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続・アントニオ・ネグリ氏、「新しい民主主義」をかたる
http://www.asyura2.com/11/senkyo124/msg/578.html
投稿者 長岡京・豊 日時 2012 年 1 月 10 日 17:22:02: PflF93rvEwuMM
 


 
以下の1月5日付・朝日新聞からの転載は前回で転載した部分の前にある、パート1にあたるものです。朝日新聞のネグリへのインタビュー記事は三つのパートで構成されています。商業新聞の記事を、日をおかずに一挙に転載して、営業妨害の謗りを避けようと思いましたが、日時も経過しましたので、残りを転載しても、むしろ宣伝になると思いました。最近の朝日新聞、経営事情からでしょうか、やたら広告・宣伝が目立って閉口していますが、その朝日新聞を私が宣伝するみたいで妙な感じです。ただ、今回の記事は、わざわざベネチアのネグリ自宅まで出向いて、現代世界の情況に鋭く切り込んでいる点はそれなりに評価できると思います。

以下、転載開始…

「大欧州」があえいでいる。政府の債務危機が広がり、欧州連合(EU)主導の緊縮政策に人々の不満は高まるばかりだ。欧州は、世界は、この危機を克服することができるだろうか。そして、危機後に広がる世界は。

――危機を脱することができると思いますか。

私に言えるのは、この危機から脱することができても、そのとき欧州はもはや「欧州」ではなくなっているだろう、ということです。

――どういうことですか。

欧州は、とくに戦後の欧州は福祉がすすみ、人権を尊重する高度な市民社会でした。世界の発展や科学技術に自発的な形で対応する能力がありました。しかしこれからは違う。この危機から脱したとしても、そのときにはすべてが、あらゆるレベルで縮小してしまっているでしょう。なかでも懸念するのは、民主的な権利、とりわけ労働者の権利が縮小されることです。ストライキ権が制限され、福利厚生が削減され、労働時間が長くなり、男女の雇用格差が広がる。非正規雇用など不安定な労働形態はさらに横行するでしょう。50年、いや100年、逆行してしまうかもしれません。もっとも、19世紀の統一ドイツ宰相ビスマルクの時代まで戻るとは思えませんが。すでに貧困が広がっていることがその予兆です。イタリアでも、ミラノやローマなどの大都市郊外や南イタリアに行くと、貧しさを肌で感じることができます。フランスの郊外でも同様です。欧州全体が不安定な状態になっています。

――この危機の根源は何ですか。

一つは国家がグローバルな動きに追いつけないことです。もっと根源的な問題があります。企業と労働者の関係やお金の流れが変わってしまったことです。現代の労働は知的で認識的なものになりました。あなたは自分でパソコンを持っている。私を撮るカメラマンはカメラを持っている。独自に資本を所有しているわけです。求められるのは頭脳そのものや人的な組織力かもしれません。これが今の労働市場であり、企業は労働者を把握することができなくなりました。一方で金融は、労働者が生み出した富を取り込み、それを貨幣や証券、あるいはポケットの中のクレジットカードに変えてしまう。それが労働者の負債を生み出しています。

――この流れを止めるには。

後戻りはできません。イタリアでは「フィアット社が栄えれば国が栄える」と言われましたが、そのフィアットも生産の軸足を海外に移してしまった。もし新たな流れがあるとしたら、それはフィアットを戻すことではありません。民主主義の領域においてのみ、ありうるでしょう。様々な領域のコントロール(管理、統制)に多数の人々が直接参加する「新しい民主主義」です。

(パート1部分の転載終了、注・この後に前回転載部分のパート2が続きます、パート3の転載はいずれまた)

