★阿修羅♪ > 原発・フッ素20 > 904.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
脱原発なくして対米自立なし  藤井厳喜・竹田恒泰 (月刊日本)
http://www.asyura2.com/12/genpatu20/msg/904.html
投稿者 大塩 日時 2012 年 2 月 13 日 17:36:51: .cSQld2Pk8LuA
 

脱原発なくして対米自立なし 核拡散防止体制から離脱せよ
国際政治学者 藤井厳喜/作家・慶応義塾大学講師 竹田恒泰
http://gekkan-nippon.com/?p=41
『月刊日本』10月号


原発は一度の事故でゲーム・オーバーだ……竹田
竹田 事故の直接的原因は、冷却機能が完全にダウンしたことですが、十分な安全対策が講じられていなかったということです。「千年に一度の大津波」という言い方をしていますが、あれは嘘です。同程度の規模の津波は百五十年の間に三回来ているからです。
 国民は、大津波への対策は十分に講じられていると思っていました。ところが、全く対策は講じられていなかった。今回事故が起こっていなかったとしても、五十年、百年という期間で見れば、いつか、どこかで原発事故は起きていた可能性は高いと思います。今回、「想定外」という言葉が氾濫しましたが、あらゆる事態を想定するのが安全対策の基本です。事故の当事者が「想定外」などと言って責任を回避するのは許し難いことです。
 電源をもっと上部に設置しておくべきだったとか、そういった小手先のことではありません。大津波に対する様々な対策を講じていなかったにもかかわらず、安全だと言ってきたことが問題なのです。
 原発推進派は、「この部分を少し工夫すれば、より安全になる」というような言い方をしていますが、原発事故の被害はあまりにも甚大で、一度の事故も許されません。もちろん、列車事故や飛行機事故の被害も大きな被害をもたらすケースがありますが、原発事故の被害はそれらの事故の被害とは桁が違います。原発の場合には、事故を繰り返し、試行錯誤をして、安全なシステムに改善していくというようなことは許されないのです。絶対にミスを犯してはいけない。「今回ここに問題があったので事故が発生しましたが、そこを改善しましたから同じ原因の事故は起こらないでしょう」というようなことは、原発に関する限り成り立たないのです。原発は一度でも事故が起きたら、そこでゲーム・オーバーなのです。
藤井 仰る通りだと思います。例えば、列車であれば、事故が起きたらその原因を究明し、改善していくことは可能です。しかし、原発は原理的に改善していくことはできないと思います。原発事故は、他の事故とは質が全然違います。火力発電所の事故とか、石油コンビナートの爆発事故とかは、たとえ大事故に発展したとしても局地的な被害に留まります。しかし、原発事故の被害は、その規模と範囲があまりにも大き過ぎる。核兵器は「大量破壊兵器(Weapons of Mass Destruction)」と呼ばれていますが、私は原発事故を「大量破壊事故(Accident of Mass Destruction)」と定義したいと思います。
 原発は一度事故が起きれば、取り返しのつかないことになります。竹田さんの前だから言うわけではありませんが、今回の原発事故について、私は心から天皇陛下に対して申し訳ない、靖国の英霊に対して申し訳ないと思います。広島、長崎への原爆投下は許せないことではありますが、戦争中に敵がやったことです。これに対して、今回の事故は、三発目の原爆を日本人の手で落としたに等しいのです。とんでもないことをしてしまった。ところが、当事者には大変なことを仕出かしてしまったという感覚がない。
 那須の御用邸にも放射能汚染は広がっています。東京の中心にある皇居も僅かではありますが、放射能汚染を受けてしまいました。もちろん一般国民にも健康被害が広がっていくかもしれない。国を愛する者として、そういうことに思いいたらず、ただの事故で済ませてしまうことはできません。
 「自動車事故では年間七千人死んでいるが、原発事故では死んでいないではないか」という議論がありますが、これは事故とテクノロジーの本質を全く理解していない議論なのです。自動車は完成されたテクノロジーです。しかし、それでも事故は起こる。ただし、自動車事故はほとんどの場合、技術的な問題によって事故が起こるわけではなく、人為的なミスで起こるのです。ところが、原発は運転しているうちに、やがて事故が起こるようにできているのです。技術として未完成なのです。
 しかも、何億年も動かない岩盤があるという条件があるならばまだしも、地震列島日本で安全に原発を動かすことなどできません。実際に事故は起こったのです。ここにいたれば、もう原発は諦めるしかないのだと思います。
竹田 完璧な技術など、もともとないのです。飛行機は、どんなに安全になったとはいえ、墜落することもあります。ライト兄弟が空を飛んでからまだ百年ちょっとしか経っていません。人類が五千メートル以上の深海に潜る技術を開発したのも、つい数十年前の話なのです。人類は未だマントルまで掘る技術を持っていません。私たちは意外と地球のことをわかっていないのです。
 蚊が飛ぶ原理も人類はまだ解明していません。鳥が飛ぶ原理は、航空力学上、説明がつくのですが、蚊は飛び立つときの周波数が高過ぎて、理論上は飛ばないらしいのです。蚊が飛ぶ原理がわからないほど人類は無知だということです。そのことがわかれば、原発を安全に動かせるという考えが人類の奢りであることもわかります。
藤井 非常に漠然とした言い方になりますが、原子を燃やすというのは非常に難しいことなのです。いままでは分子を燃やしてエネルギーにしてきましたが、原発は原子を燃やしてエネルギーに変えようとしているのです。原発は、従来とは全然次元の違うテクノロジーなのであり、確立されたものではありません。


