の危険を伴うような実験を行うことは原理的に不可能であり、それを実証することはできません。たとえば原発と地震との関係である「安全基準」を決めたとしても、それが成り立つかどうかは、実際に、稼働中の原発プラントを振動させてみなければわかりません。ところが、そんな実験は原理的に不可能であることは、誰が考えても明りょうです。実証不可能な「安全基準」とは、結局は机の上の計算だけのものとなり、客観性をもたず、主観的なものとならざるをえません。

 こうして原発においては、ある「安全基準」を決めて、それをクリアすれば「安全な原発だ」とする考え方は成り立たないのです。これは、原発という技術のもつ、通常の技術にはない「異質な危険」に起因するものであります。

 もとより、「原発撤退提言」でものべているように、わが党は、原発事故の危険を最大限回避し、危険を可能なかぎり小さくするために、考えうるかぎり、可能なかぎりのあらゆる措置をすみやかにとることを強く求めていきます。

 しかし、同時に、そうした措置をとったからといって、「原発の安全性は大丈夫になった」などとはいえないことを強調しなければなりません。現在の科学と技術の発展段階では、「安全な原発などありえない」。このことをはっきりと言わなければなりません。

 第三に、これらをふまえて、「原発撤退提言」では、「原発からの段階的撤退」という方針を一歩すすめて、「原発からのすみやかな撤退」という方針に踏み込みました。

 日本で原子力発電を続けることのあまりに巨大な危険を考えるならば、できるだけすみやかに原発から撤退することが強く求められます。まず原発からの撤退の政治的決断を行い、期限を決めた撤退のプログラムを策定する。できるだけすみやかな撤退の措置をとりながら、それと同時並行で、再生可能エネルギー・自然エネルギーを最大のスピードで開発・普及するという方針へと一歩すすめることが必要だと考えました。

 自然エネルギーの本格的導入は、新たな仕事と雇用を創出し、地域経済の振興と内需主導の日本経済の発展にとっても、大きな力となるものです。

 わが党の「原発撤退提言」でのべた、こうした「撤退の論理」は、ドイツなどで国民的議論を経て到達した「撤退の論理」とも共通する内容となっています。それは、わが党の半世紀におよぶ原発問題へのとりくみの蓄積のうえに可能となったものであることを、重ねて強調しておきたいと思います。
どうやって国民的合意をつくりあげていくか――二つの点に留意して

 それでは、どうやって国民的合意をつくりあげていくか。昨日、東京・明治公園で行われた「原発ゼロ」をめざす「7・2緊急行動」には、被災地から全国から2万人もの人々がつめかけ、熱気にあふれました。この運動には大きな発展の可能性があることを、肌身で感じる、大きな確信をあたえる集会となりました。

 いま多くの国民が真剣に考え、行動を始めているもとで、方向を示しながら、大いに討論をおこし、合意をつくりあげていく国民的プロセスが重要になっています。それをすすめるうえで、二つの点に留意してとりくみたいと思います。

 一つは、「原発からの撤退」の一点での広い共同をつくりあげていくことです。わが党は、「原発撤退提言」でも明記しているように、「人類の未来を長い視野で展望し、原子力の平和的利用にむけた基礎的な研究は、継続、発展させるべき」であるという立場にたっています。当面の「原発からの撤退」でも「基礎的な研究」は不可欠です。ただ、この点で立場を異にする方々もいると思います。しかし、そういう方々とも、「原発からの撤退」で一致すれば大いに共同は可能だと考えます。

 また、わが党は、「5年から10年以内」の撤退を提案していますが、撤退の期限の問題や、代替エネルギーについての考え方は、さまざまな意見がありうるでしょう。それを最終的に決めるのは国民の合意であります。これらの問題での、意見の違いがあっても、「原発からの撤退」という方向性が一致できれば大いに共同していきたいと考えます。

 いま一つは、「原発からの撤退」までは一致できなくても、原発の危険から命と健康を守るうえでの緊急の要求を重視し、広い連帯をつくっていくということです。たとえば、それぞれの地元に立地している原発に反対する運動、原発事故の危険を回避するための具体的な安全対策を求める運動、放射能の危険から住民の命と健康を守る運動など、原発の危険に反対するさまざまな運動が広がっています。それらの一つひとつを重視し、連帯を強めることは、「原発からの撤退」の大きな国民的流れをつくることにつながるでしょう。

 この間、わが党は、政府が、定期検査中の原発の再稼働の「要請」を行ったことについて、「要請」の撤回を求める緊急の申し入れを行いましたが、これも緊急の要求にもとづく行動であります。

 今年6月、ドイツ政府と連邦議会は、「2022年までに原発から撤退する」という方針を決めましたが、その背景には、チェルノブイリ事故いらいの大規模な国民的討論がありました。壮大な規模で、文字通りの国民的討論をおこし、それを通じて「原発からの撤退」の国民的合意をつくるために奮闘しようではありませんか。
「原発からの撤退」をめざすたたかいの綱領的な位置づけについて

