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月給4万8000円、成都市で暮らしていけるのか? 苦しい節約生活の支出明細をネットに公表
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/643.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 18 日 01:38:11: rUXLhToetCnYE
 

月給4万8000円、成都市で暮らしていけるのか?

苦しい節約生活の支出明細をネットに公表

2013年10月18日(金)  北村 豊

 四川省の省都“成都市”は1420万人の人口を擁し、その省総人口(8080万人)に占める割合は約18%である。成都市の中核をなす市街区の人口は約670万人で、日本の都道府県別人口で第5位の千葉県(620万人)よりも多い。その成都市で「“月薪(月給)”3000元(約4万8000円)で暮らしていけるのか」という問い掛けが大きな話題となっている。

朝食はまんじゅう2個と水

 2013年9月初旬、“四川新聞網(四川ニュースネット)”が成都市のネットユーザーを対象にこの問い掛けに関する三択アンケートを行ったところ、次のような集計結果が出た。
 
《質問》月給が3000元だとして、成都市で暮らしていけるのか。

【A】暮らしていける、3000元で十分ゆとりがある:
  1008人(7.55%)
【B】暮らしていけない、月末になる前に使い果たす:
  10983人(82.21%)
【C】何とも言えない、状況による:
  1368人(10.24%)

 上記のように、【B】の「暮らしていけない」が82.21%と圧倒的多数で、成都市で月給3000元では生活が成り立たないというネットユーザーの声を反映していた。このアンケートに呼応して、あるネットユーザーが四川省のポータルサイト“麻辣社区”に9月9日付で「私の毎月の支出明細をさらけ出す。成都市で月給3000元では全く話にならない」と題する書き込みを行い、自身の支出明細を披露した。当該支出明細は以下の通りである。

【1】食費:1080元
朝食:“包子(中華まんじゅう)”2個と水1杯(6元/日)
昼食:ある時は弁当、ある時は同僚と一緒に食べて割り勘(15元/日)
夕食:基本的に自炊、時々外食(10元/日)
間食:時々飲料水を買う、ビタミン飲料“脈動”(4元)が好きで毎日1瓶、週末は時々お菓子を買う(合計:5元/日)

 上記の合計は、1日36元であるから、1カ月では36元×30日=1080元となる。

【2】交通費:108元+80元=158元
公共交通の料金はカードで支払えないので、電子マネーで支払っている。料金は3.6元/日(1.8元/回×2回/日)であるから、30日間で108元(約1700円)/月。また、夜はたまに地下鉄で帰るが、キセル乗車をするので、地下鉄料金は50元(約800円)/月程度。

【3】家賃:600元
仲間との同居生活、場所が辺鄙な山地なので、家賃は600元(約9600円/月)。

【4】会食費:100元
年少の仲間と月に2回程度会食するが、基本的に材料を買って来て自宅で自炊するので、毎回50元として2回で100元(約1600円)/月。たまに外食で100元(約1600円)。

【5】ゲーム代:60元
カネを節約するため、平日ゲームに限定し、1週15元のタイムカードを購入。1カ月を4週として計算すると、15元/週×4週/月=60元(約1000円)/月。

【6】生活用品:100元/月

【7】週末出費:720元
週末に友人と遊びに出かける。月に2回の時もあれば、1回の時もある。中間を取って毎月600元。さらに、毎月1回、週末に実家へ帰る。交通費は片道60元で往復120元。

合計:1080+158+600+100+60+100+720=2818元(約4万5000円)

 もし上着を買うとか、何か別のことにカネを使おうものなら、3000元ではどうしようもない。

 この支出明細を見たネットユーザーたちは、毎日の朝食が“包子”2個と水という余りにも惨めな生活ぶりに哀れを感じると同時に、みっともない代物と捉えて、「これでは都市住民の最低生活水準にも達していない」と嘆いた。このように出費を抑えた節約生活を送り、服の1枚も買っていないのに、支出合計は2800元を超過している。これで病気でもしたら、3000元の収入では行き詰まり、借金しないと暮らしていけない。ところが、多数のネットユーザーはそうした苦しい暮らしに共感を覚えたようで、あたかも自分が落ちこぼれの一員であるかのような感覚に陥って、次のようなコメントを書き込んだ。