以下は投稿者短評です〜

ネグリ氏が言う、欧州が「欧州」でなくなるという言説を、誤解してはいけないと思います。それは、世上で喧伝されている、EUの解体やユーロ崩壊・消滅を意味するものではありません。「高度な市民社会」を形成してきた、歴史としての戦後欧州が、退行の危機に瀕している情況を根源のレベルでとらえた言い回しなのだと思います。米英覇権を維持しようとする勢力に対抗する欧州の指導者は、それなりにしたたかです。おそらく、当面の危機は乗り切るでしょう。実際、ECBがFRBなみに市場で債権買い支えを実施したら、欧州債務危機は一瞬のうちに回避可能という見方さえあります。むしろ、EU首脳は投機筋の攻撃や蔓延する危機意識を利用して、政治的財政的なレベルでの欧州統合を加速させるバネに利用しようとしている匂いがあります。こうした見方は国際政治解説者・田中宇氏や株式評論家・山本伸氏らが、それぞれ別の角度から分析しています。
ネグリ氏は、国際政治や金融戦争の表層のレベルでの混迷が労働者・市民を苦境に陥れている情況から脱するには、代議制議会制度や大統領制などの旧来の民主的システムに依拠しているだけでは駄目だと指摘しています。世界的な現状の閉塞あるいは後退の流れを変えるには、「様々な領域のコントロールに多数の人々が直接参加する〈新しい民主主義〉」によってのみ可能だということなのです。EU解体・ユーロ崩壊は回避されるか否かが本質的問題なのではなく、危機を乗り越える新しい民主主義がいかに構築されていくかが重要なのでしょう。「独自性をもった自律的な運動、人々がアイデアを広げていく、まさにマルチチュードを代表する運動、それは、イランにも、チュニジアにも、イギリスにもあり、日本もこうした流れの中にあることは明らか」だとネグリ氏は明言します。
大阪の、原発の是非を問う住民投票を目指す市民グループの動きの、成功へ向けた確かな歩みに注目していきたいと思います。

 

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コメント
 
01. 2012年1月10日 19:42:41 : rWmc8odQao
「求められるのは頭脳そのものや人的な組織力かもしれません。」

いわゆる「コミュニケーション能力」ということでしょうか。
肩書きや上下関係、規則、慣習に頼るのではなく、横型のリーダーシップを発揮し、新しい何かを作れるかどうかが問われるのでしょう。

フィアットの件を見ていても、企業についての心情は複雑ですね。
なんとなく「老舗企業ほど、親しみが持てるし、国民のことを考えていそう」と思いがちですが、これからは「大きくなればなるほど、国益とは離れる方向へいくものだ」と認識を新たにする必要があるのかもしれません。ひな鳥の巣立ちのような…寂しさが伴いますが…古い固定観念は捨てるべきかも。


02. 2012年1月10日 21:14:25 : OIxNYWfJog
幻想を振りまいているのかな
ネットにより1億人の直接民主主義でもするつもりか。

現在の民主主義の問題は、1票の価値が選挙制度、マネーなどにより平等では無くなっていること。
情報がコントロールされているということに起因する。


03. 2012年1月10日 21:53:52 : VO3tIu2jhQ
イタリアの哲学者アントニオ・ネグリは、ヴァン・パレース(元ハーバード大学教授・ルーバン大学教授)と並ぶ左派の側で
ベーシックインカムを唱えている有名な哲人。

