http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201203050048.html

　昨年３月の福島第１原発事故で、国や県からの指示を待たずに、住民への安定ヨウ素剤の配布、服用に踏み切った自治体がある。原発の西約50キロの福島県三春町。混乱の最中、独自の情報収集から下した決断だった。
　１、３号機で水素爆発が相次いだことを受け、三春町は同３月14日午後11時、幹部十数人を保健センターに緊急招集した。「明日、東風が吹き雨も降る。安定ヨウ素剤を町民に配布したいが、みんなの意見を聞きたい」。深谷茂ふかや・しげる副町長（当時）（63）が切り出した。
　「不安をあおるのではないか」「町民のためにはベストな選択を」。幹部からの意見が出そろい、深谷さんは告げた。「明日、配布しよう」
　鈴木義孝すずき・よしのり町長（72）に電話で伝えると「判断を尊重する。責任は町で取るから」との答え。職員らが徹夜で封筒にヨウ素剤を詰めた。40歳未満の町民計７２４８人分の宛名を書き、服用の際の注意書きも同封した。
　翌15日朝、深谷さんは２号機圧力抑制プール付近が爆発し損傷した可能性があることをテレビで知った。すぐさま町長と相談、配布だけでなく服用も決定。防災無線で町民に呼び掛け、町内８カ所で町民に配布、服用を指示したのは同日午後１時ごろ。保健師らが立ち会った。
　決断に至るまで、町はヨウ素剤を配布するべきかを判断する材料を集めていた。
　事故後、町内の高台に吹き流しを設置し原発の方向から吹いてくる風を常に監視する態勢を整備。三春町に避難してきた原発立地町の大熊町職員から事故の状況を聞き、ヨウ素剤の使用に関するアドバイスに耳を傾けた。服用にはアレルギー反応など副作用の恐れもある。町の医師から命に関わる副作用がないと確認した。
　最終的に「放射性物質の拡散状況が分からず、大量放出の可能性を考えると手を打たざるを得ない」と判断、県にヨウ素剤の提供を要請した。
　県は、原発から10キロ圏の６町などに計約20万４千錠のヨウ素剤を備蓄していた。富岡町など一部の自治体が避難所で配ったものの、多くは配布されなかった。マニュアルでは政府の指示を受けた県が市町村に伝え配布することになっているが、国からの指示は３月16日。その頃には原発から半径20キロの住民はほとんど避難を終えていた。
　三春町で服用した住民に副作用は出ていない。鈴木町長は「混乱時は現場主義が一番。国や県の指示を待ったら何もできない。住民の安全を守るのは町だ」と強調した。 　

コメント
01. 2012年3月05日 14:09:30 : J69t6sOjUw 鈴木義孝すずき・よしのり町長（72）に電話で伝えると「判断を尊重する。責任は町で取るから」との答え 鈴木町長は「混乱時は現場主義が一番。国や県の指示を待ったら何もできない。住民の安全を守るのは町だ」と強調した。 　 町長も偉かったが、職員がすばらしかったな。
02. 2012年3月05日 15:37:33 : eAjKIJhmDs これを読んでいて、涙がでます。 国の対応、態度との大きな違い。 当時の首相、菅、 「直ちに影響はない」と国民を騙しつづけた官房長官、枝野、 官邸にいた細野などなど、 お前らは、犯罪人だ。
03. 2012年3月05日 17:35:10 : innbXwBAPM だれが首長になっても同じ、変わんない そんな声を良く耳にしますが 大違いということが証明されました これで皆選挙にいくかな〜 いかないだろうな〜
04. アホ山 2012年3月06日 00:12:59 : 6ZHZPeF/7Ggwo : aMXN1kCtSg 三春町にはすばらしい小学校もあると聞いている。自分たちで考えなるべく国や県に頼らぬやり方が徹底しているのだろう。 希望の持てる話題をありがとう。
05. 2012年3月06日 00:15:16 : Z4rCVU5mk2 当時の新聞などで「ヨウ素剤は不要」「イソジンは飲んでもヨウ素イオンが摂れない」とかの嘘記事が満載だったのですが、 住民はこれらのデマに影響されることはなかったのですか？
06. 2012年3月06日 01:47:38 : gSQvTFGR6U 素晴らしい！ こういう町もあったのですね。 同じ原発事故を受けても この副町長、自治体職員、町長の元なら助かったということ。 住民も安心して住めますね。
07. 2012年10月01日 11:37:48 : cmlXhqYY0s >>03 innbXwBAPM　さん ＞だれが首長になっても同じ、変わんない ＞そんな声を良く耳にしますが ＞大違いということが証明されました 東北大震災時、その運命を大きく分けた学校がある。 方や7割以上の子供が津波で死に、一方では一人の死者も出すことなく助かった小学校がある。 立地条件でその違いが出たのではなく、校長の違いだった。 或る小学校の校長が亡くなる前、庭に出なくても校舎の二階から直接裏山へ登る階段を設置して欲しいと何度も市に掛け合うもその校長の生前に叶う事は無かったが、亡くなっても尚、遺言にしたためた為、市は氏の意を汲んで400万円ほど掛けてその学校の二階から裏山へ登る鉄骨の階段を設置したばかりだったと言う。 その階段を上りその小学校では子供に一人の死者も出なかったと言う。 しかしその階段はその1回使用しただけで海の藻屑となったそうだ。 一方の小学校は「津波の時は高台に避難する」と有っただけで、どこへ避難するとも決まりは無く、その日校長は折悪しく出張。 校庭でアアでもないコウでもないと利議論に余念無く、父兄の「すぐ裏の山に登って！」の忠告も聞く事も無く、延々と議論に花を咲かせ。 そして最悪の選択。 海に方角に有る陸橋へ地獄の行進の途中波に飲まれ、7割の子供があわれ亡くなった 正に、長によって運命が変わった象徴だ。 国もそう。 これまで誰がやっても同じと思ってきた。 どうせ自民党一党支配で、やることは資本主義、経済優先、どうせ官僚がやってる事だから、政治家など誰がなっても同じ。 そう思って選挙してきた結果、自民党に原発を54基も造られ、果ては今度本気になって選挙して政権交代しようとももう時すでに遅し、今度は誰がやってもじゃなく、何処の政党にやらせても、政権交代しても日本の政治は何も変わらない、になってしまった。 結局既得権益者に大きな権力を自民党が持たせてしまった為、有能な政治家は、既得権益を邪魔する抗体という反応を示し、既得権益者全部が合体して巨大な魑魅魍魎と化し、正義の政治家を潰しにかかる。 検察、裁判所、マスコミ、政治家、経済界、有識者、大学教授までが。 だがそれにへこたれてはなるまい。 いつでも、何度でも、何処でも、国民は立ち上がってこの腐った政治を変えねばならない。 いつか国民主権を手に入れる為に。 いつか原発の無い平和な地球にして子孫に命を繋ぐ為に。

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