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原発再稼働と料金値上げに論拠無し - 時事通信社 Foresightコンテンツ−新潮社ニュースマガジン
http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/643.html
投稿者 千早@オーストラリア 日時 2012 年 4 月 08 日 00:44:46: PzFaFdozock6I
 

少々以前に書かれたようですが、
阿修羅にコピペされていないようなので、転載しておきます。
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(このページの記事は新潮社から提供を受けたものです)

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原発再稼働と料金値上げに論拠無し
科学ジャーナリスト
塩谷喜雄 Shioya Yoshio

http://www.jiji.com/jc/v?p=foresight_9201&rel=y&g=pol

原発のストレステストをめぐる意見聴取会であいさつする枝野幸男経済産業相(左端)=2012年1月8日、東京・経産省【時事通信社】

経団連会長との罵り合いという小芝居の後、枝野幸男経済産業相は、原発の再稼働と家庭用電気料金の大幅値上げを、2つとも実施する意向を表明した。見事な手のひら返し。地域独占に厳しい視線を送ったのはほんの束の間で、今や電力会社と経産官僚の意に沿って動く「使える大臣」に成長したらしい。理屈に強そうな弁護士出身の枝野大臣だが、再稼働と料金値上げの2つは、論理的に決して並立しないことを、ご存じないようだ。再稼働も値上げも、根拠としている数字は、電力需要のピーク値を2500万kWも過大に見積もり、追加燃料費に至っては3倍以上も水増ししている。政策通の大臣なら、数字を一度チェックして判断すべきではないか。官僚のつくった詐欺的試算を鵜呑みにして、利用者だけにリスク負担と経済負担の両方を強いる図は、悪代官の所業といわれても仕方がない。

同時には成立しない2つの仮説

建屋が吹き飛んだ福島第1原発4号機。作業する人の姿が見える。黄色は原子炉格納容器のふた。緑色は燃料交換機=2012年2月20日、福島県大熊町[代表撮影]【時事通信社】

「原発が全部止まれば、電力不足で停電する」「原発の分を全部火力で代替したら、料金は大幅に上がる」――3.11以来、耳にたこができるほど聞かされてきた2重の脅し文句だが、よく考えると、2つとも仮説である。

 「れば」や「たら」がついた仮説に、怪しい与太話が多いことを、私たちは生活の中で骨身にしみて知っている。必要のない計画停電を力ずくで実施し、知らぬ間に料金値上げを続けてきた電力会社と経産省の役人の流す言説だけに、脅しは相当にきいているが、怪しげな仮説であることに変わりはない。

 2つの仮説の間には解決し難い矛盾が存在する。別に難しい話ではない。停電の仮説は、原発の分を既存の火力では代替できないことが前提になっていて、料金値上げを不可避とする仮説のほうは、逆に代替できることを前提にしている。代替が可能か不可能か、前提が相反するので、2つの仮説がともに成り立つことは決してない。

 わかりやすく言うと、値上げするなら再稼働の必要はないし、再稼働するなら値上げの必要はないことを、電力会社と経産省が自らふりまいた2重の脅し文句が証明している、という話である。

 ここで誤解してはいけないのは、2つの仮説、2重の脅しがともに成り立つことはないが、どちらか一方が必ず成り立つわけでもないことだ。両方とも成り立たないことは十分にあり得る。

値上げも再稼働も必要なし

関西電力高浜原子力発電所3、4号機(手前が3号機)=2003年撮影、福井・高浜町【時事通信社】

3.11から1年、未だ事故の原因も、企業責任もあいまいなままだ。厳密なリスク計算では、地震国日本の原発は10年に1度は過酷事故を起こす危険な存在だと、ムラの総本山、原子力委員会の小委員会が評価していることを、筆者はForesightですでに指摘している(安易な原発再稼働で「10年以内に再び過酷事故」という原子力委試算)。

