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インフルエンザ研究をめぐる研究者とテロ専門家の戦い〜ますます悩ましくなる「病原体の研究とテロの関係」(日経ビジネス)
http://www.asyura2.com/11/warb8/msg/847.html
投稿者 BRIAN ENO 日時 2012 年 2 月 28 日 06:30:24: tZW9Ar4r/Y2EU
 

石 弘之
2012/02/28

今シーズンのインフルエンザの流行は、ようやく峠を越えたようだ。患者数は一時、200万人を超え、過去10年間で2番目の大流行になった。この流行とタイミングを合わせるように「インフルエンザの研究がバイオテロの脅威を増大させるのではないか」とする懸念が米国政府から提起され、日欧の研究にストップがかかった。「流行の予防」か「テロの防止」か、という新たな議論が沸騰している。

万能ではなかったインフルエンザ・ワクチン

 インフルエンザ・ウイルスはA、B、Cの三つの型があるが、大きな流行を引き起こすのはAとBの二つだ。今回は「A香港型」が9割を占め、B型は9%。A香港型は、乳幼児には脳症、高齢者は細菌感染による肺炎を引き起こし、重症化するケースが多いといわれる。
 毎年6月ごろに、その年に流行するインフルエンザのタイプを予測して、それに適合したワクチンが生産される。今季の予想はA香港型であり、この型に対応するワクチンがつくられて多くの人びとに接種された。
 ところが、全員が接種された病院職員や老人ホーム入居者の間で集団感染が次々に発生して、ワクチンがほとんど効いていないという声が現場で高まっている。ワクチンで予防できるウイルスの抗原と、実際の流行しているウイルスが異なっている疑いもある。
 権威ある医学誌「ランセット(感染症版)」には、ワクチンが万能ではないとする論説が掲載された。インフルエンザのワクチンに関する5700という膨大な数の研究論文を審査した結果、ワクチンが「健康な成人においては中程度の効果があることを示す証拠があったが、発症のリスクの高い65歳以上や子どもに対して予防効果がある確証はなかった」という。これだけ人類を苦しめつづけてきた伝染病にもかかわらず、インフルエンザは科学的に未解明な点が多い。
 昨年9月、地中海のマルタで開かれたインフルエンザの専門家会合で、オランダ・エラスムス医療センターの研究チームが、遺伝子操作で哺乳類に感染しやすいウイルスをつくったと発表した。
 鳥インフルエンザの原因となるH5N1ウイルスの遺伝子を5カ所で変異させたら、フェレット(動物実験やペットとして飼われるイタチ科の動物)に容易に感染するようになったという内容だ。しかも、その5カ所の変異はそれぞれ別々にではあるが、すでに自然界には存在していることも突きとめた。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120227/229119/?mlp&rt=nocnt

他方、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らは、鳥インフルエンザ・ウイルスの遺伝子を操作して哺乳類にも感染するH5N1型ウイルスを作り出した。これまでのウイルスは、哺乳類同士ではほとんど感染しないが、作成したウイルスはくしゃみやせきなどでもフェレットに感染した。両研究グループとも国際的な科学誌「サイエンス」と「ネイチャー」に論文を投稿した。

遺伝子操作でつくり出されたウイルス

 ところが、この研究報告をめぐって、バイオテロの専門家が色めき立った。「インフルエンザ・ウイルスに手を加えれば毒性の高いインフルエンザ・ウイルスをつくることができ、バイオテロの強力な武器になる」として、研究の公表に待ったをかけた。
 オランダの研究者の論文が投稿されたサイエンス誌は、米国立衛生研究所の「バイオセキュリティーに関する国家科学顧問委員会」(NSABB)に論文送って、掲載の是非を諮ることにした。この委員会の結論は強制力を持たないものの影響力は大きい。NSAB会は昨年12月、両研究チームの論文の一部削除を勧告した。両誌も掲載を見送った。
 これに対して、河岡教授は「自然界のウイルスが人への感染力を獲得しつつあり、悪用の危険性よりも、論文を公表して研究を進め世界的大流行に備えるメリットの方が大きい」とネイチャー誌で反論した。
 こうした懸念を考慮して、河岡教授を含む世界のウイルス研究者39人は1月に、「ウイルスが外部に漏れないよう厳重な措置を取っている」ことを説明するため、自主的に60日間の研究停止を発表した。
 事態を重くみた世界保健機関(WHO)は、2月にジュネーブで緊急会議を招集し、河岡教授ら22人の専門家らが参加した。会議では、論文の全面公開の公益性を認める一方で、安全管理への配慮から全面公開は当面見送り、60日間の自主停止についてはその期間の延長を求めた。研究者と米国政府の双方に顔を立てた結論だった。WHOは今後、研究施設からのウイルスの流出防止など、管理・研究に関する安全基準づくりを進める方針だ。
 論文公表の是非をめぐる論争は、とりあえず「停戦」状態になったが、解決したわけではない。バイオテロの専門家と研究者の「体温」の差は大きい。研究者側は「過敏で政治的な研究への介入」という思いがあり、テロ専門家には「いつバイオテロ起きてもおかしくない」とするあせりがある。河岡教授の著作にもCIAのエージェントとおぼしき人物が、怪しい人物と接触していないか探りを入れてきたという記述がある。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120227/229119/?P=2


