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中国のエリート層も民衆も、自国の暴力と過干渉の歴史をほとんど知らない。だから中国に対して疑念や懸念を抱くのか理解できない
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/254.html
投稿者 TORA 日時 2012 年 9 月 27 日 14:54:18: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu272.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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中国のエリート層も民衆も、自国の暴力と過干渉の歴史をほとんど知らない
ことにある。だから外国が中国に対して疑念や懸念を抱くのか理解できない。

2012年9月27日 木曜日

◆中国ナルシスト愛国心の暴走 09月26日 ロバート・サッター(ジョージ・ワシントン大学国際関係学部教授)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/09/post-2700.php?page=1

東シナ海に浮かぶ5つの島と3つの岩礁から成る尖閣諸島。その領有権をめぐる日中間の対立が再び先鋭化したのは8月半ばのこと。中国各地では反日デモが起き、メディアやネット上には政府が領土防衛にもっと力を入れ、日本の「不法占拠」に対抗するべきだという声が高まった。

 中国ではこれに先立ち、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島の領有権問題でも、政府にもっと厳しい態度を求める世論が高まった。その声に応えるように、中国政府は武力行使以外のあらゆる手段を駆使して東南アジア関係諸国に揺さぶりをかけた。

 ある時は軍事関連施設の設置を検討すると発表し、またある時は経済制裁をちらつかせ、石油開発にも乗り出した。関係諸国は今のところ有効な対抗手段を取れていない。ASEAN(東南アジア諸国連合)も足並みが乱れて、中国に対して結束することができずにいる。

 外交評論家らが指摘するように、中国の民衆やエリート層が領土問題で政府に厳しい対応を求めるようになったのは、冷戦終結と世界各地における共産主義の崩壊以降、政府が愛国主義を強力にあおってきた結果だ。

 その愛国主義とは、「中国は19世紀以降ずっと不当に扱われ、列強によって領土や主権を踏みにじられてきた。今の中国は、自らの支配権を守り、領有権問題の起きている領土や主権を取り戻す力を付ける途上にある」という被害者意識をベースにしている。

 政府のこのプロパガンダが奏功して、民衆とエリート層の間に被害者意識が生まれた。厄介なのは、毛沢東や?小平らカリスマ的な指導者がいなくなり、世論に敏感な集団指導体制が確立した今、民衆とエリート層の意見が外交政策に与える影響が拡大していることだ。

 とはいえ、被害者意識は中国当局が育ててきたいびつな愛国主義の一面にすぎない。それと同じくらい重要なのは、中国政府が自国民に刷り込んできた「身勝手に国益を追求する他の大国と違って、中国は国際社会で正義を実践する国だ」というイメージだ。(中略)

こうした認識と現実の間には大きなギャップがある。確かに被害者意識に関して言えば、中国は19?20世紀にかけて、列強から抑圧的な扱いを受けた。

 だが中華人民共和国の過去60年間の歴史を見れば、道義的で原則に基づく善良な外交が行われたのは例外にすぎないことが分かる。その政策はむしろ一貫性を欠き、暴力的なことが多かった。

 特にその傾向が強かったのは、アジアの近隣諸国に対してだ。これらの国の多くは、中国の侵攻や干渉を受けた経験がある。中国政府はクメール・ルージュ(カンボジア共産党)など、近隣諸国の反政府勢力や武力組織を支援して現地政府の弱体化を図った。

 冷戦終結後も、近隣諸国は中国による暴力と威嚇外交を忘れていない。中国政府は懐柔策を試みたが大きな成果はなかった。最近の南シナ海と東シナ海における中国の好戦的な姿勢は、近隣諸国に昔の中国を思い起こさせている。

 問題の一部は、中国のエリート層も民衆も、自国の暴力と過干渉の歴史をほとんど知らないことにある。だから彼らは、近隣諸国と遠くの大国(つまりアメリカ)がなぜ中国に対して疑念や懸念を抱くのか理解できない。

 アメリカに関して言えば、中国の外交にはもうひとつ一貫した特徴がある。それは域外の大国が中国周辺に強力な影響圏をつくり維持しようとすると、猛烈に反発することだ。

 アメリカだけでなく過去にはソ連、それに最近では日本やインドがこうした動きを見せると、中国当局(と体制派のエリート層と民衆)は、冷戦時代の「封じ込め」政策の復活であり中国に脅威を与えるものだなどとして、過剰なほどの反発を見せてきた。