 さらに、再稼働の条件とされるストレステストでも、大飯原発3、4号機や高浜原発1号機で、関西電力が、設計時に想定していた津波の高さを改竄し、でっち上げた偽りの数字で、虚構の安全余裕を導いているインチキぶりも、筆者は同じくForesightで報告している(「想定津波」の数値を改竄した「大飯原発ストレステスト」の嘘八百)。

 原発を再稼働した上に料金も大幅に上げるという、やらずぶったくりのグリード(強欲)が、何のチェックも受けずにまかり通っては、再生も復興もありえない。ムラの軍門に降ったように見える枝野大臣に代わって、値上げと再稼働の嘘八百を検証してみよう。

エネ研試算による世論誘導

関西電力高浜原発3号機の発電が停止し、原発11基の出力が全て「0」となったことを示す表示板=2012年2月20日、大阪市内【時事通信社】

電力会社と経産省が、再稼働と料金値上げの根拠とする数字は、3.11から3カ月後、2011年6月13日に、経産省所管の日本エネルギー経済研究所が発表した試算である。

 休止中の原発の再稼働がないなら、2012年度には、電気料金が標準家庭で1世帯当たり月に1049円上がる、というものだ。石炭、石油、LNG(液化天然ガス)などの火力で原発の発電量を全て代替すると、追加の燃料費が3.5兆円かかり、それは電気料金にして、1kWh当たり3.7円の増になるという。

 例によって、政策選択の微妙な時期、電力需要のピークとなる真夏を控えた梅雨のさなか、定期点検を終えた原発の再稼働が、世間で議論になる時期を見計らったように、この試算が提示された。

 中身も例によってである。経産省がもくろむ世論誘導に都合のいい数字が出てくるように、様々な条件が設定されている。試算報告の冒頭には、原発を再稼働しないと、電気代は大幅に上がるし、全国規模で電力不足に陥る可能性もあると、国民に対する2重の恫喝が大書されている。

 現在の発電所ごとの発電原価は一切公表しないくせに、追加燃料費による電気料金単価の増加は、たちまちにして計算してみせる官僚と電力会社の厚顔には恐れ入る。

 政府が新たなエネルギー戦略の策定を目指して立ち上げた「エネルギー・環境会議」の議論の前提も、追加燃料費3.5兆円、1kWh当たりの発電原価3.7円増、1カ月の家計負担1049円増という3つをワンパッケージにしたこの試算である。

過大なピーク需要予測

京電力川崎火力発電所のコンバインドサイクル発電設備の排熱回収ボイラー。コンバインドサイクルは「ガスタービン」と「蒸気タービン」を組み合わせ、同量の燃料から、より多くの電気を得ることができる=2011年12月14日、神奈川県川崎市【時事通信社】

原発に代わる火力の追加燃料費3.5兆円という数字が、相当に怪しい。

 まず、電力需要の予測が、異様に過大だ。電力各社も2012年度の需要予測を発表していて、最大と想定しているのは、猛暑に襲われた2010年度の夏のピーク需要、1億8135万kWである。エネ研の試算はそれよりもさらに大きな数字で、1億8201万kWを想定している。これは過去10年間の最大需要、リーマンショック前の2007年度に記録したピーク値だ。

 この過大なピーク需要を満たし、その上に5%以上の供給余力を持たせるには、石炭908万トン、LNG 2002万トン、石油2745万キロリットルの追加燃料が必要だと、試算は結論している。

 しかし、日本の総電力需要は2007年度からずっと低下し続けている。原発事故に関係なく、持続可能な社会へのシフトが始まり、不況も相まって、電力の総需要は下り坂である。2010年度は夏の猛暑でピーク電力こそ膨らんだが、年間の総需要は前年度より低下している。

 たとえ復興需要があったとしても、この夏に2007年度並みのピーク需要があると考えるのは、著しく妥当性を欠く。論より証拠、2011年夏のピーク電力は1億5659万kWであった。これを2500万kW以上も上回るとんでもなく過大な想定でエネ研は計算している。

