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広島で30年以上 被爆者治療 原爆と原発 苦しみ同じ (東京新聞「こちら特報部」) 
http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/458.html
投稿者 赤かぶ 日時 2012 年 8 月 12 日 20:34:35: igsppGRN/E9PQ
 

広島で30年以上 被爆者治療 原爆と原発 苦しみ同じ
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-6608.html
8月10日 東京新聞「こちら特報部」


 八月六日のヒロシマ、九日のナガサキ。そして三月十一日のフクシマも忘れてはいけない日になった。広島で三十年以上にわたり被爆者治療に当たった斎藤紀(おさむ)医師(65)は、今、福島市で原発事故の影響におびえる住民に寄り添う。「広島の誤りを繰り返してはならない」。ヒロシマとフクシマを見た一人の医師の訴えだ。 (荒井六貴)


 「原爆の放射線による被爆も、原発の放射線による被ばくも、人体への被害という意味では同じだ」

 二〇〇九年から福島市渡利地区にある医療生協わたり病院に勤務する斎藤医師は、静かに話した。
 市内を南北に流れる阿武隈川沿いにある渡利地区。市内でも線量が比較的高い地域だ。市は今年に入り、優先して除染事業をスタートさせた。だが、市が設置する線量計はいまだに、国の目標とする基準の毎時〇・二三マイクロシーベルトよりも、やや高い値を示している。

 原発事故の後、不安を訴えたり、パニックになったりした住民が、病院を訪れた。そういう住民の相談に応じてきた。「避難した方がよいのか」と尋ねる住民には、「避難しても、しなくてもいい。それぞれの道だ。もし、残るなら、一緒にここで生きていこう」と語りかけた。「生きていくことが大切」との思いからだ。
 宮城県出身で、福島県立医科大を卒業した。一九七七年、現在の広島大原爆放射線医科学研究所に入り、原爆症の研究に当たった。
 広島市内の病院に移り、苦しんでいた原爆症患者に寄り添った。診療だけではなく、患者が申請する原爆症認定の手続きの手伝いや精神的なケアも受け持った。

 原爆症の認定をめぐっては、国は対象や基準の範囲拡大に極めて消極的だ。斎藤さんは、遠距離で被爆した人や、原爆投下の後に広島に入った入市被爆者にも白血病が多発していることなどを挙げ、もっと多くの被爆者を救済するよう求めてきた。「国は残留放射線の影響を軽視しすぎる」と指摘。一貫して放射線の健康被害について訴えてきた。

 広島では、原爆の投下直後に降った「黒い雨」の範囲をめぐっても議論になっている。
 斎藤さんは、原発事故の四日後に降ったみぞれが、忘れられない。外出先で、みぞれに打たれた。原発から約五十キロ離れた福島市内の線量を高くした原因だった。「放射性降下物としては、原爆の後に降った黒い雨と同じようなもの。放射性物質が、大地に沈着した。しかも、みぞれなのでべたっとへばりついた」と話す。

 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、事故の後、医師団の一人として現地に派遣された経験もある。
 放射線の影響による健康被害は、数週間程度のうちに発症する急性障害と、数年以上の年月を経て発症する晩発性障害に分けられる。とりわけ、原発事故で心配されるのは、低線量被ばくによる晩発性障害だ。「特に子どもの甲状腺障害などは注意深くみていく必要がある」。継続した健康調査の重要性を強調する。
 「晩発性障害は克服できる。克服できるというのは、線量が安全なレベルだという意味ではない。農地を返すことだし、生活の場を返すことが、最大の克服になる。そのための努力をしていくことだ」と説明する。

