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投稿者 ダイナモ 日時 2011 年 10 月 01 日 09:46:06: mY9T/8MdR98ug
 

月の表と裏が異なっているのは、太古にあったもう1つの月が衝突したためかもしれない。

地球にはかつて2つの月があった。だが、ゆっくりと衝突し、1つになった。―そんな新たな仮説が、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(米国)の Erik Asphaug とベルン大学(スイス)の Martin Jutzi により発表された1

月は、地球の形成期の終わり頃、火星大の原始惑星が地球に衝突し、放出された破片が集まってできたとみられている。これまでは、多くの破片は誕生後間もない月に取り込まれるか、月の重力によって星間空間にはじき出されたとされていた。しかし Asphaug らは、現存の月以外に別の衛星ができ、地球-月系の重力的に安定な地点(ラグランジュ点)にとどまって生き延びたと考えている。ラグランジュ点はいくつか存在するが、最も安定な2つは、月が地球を回る軌道上で、月のある位置の60度前方と60度後方にある。

Asphaug は「『もう1つの月』の痕跡は、月の表側(地球側)と裏側との不思議な違いに残っています」と言う。月の表側には低地の溶岩平野が多いが、裏側は高地が多い。また、裏側の地殻は表側より50kmも厚い。さらに、表側の岩石は、カリウム(K)・希土類(REE)・リン(P)に富み、クリープ(KREEP)と呼ばれているが、これらの元素は、月が冷えて地表下のマグマが結晶化する過程で、最後まで液体で残ったマグマの中に濃縮されたと考えられている。

「このことは、月の地表下のクリープ層がまだ液体だったときに、何かが月の裏側にぶつかり、クリープ層を月の表側に押しやったとすれば説明できます」と Asphaug は話す。彼によれば、大きな衝突が片側に起こり、衛星全体が溶けなければ、天体に非対称性が生じるという。

Asphaug と Jutzi はコンピューターでシミュレーションモデルを作り、現在の月の状態は、質量が月の30分の1、直径約1000km(月の約3分の1)の衛星との衝突で形成されることを示した。この程度の大きさの衛星であれば、形成から数千万年の間(衛星の上部地殻と月の上部地殻は固まるが、月の内部クリープは固まっていない)、ラグランジュ点にとどまることができただろう。

2つの月は地球の重力の潮汐力によって地球からだんだん遠ざかっていく。やがて月と地球の距離が現在の約3分の1に達したとき、太陽の重力が影響し始める。「ラグランジュ点は不安定になり、捕獲されていたものがすべて漂流し始めたのです」と Asphaug は話す。間もなく、2つの月は衝突した。しかし、2つの月は同じ軌道にあったので、衝突は比較的ゆっくりしたものだった。

「一般には、衝突した天体よりもずっと大きなクレーターができます。しかし、この衝突では、クレーターの容積は衝突天体の約5分の1しかなく、小さな穴にぶつかってぺちゃんこになるような感じだったでしょう」と Asphaug は話す。

ホットケーキのように

衝突天体は、衝突後数時間以内に重力で押しつぶされて薄い層になり、月の既存の地殻の上に塗り広げられただろう「。まるでホットケーキのようだったはずです」と Asphaug は話す。そして、まだ液体だった地表下のクリープ層は月の表側へ押しやられたとみられる。

今回の説以外にも、月の表と裏が異なる理由についての仮説はある。地球の重力の潮汐効果や、月のマントルの冷却に起因する対流の影響などの仮説だ。例えば、Asphaugの 同僚 Francis Nimmo は、潮汐力説を2010年の Science に発表している2。それにもかかわらず、Nimmo は今回の論文に関して、「みごとな仮説です」と評価している。

また、ブラウン大学(米国ロードアイランド州プロヴィデンス)の Peter Schultz も、「この仮説は興味深く、刺激的です」と言う。彼自身は、月の南極に高角度からの衝突があったという仮説を発表しており、この衝突によって地殻は北方向へ押され、月の遠い側の高地を形成したと考えている3

米国航空宇宙局(NASA)が近く打ち上げを予定している月探査機GRAILは、重力を正確に測定して月の内部構造を探るもので、数十億年前の出来事の解明に役立つかもしれない。しかし、Schultz は「最終的には月の岩石の新しいサンプルが必要かもしれません」と話している。


1. Jutzi, M. & Asphaug, E. Nature 476, 69-72 (2011).
2. Garrick-Bethell, I. et al. Science 330, 949-951 (2010).
3. Schultz,P.H.&Crawford,D.A.Geol.Soc.Am.Spec.Pap.477,141-159 (2011).

http://www.nature.com/ndigest/journal/v8/n10/pdf/ndigest.2011.111005.pdf
 

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