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２０１２韓国大統領選
野党系候補、駆け引き激化
一本化なら接戦 安氏の対応焦点
【ソウル＝内山清行】12月19日投開票の韓国大統領選まで残り２カ月。出馬表明した有力３候補間の駆け引きが激しくなってきた。焦点は最大野党、民主統合党の文在寅（ムン・ジェイン）氏（59）と無所属の安哲秀（アン・チョルス）氏（50）による候補一本化が実現するかどうか。対決の構図は勝敗に直結するだけに、神経戦が続きそうだ。
大統領選は保守系の与党セヌリ党の朴槿恵（パク・クンヘ）候補（60）が支持率でトップを維持する。三つどもえの戦いなら朴氏有利だが、革新系の２候補が一本化できれば大接戦になると予想されている。
積極姿勢を示すのは「安氏との一本化は絶対、必要」と明言する文氏だ。10月に入り(1)政治改革(2)基本政策(3)大統領と首相の役割分担――などを段階的に協議して一本化する方法を提示した。片方が大統領、もう一方が首相になることを想定していると受け止められており、安氏側への誘い水だ。
ところが、安氏は「政治の刷新と国民の同意が一本化の条件」と原則論を繰り返すばかり。文氏側が「両陣営で構成する委員会で政治改革を議論しよう」と呼びかけても関心を示そうとしない。
医師、ベンチャー企業創業者など異色の経歴を持つ安氏は、既存政治に不満を持つ無党派層や若者に人気がある。安易に政党候補との一本化に応じれば自らの支持基盤を失うリスクがある。
一本化の方法は討論会を踏まえた世論調査などが取り沙汰される。韓国外大の李政熙（イ・ジョンヒ）教授は「安氏は時間を稼いでもう少し支持率を高め、一本化の主導権を確保する狙いではないか」と指摘する。
大統領選の候補者登録は11月25日から２日間。当初、10月をめどに一本化する考えだった民主統合党は、安氏の曖昧戦略にいらだちを隠さない。９日には李海●（たまへんに贊、イ・ヘチャン）党代表が「無所属候補が大統領になっても国政運営は不可能」とけん制した。
国会に基盤のない安氏の政策実行力に疑問符を投げかけるとともに、仮に一本化する場合でも、民主統合党に入党するよう促す狙いだ。これには安氏が「（無所属でも大統領は）できる」と反論。両陣営の間にさざ波が立った。
2002年大統領選では、故盧武鉉（ノ・ムヒョン）前大統領が候補一本化に成功して保守系候補を破った。朴氏側にとって、革新系候補の一本化が間に合わず、三つどもえの争いになるのが理想の展開だ。
安氏側が19日「来週からでも協議して３候補によるテレビ討論をしよう」と提案すると、朴氏側はすかさず「大統領選を完走するならいつでも応じる」と皮肉を込めて回答した。
今のところ最後は「政権交代のため」との大義名分で一本化するとの見方が多い。それでも安氏の考えを皆、読みかねている。「国民が望んで候補一本化するなら、それに勝って最後まで戦う」。聯合ニュースは19日、安氏のこんな発言を伝えたが「国民が望まないなら一本化しない」とも聞こえる言い方だった。
［日経新聞１０月２０日朝刊Ｐ．６］
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