 具体的な方法の一つとして、線量を下げるための除染の多様化を挙げる。「山をすべて除染するのは不可能な場合もある。山は除染できないけど、民家と山の間は、除染できる。子どもの通学路で、除染できない構造なら、通学路を変更することもできる。公園ごとに何マイクロシーベルトなのかの値を公表すれば、お母さんが、遊ばせてよいかどうかを判断できる。子どもには、はしゃぎまわる場所が必要だ。そうした努力が、最終的な晩発性障害の克服につながる」と提案する。
 原発事故によって、多くの福島県民が、選択に迫られた。故郷を離れるのか、不安を抱えながらもとどまるのか。

 線量の高い地域からは避難すべきだと考えている。暮らすべきではない。だが、家庭や仕事の事情で、県外などへ避難したくてもできない人もいる。避難すれば家族が離ればなれになったり、仕事を失うこともある。「県外の避難生活者の待遇は劣悪だ。国はもっと配慮しなければいけない」とも思う。「いったん避難すれば、避難先で生活していくことが重要。ある一定の時期がたてば、戻すという考えは誤りだ」。県民が分断されていく過程を見てきた悔しさがにじむ。

 だからこそ、原発からの脱却を訴える。「原発産業は、一企業が責任を負えるものではない。国の政府さえも責任を負えない。責任とは、国民が安心して生きることができること。その責任を負えないのに、そんなものを持っていていいのか」

 福島原発事故の収束もしていないのに、政府が大飯原発を再稼働させたことにも憤る。「福島の被災した人の心を逆なでしている。福島では猪苗代湖が汚染された。大飯原発で事故が起きれば、琵琶湖が汚染されて、もっと被害が大きくなる。原子力産業を救済し、東電も生き残ろうとしている。それが、彼らの最大の戦略だろう」と推測する。
 「広島も福島も、国の不作為は共通する。国の原爆症の認定は、残留放射線の影響を考慮しないなど、対応がずさんだった。やるべきことをやっていない。現在進行形の福島で、それを繰り返してはいけない」

<デスクメモ> 渡利地区は、市街地から少し離れた閑静な住宅街だ。「黒いみぞれ」で、汚染された。色は付いていないが、放射性物質を含んでいた。広島の経験はあったが、斎藤医師は、不安を訴える住民にどう答えるべきか悩んだという。原爆と原発は確かに違う。しかし、生活を根こそぎ奪うことでは同じだ。(国)


 

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コメント
 
01. 2012年11月08日 23:29:04 : 5ufhEzNtng
在日朝鮮人被爆者団体が総会 在日朝鮮人の被爆者でつくる「広島県朝鮮人被爆者協議会」の定例総会が8日広島市で開かれました。ことしの総会には初めて日本人の被爆者団体などが招かれ、こうした関係団体とより交流を広げながら北朝鮮で暮らす被爆者の救済を急ぐことを確認しました。
広島市南区で開かれた総会には、来賓として招かれた日本人の被爆者団体の関係者や広島市の職員を含めおよそ50人が出席し、協議会のメンバーが今後の活動方針について話し合いました。
今後の活動方針について総会では戦後、北朝鮮に帰国し被爆者健康手帳の取得ができていない被爆者の救済を急ぐことや、新たに被爆2世の組織をつくることなどが確認され、協議会のリ・シルグン会長が「日本人の被爆者団体や支援者とより交流を広げながら活動を進めよう」と呼びかけました。
定例総会はこれまで、協議会の関係者だけで行われてきましたが、ことしは、国交がないため援護を受けられず高齢化でおよそ300人ほどにまで減ったとされる、北朝鮮の被爆者の救済に理解を深めてもらおうと初めて日本人の関係者が招かれました。
広島県朝鮮人被爆者協議会のリ・シルグン会長は、「北朝鮮の被爆者だけ何もせず放っておく訳にはいかない。日本の皆さんと協力しながら一刻も早く救済したい」と話していました。

11月08日 16時24分

http://www3.nhk.or.jp/lnews/hiroshima/4005865401_m.jpg
http://www3.nhk.or.jp/lnews/hiroshima/4005865401.html?t=1352384372552


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