核保有のためには脱原発しかない……藤井
―― 脱原発と核保有は両立するのでしょうか。
藤井 両立するというよりも、核保有のためには脱原発をするしかないのです。原発を推進するためにはNPTに加盟していなければならいのです。NPTに入っている限り、核武装はできません。NPT体制とは、憲法九条体制と同じように、日本の自立した防衛力の整備を不可能にする体制なのです。
 一九五三年のアイゼンハワー大統領の「平和のための原子力」演説以来、いわゆる原子力の平和的利用が促進されてきました。これに対応して、日本への原発導入の旗を振ってきたのが、中曽根康弘氏や正力松太郎氏です。
 しかし、アメリカは、原子力の平和的利用を促進する一方、核保有国を増やさないという方針を貫いてきたのです。つまり、原発を推進することと核兵器を保有しないこととは、予めパッケージなのです。これが条約として明文化されたのが、NPT体制にほかならないのです。「原発をやらせてやる、そのために原料もノウハウも提供してやる。しかし、絶対に核兵器を持ってはいけない」ということです。
 実際、私が「核武装しよう」と言うと、「それはだめだ。原発が止まる」と言った原発推進派の人がいました。その通りなのです。NPTを脱退すれば、核燃料を輸入できなくなります。そして、NPTに加盟している限り核武装は推進できないのです。二律背反なのです。
竹田 IAEAという組織は、世界中の原子力を隈なく監視しているのかと思いきや、その予算の七割までを日本の監視に割いてきたのです。世界の原発の一割しかない日本の原発に予算の七割を割いています。つまり、IAEAとは「日本核武装監視機構」なのです。日本の核武装を監視するために作られた機構であることは間違いないのです
藤井 未だに、第二次世界大戦の戦勝国体制が続いているわけです。国連安全保障理事会の常任理事国は、すべて核兵器を保有しています。NPT体制とは、彼らの核独占体制のために結ばれたものなのです。
 IAEA事務局長に天野之弥氏が就任したことは、困ったことだと思いました。日本は、ますますIAEAにがんじがらめにされてしまいます。
竹田 日本が原発を止めてしまったら、国連もIAEAも、アメリカも中国も困ってしまうのです。


すでに核兵器の原料はある……竹田
藤井 原発を推進し続けてプルトニウムを蓄積すれば、核武装に近づくというのは幻想です。プルトニウムがあるだけでは、処理に困るだけで、核兵器にはならないのです。日本の自立のために、核武装するのだという「政治的意志」を定めたとき、はじめてプルトニウムは役に立つのです。
竹田 原発を持っていてはじめて核武装ができるというのは、イメージに過ぎないのです。実際、核兵器は原発のない時代から開発されていました。
 原発を運転し、技術を蓄積することによって核兵器を持ちやすくなるといった主張がありますが、いくら原発を運転しても技術の蓄積にはなりません。タクシー会社がどんなに運転技術を蓄積しても、いい自動車を開発するための技術は蓄積できないのと同じことです。
 核兵器は原発があればできるのではなく、技術力と政治的意志によってできるのです。いま、どこの国が核兵器を保有しているのでしょうか。インド、パキスタン、北朝鮮といった国です。こうした国が核保有しているのに、世界最高の鉄道技術やエレクトロニクスの技術を持っている日本が核保有できないと考える方がおかしい。
―― 核燃料サイクルの確立が核兵器開発の条件だとする考えも根強くあります。
竹田 一度も原発を動かしたことがなければ話は別ですが、すでに日本は原発を運転し、プルトニウムを持っているのです。
藤井 すでにプルトニウムが四十トンぐらいあるのですからね。もちろん、核兵器開発の過程では、原子炉が一基はないといけません。別に今原発を止めたところで、長崎型原爆ならいくつでも作れます。四十トンあれば相当できますよね。
竹田 相当できますよ。売るほどできますよ。
藤井 核保有しようと思えば、一度は脱原発をせざるを得ないのです。
竹田 厳密に言えば、核兵器に必要なプルトニウム二三九を用意するためには、原子炉一基、再処理工場、そして高速増殖炉が一基あれば良いのです。原子炉は、一〇〇万キロワット級の大型原子炉を五十基も持っている必要はなく、小型の原子炉が一基あればそれで足りるのです。大学や企業も原子炉を持っている場合があり、それらでも核兵器に必要なプルトニウムを得ることができます。たとえば、京都大学・近畿大学・東芝などは自前の原子炉を持っています。
 使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、精製する必要がありますが、この「再処理」を行う工場として、茨城県東海村の東海再処理施設と青森県六ヶ所村の六ヶ所再処理工場があります。
 極端な言い方をすると、すでに「もんじゅ」と「常陽」には高濃度のプルトニウム二三九が残されたまま放置されているため、これを分離すればいまでも簡単に核兵器の原料を手にすることができます。
藤井 対米自立のためには核武装が必要であり、そのためには一旦原発をやめる必要があるということです。アメリカも中国も、日本が原発を推進している限り、核武装はできないから安心だと考えているのです。対米自立と言っている人が原発推進と言っているのは、全くの矛盾なのです。
 皮肉な言い方をすれば、核実験をし、核武装をした国だけが、比較的安全に原発を運転することができるということです。原発を作っている国は、フランスにしろロシアにしろ、核兵器を持っている国です。つまり、それらの国は核爆発に関する生のデータを持っています。そうしたデータに基づいて、核保有国は原発を作っています。ところが、わが国にはこうした生データがないのです。だから、原発事故が発生したときの対応にも限界があるのです。
 日本は核兵器保有国ではないから、原発の本当のしくみがわかっていないのです。だから、本質的な安全を確保できないまま、原発を動かしてきたのです。
竹田 元データがないから、改良を加えようとしても、どうしていいのかわからないのです。自ら製造したものであれば、改良できますが、借りてきた技術は改良の余地が少ないのです。
藤井 原発を止めていく過程で、原発を国家管理下に置く必要があります。では、どの省に担当させるのがいいでしょうか。一般的には経済産業省が考えられますが、福島原発事故で表れた経産省保安院の体たらくをみれば、誰も経産省に原発運営を任せたいとは思わないでしょう。それ以上に、原発翼賛体制の一角を担ってきた経産省に原発の運営を任せる事はできません。
 危険な施設の管理は危険物取扱いの専門家集団に任せるべきであり、防衛省に原発の運営管理を任せる事が最も適切です。自衛隊の中では、陸上自衛隊が最もこの任務に適しています。もちろん、防衛省、陸上自衛隊の中に、専門家を養成する必要はあります。