要するに、中国当局がエリート層と民衆に植え付けてきた愛国主義には2つの特徴がある。中国が大国の犠牲になってきたという意識と、中国は外交において道義と正義を守ってきたという独特の強烈な意識だ。

 このため彼らは、近隣諸国やアメリカとの間で主権や安全保障をめぐる問題が起きると、中国ではなく相手側に原因があると考えるようになった。またアジアで主権や安全保障が関わるセンシティブな問題が起きて、他国が領有権を主張したり、中国に譲歩を求めたりすることに我慢できない。

 中国のエリート層と民衆が、南シナ海と東シナ海の問題に関して、政府にもっと厳しい態度を要求するのにはこうした背景がある。

 中国政府のイメージ戦略は見事に成功した。それだけに中国近海における緊張を緩和するのは一層難しくなったといえるだろう。これらの問題が近い将来解決される可能性は乏しい。

(私のコメント)


中国や韓国の歴史教育は公正中立的なものとは言えず、政治的プロパガンダと愛国心教育の一環として行なわれている。最近では韓国や中国の歴史教科書が日本語で翻訳されているので見れますが、戦前の日本のことばかり書かれており戦後の日本の事にはほとんど触れられていない。日本でも歴史教育は明治維新くらいで終わってしまって現代史をほとんど知らない。

中国や韓国が日本の歴史教科書の内容に異常に干渉してくるのは、歴史教科書の内容に大きなずれがあるからだろう。しかし日韓や日中で歴史教育内容ですり合わせをしようとしても無理だろうし、実際中断してしまっている。歴史の事実を知る事と価値判断とは別であり、価値判断やどちらが正しいかといった事は時代によっても変わってくる。

中国や韓国で行なっている愛国教育は行き過ぎたものであり、後々その愛国教育を修正しようとしても難しくなってしまう。日本でも戦前に皇国史観教育が行なわれて青年将校たちが過激な政治行動を行なって国政を誤った。戦後は逆に東京裁判史観に基づく自虐史観教科書が主流となり、中国や韓国などへの謝罪外交の元になってしまった。石破氏の歴史観もこの時代の教育の成果だ。

戦後から70年近く経っても先の大戦への評価は定まりませんが、なぜ日本は負けるような戦争をしたのかといった原因追求がなされていない。皇国史観教育で日本は神国だの不敗の神話などと言った教育が軍事的暴走を招いてしまったのだろう。天皇機関説ですら批判されて天皇が神格化されて、軍事官僚がそれを利用して天皇の統帥権が一人歩きをしてしまった。

このように誤った愛国教育をすると政府はこれを止められなくなる恐れがある。中国も韓国もこのようなジレンマに直面する時が来るだろう。中国は共産党独裁国家であり言論の自由がなく、その点で近代国家とは言えず韓国も反愛国的な言動は許されていない。だから一方的な政府からのプロパガンダを国民はそのまま信じてしまうから、中国人や韓国人と歴史論争しても始まらない。

ロバート・サッター(ジョージ・ワシントン大学国際関係学部教授)によれば、中国の愛国教育とは、「中国は19世紀以降ずっと不当に扱われ、列強によって領土や主権を踏みにじられてきた。今の中国は、自らの支配権を守り、領有権問題の起きている領土や主権を取り戻す力を付ける途上にある」と言う被害者意識が根底にあり、排外主義のイデオロギーを植えつけている。

中国はなぜ19世紀以降停滞してしまったのだろうか? それとは対照的に19世紀以降、日本がなぜ近代的工業国家になれたのだろうか? 中国ではこの事をどのように教えているのだろうか? 毛沢東に時代は「自力更生」でやってきましたが西側諸国に経済的格差が付く一方であり、91年のソ連崩壊で共産主義ではだめだと言う事になり、ケ小平は自力更生を捨てて改革開放経済に踏み切った。

80年代まではASEAN諸国にも遅れを取るようになり、積極的な外資の導入で経済発展を目指す事になった。西側先進諸国にとっても中国の13億人の豊富な労働力と市場は有望に思えた。中国は毎年二桁の高度成長を実現して世界第二位の経済大国となり、軍事力においても8兆円もの軍事予算は5兆円の日本を軽く上回る。20年後にはアメリカを上回る予測まで出る様になった。

