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従来の原発政策を維持するのは不可能だ ノンフィクション作家 山岡淳一郎(月刊日本)
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/115.html
投稿者 大塩 日時 2012 年 2 月 14 日 18:36:36: .cSQld2Pk8LuA
 

従来の原発政策を維持するのは不可能だ ノンフィクション作家 山岡淳一郎
http://gekkan-nippon.com/?p=2822
『月刊日本』12月号


全ては巣鴨プリズンから始まった
―― 山岡氏は先日、ちくま新書から『原発と権力』を上梓された。そこでは、原発がその当初より、如何に権力と密接に関わってきたか、そして如何に国際社会に翻弄されてきたかが描かれている。
山岡 日本の原発の歴史は、巣鴨プリズンから始まった。近衛文麿のブレーンであり、大政翼賛会において事務総長、副総裁を歴任し、東條内閣では国務大臣を務めた後藤文夫は、巣鴨プリズンで英語文献を渉猟したという。そこで後藤は、アメリカでは原爆を使って電力にかえる研究をしていることを知った。
 いわゆる「逆コース」によって釈放された後藤は、この情報を、自らの元秘書官であった橋本清之助らと共に産業界へと持ち込んだ。その意味で、この「逆コース」を抜きにしては、その後の国策としての原発推進を語ることはできない。
 もっとも、占領政策が「逆コース」に転じたとはいえ、基礎研究と応用研究を問わず、日本における原子力分野での全ての研究は、連合国軍によって禁じられていた。GHQは日本の軍国化を警戒していたのだ。
 それ故、田中角栄が議員立法で「電源開発促進法」を提案しようとした際、GHQはこれに真っ向から反対した。火力、水力の発電施設を整備して「産業の血液」である電力の供給を増やすことを目的としたこの法案は、日本の潜在戦力の整備に繋がると考えられたからだ。当時、日本の電力供給は極めて不安定であり、停電が頻発していたにも関わらず、である。
 田中は「公職追放するぞ」と脅かされながらも、占領軍に抵抗して法案を提出する。時勢は田中に味方していた。サンフランシスコ講和条約の発効で占領が終わり、52年7月に電源開発促進法は成立した。この田中の電力に対する執念は、総理になった後、独自の資源外交という形で展開されることとなる。


正力松太郎の野望
山岡 日本への原発導入において決定的な役割を果たした人物は、元警視庁警務部長にして読売新聞社主であった正力松太郎である。
 54年に起こった第五福竜丸事件をきっかけとして、日本国内では原水爆禁止運動が燎原の炎の如く拡がった。政官財の親米派は、その運動にソ連による革命戦略の匂いを嗅ぎ取り、日米関係の破綻を怖れた。アメリカ政府もまた、日米関係を修復しなくては、原水禁運動に乗じて日本で革命が起きると憂えた。
 こうした中、原水禁運動を鎮め、日本の世論を親米路線へ導くために、アメリカは正力率いる読売グループのメディアを利用することを考えた。正力もまた、総理の座を狙うという自らの野望のために、アメリカの力を欲していた。
 正力は原発キャンペーンを展開し、原子力の平和利用を謳いあげ、原発反対の嵐を鎮静化させた。正力がその野望を遂げることはなかったが、自己の権力欲のために原子力を利用したという意味で、彼はまさに「原発と権力」の関係を象徴するかのような人物であった。


米国の「核の傘」の外へ跳んだ田中角栄
山岡 日本のエネルギー政策は、第一次オイルショックを契機に転換することとなった。当時総理大臣であった田中角栄は、中東諸国が石油を武器に先進国に対抗してきた場合に備え、エネルギー資源の供給源の多角化に乗り出した。
 石油については、戦後賠償の利権が絡むインドネシアや、北海油田を抱える英国、シベリアのチュメニ油田開発を望むソ連などと直接交渉した。こうした独自外交は従来のオイルメジャーの秩序を崩すこととなったため、田中はロッキード事件により失脚させられた、と巷間言われている。
 しかし、これに加え、ウラン資源という観点も見逃すことはできない。石油危機が到来する直前の73年9月末、田中はフランスを訪れてピエール・メスメル首相と対面した。そこでメスメルから、ウラン濃縮の共同開発への参加を求められた。
 ウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理技術は、核兵器開発に転用できる。濃縮事業への参加はデリケートな問題だった。戦後、アメリカは核燃料の独占供給体制を敷き、日本はウラン濃縮をアメリカに頼っていた。世界各地で買ったウラン鉱は全てアメリカで濃縮され、日本に運び込まれていた。
 フランスの提案に乗ることは、アメリカの「核の傘」の外へ跳ぶことを意味した。さすがの田中も、濃縮共同事業への直接参加は拒んだ。「ご提案はありがたいが、日米には同盟関係もあり、すぐには応じられない」。
 それならば、と、メスレルは濃縮ウランの購入を提案した。「われわれの工場で加工する濃縮ウランを購入してもらえないか」。
 田中は決断する。「一九八〇年から年間一〇〇〇SWUトンの濃縮ウランを輸入する」と言い切った。これは、事前に想定されていたシナリオより数段踏み込んだ発言だった。
 これがアメリカを刺激したことは言うまでもない。64年に中国が核実験を行い、インドも行うのではないかと言われていた当時の状況下において、アメリカの眼には、日本が核武装に向けて進んでいるかのように映った可能性もある。
 もっとも、田中の資源外交とロッキード事件をつなぐ証拠は不明だ。陰謀論の域を出ない。しかし、ロッキード事件の全容がいまだ謎に包まれていることも事実だ。今後、機密が解除されていけば、真相は明らかになっていくであろう。