 「原発からの撤退」をめざすたたかいは、日本の政治のゆがみを大本からただすたたかいでもあります。

 歴代政府と二人三脚で原発推進をすすめてきた日本経団連の米倉会長は、「(原発が)千年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と言い放ちました。この発言にみられるように、財界は、原発事故をおこした当事者であるにもかかわらず、まったく無反省のまま、新たな「安全神話」を製造し、原発推進政策に固執しています。その根底には、電力会社、原発メーカー、大手ゼネコン、鉄鋼・セメントメーカー、大銀行など、原発によって利益を得る一部大企業が、原発推進の政治家・特権官僚、一部メディアや「専門家」などと癒着してつくりあげている「原発利益共同体」ともよばれている利権集団があります。「原発からの撤退」をめざすたたかいは、こうした「政・官・財」の腐敗した癒着構造を打破し、「ルールある経済社会」をつくるたたかいの重要な一部であります。

 また、日本が、なぜ原発列島になったのかの歴史的根源をたどると、1950年代以降、アメリカから濃縮ウランと原子炉の提供を受け、アメリカのエネルギー政策に従属する形で、原発増設路線を突き進んできたという問題があります。それは今日もなお続き、いまでも日本の原発で使われている濃縮ウランの73%は、アメリカからの輸入に依存しています。「原発からの撤退」をめざすたたかいは、エネルギーの対米従属を打破していくたたかいでもあります。

 このたたかいを、「異常な対米従属」「大企業・財界の横暴な支配」という日本の政治の「二つの異常」をただす綱領的課題の一つとして位置づけ、全力をあげようではありませんか。
国民生活を守る各分野のたたかいについて

 つぎに国民生活を守る各分野のたたかいについて報告します。

 大震災と原発問題という危機が続く中でも、民主党と自民・公明両党が、財界と一体ですすめようとしている一連の国民生活破壊の計画があります。これを許さないことは、被災地の復興にとっても、日本経済と国民生活を考えても、きわめて重要であります。
社会保障切り捨てと一体の消費税増税に反対する国民的たたかいを

 まず、消費税増税と社会保障切り捨てに反対するたたかいについてのべます。

 6月30日、政府・与党の「社会保障改革検討本部」が決定した「社会保障と税の一体改革案」では、「社会保障財源に充てる」ことを口実に、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げ」ることを明記しました。

 しかし、この「社会保障改革案」なるものは、医療費のさらなる負担増、年金の支給開始年齢の引き上げ、生活保護制度の支給額の「見直し」などの大改悪がその内容となっています。これでは、「社会保障の拡充」どころか、終わってみれば社会保障の大改悪と消費税増税だけが残ることになりかねません。しかも、「2010年代半ばまでに増税を」などと主張する勢力は、いったい被災地の苦しみをどう考えているのか。

 いま、国民の暮らしに深刻な打撃を与え、救援と復興の事業を根本から破壊する消費税増税に手をつけるなど論外であり、これに反対する国民的たたかいを起こすことを、呼びかけるものです。

 税金の浪費に徹底して切り込み、応能負担にもとづく税制の再構築をはかり、復興財源は大企業の内部留保を活用する「復興債」で賄うなど、政治の姿勢の転換によって社会保障財源、復興財源を賄うべきであります。
人間らしい雇用を求めるたたかいについて

 つぎに、人間らしい雇用を求めるたたかいについて報告します。

 震災を「口実」にした大企業による新たな「派遣切り」「非正規切り」、賃下げが、被災地のみならず全国各地で広がっており、こうした横暴を許さないたたかいが急務となっています。ソニーは、仙台工場の縮小計画を発表し、280人の正社員を広域配転するとともに、150人の期間工の「雇い止め」を実施するとしています。しかし、ソニーの工場は被災をしましたが、保険金で補てんされる見込みとなっています。危機のもとで雇用への社会的責任を果たすべき大企業が、首切りの先頭に立つなど許すわけにはいきません。

 「派遣切り」、「非正規切り」とのたたかいでは、2008年秋以降のリーマン・ショック後に、解雇・雇い止めの被害にあった労働者の裁判闘争も、重要な局面を迎えています。「こんな無法を次の世代に残したくない」との思いで、勇気をもって裁判闘争に立ち上がった労働者を支える運動への支援を強く訴えるものです。日本航空、社会保険庁の不当解雇をめぐっても、この間のたたかいで、解雇の不当性がつぎつぎと明らかにされてきました。必ず勝利をかちとるための支援を心から訴えたいと思います。

 復興財源を名目に、国家公務員の給与を10%削減するという無法な攻撃は、現行法も、人事院も無視した、まったく道理のないものであります。同時に、公務員攻撃が国民全体に対する攻撃であることが、目に見える形で明らかになりつつあります。大震災の被災地では、公務員を削減してきたことが被災者の救援・復興の大きな障害となっています。その中でも、多くの公務員労働者が、被災者救援・復興のために献身的に大奮闘しています。公務員攻撃を社会的連帯ではねかえす新たな条件が広がっていることに確信を持ち、力をあわせて奮闘しようではありませんか。
TPP(環太平洋連携協定)――反対のたたかいをさらに