このようになれば今まで鬱積してきた中国人の感情がどこかで爆発する事は予想が出来た。アメリカは中国を90年代から戦略的パートナーと持ち上げ、オバマ大統領はアメリカと中国との二カ国で21世紀の世界を作っていこうと持ち上げた。米中の戦略的パートナーシップの対象国は何処なのだろうか? ソ連は崩壊して無くなったから米中にとって日本しか敵は存在しない。

この頃から始まった韓国や中国の日本に対する歴史カードは、日本も謝罪外交に追われる様になり自民党でも野中広務のような元共産党員が仕切るようになった。政治的にも不安定になり小泉内閣を除いて首相は1,2年で交代するようになり、経済では一部上場企業の倒産が相次ぐようになった。それをアメリカのハゲタカファンドが死肉を漁るように襲いかかって来た。

まさに90年代から現在に至るまで日本にとっては試練の時代であり、米中による日本攻撃が経済面や精神面で行なわれた。アメリカは日本に対しては1ドル=75円まで吊り上げたのに対して中国に対しては1ドル=2元から8元にまで切り下げられて、日本国内の工場が中国に移転せざるを得ないように仕組まれた。人民元の切り下げは自由な為替市場で決められたものではなく、米中間の合意が無ければ出来るものではない。

中国の経済軍事大国化と日本の弱体化はアメリカにとってプラスなのだろうか? 米中に挟まれた韓国と台湾は中国の影響下に入りつつありアメリカは近いうちに、この二カ国から追い出されるだろう。日本も鳩山政権が出来て沖縄の米軍基地の海外移転を模索し始めて米中との等距離外交を言い始めた。アメリカが対中国外交のスタンスを変え始めたのはこの頃であり、日本までアメリカ離れを始めたので慌てて外交スタンスを変えたのだろう。

中国はロシアや韓国とも連携して日本を領土問題で追い込むようになりましたが、自民党は民主党がアメリカとの関係を壊したからだと非難していますが、アメリカは防衛ラインをハワイ、グアム、オーストラリアまで後退させることが原因だろう。在日米軍基地も実戦部隊は空っぽであり、空軍や海軍などのいつでも逃げられるような部隊だけを置いている。それだけ軍事バランスが米中間で変わり始めたからだ。


サッター教授は、「冷戦終結後も、近隣諸国は中国による暴力と威嚇外交を忘れていない。中国政府は懐柔策を試みたが大きな成果はなかった。最近の南シナ海と東シナ海における中国の好戦的な姿勢は、近隣諸国に昔の中国を思い起こさせている。」と指摘していますが、中国はソ連、インド、ベトナムなどと戦争して国境問題を引き起こしている。再起ではフィリピンやベトナムなどと東シナ海で領土問題を引き起こしている。その矛先が日本に向けられてきたのが尖閣問題だ。

中国の愛国運動は海外への膨張政策や国内での排外主義に繋がって来ていますが、このような愛国運動は方向転換が難しい。韓国の愛国運動は反日運動と重なり、小学生の低学年から「独島は我が領土」と教育している。これでは日本から幾ら話し合いを申し込んでも聞く耳を持たない。韓国の李大統領の発言と行動は日本に挑発することで支持を得ようとした。気の毒なのは間違った教育をされてきた韓国の若者達だ。


 

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コメント
 
01. 2012年9月27日 22:40:19 : pQIvTYhpps
結局,中国は韓国並みに劣化しているということだ.
地図を観れば,尖閣は琉球に所属しているのが自然だ.琉球は中国への朝貢を止めた時点で,一種の独立をしたわけで,それとともに尖閣も中国から独立したのだ.(元々,無人島なので,中国の実効支配もなかった.)それを中国固有の領土などと詐称するのは,英国が香港を英国固有の領土と云うのと同じ.
中国の反日デモで,「日本軍国主義」とか垂れ幕がかかっていたが,お笑い草だな.中国こそ帝国主義国家だ.まさに古典的な共産党1党独裁国家だ.