コメント1:書き込みを見てから計算して分かったのは、成都市で月収3000元ではどうにか生きていくので精一杯だということ。

コメント2:“綿陽市(人口約108万人、四川省第2の都市)”ですら毎月3000元では足りない、ましてや成都市ではなおさらのことだ。

月給が3000元では苦しいだけ

 ところで、この自分の支出明細をネット上に公表したネットユーザーは、どのような人物なのか。彼は年齢も学歴も不明であるが、恐らく高卒で、成都市の郊外にある実家を離れて市中心部に働きに来て、仲間と共同で部屋を借りて生活し、すでに数年間の労働経験を持つ青年だと思われる。上に記したように3000元を現行の為替レートで日本円に換算すると約4万8000円となるが、日中両国の物価水準を考慮すると、貨幣価値は中国元が日本円より4〜5倍程度高いから、中国の3000元は実質的には18万〜22万5000円に相当することになる。節約しても貯金すらできない生活に疑問を感じた彼が支出明細を公表した気持ちも分からないではない。ちなみに、日本の2013年度の初任給<注1>は、大学卒が20万5674円、高校卒が16万1084円であった。

<注1>2013年4月に民間の「労務行政研究所」が発表した「2013年 新入社員の初任給調査」データ。

 月給が高ければ高いほど、生活が楽になることは自明の理である。月給3000元では生活が苦しいというのなら、月給が一体いくらあれば、多少余裕のある生活ができるというのか。そこで、四川新聞網の記者が成都市で頑張って働いている数十人に当たって調査した結果は、「月給が3000元では低すぎて苦しいだけ。4000元(約6万4000円)なら頑張れば何とか暮らしていける。4000元超なら笑って暮らせる」というものだった。この給与レベルについて個別の例を紹介すると以下の通りである。

(A)月給3000元以下:
 大学を卒業して1年にも満たない“板栗仁”の月給は2600元(約4万1600円)。給料では生活できない。成都市の出身ではない彼女は毎月の部屋代675元(約1万800円)を両親に負担してもらっているが、それでも貯金もできない。部屋代を除いても、水・光熱費、日用品や衣料の購入費、電話代、交通費、食費などで1500元(約2万4000円)が必要、さらに飲み会や遊興費に500元、交際費や化粧品に600元で、月末には“月光族(月末までに月給を使い果たす若者)”となる。さらに多少の借金もある。

(B)月給3000〜4000元:
 教育関係の会社に勤める趙さんの月給は3000元だが、生活には全く足りない。すでに成都市に住宅を購入している趙さんは、日常生活の消費以外に、駐車場やガソリン代などで毎月500〜700元が必要であり、それ以外にネットショッピングや化粧品に月給の3分の1を費やしている。趙さんの場合は夫が生活費を支援してくれているので、何とかなるが、もしそれがなければ到底やっていけない。

(C)月給4000元以上:
 成都市民である胥さんの月給は4800元。毎月の支出は、食費820元、交通費130元、家賃800元、その他(会食、ネット、日用品、水・光熱、電話など)500元、衣料品100元の合計2350元。さらに、ガールフレンドとのデート代500〜1000元で、少なくとも毎月1000元前後の余りが出る。

大学卒業生の急激で価値が低下

 2013年7月にマンパワー企業の“智聯招聘(Zhaopin)”が発表した「2013年全国主要都市卒業生就職競争指数ランキング」には、主要28都市における大学新卒者平均月給のランキングが掲載されており、成都市は第15位で2920元(約4万6720円)となっている。ちなみに、上位5都市の数字を上げると、第1位:上海市4859元(7万7700円)、第2位:北京市4746元(約7万6000円)、第3位:深圳市4494元(約7万1900円)、第4位:広州市4013元(約6万4200円)、第5位:杭州市4008元(約6万4100円)となっている。なお、最下位の第28位はハルビン市(黒竜江省)で2119元(約3万4000円)であった。第1位の上海市と第15位の成都市の間には1939元(約3万1000円)もの差があるが、これは各地の物価水準(特に住宅価格や家賃)の差によって生じたものということができる。

 上述したように、成都市の大学新卒者の平均月給が2920元であるということは、彼らは少なくとも数年間の労働経験を積み、何回かの昇給や転職を経て、月給が4000元になるまでは、支出明細を公表したネットユーザーと同じように苦しい節約生活を送らなければならないことを意味している。彼らが順調にサラリーマンとしての生活を送り、月給が年々上昇して行けば、生活は徐々に改善されていくだろうが、万一にもサラリーマン生活から落ちこぼれた場合は悲惨な生活を余儀なくされる。そうなれば、彼らの夢である住宅の購入もできなくなるばかりか、結婚すらもできなくなる可能性が高い。その結果として現実の社会に不満を抱えた人々が増えれば増えるほど、社会不安は深刻なものとなる。