 「ためにする」想定はこれだけではない。原発の停止と共に、揚水発電所もすべて停止するという不可解な想定で、ピーク時の供給能力が1億6474万kWにしかならず、最大需要を満たせないと不安を煽っている。

 しかし、夜間も火力発電を動かし、その電力で揚水発電を稼働させれば、供給能力は1億8981万kWになる。これなら著しく過大な想定のピーク需要も楽々賄える。大企業の自家発電や再生可能エネルギーの活用も含めると、今年の夏の電力は余裕綽々、ほぼ万全といっていい。

 放射線による低線量被曝の健康影響を言うのは民衆の不安を煽る行為だ、などと偉そうにうそぶく原子力ムラの面々が、電力不足を煽るため数字まで偽装する姿は、滑稽を通り越して、ただ醜い。

原発全停止でも問題なかった中国電力

中国電力島根原発1号機(手前)と2号機=2011年11月28日、島根県松江市【時事通信社】

電力会社が持つ大型火力発電所の稼働率は、春と秋は、20−30%でしかない。真夏のピーク時でも、せいぜい50%前後だ。資源エネルギー庁の電力調査統計によれば、猛暑の2010年でも、8月の大型火力の稼働率が70%を超えたのは、中国電力だけだった。

 中国電力はその年、検査とトラブルで保有原発が全部止まっていた。要するに、全原発を停止しても、火力発電所の稼働率を夏場だけ、70%程度に保てば、停電など起きはしないことがはっきりしている。

 エネ研の試算には、ほかにも不可解な点がいくつもある。2011年の夏に、節電シフトによって問題なくピーク需要を乗り切ったのだから、その経験を、なぜすぐに計算に反映させないのか。なぜ、昨夏前の駆け込み試算を未だに金科玉条にしているのか。脅しのための計算は素早いのに、昨夏のピークが過ぎて半年以上たつのに、なぜ新しい試算は出てこないのか。枝野大臣はもちろん、メディアにも、是非「なぜ」を問うてほしい。

石油で代替しても追加費用ははるかに安い

東日本大震災の発生直後、電力不足に対応し、店舗や看板の照明を消して節電する東京・新宿の歌舞伎町=2011年3月16日【PANA=時事】

2重の脅しのうち、電力不足説は、経産省のためにする試算にもかかわらず、整合性を全く持たないことが判明した。次は料金値上げ不可避仮説をじっくり検証してみよう。

 電力需要は昼夜の時間帯ごと、季節ごとの変動が大きい。その負荷変動への対応が電力系統管理者の腕だと、電力会社は地域独占の必要性を常々強調してきた。しかし皮肉なことに、その大きな需要変動の構造が、原発が全部止まっても料金値上げの必要がないことを証明してくれる。

 確かに電力需要は、深夜と午後2時ごろでは2倍の差がある。同じ昼間でも、ピークの真夏(7、8月=北海道だけは冬の1、2月がピーク)に比べ、さわやかな春と秋(4月、10月)の電力使用量は3分の2でしかない。

 原発が日本の電力に占めていた割合は、年間の発電量で、30%に満たない。ピークの3分の2しか電力を必要としない春と秋には、原発の発電分がそっくり欠けても、追加燃料など使わずに、火力水力などで、悠々と需要を賄える勘定だ。

 問題はピーク時である。エネ研の試算もピーク対策を金科玉条のごとく掲げて、料金値上げの不可避と停電の危機を述べている。

 真夏のピーク需要といっても、摂氏35度を超える猛暑日の数日間だけ、それも午後の数時間だけの話である。年間わずか数十時間の需要を賄うために、3.5兆円という巨費が必要だという理屈が、私にはどうしても理解できない。

 百歩譲って、電力需要が大きい夏の7、8月と冬の1、2月、合計4カ月間は、原発の発電していた分をすべて火力で代替するとして、考えてみよう(シナリオ@)。

 原発の年間発電電力量は、2009年度の実績で約2900億kWhである。年中フル運転の原発に、発電量の季節変動や時間変動はないので、4カ月分とは年間総発電量を単純に3分の1にすればいい。2900億kWhの3分の1は、967億kWh。これを、火力で代替すれば、ピークは十分セーブできることになる。