02. 2012年9月28日 00:02:35 : TG4xvUMJ62
マトモに物事を考えてる者であれば、タイトルが一番当てはまるのはアメリカであろうことは分かるはずだがね。

何か、アメリカの誰かが言う事を一喜一憂することは、自らのバカさ加減を知らせてるようで、何だかなあ、、、と言うしかない。

誰であれ、アメリカ人の言うことなど、冷ややかに、笑いながら聴くことが正解だろう。


03. 2012年9月28日 16:04:11 : 4rZbLCpwto
尖閣問題と日中米の利害
2012年9月27日  田中 宇

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 日本が9月11日に尖閣諸島の土地を買い上げて国有化する方針を決めて以来、中国では、日本を非難するデモが各地で行われた。デモでは、毛沢東元主席の肖像画が掲げられることが多かった。「抗日」という文字も目立った。戦前に日本が中国を半植民地化していた時代、毛沢東は、共産党軍を率いて抗日戦争を続け、日本が戦争に負けた後、ライバルの国民党軍を中国大陸から台湾に追い出し、中華人民共和国を建国した。日本を追い出して中国を植民地化から救ったというのが、中国共産党の中国人民に対する政治正統性で、毛沢東や「抗日」の文字はその象徴だ。(Chairman Mao rears his head in China's anti-Japan protests)

 高度経済成長で貧富格差が増して貧困層の共産党に対する信頼が揺らぐ一方、共産党が胡錦涛から習近平への10年に一度の権力の世代交代を進めている今、中国の全土に日本敵視のデモが広がることは、共産党の政治正統性の再確認につながるので、共産党の上層部にとって良い。だから共産党は、中国全土での反日デモを容認ないし計画した。日本政府が、尖閣諸島に関する領土紛争の棚上げという、これまで中国と(暗黙に)合意してきた枠組みを、尖閣の土地国有化によって破り、中国側を怒らせたことは、中国共産党にとって好都合だった。(Japanese businesses reopen in China)

(日本では「日本の領土である尖閣諸島の土地を国有化するのは日本側の自由であり、中国側がそれを非難するのは100%間違っている」という世論が強い。読者からの非難中傷、非国民扱いをおそれずに書くと、この考えは間違いだ。尖閣諸島は、日本が実効支配しているが、中国と台湾が自国領であると主張しており、領有権が国際的に確定していない国際紛争地である。米政府内では、国務省の日本担当者が「尖閣は日米安保の範囲内」として日本の領有権を認める発言をしたが、先日日中を歴訪したパネッタ国防長官は日中どちらの肩も持たず中立の姿勢をとった。尖閣問題について、米国の姿勢はあいまいだ)(U.S. Says Disputed Islands Covered by Japan Defense Treaty)(US 'will not take sides over islands')(尖閣諸島紛争を考える)

 しかし同時に、毛沢東の肖像は「左派」のシンボルでもある。共産党の上層部には、トウ小平が敷いた路線に沿って、経済成長を最重視し、貧富格差の増大などの悪影響を看過する傾向が強い中道派(穏健派)と、経済成長重視の政策を批判する左派(急進派)がいる。外交面では、中道派が米国との対決を回避(先送り)する対米協調戦略である半面、左派は米国との対決をいとわず、米国の覇権が弱体化する一方で中国が台頭しているのだから、中国は米国に遠慮する必要などないと考える傾向が強い。外交面で、人民解放軍は左派的で、中国外務省は中道的だ。ここ数年、これまで外務省が決めてきた外交政策の決定過程に、軍の幹部が首を突っ込む傾向が強まっている。日本風に言うなら、中道派が官僚的で、左派は右翼的なナショナリストだ。(In protests, Mao holds subtle messages for Beijing)

 文化大革命後、左派は中国政界の主流から追い出されている。胡錦涛主席や温家宝首相は中道派で、胡錦涛は米国との対立回避を重視した超慎重派だった。温家宝は、左派の突き上げに対抗し、リベラル的な政治改革によって貧富格差や人々の不満を解消しようとした(温家宝は、天安門事件以降、封印されてきたリベラル派の再起を望んだ)。これから主席になる習近平も中道派だ。しかし、高度成長の持続は中国社会にさまざまなゆがみをもたらし、その結果、経済至上主義の中道派を敵視する左派への草の根の支持が広がっている。左派は、胡錦涛から習近平への世代交代を機に、中国政界の主流に返り咲くことを模索している。そして左派の代表だったのが、今春にスキャンダルで失脚させられた重慶市党書記の薄熙来だった。(劉暁波ノーベル授賞と中国政治改革のゆくえ)

