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《石平のChina Watch》 急加速する中国富裕層の海外脱出 第3次移民ブームの背後にある祖国の絶望 
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/478.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 4 月 11 日 10:00:00: igsppGRN/E9PQ
 

上海市内にある移民相談センター。第3次移民ブームが起きている (長谷川周人撮影)


【石平のChina Watch】急加速する中国富裕層の海外脱出 第3次移民ブームの背後にある祖国の絶望
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130411/frn1304110910000-n1.htm
2013.04.11 夕刊フジ


 今月4日、中国の各メディアは海外移民に関する一つのニュースを報じた。2012年の1年間、中国からカナダへ移民した人の数が3万2900人にのぼり、中国は、カナダへの最大の「移民輸出国家」となった。

 実は今、中国で大規模な移民ブームが起きている。今年1月に発表された「中国国際移民報告(2012)」によると、中国現代史上3回目の「移民潮(ブーム)」が起きているという。過去2回の移民ブームと比べれば、今回は富裕層と企業家が主力である。報告によれば、1千万人民元(約1億6千万円)以上の資産を持つ中国国民の6割はすでに海外へ移民してしまったり、あるいは移民を検討している。さらに、個人資産1億元以上の富豪企業家では27%が移民済みで、47%が検討中であるという。

 中国の経済と社会を支えていくはずの経営者と富裕層による雪崩式の移民ブームは当然、国内で大きな問題となっている。先月5日に開幕した全国人民代表大会では、代表の一人である企業家の王挺革氏が、「移民による人材と富の流出は甚大で、国家がこうむる損失はあまりにも大きい」と指摘し、「一刻の猶予もなくそれを食い止めなければならない」と提案した。

 世界第2の経済大国となった中国の富裕層と企業家たちが競って海外へ移民するのはなぜなのか。上述の王氏が一番の理由として挙げているのは富裕層の「財産の安全に対する心配」である。つまり、カナダなどの法治国家では個人資産がきちんと保護されているが、体制の違った中国で自分たちの財産が果たして大丈夫なのか、という心配が、中国の富裕層を海外移民へと駆り立てる最大の理由となっているのである。

 もちろんそれは王氏だけの意見ではない。1月22日付の『中国企業報』は「企業家の移民潮」を取り上げた新聞記事の中でやはり、財産の保持に対する「不安全感」を企業家移民の理由の一つに上げている。高名な経済学者で北京大学光華管理学院教授の張維迎氏も最近、「中国の企業家たちに安全感がない。だから移民ブームを起こしている」と語り、政府の「反省」を求めたと報じられている。

 しかし問題の根っこはむしろ、当の政府が成り立つ政治体制にある。1990年代以来、共産党政権は「社会主義市場経済」を打ち出して独裁体制下での市場経済の発展を推進してきたが、その中で党と政府から独立した企業家階層が大きく成長してきた。

 その一方、旧態依然の独裁体制の下では、絶大な権力を握る政府各部門が権力をかさにきて企業家たちを食い物にし、さんざんいじめている。しかも、党と政府の力が法律を完全に凌駕(りょうが)している状況下では、権力はその気になれば企業家の財産と身の安全をいとも簡単に奪うことができるし、実際そうやったケースは数えきれないほどある。

 だからこそ、莫大(ばくだい)な財産を蓄積してきた企業家たちは究極の「安全対策」として海外移民へと走ってしまったのだが、彼らは身の処し方によって体制への離反を表し、いわば「社会主義市場経済」の破綻を告げているのである。

 このままでは、国中から金持ちがほとんど逃げ出してしまい、独裁政権と貧乏人だけが残ってしまうという、中国自身にとっての最悪の事態になりかねない。それでは、中国の経済と社会が崩壊するのも同然である。

 つまり、今まで中国に成長と安定をもたらしてきた、「独裁体制下での市場経済」の「トウ小平路線」はすでに行き詰まっていることが明々白々だ。市場経済を残して独裁体制を無くすのが、この国に残される唯一最善の道であろうが、今の習近平政権下では、大変革を断行できそうもないところに、中国の絶望がある。

                  ◇

【プロフィル】石平

 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。


 

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コメント
 
01. 2013年4月14日 22:10:06 : JjNtNbJEr2
1949年に中国共産党が大陸を占拠して「中華人民共和国」が成立したが、その当時の中国大陸の富裕層は結構多かったそうだ。貧富の格差が激しい国なのだが、共産党は当初は富裕層に対し厳しくでることはなかった。