 967億kWhに火力の発電原価を掛ければ、原発が再稼働しない場合の追加費用が出てくる。火力のうち発電原価が一番高い石油の1kWh当たり10円で計算しても、追加費用は9670億円にしかならない。3.5兆円とは、どんな計算をしたのだろう。

 百歩譲ったついでに二百歩譲って、4、5月と10、11月を除く8カ月間、原発の分を全部火力で代替したとしても(シナリオA)、追加費用は1.9兆円にしかならない。

原発の運転費用を無視

資源エネルギー庁、原子力安全・保安院などが入った経済産業省総合庁舎=2011年4月7日、東京都千代田区【PANA=時事】

さらに、エネ研の試算で不可解なのは、追加の燃料費をそっくり発電原価に上乗せしていることだ。年間2900億kWhの電力を生むのにかかった原発の運転費用を、そこから差し引かないと、理屈に合わない。

 全原発が停止すれば、追加の燃料費がかかる代わりに、原発の運転経費は浮く。その差額を電気料金に転嫁する、というならまだわかる。追加燃料費をそっくり電気料金に反映させるというのは、まるで原発はいくら動かしても1銭もかからない魔法の発電所だ、と言っているのに等しい。コストゼロというのは、大概、大嘘である。見方を変えれば、浮いた原発の運転費用はそっくり電力会社の懐に入れて知らん顔という、まさにグリード=強欲のなせる技とはいえないだろうか。

 原発の運転費用も、電力会社と経産省は明らかにしていない。燃料費の発電原価に占める割合は低いとされる原発だが、運転すればそれ相当のランニングコストはかかる。

 1kWh当たり5−6円というモデル試算の原発の発電原価のうち、ごく控えめに見積もって、2円は運転コストだと考えていい。年間の原発の発電量2900億kWhに2円を掛けて出てくる数字、5800億円が、毎年、原発の運転費用として投じられている勘定になる。

 追加燃料費からこの5800億円を引いた額が、原発停止によって生じた追加費用の「実費」である。シナリオ@なら、その額は9670億円−5800億円で、3870億円になる。原発を抱える電力9社が、応分の負担をすれば、料金転嫁の必要など全くない、企業が十分に吸収できる費用といえる。

東電は解体し他電力は「普通の企業」に

料金値上げについて、記者会見する東京電力の西沢俊夫社長=2012年1月17日、東京・内幸町の東電本社【時事通信社】

2重の脅しの残る1つ、料金値上げ不可避仮説も、全くの虚構で整合性のかけらもないことがはっきりした。

 世間の常識は「事故責任は自己責任」ということである。東京電力が地震・津波への備えを怠り、対応を誤ったが故に、福島第一の過酷事故が発生・拡大したことは、福島第一と同等かそれ以上の揺れと津波に襲われた東北電力・女川原発が、無事に冷温停止していることで、すでに明白である。

 経営の失敗が招いた損失と危機は、自分たちでカタを付けるのが、ビジネスの常識。普通の企業はみんなそうしている。全てを顧客に転嫁して恥じないのは、総括原価方式で甘やかされてきた電力会社の傲慢でしかない。

 責任企業の東電は解体し、他の電力会社には、真人間ならぬ「普通の企業」に戻れと諭すのが、経産大臣の役目だろう。東電の不始末が原因で発生した損害なら、原発をもつ他の電力会社は、東電に請求書を回せばいい。何でも利用者からいただくという、地域独占体質から抜け出す画期的な第一歩ではないか。

 虚構の仮説による2重の脅しに、大臣が率先して屈服してはなるまい。官房長官時代に、東電と経産官僚のインチキ情報に振り回された政治家が、また煮え湯を飲まされる図を見るのは空しい。個人的なスキャンダルによる実力者の口封じがこれまで噂されてきたエネルギー分野だけに、大臣の手のひら返しがとても気になる。


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