トリウム原子力を無視した中曽根康弘
―― 権力者にとって原発の魅力とは何か。
山岡 原発の魅力には光と影の面がある。光の面とは、原発は大量の電力を生産できるため、経済発展に繋がることである。それにより、国力を増強し、国民生活を豊かにすることができるという“夢”を描くことができる。
 他方、影の面とは、ウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理によるプルトニウム抽出など核兵器開発に転用できる技術。これは潜在的な核抑止力ともいわれる。原発を推進した権力者たちは、この光と影、両面の魅力に惹きつけられていたように思う。
 佐藤栄作は首相就任後、初めて訪米した際に「個人的には中国が核兵器を持つなら日本も持つべきだと思う。でも日本の国民感情に反するから内輪にしか言えない」と発言した。当時から自民党には核武装論者が少なくなかった。六〇〜七〇年代にかけて原発開発が本格化した背景には、このように、潜在的な核抑止力を高めたいとする政・官の凄まじい執念があったと思われる。
 佐藤内閣で防衛庁長官を務めた中曽根康弘は、非公式に防衛技官に核武装の研究を命じていた。それにより「二〇〇〇億円以上、五年以内でできる」という結果を得ていた。また、中曽根は総理時代には、レーガン大統領との「ロン・ヤス」関係を背景に、日米原子力協定の改定へと漕ぎ着けた。
 従来の日米原子力協定では、英仏両国の再処理工場で日本の使用済み燃料から抽出されたプルトニウムについても、移転に関して一回ずつアメリカ政府の了解を得なくてはならなかった。
 しかし、新協定の締結により、30年間は一々の了解が不要となった。これにより、日本は晴れて、プルトニウムを大量に保有する資格を得たのであった。
 中曽根は首相在任中、オークリッジ国立研究所でトリウム溶融塩炉を開発した物理学者・ワインバーグから、トリウム原子力について提案されている。しかし、中曽根の対応は冷淡なものだった。「こんな礼を失した政治家は見たことがない」と、ワインバーグは憤ったと伝えられている。
 ここ最近、国際的にトリウム原子力の可能性に注目が集まっているが、トリウムは原子力の燃料に使っても、核兵器に転用可能なプルトニウムをほとんど生まない。それ故、潜在的な核抑止力として機能しないトリウムは、中曽根にとって何の魅力もなかったのであろう。


昭和が終わった日
―― 東日本大震災以後、「原発と権力」の関係はどのように展開していくと考えられるか。
山岡 今後、権力がどれほど望もうとも、従来の原発政策を維持することは不可能であり、自然再生エネルギーへの移行を避けることはできないだろう。トリウム原子力は、その過渡期における選択肢の一つとなるだろう。
 福島第一原発事故のニュースに初めて接したとき、「これで昭和が終わった」と思った。戦後復興、高度成長、バブル崩壊、金融危機――時代が変転するにも関わらず、一貫して国策の計画経済的手法で推進されてきた原発は、最後の昭和モデルだったと言えよう。
 原発は「人類の平和」という理想によって動かされてきたのではない。その動力源は権力欲、金銭欲、名誉欲であった。それを許してきた我々国民にも、大きな責任がある。原子力の途方もないエネルギーは、いつの時代も大政翼賛的な方向へと社会を誘う。我々はその怖さを肝に銘じておかなければならない。


*本稿は編集部の許可を得て投稿しています。  

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コメント
 
01. 2012年2月14日 19:57:06 : hzZC4i2QDw
あーくだらね

言うまでもないようなことを、いまさら得意になって投稿するなよ


02. 2012年2月15日 00:33:52 : 3aGqPmaL4s
http://www.gns.ne.jp/eng/g-ken/index.htm

エナジーNETという原発推進者たちのHP
突っ込みどころ満載です


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