核兵器保有できるか否かは国家意志次第だ!……藤井
藤井 私は核兵器が好ましいものだとは思っていませんが、現状では日本の自立のためには核保有以外に選択肢がないという考え方です。
 日本の政治家で公然と核武装論を唱えているのは、西村眞吾先生しかいません。誰もこの当然の主張をしようとはしません。言った途端に猛烈に叩かれるからです。
竹田 私も、核武装以外の選択肢を考えたいという立場です。ただし、脱原発自体が国際的に強いメッセージを発することになると考えています。
 日本が「常陽」と「もんじゅ」を持っていられるのは、核燃料サイクル計画の一環であるという商業上の正当な理由があったからです。しかし、もし日本が商業用の原発を全て廃止したにもかかわらず、「常陽」だけを持っていたら、国際社会は「日本は核武装の意図がある」と疑ってかかるでしょう。であるならば、日本は原発を廃止した上で、「常陽」を廃炉にするかどうか、じっくり時間をかけて国内で議論をすれば良いのではないでしょうか。この議論は、まさに将来日本が核武装をする可能性の議論となります。
 そのような議論をすること自体、国際的な批判をかわしつつも、しかも核兵器を保有せず、実際にこれを保有したのに近い外交カードを手にすることになります。
―― NPT体制から離脱することは政治的に可能でしょうか。
藤井 私は親米派ですが、日本が核武装した上でアメリカと仲良くすればいいという考え方です。インドは一九七四年に最初の核実験に成功し、一九九八年には二回目の実験を行いました。アメリカはこれに反発し、二十年以上も経済制裁を受け続けました。しかし、チャイナの核戦力が拡大すると、インドの核兵器は許されることになりました。
 NPT脱退という決断は、一時的には苦しい状況を招くかもしれませんが、それを凌げば核保有できるのです。わが国の自立のためには核武装が必要なのです。
 二〇〇〇年に出されたアメリカのアーミテージ・レポートは、日本をイギリス並の同盟国として扱いたいと書いてあるのです。負担をしてもらう代わりに自己決定力も持ってもらおうという発想です。もちろん、そこには「日本の核武装を許す」とは書いていませんが、「イギリス並み」とある行間を読めば、独立した核を保有し、親米国家としてやっていくことを容認する方向だとも読めます。
 インドやパキスタンにできたことが、日本にできないはずはありません。ただ、地下で一度は核実験をする必要があります。そこで、私はすでに核実験を行ったインドの核実験場を使わせてもらうという選択肢も考えています。また、ノウハウを持っているイスラエルの協力を得るというのも一つの選択肢でしょう。
 問題は、国家の意志なのです。対米自立のためには、そして、国連安保理常任理事国である核大国の覇権体制から独立するためには、核武装が不可欠です。そのためにこそ、NPTを脱退して、脱原発するしかないのです。


*本稿は編集部の許可を得て投降しています。  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年2月13日 18:02:55 : E7ZPPZeQEy

賛成!


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素20掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素20掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