 つぎにTPP参加反対のたたかいについてのべます。

 2中総後に浮上した重要な政治課題として、TPPの問題があります。民主党政権は、6月に予定していた参加の判断を先送りすることを決定したものの、5月下旬のG8サミットで行われた日米首脳会談で、オバマ大統領に「早期に判断する」と約束しています。

 JA全中が中心になってとりくんだTPP交渉への参加阻止を訴える1000万人署名運動は、すでに農業者、漁業者、消費者団体など全国から1121万人の署名が集まり、目標を突破しています。TPP参加は、日本の農林水産業を破壊し、東日本大震災からの復興に深刻な打撃となるものであり、絶対に許すわけにはいきません。政府に参加断念を表明させるまで、たたかいをさらに発展させようではありませんか。
沖縄普天間基地問題、「核兵器のない世界」――平和のたたかいの二つの焦点

 沖縄普天間基地問題、「核兵器のない世界」という、平和のたたかいの二つの焦点について報告します。
辺野古移設の押し付け――居直りと悪あがきを許さない全国的連帯を

 沖縄では、新たな米軍基地を押し付けようとする日米両政府にたいする県民的怒りの新たな大きな波がおこっています。日米両政府は、6月21日、民主党政権になってから初めての日米安保協議委員会(2プラス2)を開き、名護市辺野古への新基地建設を確認し、「V字形滑走路」にすることを決定しました。しかし、この間の名護市長選、沖縄県民大会、沖縄県知事選挙などをつうじて、「県内移設反対」は党派を超えた揺るがぬ島ぐるみの声となっています。米議会でもレビン上院軍事委員長などの有力議員が、辺野古移設は「非現実的」「実行不可能」とのべています。県民誰もが実行不可能と考えている破たんした計画を、あえて米国に誓約した日本政府の卑屈な姿勢は、絶対に許せないものです。

 くわえて米国は、普天間基地に、きわめて危険で大騒音をまき散らす垂直離着陸輸送機・MV22オスプレイを、来年からの2年間で合計24機も大量配備する計画を伝達しました。「世界一危険」と自ら認める基地にさらに深刻な危険を押し付け、辺野古移設を認めなければ普天間基地への居座りを続けるかのごとき、日米両政府の恫喝(どうかつ)的な姿勢は、県民の怒りの火に油を注いでいます。

 大局的に見れば、日米両政府の動きは、沖縄県民のたたかいに追い詰められた、居直りと悪あがきであります。それは県民との矛盾をいよいよ深め、いっそう大きな破たんに直面せざるをえないでしょう。県内移設反対、普天間基地の即時閉鎖、無条件撤去を求める沖縄県民のたたかいに、全国が連帯し、「基地のない沖縄」「基地のない日本」をめざして、たたかいを発展させることを、強く呼びかけるものであります。
原水爆禁止世界大会の成功に力をつくそう

 わが党は、「核兵器のない世界」の実現には、核兵器廃絶を正面からの主題とした国際交渉――核兵器禁止条約の国際交渉が必要だと訴えてきました。これが今、国際政治の現実の課題となりつつあります。

 昨年の12月の国連総会では、核兵器禁止条約の早期締結にむけた交渉開始を呼びかける決議が圧倒的多数で採択されました。今年5月の非同盟諸国外相会議は、「核兵器廃絶の方法」を議論する国際会議の開催を呼びかけました。「核兵器禁止条約に向けた実質的交渉の即時開始」を求める平和市長会議は、151カ国・地域4800をこえる自治体に広がっています。日本原水協が提起した「核兵器禁止条約の交渉開始」を求める国際署名は、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も支持を表明するなど、内外の幅広い賛同を得て広がりつつあります。目前に迫った原水爆禁止世界大会を、こうした各国政府と各国の運動の努力を、合流・発展させる場として大きく成功させるために力をつくそうではありませんか。

 日本の反核平和運動は、核兵器廃絶・被爆者援護を中心的課題としてすえながら、米ソの核実験による被曝(ひばく)者、チェルノブイリ原発事故の被害者、そして福島原発事故の被害者など、放射能被害に苦しむあらゆる人々との連帯をすすめ、「原発依存から自然エネルギーへの転換」を訴えてきました。日本の反核平和運動が、「核兵器のない世界」にむけて先駆的役割を果たしながら、どんな形であれ放射能被害者をつくらないという立場での連帯を広げていることは、今日の情勢のもとできわめて重要であります。
3、いっせい地方選挙の教訓と、中間地方選挙、総選挙のとりくみ

 報告の第三の主題として、いっせい地方選挙の教訓と、中間地方選挙、総選挙のとりくみについてのべます。
いっせい地方選挙の教訓について

 まず、いっせい地方選挙の教訓についてです。
全国の党組織の総括と教訓に学び、とくに重要だと考える二つの点

 いっせい地方選挙での、日本共産党の結果は、一部に貴重な勝利や前進もあるものの、全体では議席、議席占有率、得票ともに後退するという結果となりました。

 4月25日の常任幹部会声明では、いっせい地方選挙からの「総括と教訓をひきだす角度」として三つの点――(1)もてる力をだしきるために手だてをつくしたか、(2)党と地方議員(団)の日常活動のあり方、(3)「党の自力の不足」の問題――を提起しました。