 特に問題なのは、大学卒業生が急激に増大した(2013年の大卒者は699万人)結果、大学卒業生の価値が大きく低下し、かつてのように「大学卒業生=エリート」という図式が成り立たなくなったことである。大学卒業生であっても、その給与待遇は高校卒業生とさほど大きな差がなくなり、支出明細を公表したネットユーザーと同じような生活を送っている。彼らは逃れようのない苦しい生活に多大な共感を覚えているのが実情である。

上海では「新蟻族」も登場

 2013年8月13日付けの上海紙「新民晩報」によれば、上海市では職探しの大学卒業生が求職者用アパートに住み続けており、彼らは自らを“新蟻族(新しいタイプの蟻族)”<注2>と呼んでいるという。上海市内には求職者用と言われるアパートが多数存在する。そのうちの1軒は倉庫を改造したもので、長い廊下の両側に20以上の部屋が並び、どの部屋にも窓はない。各部屋は20平方メートル前後で、男8人が4個の2段式ベッドに寝起きし、家具と呼べるものは真中におかれたテーブルと8個の椅子だけ。

<注2>“蟻族”については、2009年11月6日付本リポート「“蟻族”急増中、大学は出たけれど」参照。

 そこを住居としている李さんは江蘇省にある大学のコンピューター学部の卒業生で、上海市に来てから職探しを続けること2年、住居もいろいろ探し回ったが、結局は求職者用アパートに住み続けている。「従来の蟻族のように“群租屋(群れを作って個々に借りた小さな部屋に住むこと)”をしようにも、毎月1000元もする家賃を払うことはできない。アルバイトの収入は毎月3000元足らずなのに、生活費は少なくとも1500元はかかるし、実家への仕送りも必要で、今の求職者用アパート以外には住める場所がない」と李さんは述べている。李さんによれば、求職者用アパートでは、住人1人当たりの面積は3平方メートル未満で、各階にシャワーが4個設置されている。一番多い時には200人以上が住み、シャワーの順番待ちは30分以上、壁はベニヤ板で仕切られているだけだから、防音は無きが如しで、隣室の音は何でも聞こえる。唯一最大の取り柄は1日のベッド代が19元(約300円)と安いことだという。

 彼らの1人は、「メディアは我々大学卒業生の給与に対する要求が高いと報じているが、実際問題として、我々の要求は少しも高くない。上海市では、月給が3000元なら“外地人(上海市以外の出身者)”は求職者用アパートに住んで“新蟻族”となるしかない。月給が5000元に到達すれば、“群租屋”に移り住む資格を持てるようになる。しかし、住宅購入は永遠の夢と言わざるを得ない」と述べた。

 上述した大学新卒者平均月給ランキングでは、上海市は4859元で第1位だったはずだが、この数字はあくまで運よく就職が決まった人たちの平均月給であり、当然ながら就職できていない人々を除外した数字である。その除外された人々は“新蟻族”として苦しい生活を強いられているのが実態である。これは第15位の成都市も同様で、運よく就職できて2920元の初任給を受け取っている人たちがいる半面、就職できずに苦しんでいる多数の大学卒業生がいる。彼らから見れば、苦しいとは言いながらも3000元もの月給を享受している支出明細を公表した人物は羨ましい存在といえるのである。

 今や世界第2の経済大国を標榜する中国だが、そこに暮らす庶民の誰もが経済発展の恩恵を十分に享受しているわけではない。そうした庶民の1人が収支明細を公表したネットユーザーであり、彼は成都市に暮らす月給3000元以下の若者を代表する形で、低収入による苦しい生活ぶりを訴えた。彼の月給が4000元を超えて、ゆとりのある生活を送れるようになるにはあと何年を必要とするのか。その答えは彼の努力次第ということになる。総じて言えることは、中国の若者は将来に対して悲観的ではなく、一歩でも二歩でも上昇しようという意欲が感じられることだろう。そこには飛躍的な経済発展を続けてきたけ中国の余熱がいまだ冷めやらずに残っているように思われる。

このコラムについて
世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20131016/254658/?ST=print  

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