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鶏のカラアゲ話(その1)〜鶏とは揚げるものだ、の巻
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投稿者 チベットよわー 日時 2013 年 4 月 26 日 18:33:33: Xy93FIMaJupUQ
 

先日、知り合って5年あまり経つ北京出身の40代女性と久々に話す機会があった。ファンさんは日本に留学してから20年以上西側世界から離れたことのない中国人で、80年代後半以前のガチガチの共産圏と、自由経済の最先端にある俗界の両方を存分に経験している。非常に生真面目で堅物な面を持ちながらも、享楽的な堕落にやや心身を奪われるような開放感の味も知っていて、東西左右貧富聖俗どちらの価値観にもどっぶりと浸かりきらない不自然な合成人格に私は親しみを覚えていたのだ。この人になら・・・打ち明けてもいいかな・・・・と前から思っていた。

他の中国人や中国に通じた日本人じゃ無理。ファンさんじゃないといけないのだ。現に台湾や香港の知り合いには何度もきいてもダメだった。日本人も誰1人知らない。一体、私はファンさんにどんな相談をしたいのかというと・・・・・ズバリ!中国本土産の「鶏の缶詰」についてだった。

1980年代のはじめに私の食したMade In PROCチキンの水煮・・・・のようなものは絶品だった。格別でさえあった。他に類似する味覚や食感を提供するものがそれから無かったからこそ30年にわたる月日の中、忘れることができなかったのだ。鶏は丸ごとをパーツにわけて長時間煮たようで皮も骨もそのままの形で食べることができた。身の崩れがあまりなかったことからして、さほど時間をかけない圧力調理だったのかもしれない。味は塩と中華ハーブを下地にしながらも、鶏そのものの旨みであふれていた。油くささもなく、醤油や酒類によって無理に風味づけしたようでもない。私はそのレシピが完璧であると今でも確信している。さもなくばアイツらの4000年の歴史など何の意味もない。

はなっから食い物の話をするのもアレだから、少し回り道をしたあとファンさんに聞いてみた。ファンさんの瞳の奥が震えた。ジャジャジャーンとドラの音がコダマし、ステンドグラスのすきまから黄沙色の閃光が差し込み・・・・・いや、そんなお膳立てはいらず・・・・・答えはあっけなくそっけなく返ってきた。「肉の缶詰はあったよ・・・昔に」なんでもファンさんの兄は牛腩の缶詰がお気に入りだったという。確かに80年代途中まではグルメ肉料理の缶詰があったのは事実なのだが・・・・・その後の製造業の改革で手のこんだような従来の商品は撤廃され、そのかわりに大量生産の粗悪品がデビューしたのだ。

道理で誰もしらなかったわけだ。「チキンの水煮」は経済システムが変革される以前のみにあった幻の商品であり、それ以降に本格進出した日系企業人は知るすべもない。台湾や香港にも輸出されない。私の知り合いに多かった広東省生まれの本土人のところにはおそらく支給はされておらず、最近海外にゾロゾロ出てくる80后や90后では世代的に遭遇しておらず、北京出身で(ある程度)年を重ねたファンさんだからこそ私の疑問に応じることができたのだった。

長年の間、ずっと思い出の中で柔らかな光沢を放ってきたあの「鶏缶様」の生き証人に対面できた感激はひとしおではあったが、同時にもう現代に復活することのない80年代に息絶えた過去の遺物であることを告知された傷心の瞬間でもあった。

伝説の中国の水炊が入手できないことがわかった今、私に鳥はもう二度と微笑みかけないのだろうか。日本の缶詰にあるような「時雨煮」では代用がきかないのだ。そういえば、かなり前、ビートたけしが「(島田)洋七が4時間かけて作る佐賀スタイルの鳥鍋は最高だ」といっていたことがあった。今ではそれが専門店になって洋七氏の懐を暖めているのだという。日本の上品な出汁で他の素材などとのバランスよく煮込まれた鶏肉に、あの4000年の歴史が凝縮された奇跡の人民餌「鶏缶様」のダイナミズムはとても表現できないだろうが、少しでも近いものができればいいかもしれない。ビートたけしのお墨付きもあることだし。

早速、洋七風のレシピをも参考にして茹でチキンの実験に取り組みました。これがかなりの難題。日本人が豚の角煮のように甘辛炊きにしてしまうのも無理はない。牛しゃぶや豚しゃぶはあっても鳥でしゃぶらないのも了解だ。鶏の油くささはハンパでなく、100度の熱湯風呂に沈めたくらいではとても思い通りの風味にはなってくれない。完全に臭みをとって出汁に馴染ませるには二桁時間数が必要だ。中国工場の生産ラインから追放されてしまった不合理なレシピとつきあいきらないと鶏を水攻めすることには成功できないようなのだ。

どうやら水炊きをいまだに売りにしているのは日本の一部の贅沢好きだけらしい。韓国のサンゲタンなど薬膳料理であり、あまりグルメだとはみなされない。広東人がやる蒸しチキンも、香草でチキンの風味そのものまで消してしまった上に、デリカシーのない強いソースをかけてしまうので、醍醐味はそがれる。それなら、洋の東西をとわず煮込みの定番とされる牛・豚のほうが合理的だ。

ま、いつかチキンを水煮するコツをつかむことができるかもしれないが、今のところ私は「鶏缶様」喪失の埋め合わせをやはり中国起源の料理「からあげ」に委ねたいと思っている。

からあげなら簡単・・・・なんてことは無論なく私は完璧な鶏のからあげに出会ったことは数えるほどしかない。その究極のレシピ、調理法を次回披露してみたい。
 

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