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日本の秘密保護法を批判する中国 仰々しい「秘密保全」の実態 (WEDGE) 
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/739.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 1 月 07 日 12:24:00: igsppGRN/E9PQ
 

日本の秘密保護法を批判する中国 仰々しい「秘密保全」の実態
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140107-00010000-wedge-cn
WEDGE 1月7日(火)12時12分配信


 中国のメディアは最近、安倍政権に対して誹謗中傷と言えるぐらいの強いバッシングを続けている。批判には尖閣領有権を巡って日本が全く妥協する気配がないことへの苛立ちがあろうが、安全保障政策に対しても「右翼の道を疾走」、「軍国主義復活」と弾劾している。こうした批判には特定秘密保護法採択も含まれている。

 中国で開かれたシンポジウムで堀之内秀久公使が、「日本の特定秘密保護法案の可決が軍国主義の到来を招く」なら「中国は既に巨大な軍事主義国だ」と反論したが、中国の「保密法」を列挙して反論した様子はない。しかし、中国こそ秘密保全では日本に比べ一日(いちじつ)の長がある秘密主義の国だ。共産党一党支配体制において情報統制は重要。だから部局を設け、政府や党は国民を動員して秘密保全に努めてきた歴史があるのだ。

大学さえも秘密保全が求められる
 中国での「保密法」の正式名は「中華人民共和国保守国家秘密法」(1988年9月施行、2010年4月修正)である。秘密保全は国民全員の義務としてずっと求められてきたのだ。「国家秘密の保全は全ての公民の義務である」という有名なフレーズがあるほどだ。

 以下では中国で進められる秘密保全について最近のニュース記事をいくつか見ながら中国における秘密保全の現状を紹介しよう。

* * *

【記事】

 大学さえも秘密保全が求められ、その担当部門や責任者が置かれているということは日本からは理解しにくいことだろう。もちろん入試や研究開発での情報漏えいに対策が施されるのは不思議ではないが、それを仰々しく秘密保全と称して政府と連携して対策を講じるところが中国的だ。

記事(1)【2013年11月27日(抄訳)】大学の場合

中国海洋大学(山東省青島市)では11月27日に、同校の劉貴聚副書記(規律委員会主任を兼任)が主催する秘密保全会議が開かれ、情報公開を巡る機密の審査について協議が行われた。劉副書記は科研プロジェクトについての情報公開は慎重に対応するよう指示した。教職員の秘密保全意識を高めるために秘密保全指導の強化も訴えた。会議では青島市秘密保全委員会の政策についても紹介された。(この大学には海洋関連の秘密保全を扱う保密学院〔学部〕も2011年に開設された:筆者)

 各大学にそれぞれ業務上の秘密はあろうが、大学が政府の秘密保全部門と密接に連携していることは驚きである。大学の秘密保全部門が教育監督省庁の教育部だけでなく、情報管理業務では保密局の指示に依拠していて校内の秘密が単なる部内秘ではなく、「国家機密」となりえることが中国的だからである。

特に重要な軍事機密

 機密の中でも軍事機密が最も秘密のベールに包まれていて、秘密保全任務は他の部門とは比べものにならないほど重要だ。「中国人民解放軍保密条例」という軍独自の規定もある。また軍には保密委員会と称する秘密保全を統括する組織が存在し、軍の保密部門を統括する全軍保密委員会は副総参謀長が主任を兼任し、現在は孫建国上将(海軍)が担当している。連隊(団)以上の各部隊にも保密委員会が設けられ、政治担当将校の副政治委員が部門の保密委員会主任を兼任する。

記事(2)【2013年11月26日付 新華網(抄訳)】軍の場合

中央軍事委員会の範長竜副主席(軍の制服トップ、主席は習近平:筆者)は26日の全軍保密工作会議に出席した際に習主席による一連の秘密保全任務についての指示を真剣に実施するよう求めた。情報インターネット時代の求めに合うように一時も弛まず、漏えいさせず、しっかり掌握して秘密保全作業を行い、戦えば勝てるようしなければならない、と強調した。会議は房峰輝総参謀長の司会で行われた。範副主席は、秘密保全の状況は厳しく、任務上での脆弱面を克服し、総合的な秘密保全力の強化を求め、「人による防御」、「技術による防御」、「制度による防御」を進める必要性を強調した。房総参謀長は軍駐屯地周辺の機密防御策を徹底し、機密にかかわる人員の教育を施し、軍機密の安全を守らなければならない、と指摘している。

 解放軍とは別の対国内治安維持に動員される武装警察(中国版のSWATといえる:筆者)も軍と同様に厳格な秘密保全が求められるが、IT時代の漏えいを防止すべく様々な措置が講じられているというのが以下の例だ。