しかし1950年代中頃に行なわれた政治運動「百花斉放百家争鳴(ひゃっかせいほうひゃっかそうめい)」で、共産党を批判した者は、その後の「反右派闘争」で厳しく弾圧されたのである。

百花斉放百家争鳴
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E8%8A%B1%E6%96%89%E6%94%BE%E7%99%BE%E5%AE%B6%E4%BA%89%E9%B3%B4

反右派闘争
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E5%8F%B3%E6%B4%BE%E9%97%98%E4%BA%89

この「反右派闘争」で、毛沢東が反体制派を弾圧したのであるが、富裕層や知識人がターゲットになった。さまざまな理由をつけて財産を没収したと言われる。借家やアパートを持っていた人や、土地を持っていた地主は財産を没収され、政府のプロパガンダに踊らされた貧乏国民に「ブルジョワは死ね」とののしられ、暮らせなくなって香港に夜逃げしたと言われる。毛沢東は、国民同士をいがみ合わせて、自らに批判が向かわないようにしたのである。

このつらい記憶があるからこそ、改革開放経済で富裕層になった人たちが外国に逃げようとするのは当然だ。金持ちにも貧乏人にも等しく人権はあるが、中国大陸では人権がない。いつ公安警察が逮捕しに来るか分からない恐怖がある。逮捕など、どんな理由でもできる。賄賂を贈ったと捏造すれば可能だ。税関でも、袖の下を渡せばどうにでもなる国なのだ。

富裕層にとって恐怖なのは、巨大な人民解放軍の存在だ。何しろ、中華人民共和国の成立以前から存在している。国の軍隊ではなく、中国共産党の軍隊なのだ。その中国共産党が、独裁体制を敷いている。民主主義国ではないのだ。

彼らが、「あいつが邪魔だから、消してしまおう」と思えば、即座に可能な体制なのだ。党や軍隊、官僚に邪魔な者は消せる。事業で成功した者が、いつ逮捕されるか分からない。だから外国に逃げる。

中国共産党は、今なお「プロレタリア独裁」を放棄していない。下の、「四つの基本原則」をお読みください。

四つの基本原則
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E3%81%A4%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%8E%9F%E5%89%87

(一部抜粋)

四つの基本原則(よっつのきほんげんそく)は、中華人民共和国の政治などにおける基本路線の一つ。

1979年3月にケ小平により中央理論工作会議で提唱され、1982年に中華人民共和国憲法の前文に明記された。以下を「四つの基本原則」として堅持しなければならない、とする。

1.社会主義の道
2.プロレタリアート独裁(または人民民主主義)
3.中国共産党の指導
4.マルクス・レーニン主義、毛沢東思想

(抜粋ここまで)

この文章を書いた石平氏も、日本国籍を取得して中国大陸から逃げてきたじゃないか。中国大陸は「暗黒大陸」です。チベット、ウイグル、法輪功の弾圧。異常な死刑執行人数。報道の自由もない。今の体制が続く限り、富裕層や知識人の流出はとまりません。

やはり当方が以前から主張するように、中共が崩壊しなければ中国大陸に未来はない。保存されている毛沢東の遺体を火葬にし、「過去の暴君」として総括することが、中国大陸の未来に取って避けられない道であることを予言しておきます。


02. 2013年4月15日 12:51:29 : xEBOc6ttRg

中国GDP伸び率が7.7%に鈍化:識者はこうみる
2013年 04月 15日 12:14 JST
[北京 15日 ロイター] 中国国家統計局が15日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前年比7.7%と、第4・四

