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廃炉への道 厳しい一歩 福島第１原発事故から間もなく１年
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120308/trd12030821340027-n1.htm
2012.3.8 21:33 産経新聞
事故発生からまもなく１年となる東京電力福島第１原発。昨年１２月に政府が冷温停止状態を宣言し、危機的状況は脱したが、今もトラブルは相次ぎ、廃炉の具体的手法も見えない。最長４０年という廃炉への長く険しい道程を考えれば、現状はスタート地点から一歩を踏み出したにすぎない。（原子力取材班）
■「冷温停止状態」
昨年３月１１日、約１５メートルの津波に襲われた福島第１原発は全電源を喪失。原子炉の冷却ができなくなり、１２〜１５日にかけて原子炉建屋が相次いで水素爆発した。
それから１年。事故直後に温度計上限の４００度を超えた原子炉の温度は２０〜５０度台にまで低下し、原子炉注水も継続して注水可能なシステムを構築した。放射性物質の放出量は８千万分の１にまで下がっている。
こうした状況を背景に、野田佳彦首相は昨年１２月１６日、「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至ったと判断できる」と宣言した。
■炉内把握できず
しかし、小さなトラブルは相変わらず続発している。原子炉冷却のための循環注水冷却システムでは、冷温停止状態の宣言以降も計４４カ所で凍結や水漏れが見つかった。全長４キロに及ぶシステムのほとんどは屋外で野ざらし状態。ホースの劣化などで今後もトラブルのリスクは残っている。
炉内の状況把握も不十分だ。昨年１１月には２号機から放射性キセノンが検出され、核分裂反応が連鎖する再臨界の可能性が一時疑われた。今年２月には２号機圧力容器下部にある温度計の１つの値が上昇。故障と判明するまで東電は注水量を増やすなど対応に追われた。いずれも心配は杞憂（きゆう）に終わったが、炉内を把握できていない危うさを露呈した。
新たな問題も浮上している。３１ある温度計のうち、すでに７つが故障した２号機は、新たに２つの温度計が不安定な値を示す。炉内を把握する手段を次々と失う現状に、細野豪志原発事故担当相も「廃炉の作業をするのにデータを得られない状況は非常にまずい」と危機感を募らせている。
■課題なお山積み
解決のメドが立たず、暗中模索状態の課題も多い。
汚染水は浄化装置を経て原子炉注水に使われているが、原子炉建屋には地下水が流入しており、汚染水の全体量は毎日２００〜５００トンずつ増えている。増加分をタンクで保管しているものの、約１６・５万トン分のタンクはすでに７割が使用済み。夏までに増設する約６万トン分も含め、今秋には満杯になる見通しだ。
平成２５年度までに燃料貯蔵プールの燃料回収を始める予定の廃炉計画も、燃料に破損が見つかれば最初の段階でつまずきかねない。
ほかにも多くの課題が未解決のままだ。エネルギー総合工学研究所・原子力工学センターの内藤正則部長は「燃料の形状や位置の正確な解析が不可欠。高い放射線量や高温多湿の中でも活動できるロボットの開発も必要になる。やらなければいけないことは山積している」と指摘している。
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