記事(3)【2013年11月28日 法制日報(抄訳)】武装警察の場合

武装警察の8714部隊では部隊の管理や兵士たちの日常生活という小さなことから着手して秘密保全任務を執行している。この部隊では9月に兵士が持つ「3G」携帯電話を何もついてないものに換えた。「3G」機能があるとネット接続、QQチャット(中国で大人気の謄訊社によるチャットシステム:筆者)やカメラ、録音等様々な機能を持つため容易に別の人間によってハッキングされやすく、秘密窃取の道具になりかねない。このため部隊では「ネットなし、カメラなし、録音なし」携帯に交換したのである。

 また近年、経済や技術の向上とともに軍需産業の発展も注目されるようになっているが、海外にも積極的に武器の売り込みをかけるようになっており、民間のハイテク産業と結びついて「軍民融合」を進めているが、こうした技術協力においてもその秘密保全は重要な課題として取り組まれていることが以下の例から分かるだろう。

記事(4)【2013年12月5日(抄訳)】軍需産業の場合

安徽省の国防工業事務局(弁公室)はこのほど全省の軍需産業部門のコンピュータ及び情報系統の秘密保全管理責任者の研修班など4つの関係幹部の秘密保全任務についての研修プログラムを実施した。この研修授業では、ネットワークの安全管理についての概要の講義や機密に係わるネットワーク管理の方法、設備の管理、データーベースの管理などについての専門知識の講義が行われ、終了試験も実施された。

* * *

【解説】

 中国で秘密保全と言って思い出すのが、今は有名な作家になった辺見庸氏がまだ北京駐在の共同通信の記者として活躍していた時の中国軍によるベトナム侵攻の第一報(1979年2月)だ。このスクープは世界を驚かせ、中国政府に激震をもたらした。軍内部に伝わるよりも先に日本の新聞に出てしまったのである。ところが辺見氏は、その後の5中全会の人事もスクープしたことから秘密保全に関する会議で当時の中央弁公庁の馮文彬副主任は辺見氏を名指しして秘密保全の徹底を訴えたほどであった。

 辺見氏のスクープまで遡らなくてもネット時代の機密漏えいの事例には事欠かない。2009年にはある男性が福建省の義序飛行場で空軍機や施設の撮影をして、写真をネット掲載し、逮捕された。当時水門飛行場が出来る前で軍民両用の飛行場として空軍も利用していたことから男性が空軍機を見かけ、たまたま見かけた軍用機に感動し、写真をネット掲載したばかりに実刑を受けた。庶民でも知りえた情報でも公開し、拡散させた咎で懲役刑を受けたのだ。

地方自治体の末端組織にも設置

 秘密保全に関して中国では単に法律が定められているだけに止まらず、秘密保全担当の党中央保密委員会、国家保密局(一つの機構二つの看板)という機関も設置されている。秘密保全を担当する現在のトップは党中央保密委員会主任を兼任する栗戦書だ。彼は習近平国家主席の秘書役である中共中央弁公庁主任だから党中央事務局トップが秘密保全任務の責任者ということになる。

 そしてこのような秘密保全部局は地方自治体の末端組織にも設置されている。日本の県に相当する省ではもちろん、その下の政令都市とでもいうべき地区級市、そして更に下級の県(市に相当)や区にも秘密保全部門が設けられているのだ。つまり新宿区のような自治体にも秘密保全局が設けられていて、司法機関と協力して機密漏えい事件の捜査、審理を行う。前述のネットに写真を掲載した一件は空軍の秘密保全部局から通報を受けた県の裁判所が判決を下したのである。

 時代の変化に合わせ2010年に法改正が行われたが、それは情報漏えいの70%がネットによるという新たな状況が生じたためである。しかし、改正時に言われたのはアメリカでは機密文書が年に10万件程度である一方、中国ではそれが数百万件を超える。文書は機密度の低いものから、内部(党内、軍内等)、秘密、機密、絶密(トップシークレット)と区分されている。

 機密文書の量だけでなく、部門も多岐にわたる。軍に限らず、政府や党、国有企業も機密範囲を設定できる権限が与えられている。それゆえ記事で紹介したように国有企業や大学でも秘密保全の徹底が求められているわけである。

「竹のカーテン」の大前提も 崩れているという現実

 日本人の想像以上に、中国は依然として秘密主義であることがよくわかる。政治面で共産党の一党支配を堅持し、経済では市場経済を表面上取り入れるためにはしょうがないかもしれないが、政府や党の警戒感と敵対心の強さはかつてのソ連を想起させる。すでに経済面では市場主義が浸透していながら、政治面ではレーニン主義が依然として幅を利かせているのだ。

 秘密保全を巡る政府の意識は未だに欧米や「分裂主義者」などの「敵対勢力」による「分裂化」への警戒感に依拠しており、こうした面での思想教育強化が常に強調される。しかし、もはや中国を侵略しようなどと思う国は皆無で体制崩壊や分離独立への動きのほうが現実味を帯びている状況において中国が直面する「脅威」は国外ではなく、国内に存在しているのだ。「人民内部の矛盾」が喫緊の課題となった今、秘密保全という「竹のカーテン」の大前提も崩れている現実を理解してほしいものである。

弓野正宏 (早稲田大学現代中国研究所招聘研究員)


 

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