 全国の都道府県、地区委員会では、この提起が全体として積極的に受け止められ、総括と教訓が深められています。幹部会報告では、党中央として、全国の党組織が引き出した総括と教訓から学び、その内容の中心点を全国に返すという姿勢で、とくに重要だと考える二つの教訓についてのべておきたいと思います。
総括を掘り下げるなかで、党員拡大の遅れがさまざまな角度から深められた

 第一は、総括を掘り下げるなかで、「自力の不足が骨身にしみた」という思いが共通して語られ、なかでも党建設の根幹である党員拡大の遅れが、選挙活動のあらゆる面で障害になっていることが、さまざまな角度から深められていることであります。

 たとえばある県からは、こういう報告がよせられています。

 「選挙直後は、僅差で競り負けた要因として、機関の情勢判断と対策の甘さ、その不徹底だけに目が行き、『また中央は自力の問題を言うのか』などの声も出ていた。しかし、総括を掘り下げるなかで、それらの個々の問題も重要だが、その根底には党の自力の問題があること、党を大きくしなければ選挙の勝利も、県民の願いにもこたえられないことは、選挙をたたかった一番の実感であることが議論され、『自力の不足』の打開こそ今回の選挙結果からくみとるべき中心問題であることがつかまれた」

 各都道府県、地区委員会の総括の過程で、対話と支持拡大の総量の低下、最終盤での瞬発力の弱まり、政治論戦の基本を全党に徹底する力の弱まり、各分野の後援会活動の後退、候補者決定の遅れ、「情勢判断」と対応の甘さ、選挙をたたかう財政の問題など、個々の問題が深められ、それぞれについての打開の決意がのべられ、そのための方策が真剣に探求されていることは大切であります。

 同時に、そうした議論を掘り下げるなかで、これらの個々の問題の根本には、党員拡大の遅れによって党の根幹が細くなっており、とくに党の世代的継承の点で問題があること、選挙に勝つためにはそこをどうしても打開しなければならないとの結論が、共通の認識となり、強く大きな党づくりへの決意が語られていることは、きわめて重要であります。
2中総の選挙方針の先駆的な実践が勝利の力になった

 第二に、全国的には後退したなかでも、それぞれの都道府県や地区委員会に、得票を大きく伸ばし、激戦を制して議席を獲得した経験が生まれています。そこからくみだされている共通の教訓は、2中総決定で提起した「結びつきを生かし、広げることを軸とした選挙活動」に早い段階からとりくんでいること、「党の自力をつける」活動にうまずたゆまずとりくんでいることにあります。

 和歌山県・西牟婁郡区(定数2)では、激戦を制して8年ぶりに県議議席を奪還しました。ここでは、候補者を先頭に生活相談にとりくみ、PTA、地元町内会、各種サークルなどの役員をつとめるなど日常的につながりを広げています。この4年間で「集い」を130回以上開催し、1300人以上が参加、後援会ニュースを読んでくれる人も4千人をこえています。党員拡大は4年間で110人を新たに党に迎え、「しんぶん赤旗」の日曜版読者数は前回時を回復して選挙戦をたたかっています。

 千葉県・柏市(定数5)でも、激戦を制して8年ぶりに県議議席を奪還しました。ここでも、候補者が5人の市議・候補者と一体になって生活相談や地域懇談会にとりくみ、市と交渉し、要求実現のとりくみをすすめています。同時に、この4年間に215人の新入党員を迎え、19の地域支部すべてが党員を増やし、党費納入党員数は前回比137・5%、「しんぶん赤旗」読者では、日刊紙は前回時をこえ日曜版は110%で選挙戦をたたかっています。前回比で全戸配布は1・5倍、対話と支持拡大も1・3倍になるなど、選挙活動の運動量も大きく飛躍しています。

 2中総決定が明らかにした「結びつきを生かし、広げることを軸とした選挙活動」、「党の自力をつける」という一番の要の部分を、先駆的に実践していたことが、勝利につながった。ここには、私たちが学ぶべき豊かな教訓がふくまれています。

 いっせい地方選挙のたたかいから、この二つの教訓を、今後のたたかいに生かすことが大切だと考えるものです。
中間地方選挙、東北3県の震災延期選挙について

 つぎに中間地方選挙、東北3県の震災延期選挙について報告します。

 年内の中間地方議員選挙は、3県、1政令市、66一般市、111町村、合計181自治体で行われると考えられます。そのうち、震災で延期されていた選挙を含め、岩手、宮城、福島の東北3県で予想される地方議員選挙は55自治体にのぼり、3県とも自治体総数の4割を超える規模となります。この中間地方選挙で、一つひとつの選挙戦を確実に勝利し、地方選挙での新しい上げ潮の流れをつくるために力をつくします。

 とくに東北3県の震災延期選挙で、わが党が議席を守り前進させることは、真の復興を前進させ、被災地から新しい政治をおこす大きな力になります。被災地の救援・復興への全国的支援を引き続き行うとともに、選挙戦においても全国的支援をつよめ、全国の連帯した力で必ず勝利をかちとるために全力をつくそうではありませんか。
総選挙勝利めざすとりくみについて