山森亮『ベーシックインカム入門』光文社新書
ここでは、イタリアの哲学者アントニオ・ネグリの主張を見てみたい。
ネグリによれば、現代実際に生産が行われているのは、オフィスや工場の中だけに限られない。
オフィスや工場の外で行われるあらゆる活動も、資本によって生産に利用されている。
例えば、知的ないし言語的な労働の場合、仕事の時間と余暇の時間の区別は極めてあいまいになる。
また時間だけでなく、仕事の成果が誰によるものなのかもあいまいになる。
終業後に家でシャワーを浴びているときにも、仕事に役立つアイデアが思いつくこともあるかもしれない。
そしてそのアイデアは、前に読んだ本からインスピレーションを受けたかもしれないし、
他人から聞いた話を応用したものかもしれない。
そこでネグリは、労働の成果を社会全体に帰すことを唱える。
つまり、労働者だけでなく、専業主婦や障害者、ひきこもりに至るまで、
社会を構成するあらゆる人間を、生産に貢献する要素として評価しなおそうと主張する。
ネグリはこれを「社会化された労働」と呼ぶ。
生産に貢献しているのは労働者個人ではなく、労働者を取り巻く社会環境である、
となれば、賃金は労働者個人ではなく、社会に支払われるべきである。
この「社会化された労働」に支払われる賃金として、ネグリはベーシックインカムを提案している。
さてこれまで、従来の社会保障である保険保護モデルにおいて評価されてこなかった人を再評価する手段として、
ベーシックインカムを見てみた。
このベーシックインカムは、保険保護モデルに代わる社会保障政策にとどまらない。
ベーシックインカムは、差別のない、より自由な社会を実現するためのひとつの手段として現在も活発に議論されている。
http://bookreviewforstudent.blogspot.com/2009/12/blog-post_27.html

ベーシックインカム導入を提唱する新党日本の田中康夫代表も触れている。

ベーシック・インカム構想とは、現行の社会保障給付と、現金給付部分に関して抜本的な統合を図り、
障害者、母子・父子家庭には積極的な加算を実施するものです。
それは、大きな政府とは対極に位置します。
個人所得税制に於ける所得控除は不要となり、税制と社会保障制度の統合が実現し、
社会保険料の徴収や記録に関わっていた役所と経費、
福祉給付で不可欠だった裁量行政的な資力・財産調査に投じる人員も経費も不要となります。
大きい、小さいの二元論を超越した、より良きアウトカムを生み出す効率的な政府や行政、経済や社会を齎すのです。
であればこそ恐らく、新自由主義のミルトン・フリードマンも、
ステイクホルダー主義のアントニオ・ネグリも、恰もジャズとクラシックが通底かの如く、
ベーシック・インカム構想を支持しているのだと思います。
http://www.love-nippon.com/aisatsu.htm
世界の歴史に類を見ない超少子・超高齢社会ニッポンは、20年後には1700万人減の1億1000万人。
40年後には25%減の9500万人。労働人口に至っては42%減の4900万人です。
既存の年金制度を微調整するだけでは到底、太刀打ち出来ません。
発想を変え、仕組を変える。
負の所得税を唱えたミルトン・フリードマンと、
アントニオ・ネグリのベーシックインカムを合体させるドラスティックな改革こそ急務。
http://www.asyura2.com/11/senkyo108/msg/436.html

ちなみに、小沢氏は自由党党首時代、「負の所得税」をマニフェストに掲げた。
「負の所得税」も数学的には、ベーシックインカムと同じ基本所得保障制度。

そういえば小沢一郎は「負の所得税」って言ってたっけ。
新自由主義で知られるミルトン・フリードマンの主張で
「一定以下の所得の人には、所得税をマイナスに払ってもらう、
つまり現金支給する。働いて損することはないから労働意欲も損なわれない。」という思想。
http://twitter.com/#!/TT65536/statuses/80863914845421568


04. 2012年1月10日 22:18:29 : OIxNYWfJog
BIなんてどうしてこんなつまらない制度が言われるのだろう。
貧乏人が出来ることを前提にしている。

何で貧困が生まれるか理解しているのかな。
http://hayashiland.com/galbraith.pdf#search=%27%E5%A4%A7%E6%81%90%E6%85%8C%20%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%27
アメリカ資本主義ー拮抗力の概念ガルブレイス

BIなどの救済処置の前に、何で貧困が生まれるか理解しなければ
ケインズ、利子率が一定以下に下がらないことが失業を生む
ゲゼル、減価する通貨


05. 2012年1月10日 23:45:48 : VO3tIu2jhQ
経済成長すれば貧困は減る。
しかし、ゼロにすることはできない。
だから、公正な救貧策が必要だ。
それが、負の所得税やベーシックインカムのような制度だ。

経済成長と高福祉は両立できる。
北欧やドイツが証明している。


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