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リスク感度とダメージコントロール
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投稿者 palクン 日時 2012 年 7 月 01 日 02:35:12: mWJq7xP6mpLMg
 

http://cpainvestor.com/?eid=286

 今週、現地の方の案内で、石巻、女川地区をじっくり訪ねる機会がありました。東日本震災から1年3ヶ月、海岸線から数キロのところまでのがれきはきれいに片付いていましたが、人々の生活再建はまだまだこれからで、各人が、自分のできる範囲で継続的な支援を細く永く行うことが極めて重要であることを強く感じました。

 今回の被災地訪問で、最も印象に残ったのは、東北電力女川原子力発電所PR館でした。「この時期に、平日わざわざここに行く人間はなかなかいないだろう」という読みどおり、訪問客は私達だけでしたが、ここで見ることができる「東日本大震災による被害状況の概要及び緊急安全対策等の対応」という映像からは、学ぶべきこと大でした。

 私自身、福島第一原発の事故にばかり関心がいってしまい、今回、女川原発を実際に訪問するまでは、「地震・津波に耐え、各種の安全対策が機能して、原発の冷温停止がうまくいった」くらいの認識しかありませんでしたし、実際、東北電力の制作した映像は、福島第一原発との相違点を比較しながら、女川原発が「原子炉を止める、冷やす、閉じ込める」に成功したことを解説するものでした。しかしながら、私はこの映像を見てむしろ、「地震・津波の直後は、女川原発も薄氷を踏むような対応がなされていたのではないか」という印象を強く持ちました。

女川原発の事故の被害状況に関して、私が最も驚いたのは以下の3点でした。

@ 原発の敷地の高さ13.8m(地震直後の地盤沈下1m考慮後)に対し、津波の最大潮位は13mで、余裕はわずか80cmしかなかったこと。
すぐ近くの女川町の中心部には、20m超の津波が到来しているのを聞くと、同じリアス式海岸の湾内にある女川原発付近の津波が13mに収まったのは、「たまたま運が良かっただけだ」と思うのは、私だけでしょうか。

A 事故直後4回線の外部電源のうち、3回線は停止し、残り1回線だけが通じている状況が丸一日続いていること。 
福島第一原発で嫌というほど聞かされた外部電源確保の重要性ですが、皆さんは、「1回線残って良かった」と感じるでしょうか、それとも「残り1回線だったのか」と感じるでしょうか。

 B 高圧電源盤の焼損や建屋付属棟の海水流入で、一部の非常用発電機や冷却水ポンプが使用不能になっていたこと。 
 「A系統は機能停止となったが、B系統は生きていた」的な解説が映像ではなされていましたが、巨大地震と津波による海水流入で機能停止となった場面で、有効に機能する系統を速やかに把握して対処する行動は、やはり困難を極めたのではないでしょうか。

 もともと地震や津波の頻発地域だったということもあるのでしょうが、東北電力が各種の慎重な安全対策を講じてきたこと(女川原発を作る際に、国の安全規制において想定される津波潮位の2倍程度の高度に敷地を設定したこと、引き波時に水位低下が起きても冷却用の海水が確保できるような設計をしていたこと、2号機建設以降に堤防の補強工事や各種の耐震工事を継続的に実施してきたことなど)は、もちろん称賛に値します。
 ただし、半径20km圏内に石巻市(人口15万人)があり、40 km圏内に仙台市(人口105万人)があるという立地を考えると、上記3つの事実を知って、「福島と同時発生的にシビアアクシデントが起こる可能性は紙一重だったのだ」と感じ、背筋が寒くなったのは私だけでしょうか。

 今回の女川原発訪問で、「リスクマネジメントにおいて最も大事なことは何なのか」ということを、改めて深く考えさせられました。原発に限らず、私達は日々の生活の中で、本来様々なリスクをとっているはずです。また、特定の場面では、積極的にリスクをとらないと、大きなリターンは見込めません。

 リスクマネジメントが大事だとは誰もが言いますが、安定した所得や雇用関係といったものに恵まれている人であればあるほど、実は自分自身の「リスク感度」が鈍っていて、いざという時に対処不能に陥ってしまう可能性が高いのではないでしょうか。また、リスクは常に回避するものではなくマネジメントするものだというのであれば、「想定外」という言葉はやはり禁句であり、起こってしまった被害を最小限に抑える「ダメージコントロール」の発想も合わせて強く意識をしておく必要があるということでしょう。

 リスク感度を磨くことと、ダメージコントロール、今回の旅で得た二つの教訓を強く意識して、これからの自分の行動に生かしていきたいと思います。  

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コメント
 
01. 2012年7月01日 03:28:55 : rXUdhkwEcM
この記事の指摘は当然、現存する日本全国の原発全体に言えること。
記事に解説が出ていませんが、3.11以降の4.11の地震でも同じように
女川原発は薄氷を踏むような対応だった事が忘れがちです。
青森の東通原発も同じで、外部電源が喪失して
1台かそこらの非常用ディーゼルエンジン発電機が動いたおかげで
冷温停止→核燃料の冷却が何とか継続しただけ
運が良かっただけでは済まされない状況でした。
複数のディーゼル発電機が何故機動不能になったか?
ディーゼル発電機の燃料パイプや冷却水用パイプの破損が福島では発生しましたが。
女川では発生していないのは特筆すべき事だと思います。
女川や東通では、ディーゼル発電機のエンジンヘッドのパッキンが裏表逆に
組み込まれていて、圧縮漏れでエンジンが起動できなかったという事実があります。
地震や津波の想定幅に余裕を持たせた東北電力の対応はまっとうでしたが
その設備の整備不良で過酷事故寸前まで行ったのです。
想定や規定が充分余裕があっても、設置している設備に不具合があった場合
過酷事故になりうる状況が発生するということです。
ましてや、想定も甘い&想定をしても設備が現状で追いついていない
大飯原発や伊方原発などを再稼動を強行するとは狂気の沙汰です。

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