 ここで総選挙勝利をめざすとりくみについてのべます。

 次の総選挙の時期は、民主党政権の行き詰まり、「二大政党」全体の行き詰まりの深さからみて、予断をもって言うことはできない状況です。ですから、いつ総選挙となっても対応できる準備が必要です。すべての党組織が、総選挙で本格的な前進をつくりだすことを正面にすえて、総選挙勝利に必要な諸課題の前進にただちにとりかかるようにします。
「650万以上」の得票目標をめざし攻勢的活動をただちに

 国政選挙での「650万以上」という得票目標は、それを実現するまでくりかえし挑戦するという目標であります。すべての党組織が、「成長・発展目標」の実現を展望し、650万に見合う得票目標を明確にして攻勢的な活動をただちに開始します。

 すべての比例ブロックで議席獲得・議席増をめざし、比例代表予定候補者をすみやかに順次発表するようにします。
予定候補者を先頭に広く国民のなかにうってでる

 また、都道府県を単位に日常的に活動できる比例候補、小選挙区候補を、可能なところから順次決定し発表するようにします。予定候補者が先頭にたって、「第2次提言」や「原発提言」なども活用し、各種団体との懇談、「集い」、シンポジウムなど、広く国民の中にうってでる活動を展開するようにしたいと思います。
4、「党創立90周年をめざす党員拡大を中心とした党勢拡大大運動」を提案する

 報告の第四の主題は、「党創立90周年をめざす党員拡大を中心とした党勢拡大大運動」の提案についてであります。
2中総決定にもとづくとりくみと「党勢拡大大運動」の提案
「五つの挑戦」のとりくみと、党勢拡大運動について

 参議院選挙から総括と教訓を引き出した第2回中央委員会総会決定は、「党の自力の問題にこそ参議院選挙の結果からくみ出すべき最大の教訓がある」ことを明らかにし、党勢の新たな上げ潮をつくるための「五つの挑戦」を呼びかけました。

 全党の努力によって、各分野で初歩的ですが前進の一歩が始まっています。「結びつきを基礎にした『支部が主役』の党活動」については、「結びつき・要求アンケート」などにとりくんだところで、支部と党員の多彩な結びつきに新鮮な光があてられ、支部活性化の契機がつくりだされています。「綱領的・世界観的確信を全党のものにする活動」については、「綱領・古典の連続教室」の受講者が2万7千人となり、党の歴史のうえでも初めての画期的なとりくみがすすめられています。「職場支部の活動の強化」については、第3回「職場講座」の「自治体分野」の会議が開かれ、新たな系統的なとりくみが開始されました。「青年・学生分野での活動」については、この間、一連の大学で、党機関と民主的教員との協力・連携が強まり、学生の関心・要求にこたえた活動を協力してすすめるなかで、党組織が空白だった大学で支部を再建するなどの変化がつくり出されています。

 2中総決定が提起した「党機関の指導と活動のあり方の抜本的な改革」についても、この提起を受けて、「機関は支部に、支部は国民の中に」、政治指導と学習の重視という、指導の改善と刷新の機運が強まりつつあります。

 もちろん、どの分野でも、前進は端緒的・部分的であり、開始されたばかりです。「五つの挑戦」と党機関の指導改革は、長期的に党の未来を展望した党建設の大方針であり、この方針を中断することなく、一貫して堅持し、生まれつつある前進の芽を大切に育て、大きな党建設の前進の流れをつくりださなければなりません。

 そのうえで、全党が直視しなければならないのは、「五つの挑戦」のなかでも、「党員拡大と『しんぶん赤旗』読者の拡大」は、遅れた分野になっているということです。全党の大きな努力によって、5月、6月と、全国すべての地区委員会で新たな党員を迎えたことは、2中総決定の実践としてきわめて重要な前進の一歩です。しかし、全体としてみるならば、依然として党勢拡大は、党活動・党建設の最も遅れた分野になっています。そのことは、私たちが、いっせい地方選挙のたたかいでも、痛感させられた最大の問題でした。一方で、激動する情勢は、わが党が強大な政治的・組織的力量を持った党へと成長することを、強く求めています。
「党勢拡大大運動」の期間と目標について

 以上を踏まえ、第3回中央委員会総会として、来年の党創立90周年記念日の7月15日にむけて、全党が、「党創立90周年をめざす党員拡大を中心とした党勢拡大大運動」にとりくむことを提案するものです。

 この「党勢拡大大運動」の目標は、つぎの2点とします。

 第一に、党建設の根幹である党員拡大を、「党勢拡大大運動」の中心にすえ、必ず大きな前進を築きます。すべての地区委員会が、毎月、新しい党員を迎え、全国すべての支部が「大運動」の期間中に新しい党員を必ず迎えることを目標とします。そのさい、党の世代的継承のためにも、職場と青年・学生の中での党員拡大を戦略的に位置づけ、特別の手だてをとるようにします。また、党員拡大運動と一体に「しんぶん赤旗」日刊紙の購読を訴えることを、特別の意識性をもってとりくみます。

