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正念場を迎えた小沢一郎の立場 民主党政権はなぜ失敗したのか
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2012/1/17 日刊ゲンダイ ：「日々担々」資料ブログ
党を割るか､党内で野田と決別するか
小沢一郎がいうように予算の組み替えや官僚の暴走を抑えられなかったからなのか
それともそもそもﾏﾆﾌｪｽﾄが実現不可能な夢物語だったからなのか
きのうの民主党大会を見ていると､本当にｿﾞｯとしてくる｡｢やるべきこと(消費税増税)をやり抜いて､民意を問うことを宣言したい｣と､ﾏﾆﾌｪｽﾄ違反の大たい｣と､ﾏﾆﾌｪｽﾄ違反の大増税推進を叫んだ野田ﾊﾟﾗﾉｲｱ首相｡それに対し､会場の民主党議員たちは反対の声を上げるでもなく従っていたのだ｡一体何なのか､この政党は｡
世論はどんどん増税反対に傾いている｡この不況下でそれでも消費税増税に突っ走れば､総選挙惨敗､政権転落は目に見えている｡それなのに民主党議員は異議を唱えない｡行動も起こさない｡どうしようもないｸﾞｽﾞの集まりだ｡
政治評論家の森田実氏も怒った｡
｢あなたたちは正気なのか! 民主党の議員たちにそう言いたいですよ｡財務省に洗脳され､公約違反の増税を抵抗もせずに受け入れ､不況にあえぐ国民の声に耳をふさぐ｡政官財･大ﾏｽｺﾐの増税翼賛体制からﾊｼﾞき出されるのを怖がって､増税反対が言えない｡まったく情けない連中です｡それでも政治家なのか｡恥ずかしくないのか｣
それだけに､小沢一郎元代表の出方が注目なのだ｡党員資格停止中だから党大会にはいなかったが､どうするつもりなのか｡新党をつくって党を割るのか｡党内で反対運動を指導するのか｡どっちにしろ､いまが正念場だ｡ここで決起しないと､｢民主党政権は増税政党｣が固まってしまうし､せっかく成し遂げた政権交代も潰(つい)えてしまう｡もう時間は残されていないのだ｡
◆ここで決起しなければ裁判も｢有罪｣
そう言うと､小沢元代表は｢私は裁判を抱えた身｣と言うだろうが､裁判なんて屁のｶｯﾊﾟ｡どうでもいい｡そもそもが｢4億円｣を隠したわけじゃなく､記載の期ｽﾞﾚにすぎない瑣末な問題｡本人尋問が終わり､もう裁判の山は越えたのだから､｢天下国家｣を語る政治の本道に戻るときだ｡
いつまでも自分から被告人生活に徹していたら､かえって抹殺されるだけである｡先日､朝日新聞は社説で｢政治家失格は明らかだ｣と笑っちゃうようなことを書いていた｡収支報告書を見ないのはおかしい､失格だという理屈だが､それなら大方の大物政治家が失格だ｡ｳﾗ金も贈収賄も証明できないから､言うに事欠いて､重箱の隅をつついて道義的責任や監督責任を持ち出し､小沢を責め続ける｡小沢を抑え込み､小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟを牽制し､消費税増税反対の行動を妨害する狙いだろうが､こういった体制ﾒﾃﾞｨｱの難ｸｾにやられっぱなしでいいのか｡
特捜検事のﾃﾞｯﾁ上げが次々明らかになったように､小沢捜査と裁判は謀略｡まじめにしていたって｢無罪｣になる保証は何もないのだ｡事なかれの官僚体質を知り尽くしている元外交官の天木直人氏は｢このままでは有罪にされてしまう｣と言った｡
｢裁判官は官僚の中の官僚｡霞が関の総意に逆らう判決を出すのはまれなことで､すごい勇気がいる｡小沢裁判の裁判長にまともな判断を求めても無理かもしれないのです｣
恐ろしいことだが､小沢事件はこの異常の連続だ｡政治評論家の浅川博忠氏によれば､｢小沢裁判で有罪判決が出たら､野田首相はすかさず小沢氏を除名し､小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟ20人も離党に追い込み､堂々と増税を進めるつもり｣とみている｡
｢自分の裁判が終わってから行動｣と小沢が考えているとしたら､甘すぎる｡遅すぎるのだ｡野田狂気政権と司法権力に本当に潰されてしまう｡