米国民のトラウマになっているバイオテロ

 この諮問委会は、2001年に米国内で起きた炭疽菌テロを機につくられた専門家組織だ。9.11の同時多発テロの7日後に発生したこの事件は米国を震撼させ、FBIは「米国の司法史上もっとも大規模なバイオテロ」と発表した。事件は今なお、米国民のトラウマになっている。
 2001年9月18日と10月9日の2度に分けて、米国の3大テレビ局に加えて、2社の出版社、2人の上院議員に対し、炭疽菌を封入した容器入りの封筒が送りつけられた。開封したことから炭疽菌がばらまかれ、少なくとも22人が発症して5人が死亡した。
 炭疽症はヒツジやヤギなどの家畜や野生動物の病気だが、ヒトにも感染する。炭疽菌は皮膚接触では2割ほどしか感染しないが、肺に感染する肺炭疽にかかった場合には致死率が90%にも達する。取り扱いやすく菌は保存がきくので、早くから生物兵器への利用が研究されてきた。
 使用された炭疽菌は当初、生物兵器用に開発された細菌粉末であると考えられた。この製造には、炭疽菌に精通した専門家と高度な技術と特殊な研究施設が必要だ。まずアルカイダなどの国際テロ組織が疑われ、その関連がつかめずに米軍の生物兵器にかかわる科学者に疑惑が集まった。しかし、その後の分析で炭疽菌の粉末は「兵器化」されたものではなかった。
 犯行後7年たった2008年に、FBIはブルース・アイビンズ(62歳)を容疑者としてあぶり出した。メリーランド州のフォート・デトリックにある米国陸軍感染症医学研究所に18年間勤務していた科学者である。この研究所は、かつて米国の生物化学兵器開発の拠点だった。アイビンズは炭疽菌研究の第一人者として、事件の捜査に協力していた。逮捕が迫っていることに気づいて2008年8月1日に服毒自殺を遂げた。
 この事件以前に、世界のバイオテロの専門家に衝撃を与えたのは、オウム真理教による炭疽菌の製造である。その開発は1992年ごろか教団施設ではじめられ、93年に東京・亀戸の教団支部付近で噴霧されたが死傷者は出なかった。製造中に悪臭を発し、近隣住民からの苦情が殺到して開発は中止された。この結果、サリンなどの化学兵器の開発に重点を置くようになったとされる。
 オウム真理教事件の公判では、細菌培養用の設備類の購入ルートは明らかにされた。肝心の炭疽菌株の入手ルートについては、医学関係の信者がワクチン用の菌株を手に入れて培養したことしか分かっていない。後日、この炭疽菌のDNAを国立感染症研究所と米国の専門家が分析した結果、菌株は家畜のワクチン用に無毒化されたもので、米国から入手した可能性が高いとされた。本物の炭疽菌であれば、サリン散布に匹敵する大惨事になるところだった。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120227/229119/?P=3