 第二に、「しんぶん赤旗」読者の拡大をあわせて追求します。全都道府県、全地区が、毎月、日刊紙読者でも、日曜版読者でも、着実に前進することを目標とします。

 各都道府県、各地区、各支部、グループ、党地方議員団は、「成長・発展目標」にもとづく「総合計画」、「政策と計画」にふさわしく「党勢拡大大運動」の積極的な目標をもつようにします。
なぜ「党勢拡大大運動」か――四つの角度からその意義を訴える

 なぜ「党勢拡大大運動」にとりくむのか。つぎの四つの角度からその重大な意義を訴えたいと思います。
新しい政治への国民的探求を促進する力量ある党を、日本の情勢は求めている

 第一は、新しい政治への国民的探求を促進する力量ある党をつくることを、日本の情勢が強く求めているということであります。

 「二大政党」づくりの動きは、2009年の総選挙で、他でもない念願の「政権交代」が実現したことを大きな転機として、深刻な行き詰まりにつきあたっています。国民が「政権交代」に託したのは、自民党政治からの変化でしたが、実際に起こったことは、普天間基地問題、消費税問題、TPP問題と、自民党政治とまったく「同じ道」への回帰でした。多くの国民は、民主党の鳩山・菅政権の2代の政権のありさまをみて、失望、批判、怒りをつのらせ、あきれ果てています。同時に、日本の未来の展望を何ら示せず、不毛で党略的な政権攻撃に終始する自民党にたいしてもあきれ果てています。

 こうした流れが進行していたわけですが、3月11日以来の大震災と原発事故は、「二大政党」の行き詰まりを、さらに深刻なものとしました。この戦後最悪の危機にさいして、国のかじ取りの能力がなく、党略的政争にあけくれる両党の姿を見て、多くの国民が、「二大政党」の政治的堕落と退廃の深さを、いま肌身をつうじて感じ取っています。

 そもそも、財界主導ですすめられた「二大政党」づくりの動きの最大の目的は、日本共産党を選択肢の外に置くことによって政界から締め出す反共作戦にありました。しかし、この反共作戦は、「政権交代」からわずか2年という、支配勢力の思惑を超えるスピードでその馬脚をあらわし、国民にとって希望のない道であることが明らかになりつつあります。「二大政党」づくりの動きの最大のピークは、「政権交代」の瞬間でした。それからたった2年というスピードで、その行き詰まりが目の前で進行しているのです。そのもとで、国民のなかに、これまでの政治とは違う政治、新しい政治への探求の流れが生まれています。震災・原発問題でのわが党の活動への社会的共感に象徴されるように、まだ部分ではありますが、支配勢力が選択肢の外に置こうとしてきた日本共産党が、長年主張してきた方向にこそ、実は政治の真実があるのではないかという動きが起こりつつあります。

 いま、情勢のこうした劇的な変化にふさわしいスピードと規模で、強く大きな党をつくることが必要だということを、私は、心から訴えたいのであります。なぜ「政権交代」をしたのに、日本の政治は少しも変わらないのか。その根本には、米国・財界いいなりという日本の政治の「二つの異常」がある。そのことを国民が見きわめ、この日本の政治の閉塞(へいそく)を打開する展望をつかむならば、日本の政治は大きく変わります。客観的には変わる歴史的前夜にあります。そうした国民の探求、認識の発展を促進するためには、国民と結びついた強大な党をつくることがどうしても必要であります。そのことをいまの日本の情勢は強く求めています。そのときに、党をつくらなくてどうするのかということを、私は、心から訴えたいと思うのであります。
党勢拡大の力で選挙に勝ち、その力でさらに党勢を拡大する「好循環」をつくろう

 第二に、国政選挙での後退・停滞傾向をここで何としても打開して、党勢拡大の力で選挙に勝ち、その力でさらに党勢を拡大するという「好循環」をつくりだそうではないかということを、訴えたい。

 わが党は、2000年の総選挙以来、この12年間で8回の国政選挙をたたかってきましたが、国政選挙での後退・停滞傾向を脱することができないでいます。この期間は、反共謀略キャンペーンにつづく、「二大政党」づくりという反共作戦などの客観的困難もありました。一連の選挙戦には、そのつど総括したように、それぞれに固有の主体的とりくみの問題点もありました。しかし、そのすべてに共通する最大の教訓は、党勢の前進がつくれないままで選挙をたたかったこと――「党の自力の不足」という問題でありました。

 いまこそ、この弱点を何としても打開しようではないかと訴えたい。わが党の前進にとって最大の逆風だった「二大政党」づくりの動きは、いま深い行き詰まりにぶつかっています。未曽有の危機のもとで、多くの人々の政治を見る目に変化が起こり、日本共産党の主張と行動への新たな共感が広がっています。この条件を、何としても党員拡大を中心とした党勢拡大に結びつけ、党を強く大きくして、次の国政選挙での勝利をかちとろうではないか。そのことに全党が腹をくくって挑戦しようではないか。このことを心から訴えたいと思うのであります。