半期の7.9%から鈍化した。

市場予想は同8.0%だった。

多くの投資家は第1・四半期の流動性拡大や輸出の伸びを受けて、7四半期連続の景気減速に歯止めが掛かった第4・四半期から再

び回復が加速すると予想していた。

2012年のGDP伸び率は7.8%で1999年以来の低水準だった。

GDPと同時に発表された3月の中国鉱工業生産は前年比8.9%増加した。ロイターがまとめた市場予想の10.0%増を下回った。

市場関係者の見方は以下の通り。

●鉱工業生産が予想下回る、市場予想下方修正へ

<ING(シンガポール)のアジア経済リサーチ責任者、ティム・コンドン氏>

第1・四半期に大量の流動性が供給されたのも頷ける。

鉱工業生産が予想以上に弱く、これがGDP低迷の原因となった。

今後、市場予想が下方修正されるだろう。当社も予想を見直す。

●信用の伸びを背景に第2四半期は成長加速へ

<申銀万国証券(上海)のエコノミスト、LI HUIYONG氏>

第1・四半期の成長率が市場予想を下回ったのは、投資と工業の伸び減速が主因だと考えている。政府が最近、宴会や贈答品の過

剰な開催・やり取りを削減する方向に乗り出したことも民間部門の消費を抑えた。

われわれは依然として、最近の信用の伸びを背景に第2・四半期の中国経済成長率が一段と加速すると見込んでいる。

●緩和的な政策が維持される見通し

<UBS(香港)のエコノミスト、TAO WANG氏>

国内消費は第1・四半期にかなり弱まった。

これが緩やかな成長の転換点とは思えない。回復は恐らく遅れているものの、なお見込める。

政策が大幅に引き締められることは見込んでいない。また特にこの数値では、政策は引き締められず、極めて緩和的な政策が維持される

だろう。政策は既に極めて緩和的な状態で、(一層の)緩和が行われないことを願う。信用はきつくない状態にあるため、今回の結果は

政策を大きく動かすものになるとは思えない。

●緩やかな成長は当局が景気の質に重点置くことに寄与

<ソシエテ・ジェネラル(香港)のエコノミスト、WEI YAO氏>

第1・四半期の中国経済の成長ペースは軟調となった。最大のサプライズは固定資産投資の伸びが予想を大幅に下回ったことだ。

信用の急速な伸びが投資事業に明白な恩恵をもたらしていないことが示された。

これらの指標はすべて中国の景気回復ペースが弱いことを示しているが、中国当局の経済改革という目標を踏まえると、比較的緩やかな

成長は長期的には悪いことではない。政策当局者が景気回復のスピードではなく質に、より重点を置くことを後押しする可能性がある。


03. 2013年4月15日 15:47:40 : VM18cmY6KU
石平さんはようやく日本人らしくなりました。日本にいる中国人として頑張ってください。

04. 2013年4月17日 01:26:10 : xEBOc6ttRg


世界から見えない中国農村の貧困の現実

政府からも国際社会からも見捨てられた人たち

2013年4月17日(水)  福島 香織

 先日、編集者との打ち合わせの時に、「中国の農村というのは、いまだそんなに貧しいのですか」と、たずねられた。そうか、日本人が旅行やビジネスで訪れることができる中国には、もうさほどの貧困は見られないんだな、と気付いた。そこで、「年収2300元(約3万6500円)、1日の生活費6.3元(約100円)を貧困ラインと呼んでいますが、その貧困ライン以下の人口は1.28億人以上、と公式に発表しています。これはかなり保守的な数字です」と答えてみた。

 だが、それで中国農村の貧困が実感として分かるだろうか。餓死者が出ますか、と問われれば、今の中国で飢餓だけで死ぬことはまずない。医者にかかれない、学校にいけない、いろいろ表現を考えてみたが、それではあの絶望的な貧しさは伝わらないだろう。そもそも貧しさって何なのか。その定義もあいまいだ。人によっては日本こそ世界一貧しい国だという感じ方もある。

 そう思っているときに、中国のドキュメンタリー映画「三姉妹―雲南の子」(王兵監督、2012年)の試写を見て、これを見れば、中国の農村の貧しさの質が理解できるだろう、と思った。

男の子を産めない母親は行方不明に

 王兵監督は、中国ものドキュメンタリーでこれまでも国際的に高い評価を得ており、この「三姉妹」もベネチア国際映画祭オリゾンティ部門のグランプリなど、いくつかの大きな国際賞を受賞している。

 監督は偶然にも私と同じ歳。一度、インタビューしたことがあるが、映画少年がそのまま大人になったかのような人だ。海外受けする中国人監督によく見られる意図的に反体制的なテーマばかりを追うタイプではない。本人は、政治的なものには関心がない、と言う。

 前作の「無言歌」は彼にとって初の物語映画で、反右派闘争の政治犯が送り込まれた強制労働収容所の甘粛省、夾辺溝が舞台だが、テーマは政治的なものではなく「飢餓を描きたかった」そうだ。「三姉妹」にもさほど政治性はなく、テーマは一言でいえば、貧困農村の現実、だろう。