内戦で使われた生物兵器

 実際に兵器として使用された疑いのある事件が、1979年から80年にかけて南部アフリカのローデシア(現ジンバブエ)で起きた。当時ローデシアは独立をめぐって内戦状態にあり、79年から80年の2年間に戦闘地域で前例のない炭疽症の大流行が発生した。感染者1万738人で182人が死亡した。同時に牛も数千頭が死亡した。ローデシアでは78年以前にも炭疽症が発生していたが、年平均十数件だった。
 この事件は、はじめから疑惑に包まれていた。当時、ローデシアを支配していた白人の農場には被害がおよばなかった。しかも、家畜の炭疽菌感染が報告されていない遠隔地に突如として流行がはじまるなど、不自然な点が多かったからだ。
 この流行を調査した米マサチューセッツ大医学部のメリル・ナス博士は、疫学的な証拠からみて政府軍が炭疽菌を生物兵器として使用した可能性が高いとしている。後になって、元政府軍や関係者が、政府軍の心理作戦部が炭疽菌の散布を発案して実施したことを証言している。
 また米国防総省の秘密報告書でも、炭疽菌やコレラ菌が生物化学兵器を使用した事実を認めた。炭疽菌は地中で長く生きつづけることができ、現在もジンバブエは家畜の炭疽症の発生率が高い。
 炭疽菌が悲劇的な事件を引き起こした例がある。79年、旧ソ連のスベルドロフスク(現エカテリンブルグ)で、住民が次々と倒れた。公式の発表では死者は68人だった。当時、天然の炭疽菌が家畜の飼料を汚染しそれが肉を経由して人間に感染した、と政府は説明した。
 ところがその13年後の92年になって、米国とロシアが「生物化学兵器全廃に向けた相互査察」に合意し、それに基づいてそれぞれの国の生物兵器に関する資料を交換した。このなかで、旧ソ連は79年の事件当時、炭疽症による死者の遺体から採取した細胞サンプルを保存していたことを明らかにした。
 68人の死者のうち42人の胸部リンパ節から炭疽菌が検出され、しかもその42人中39人は胃腸にも感染していた。肉を食べても胸部で炭疽薗が発見されることはありえず、空気中の炭疽菌を吸引したことが原因とみられる。
 その後、旧西ドイツの報道などで軍事施設から流出したことが明らかにされ、米国の偵察栄衛星が6カ所の生物兵器の施設を発見した。旧ソ連は炭疽菌兵器の開発にもっとも力をそそいだ国で、炭疽菌の芽胞を量産してICBM(大陸間弾道ミサイル)に搭載した生物兵器を配備していた。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120227/229119/?P=4


旧ソ連のウイルス漏出

 生物兵器の開発とともに、遺伝子を組み替えたウイルスの流出も懸念されている。各国の研究室で同様の研究が行われると、危険なウイルスが外部に漏れ出す事故の可能性も高まってくるからだ。
 77年11月から78年1月にかけてソ連で流行したH1N1亜型インフルエンザ・ウイルス(ソ連型)が、旧ソ連のどこかの研究施設から流出して、世界的に流行した疑惑がささやかれてきた。
 このウイルスは、47年から57年に中国北部と旧ソ連で流行したインフルエンザと酷似していた。これだけ長い時間をおいて再発した場合、同じタイプの遺伝子でもかならず違いが出てくる。専門家の間では旧ソ連で研究施設に保存されていたウイルスが、何らかの理由で流出したことが原因という見方が強い。ロシアはこの事実を否定している。
 70年代の流行では、感染したのは23歳未満にかぎられていた。前回の流行で免疫を得られなかった年代層だ。やがて各国に飛び火して、米国ではコロラド州の空軍士官学校で候補生の4分3が感染するなど若者を中心に流行が広がった。ただ、毒性が低く死亡者もほとんどいなかった。 
 現在問題になっている鳥インフルエンザが、感染爆発を起すかどうかは、専門家の間に異論もある。このインフルエンザは、97年に香港で流行がはじまった高病原性(強毒性)のH5N1で、計340人の死者が出た。感染した人の60%近くが死亡したことで、恐れられている。
 この死亡者は鳥から直接に感染したもので、今までのところヒトからヒトへ感染は確認されていない。H5N1の鳥ウイルスは、ヒト同士の感染は起きないと考える専門もいる。しかし、オランダと日本の研究者によって、ヒト同士の感染を起しうることが証明された。5000万〜1億人という人命が犠牲になった前世紀初期の「スペインかぜ」のように、感染爆発が起きれば大惨事になる可能性は大きい。
 今回の米国政府とWHOの勧告は研究に水をさした形になったが、「病原体の研究とテロの関係」はこれからもますます悩ましい問題になるだろう。生物化学兵器禁止条約の成立で、国家間の紛争解決手段としての使用にはかなりの制約がかかったが、「貧者の核兵器」としてテロリストが使用する危惧は存在する。
(注)インフルエンザ・ウイルスの表面には、2種類のとげ状の蛋白質、HAとNAが存在する。HA蛋白質は宿主細胞と結合するが、その抗原の違いによりH1〜15の亜型に分けられる。一方、NA蛋白質はウイルスが細胞から出てくる際に必要で、N1〜7の亜型に分けられる。これらHAとNAのさまざまな組み合わせで135種のウイルスが存在する。なかでもH5N1がもっとも病原性が高い。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120227/229119/?P=5

 

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コメント
 
01. 2012年3月01日 12:13:54 : DBTD2oPWa2
あの当時のアルカイーダは、100名との事。9・11のやらせから、震撼と来る。今回のインフルエンザはタミフルが効いたらしい。コレ、米国製薬会社じゃないの。テロを創らないの。戦争でこれ以上他国に迷惑かけないの・・。焦ってるのもショガないじゃんか・・。ツケを他国のセイにするなんぞ、大人の国じゃーないな・・。欧米金持ち族・・・!

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