 薄熙来は根っからの左派でなく、優勢な左派に接近し、左派的な政策をやって人気を集めて政治力をつけ、共産党の中枢で出世しようとした。薄熙来の策は成功したが、同時に党中央で主流の中道派の人々は薄熙来の存在に脅威を感じ、胡錦涛から習近平への世代交代の政治儀式が始まる今夏より前に、薄熙来をスキャンダルで引っかけて逮捕し、権力を奪った。薄熙来自身は逮捕され失脚したが、薄熙来を担いでいた左派の不満と、党中央の中道派に対する怒りは残った。(薄熙来の失脚と中国の権力構造)

 そして、左派の不満がくすぶっていたところに起きたのが、尖閣問題での日本との対立激化だった。左派の人々は、毛沢東の肖像画を掲げてデモ隊を率いた。表向きは、日本に対する怒りが発露された。しかしその裏に、デモを激化させ、日本への怒りとは別の、貧富格差や役人の腐敗など中国国内の政治社会問題に対する怒りを発露させるところまで進める意図があった。このような政治的手口は中国でよくあるので、中道派はデモ発生の当初からその危険性を知っていただろう。当局は、各地でデモが激化してくると取り締まりを強化し、デモを終わらせた。だが、尖閣問題で日中が対立している限り、中国で反日デモが再発し、それを左派が国内政争の道具に使おうとする動きが続くだろう。(These Anti-Japan Protests Are Different)

 中国では、日本が尖閣の土地国有化に踏み切った背後に米国が黒幕として存在するという見方が強い。米国が、日中対立を扇動しているとの見方だ。今回の尖閣土地国有化の動きの始まりは、今年4月に石原慎太郎・東京都知事が米国ワシントンのヘリテージ財団での講演で、東京都が尖閣の土地を買収する計画を唐突に表明したことだ。米政界のいずれかの筋が、石原に対し、尖閣を買収して日中対立が激化したら、米国は日本を支持し、日米同盟を強化できると入れ知恵(提案)した可能性がある。(東アジア新秩序の悪役にされる日本)

 米国は、南シナ海の南沙群島問題でも、フィリピンやベトナムが領有権の主張を強めるのを後押しし、これまでASEANと中国の間で棚上げ状態にしてあった南沙問題を再燃させた。米国は、比越などを代理にして中国包囲網の戦略を展開し、比越に最新鋭の兵器を売り込んでいる。そして、南沙と同じ構図が尖閣でも起きている。米国は、石原を誘って、日本が尖閣問題で領有権の主張を強めて島を国有化するのを後押しし、これまで日中が棚上げしていた尖閣問題を再燃させ、日本にミサイル防衛関連の新型兵器(レーダーなど)を追加で買わせた。(南シナ海で中国敵視を煽る米国)(米国が誘導する中国包囲網の虚実)

 尖閣問題も、南沙問題と同様、米国がアジア諸国を代理役にして中国との対立を激化させる策になっている。中国側は、背後にいる米国への敵視も強めている。尖閣問題で反日デモが激しくなった9月18日には、北京の米国大使館前で50人の市民が米国大使の車を取り囲み、車を傷つける事件が起きた。(Beijing demonstrators damage US ambassador's car)

 中国は、1989年の天安門事件で米欧に制裁され、当時の経済発展が初期の段階にあった当時、今よりも重要だった投資や貿易、技術移転を何年も制限されて、経済発展に悪影響が出た。その教訓から、中国の経済発展を主導したトウ小平は「経済力が十分につくまで、米欧に挑発されても反撃せず我慢せよ」と命じる遺言(24字箴言)を残している。トウ小平の弟子たちである中国政界の中道派は、この家訓を忠実に守り、米国の中国敵視の挑発に乗らないようにしてきた。(中国軍を怒らせる米国の戦略)

 だが、経済優先の中道派の姿勢に反発し、近年のナショナリズムの強まりに乗って政治力をつけた左派や人民解放軍は「米国の敵視策を見て見ぬふりして我慢する必要などない。米国に売られた喧嘩をかって反撃せよ」「中国は国際的にもっと自信を持った方が良い」「空母など新鋭機の開発、貿易決済の非ドル化や米国債の放出、発展途上諸国を味方につけて国際政治で米国を封じ込めるなど、米国の覇権を崩す策を強めるべきだ」といった主張を強めている。