 わが党は、1960年代から70年代の党躍進の時代に、たたかいとむすんで党を強く大きくし、その力で国政選挙での躍進をかちとり、それを力に党勢拡大でさらに前進し、次の選挙でさらに大きな躍進をかちとるという「好循環」をつくりだしていった歴史的経験を持っています。この経験は、運動が前進する途上でさまざまな新しい局面やあれこれの困難にぶつかるたびに、党建設の自覚的努力を回避して、これを自然成長にまかせようとする、さまざまな消極主義を克服するなかでかちとられたものでした。当時の決定をひもときますと、消極主義との生々しい格闘の記録がそこには書かれています。こうした歴史的教訓に学び、今日に生かそうではないかということを、訴えたいと思います。
創立90周年――理論的・政治的到達点にふさわしい党組織をつくりあげよう

 第三に、この運動の党史のうえでの歴史的意義について訴えたい。わが党は、1年後に党創立90周年を迎えますが、わが党の歴史的到達点を大局でみるなら、その理論的・政治的到達点は誇るべき高さを築いてきたと確信をもっていえます。それにふさわしい党組織をつくりあげようではないかということを訴えたい。

 2004年の第23回党大会で改定した綱領には、党創立以来のわが党の誇るべきたたかいのすべて、探求のすべてが込められています。それは戦前の侵略戦争と軍国主義に命がけでたたかいぬいた歴史を大きな土台としています。そこには、戦後、ソ連と中国の二つの干渉を退けて自主独立の路線を確立し、1961年に綱領路線を打ち立て、その路線のもとで重ねてきた国民的たたかい、理論的・政治的な探求のすべてが結実しています。私たちは、理論的・政治的には、国際的にも誇るべき高みに達した党綱領という到達点をもっているのであります。

 この綱領にふさわしい党組織をつくろうではないか。このことを訴えたいのであります。すべての党員が綱領を身につけ、広い国民のなかに語り広げるならば、必ずや強大な党をつくることができる。そうした科学の力を綱領はもっています。この確信のもとに奮闘しようではありませんか。
党員拡大の前進は、党のあらゆる活動の発展を支える最大の保障

 第四に、なぜ党員拡大を中心とする「党勢拡大大運動」か。それは、党員拡大の遅れは、党のあらゆる活動を発展させるうえでの最大の障害となっており、この弱点を打開することは、党のあらゆる分野での活動の発展を支える最大の保障となるからであります。

 党員拡大は、党建設の「根幹」です。いまこの根幹を強めることは、党のすべての活動に新鮮な活力、新たな生気を吹き込み、前進をつくりだす保障となります。国民の要求にこたえた運動も、政策・宣伝活動も、選挙活動も、議会活動も、機関紙活動も、党のあらゆる活動を活性化させ、前進させる根本の力は、党に自覚的に結集した党員であり、いまその力を強く大きくすることこそ、党活動を発展させる要になっている。このことを訴えたいと思います。職場と青年・学生のなかでの党づくりは、党の現在と将来を展望して特別に重要ですが、全党的に党員拡大の大きな波をつくりだし、その波のなかで、職場と青年・学生のなかでの党員拡大の戦略的位置づけと特別の手だてをとってこそ、前進をかちとることができます。2中総後、この分野での先駆的な経験が、各地に生まれていますが、ぜひ討論で交流し、深めていただくことを呼びかけるものです。

 くわえて強調したいのは、党員拡大の訴えと一体に、「しんぶん赤旗」日刊紙の購読の訴えを行おうということです。日々起こる複雑な情勢を科学的展望をもってつかみ、日本共産党員として確信と誇りをもって活動するためには、日刊紙を購読することは欠かせません。そのことを丁寧に訴え、党員拡大と日刊紙読者拡大という、党勢の一番の基幹的な部分を一体的に強化する活動に、特別の意識性をもってとりくむことを心から訴えるものです。
「党勢拡大大運動」の成功をどうやってかちとるか

 最後に、「党勢拡大大運動」の成功をどうやってかちとるか。5点ほど端的にのべたいと思います。
結びつきを基礎に「支部が主役」で――“日本共産党らしい支部づくり”を

 一つは、結びつきを基礎に「支部が主役」でとりくむ、ここに「党勢拡大大運動」を成功させる最大のカギがあるということです。

 「すべての支部が新しい党員をむかえる」という目標の意味するところは、全党のすべての支部が、支部自身の力で新しい党員を増やし、その党員とともに成長する支部への成長・発展をかちとるということです。そうした“日本共産党らしい支部づくり”のとりくみをすすめるということです。全国2万1千のすべての党支部が、そういう支部になろうではないかというのが、この「党勢拡大大運動」の呼びかけの眼目であります。

 そのために、支部長が不在の支部、支部会議が未開催の支部、さまざまな困難をかかえている支部を、一つひとつ援助して立て直していく親身の援助が大切です。「党生活確立の3原則」――支部会議に参加する、党費を納める、「しんぶん赤旗」日刊紙を読む――を確立し、「政策と計画」をもって自主的・自立的に活動できる支部にしていく援助が大切です。さらに、党規約第40条(支部の任務)にもとづき、党員の間に連絡・連帯網を確立し、一人ひとりの党員が条件と得手を生かして活動に参加し、温かい人間的連帯の関係で結ばれた人間集団としての支部をつくりあげる。こうしたとりくみと一体に「党勢拡大大運動」の成功をかちとるためにあらゆる力をそそごうではありませんか。