【党を出ていくのはﾏﾆﾌｪｽﾄ違反の野田一派だ】
朝日､読売以下の大ﾏｽｺﾐは｢大増税の野田｣をﾖｲｼｮし､その一方で｢ﾏﾆﾌｪｽﾄを守れ｣｢国民生活が第一の原点に戻れ｣と訴える小沢をｺﾃﾝﾊﾟﾝに叩いている｡だが､どっちが正しいかは言うまでもないだろう｡
いまの野田政権は､完全にﾄﾞﾂﾎﾞにはまってしまった｡ﾏﾆﾌｪｽﾄを全部放棄させられ､やりたくもない消費税増税を背負わされ､最優先課題にされ､自滅の道に追い込まれている｡旧支配勢力の思うﾂﾎﾞで､限りなくｱﾎだ｡連中は､民主党政権なんぞに改革をやられて既得権益を荒らされたくないから､巧妙に小沢と鳩山を潰し､菅を洗脳し､言いなりの野田を操ってﾄﾞﾂﾎﾞに誘い込んだ｡この世紀の陰謀である政権交代潰しを修正できるのは､当事者の小沢しかいないのである｡｢増税したら日本経済は破綻する｣と主張する経済ｱﾅﾘｽﾄの菊池英博氏は民主党にこう注文をつける｡
｢私は民主党の勉強会などにも呼ばれますが､ｻﾞｯと半分の200人は､増税反対が本音です｡だから臆することなく､立ち上がればいいのです｡野田首相や執行部は､消費税増税に反対の者は出ていけと言うでしょうが､200人を追い出せるわけがない｡そもそも野田一派こそがﾏﾆﾌｪｽﾄ違反なのだから､民主党を出ていくのが筋です｡財務省の手先の野田一派は､“増税しないと国債が暴落する”“財政が破綻する”と言っているが､そんなのはｳｿの脅し｡ﾏﾆﾌｪｽﾄ通りに､特別会計を見直せば100兆円の景気対策は打てるし､景気を回復させない限り財政再建も果たせないのです｡増税反対派は､堂々と我々こそが真正の民主党だと名乗って､裏切り者の野田一派と戦えばいいのです｣
◆小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟにこそ正義はある
先日､NHKｽﾍﾟｼｬﾙが｢証言ﾄﾞｷｭﾒﾝﾄ 永田町･権力の漂流｣と題して､なぜ民主党の政権運営が失敗したのか､当事者の声をもとに特番を組んでいた｡そこで明らかになったのは､すべての元凶は鳩山政権を引き継いだ菅首相の｢脱小沢｣だった点に行き着く｡鳩山内閣の国家戦略相だった菅は､無能ゆえ､自分で予算の“骨太の方針”を決められず､当時の財務省主計局長だった勝栄二郎･現事務次官に丸投げしてしまった｡これが民主党政権が官僚に丸め込まれ､機能不全になる原因だったのだが､菅は悪びれもせず､黒幕の仙谷に言われるまま､煙たい小沢を遠ざけ､自滅の道を転がり始めたのだった｡
小沢や小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟが｢原点に戻れ｣と訴え､軌道修正に踏み出すことは､民主党を正常に戻す意味で､何の問題もない｡財務省ｶｲﾗｲ政権を倒すのに躊躇する必要はないのだ｡前出の森田実氏が言った｡
｢ﾏﾆﾌｪｽﾄで掲げた公約は､有権者との約束です｡全部実現できないにしても､それに努力することが大事であり､必要なのです｡やるだけやってみて､自民党や官僚たちにｼﾞｬﾏされて壁にぶち当たったら､解散して再び信を問えばいい｡それが民主主義というもの｡野田政権のように､選挙で約束していない大増税を詐欺師顔負けの屁理屈で強行することが一番やってはいけないこと｡だから増税に反対の小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟは立ち上がらないといけない｡大ﾏｽｺﾐは“政局にするな”とか言って潰しにかかりますが､それに屈したら負けです｡正義は小沢ｸﾞﾙｰﾌﾟにあるのだから､毎日集会を開いて反増税を訴えるときなのです｡それをやれば､世論は応援するし､必ず大きな流れになりますよ｣
きのうの小沢政策勉強会には､代理を含めて120人の議員が集まった｡この時期に十分すぎる人数だ｡小沢は決起するときなのだ｡それが政権交代に一票を投じた有権者の期待に応える最後の道なのである｡
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