 「三姉妹」にはあらすじらしいものはない。舞台は雲南の最貧困地域、標高3200メートルにある、ごうごうと風の吹きすさぶ約80世帯の村、洗羊塘。その村の、いわゆる「留守児童」である英英10歳、珍珍6歳、粉粉4歳の三姉妹の生活を淡々と、手持ちビデオに収めただけのフィルムである。

 「留守児童」とは両親が都市・町に出稼ぎに行っている間、故郷の農村に残された子供たちで、公式の統計では5800万人(14歳以下)とされている。面倒を見てくれる祖父母や親せきが同じ村にいるとはいえ、子供たちが味わう不安と孤独は想像にかたくないだろう。保護者がいないことで、誘拐やレイプなどの犯罪の対象になったり、ぐれて犯罪に走ったり、十分に学校に通わせてもらえなかったり、親戚から虐待されたり、いじめにあったり、といろいろな問題が起きている。

 その留守児童が16〜18歳になると、こんどは都市・町に出稼ぎに行く。出稼ぎ者の子供がまた出稼ぎに行くので、第二代農民工、とも呼ばれる。彼らの多くが「留守児童」として幼少期に十分な家族の愛情や保護を受けていないため、どこか欠落した部分を抱えているといわれている。「留守児童問題」はこの10年、中国の大きな社会問題である。

 この幼い3姉妹は母親がいない。中国の産児制限政策「一人っ子政策」の禁を破って子供を3人も生んだのに、結局、男の子は授からなかった。男の子を産めない女は農村社会の中で居場所がない。母親は子供を残して行方知れずとなった。

 父親は町に出稼ぎに行っている。その間、10歳の英英が妹たちの面倒をみる。家は土間に石を積んだだけの囲炉裏がある原始的な作りで、3姉妹はいつも煤と泥にまみれている。湯を沸かして手足を洗うことさえ普段は忘れ、父親が町に出て以来、もう何年も風呂に入っていないという。服も当然、着た切り雀だ。食事の面倒は、近くに住む伯母に見てもらっているが、おかずに箸を伸ばすたびに「本当に食べるのか?そんなに食べられないだろう」とけん制を受け、肩身の狭い思いをしている。腹がすくと、ジャガイモをゆでて食べる。ジャガイモは家畜のエサでもある。

学校の宿題をするのもままならない生活

 食事を食べさせてもらっている代わりに、伯父母の家の羊や牛や豚の世話をする。英英の不注意で家畜の行方が分からなくなると、彼女だけでなく妹も体罰を受ける。勉強は好きみたいで、仕事の間のわずかな時間に宿題をしようとするが、祖父や伯母に仕事を言いつけられしばしば中断せざるをえない。祖父は言う。「勉強なんかするな。勉強より羊の方が大事だろう」。

 英英が幼い妹たちのえりあしに沸いたシラミを取ってやる姿は、慈愛に満ちているが、大人の前では、無口でめったに感情をみせない。父親が何年かぶりに村に帰ってきて、英英が映画の中で初めて安堵の表情を見せたとき、彼女の不安や孤独がいかばかりであったかに気づかされる。村に返ってきた父親は祖父と再婚の相談をする。2000元払えば、女性が来てくれるという。「結納金」と言えば聞こえはいいが、その女性にも2000元という金と引き換えに中国最貧困村に我が身を売るように嫁がねばならない事情があるはずだ。

 父親は再び町に出稼ぎに行く。次の出稼ぎは子供たちも連れて行くというが、学校がある英英は村に残らねばならない。英英が自分の意見を言う前に、祖父が「英英は俺と2人でなんとかやっていくよ」と断言する。新しい靴を買い与えられて、彼女は居残りを承諾せざるを得なかった。

 英英が祖父に連れて行かれた村の会合で、村長は共産党中央が打ち出す「農村復興」について語る。しかし、村長の言葉に、村民たちからは「何、それおいしいの?」みたいな鈍い反応しか返ってこない。

 それが農村医療保険(新型農村合作医療=新農合)の強制実施という具体的な話になると、村民に動揺が広がる。この村の多くの人は年間10元の医療保険料が払えないほど貧しい。払えなかったら?村長は、自分はクビになり、地元政府は日当100元で人を雇ってみんなから強制的に保険料を徴収するだろう、と言う。現金がなければ、家畜が没収されるかもしれない、と。鳴り物入りで農村に導入されている新農合が必ずしも現地で歓迎されていない実態も垣間見える。

 こんな英英の暮らしぶりが153分続く。退屈な映画だと言えばその通りなのだが、そこに映し出される貧困と厳しい環境、そして意外に美しい農村の風景は、人の心をひどく揺さぶるだろう。