 中道派は、あと10年ぐらいトウ小平の家訓を守って慎重な外交姿勢を続けようとしているが、左派は、もう十分に経済力がつき、すでにトウ小平の家訓の範疇を過ぎたと考えている。ドルの過剰発行、イラクやアフガニスタンでの失敗など、米国の覇権が経済・政治の両面で失墜していきそうな中、次の10年間に中国が米国の敵視策にどう対応するかをめぐり、政権が胡錦涛から習近平に交代する今の時期に、中国の中枢で議論が戦わされている。(中国の次の戦略)

 習近平政権の外交戦略が定まっていない今の微妙な状況下で、日本が尖閣国有化で中国のナショナリズムをはからずも(背後にいる米国にとっては意図的に)扇動したことは、中国政界で左派を力づけることにつながっている。尖閣や南沙の問題で、米国と同盟諸国が中国敵視を強めるほど、中国のナショナリズムが燃え、習近平の政権は左派に引っ張られ、対米戦略を協調姿勢から対決姿勢へと転換していくだろう。

 日本政府や石原都知事にとって、尖閣問題で日中対立を煽った目的は、日米が共同して中国の脅威に対抗する態勢を強めること、つまり日米同盟の強化だろう。中国の左派が尖閣紛争を逆手にとってナショナリズムを扇動し、中国の日中に対する外交姿勢が協調型から対決型に転換したとしても、米国が今後も盤石な覇権国である限り、中国は米国にかなわないのでいずれ譲歩し、日米に対して協調姿勢に戻り、日米同盟の強化は成功する。しかし、これまで何度も書いてきたように、米国の覇権は経済政治の両面で揺らいでいる。ドルや米国債の下落、米国の財政破綻、国連での米国の主導権喪失が起こりそうだ。半面、中国はロシアなどBRICSや途上諸国との連携を強め、これらの諸国が集団的に米国から覇権を奪う流れが続いている。(ドル過剰発行の加速)

 これまで米国の忠実な同盟国だったオーストラリアは、米国抜きのアジアを容認する外交戦略の白書を作り、近く発表する。「アジアの世紀のオーストラリア」と題する白書は、豪州が今後、中国、日本、韓国、ベトナム、インドネシア、インドとの経済関係を重視する戦略をとるべきだと書いている。米国に言及していない点が重要だ。豪州は米経済の回復に疑問を持ち、米国を軽視していると、WSJ紙が危機感をもって報じている。政治軍事的にも、豪州には、米国のアジア支配に協力すべきでないとする論調がある。豪州には、国家戦略を表だって議論して決める政治風土がある。国家戦略をこっそり決める傾向が強いアジア諸国(東南アジアや韓国など)でも、豪州と似た議論が起きているはずだ。(Oz Doubts U.S. Staying Power)

 この手の議論を、表でも裏でも見かけないのは日本ぐらいだ。今後、財政破綻などで米国の覇権が劇的に弱まると、その後の米国は、国力温存と米国債購入先確保のため、中国敵視をやめて、ベトナム戦争後のように、一転して中国に対して協調姿勢をとる可能性が高い。米国の威を借るかたちで中国敵視を強めた日本は、孤立した状態で取り残されかねない。(経済覇権としての中国)

 中東では今、米国の威を借りてイラン敵視策をやってきたイスラエルが、米国からはしごをはずされている。9月25日、国連総会でのイランのアハマディネジャド大統領のイスラエル批判の演説に対し、席を立ったのはイスラエル代表団だけだった。これまでイラン批判をしてきた米欧はどこも席を立たず、イスラエルの孤立が浮き彫りになった。中東政治における攻守が逆転した瞬間だった。イスラエル同様、米国だけを頼みの綱としている日本人は、この展開を他山の石として注目し、自国の戦略を深く再考する必要がある。だが実際のところ、もちろん日本のマスコミは、この国連総会の出来事をほとんど報じていない。(US Envoys Stay Seated For Ahmadinejad's UN Speech, Israel Walks Out Alone!)