 全国すべての党支部が、こういう支部になるというのは、壮大な目標でありますが、これをやりきるならば、わが党は新しい生命力をえて大きく躍進する道が開かれるでしょう。それに挑戦しようではないかというのが、今度の提起であります。
国民のなかでのたたかいを発展させることと一体に

 二つ目は、国民のなかでのたたかいを発展させることと一体に、「党勢拡大大運動」にとりくもうということです。

 全党はいま、東日本大震災の救援・復興、原発からの撤退、消費税増税やTPP推進反対、米軍基地問題、核兵器廃絶など、さまざまな国民運動にとりくんでいます。また、選挙公約の実現や身近な要求活動に力をそそいでいます。そのなかで、広い人々のあいだに党とのつながりが、新たに広がっています。国民の中に広く打って出て、各分野で国民運動をおこし、それと一体に、「党勢拡大大運動」を成功させようではないかということを、呼びかけたいと思います。

 そのさい、各分野の運動団体のなかでの党勢拡大を重視していきたい。そのことは、それぞれの団体が、その性格にふさわしく民主的に前進・発展していくうえでも重要であります。そのために党グループが、この運動の先頭に立つことを訴えるものです。
党員拡大を中心にしつつ、読者拡大(日刊紙、日曜版)の独自の努力を払う

 三つ目は、党員拡大を中心にしつつ、読者拡大の独自の努力を払うということであります。

 「大運動」は「党員拡大を中心」とするものですが、同時に、「しんぶん赤旗」読者の拡大をあわせて追求します。そのためには、独自の手だてと段取りが必要です。たとえば、毎月の日刊紙と日曜版の読者拡大の目標を持つこと、宣伝紙を活用して日刊紙と日曜版のそれぞれの固有の魅力と内容を語ること、結びつきを生かして対象者を広くあげること、あらゆる機会を生かして意識的にとりくむこと、すべての党員が参加する運動に発展させることなど、独自の手だて・段取りをとることが必要であります。

 そのなかで、とくに、日刊紙読者の拡大を重視するようにしたい。日刊紙は、党中央と党員を日々結ぶ絆であるとともに、党と国民とを日々結び、真実を運ぶ絆であります。この日刊紙を、一般のメディアの日刊紙と肩を並べる社会的影響力をもつ新聞に発展させる。そういう大きな志をもって、日刊紙拡大に特別の力をそそぐことを訴えるものです。
「綱領・古典の連続教室」を全支部、民青同盟あげた学習運動へ発展させる

 四つ目に、「綱領・古典の連続教室」を全支部、民青同盟あげた学習運動へ発展させることです。

 どんな複雑な情勢が展開しても、大局的な展望と確信をもって活動するためには、綱領的・世界観的確信を身につけることが不可欠であり、その最良の場が「綱領・古典の連続教室」です。この運動をさらに発展させ、全支部がもれなく「支部教室」としてとりくむようにすることを訴えたいと思います。とくに、青年・学生支部と職場支部の「支部教室」と、民青同盟のすべての県、地区、班の学習運動に発展させることに、力をそそごうではありませんか。これは、「党勢拡大大運動」を成功させるうえでも、最大の知的・理論的推進力となるでしょう。

 あわせて、「連続教室」を力にして、全支部で党の教育制度である「綱領講座」――支部会議などで綱領そのものをテキストとして読み合わせを行い、質疑と討論で理解を深める運動に、新しく党員を迎えるなかでこそ、本格的に挑戦することを呼びかけたいと思います。
「集い」――「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を発展させる

 五つ目に、「集い」――「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」をさらに発展させることです。「集い」は、参加者の要求や関心にこたえて、日本共産党をまるごと知ってもらい、人間的連帯があふれる党の姿を実感してもらえる場であり、それをつうじて入党へのさまざまなためらいも解きほぐしていくことができます。

 この間、2中総が提起した、「数人程度の文字通りの『小集会』『懇談会』を、網の目のように取り組む」という方針が大きな力を発揮しています。身近な会場で、少人数で、気軽に開くことを重視して、無数の「集い」を開き、そのとりくみのなかで「党勢拡大大運動」を成功させようではありませんか。
中央委員会の決意――全国津々浦々の同志と心一つに成功に力つくす

 いま提案した「党勢拡大大運動」は、つぎの国政選挙での勝利だけでなく、第25回党大会が提起した2010年代を党躍進の時代とするという歴史的事業の成否がかかった重大な意義をもっています。

 党中央は、この運動に、一つの国政選挙をたたかうような構えでとりくみ、中央役員、国会議員が先頭にたって全国各地にうかがい、全国の同志と力をあわせて何としてもこれを成功させる決意であります。全党の同志のみなさんが、ともにこの一大事業を成功させるために力をあわせて奮闘することを心から訴えるものです。

 以上をもって、幹部会報告といたします。


05. 2011年11月02日 16:06:05: bQDsJffDvU
ここにでいりする人たちと議論するという姿勢が全く無い。こういう常識を欠いた投稿(コメント)をするから共産党は嫌われる。

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