農村の嫁になるか、売春婦になるか

 この農村はあまりに貧しいということで強制移住が予定されている。しかし、いつ、どこに行くかは、村民にはまだ知らされていない。貧困村問題の解決法として、貧困村そのものを消滅させるという方法は中国でよく採られるのだが、それは村民にとって幸せなのかという点はあまり考えられていない。強制移転の結果、村民が離散し、流浪の民と化すことも多いと聞く。村民の不安は募る。

 雲南の風景映像が美しいのでさほど陰鬱な気分にはさせられないのだが、中国の貧困社会に希望といえるものは一筋もないことも分かるだろう。

 私は英英がその後、どうなるか想像してみる。彼女は時おりごほごほと嫌な咳をする。おそらく結核だろう。中国には結核感染者が5億5000万人いる。人口の42%、そのうち1割が発病し、毎年患者が100万人ずつ増え、10分に1人、肺結核で死亡している。中国衛生部が先の世界結核デー(3月24日)にそう発表している。

 結核持ちは、きちんとした工場では雇ってもらえない。彼女の出稼ぎ口は限られているだろう。そういう農村の若い女性が生きて行く道はだいたい決まっている。町の売春婦になるか、農村の嫁になるか。あるいは農村の売春婦になるか。いずれにしろろくな暮らしではない。栄養も十分でなく、医療を受ける機会もない状況を考えれば、あまり長い人生ではないかもしれない。

 中国は世界第2位のGDPを誇る一方で、このような絶望的な貧困を内に抱えている。その絶望的な貧困を抱えた国の新しい指導者、習近平国家主席は3月25日、初の外遊先のアフリカ・タンザニアのダルエスサーラムの中国の援助で建てられたばかりのピカピカの国際会議場で演説し、こう訴えた。

 「中国は3年内にアフリカへの融資枠を200億ドルに拡大し、アフリカとのパートナーシップを打ち立て、農業、製造業の分野で互恵互利の協力関係を築き、アフリカの資源を発展に転換させるお手伝いをし、持続的な自主発展を実現させます」

 「アフリカ人材育成計画を積極実施し、今後3年の間に3万人のアフリカ各界の人材を研修し、1.8万人の奨学金留学生を受け入れます」

 タンザニアのキクウェテ大統領は、習主席との会談で、これら援助への感謝を述べるとともに中国の領土と主権問題について中国側を断固支持すると表明した。

声を上げて指摘しなければならない

 一方、4月に海南島で開催された博?国際フォーラムに参加していたビル・ゲイツ財団のゲイツ総裁は「貧困者への投資」というテーマで講演し、中国の対貧困政策を「人類史上もっとも偉大」と持ち上げた。

 「わずか30年で国民生活や貧困撲滅の分野で巨大な成果を上げました。この経験をもって、他の国家の貧困解消に貢献できるでしょう」

 「中国は世界中の貧困人口をさらに健康に豊かにする能力を持っています。中国の潜在能力を解き放ち、人類共同のより平和で繁栄した世界を作るために貢献してもらいましょう」

 中国の農村の貧困が、なぜかくも絶望的に見えるのか。それは彼らが、中国政府からも世界からも完全に見捨てられている「棄民」だからだろう。「三姉妹」のパンフレットに「世界から見えない場所で3人だけで生きた」というキャッチコピーがついていたが、中国の貧困は世界から見えないところに、まだまだ多く存在する。中国政府にとっては、そんな国内の片隅に残る貧困を救う余裕があるならば、資源外交や国家戦略に利し、単純で善良な国際社会の慈善家からも高い評価を得られるアフリカの貧困を援助した方が、費用対効果が高いのだ。

 だから、せめて中国の貧困を目の当たりにしたことがある者は、そこに救いようのない貧しさがあると、声を上げて指摘せねばなるまい。そこから目をそらして行う政治的な目的の他国への投資や援助など、本当の意味で貧困にあえぐ現地の人々の救いになっているかも怪しいではないか、と。


福島 香織(ふくしま・かおり)
ジャーナリスト

 大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002〜08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『潜入ルポ 中国の女―エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)、『中国のマスゴミ―ジャーナリズムの挫折と目覚め』(扶桑社新書)、『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版刊)、『中国のマスゴミ』(扶桑社新書)、『中国「反日デモ」の深層』(同)など。


中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130415/246641/?ST=print


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