 ここまで、尖閣問題をめぐる日本と中国の姿勢とその意味について書いてきた。日本の上層部は、日米同盟(対米従属)の国是を保持するために尖閣問題を煽った。中国は、左派が国家戦略を乗っ取る目的で、日本から売られた対立強化の喧嘩を積極的に買い、習近平の国際戦略を急進化しようとしている。残るは米国だ。米国はなぜ尖閣や南沙問題を煽って中国包囲網を強化しているのか。(日本の政治騒乱と尖閣問題)

 米国の上層部は一枚岩でないので、複眼的な考察が必要だ。軍産複合体の視点で見ると、尖閣や南沙問題を煽るのは、中国との敵対を煽って恒久化することで、米国と同盟諸国に末永く高価な兵器類を売り続けられる。米政府が財政緊縮に取り組んでも、中国の脅威が大きい限り、軍事費の削減に手をつけにくい。しかし、中国を敵視し続けていると、中国で米国と対決したがる左派が強くなり、すでに揺らいでいる米国の覇権を、経済・外交の両面で崩されてしまう。米国が中国に左派の政策をとらせるのは自滅的な失策だ。(中国の台頭を誘発する包囲網)

 米国には中道的、穏健的な外交戦略を好むリベラル派もいる。だが、マスコミを握る軍産複合体と右派が結託して911以来展開している好戦的な戦略に圧され、リベラル派は弱くなり、好戦的なことを言う「ネオリベラル派」として何とか生き延びているが、ネオリベラルは右派と違いがない。

 米国には、自滅的な失策とわかっている戦略を政府にとらせる勢力がいる。政治面では、軍産複合体と組んでいる右派(タカ派、ネオコン)である。大量破壊兵器がないと事前にわかっていたのに、ネオコンが大量破壊兵器の存在を主張し、開戦に持ち込んだイラク戦争が好例だ。ネオコンなど右派は、過剰に好戦的な外交戦略をとり、米国の覇権を自滅させている。経済面では、公的資金や連銀のドル過剰発行によって、リーマンショック後に大量発生した金融界の不良債権を買い支えたバーナンキ連銀議長やポールソン前財務長官らが、米国覇権を自滅させる政策をあえて進めている。彼らは、政治面で軍産複合体、経済面で金融界と組み、マスコミの論調を決定しているので、自滅策の自滅性を指摘されずに突き進んでいる。(ウォール街と中国)(リーマンの破綻、米金融の崩壊)

 彼らは、なぜ米国の覇権を自滅させる策を続けるのか。私の見立てでは、彼らの上位にいるのはニューヨークの資本家層であり、世界のシステムを米欧中心(米国覇権)から多極型の体制(新世界秩序)に転換し、それによってこれまで米欧から経済発展を阻害されてきた途上諸国の経済成長を引き起こそうとしている。私は数年前から、彼らを「隠れ多極主義者」と呼んでいるが、それについての分析は、これまで何度か書いてきたので、それらを読んでいただきたい。(資本主義の歴史を再考する)(米中逆転・序章)(隠れ多極主義の歴史)(多極化の本質を考える)

 最近の数年間で、BRICSやイランの国際台頭、米国の繁栄を支えていた債券金融システムのリーマンショックによる瓦解、G7からG20への国際意志決定権の移動など、彼らの多極化戦略は着々と成功している。私の「隠れ多極主義」の分析は、大半の人々にいかがわしいものとみられているが、人々がどう考えようが、私が隠れ多極主義の推論を考えた後、世界は多極化の方向にどんどん進んでいる。(世界経済多極化のゆくえ)(米経済の崩壊、世界の多極化)

 米国の中国包囲網は、隠れ多極主義者が軍産複合体を誘って始めた戦略だ。短期的には軍産複合体が儲かるが、長期的には中国の台頭と対米対決姿勢を誘発し、米国の覇権衰退と世界の多極化を早める。日本が米国に誘われて尖閣問題で日中対立を激化する策は、長期的に見ると失敗するだろう。すでに日本政府は、特使を中国に派遣して日中関係の修復を目指すなど、早くも腰が引けている。日本は経済的に、中国との関係を断絶し続けることができないからだ。日本政府は今後、尖閣問題を再び棚上げして中国との敵対を避ける姿勢に戻るかもしれず、腰が引けているがゆえに、大したことにならないかもしれない。(多極化の進展と中国)

http://tanakanews.com/120927senkaku.htm


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