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活断層と地震、どう原発の危険性が隠されているか
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投稿者 taked4700 日時 2012 年 8 月 12 日 23:07:04: 9XFNe/BiX575U
 

活断層と地震、どう原発の危険性が隠されているか

 巧妙に原発は安全だというキャンペーンがされている。活断層や地震の何が最も危険なのか、それをここに述べてみたい。
 以前、NHKの番組で原発立地地点での活断層調査で、活断層の判定はどうされるのかということが取り上げられていて、専門家の方が「12万年から13万年に一回動いたかどうか」で判断すると答えられていた。10万年に一度動くぐらいならこの数十年原発を動かしても活断層が動き出す可能性は少ないと誰でもが思うだろう。しかし、それが果たして正しい考え方なのだろうか。そう思ったのが、この記事を書こうと思ったきっかけだった。その後、調べると、この専門家の言葉は、原発に関する耐震指針の見直しが2006年に行われ、その結果、「新指針では、これまで過去5万年前までを調査対象にしていた活断層を、新指針では12万〜13万年までに広げた」(「『震度6強』が原発を襲った」151ページ)のことを言っているということが推測された。

 活断層かどうかの判断は最近30万年以内に一回以上動いたかどうかで判断されるという。しかし、これ自体が何かおかしいと思わないだろうか。少なくとも、日本の状況とは合わないと考えざるを得ないのだ。つまり、多分世界的に見ても最大級の地震はマグニチュード9程度だ。そして、昨年3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9であり、ほぼ千年前の869年に起こった貞観地震の再来だとされる。日本で最大の活断層である中央構造線で起こる最大の地震は東海地震、東南海地震、南海地震の3連動地震で、これもマグニチュード9程度であるとされる。そして、これらの地震でさえ、200年から400年ほどの間隔で起こっている。東日本太平洋沖地震よりも発生間隔が短いのは、それだけ東海地震や南海地震の震源域での海洋プレートの沈み込み速度が速いからだ。
 そして、実をいうと、現実の活断層の多くは、平均活動間隔が上に述べたように1000年程度であることが多い。つまり、活断層の定義と現実の活断層の姿がかなり離れていて、活断層の定義は非常に活動性の低い活断層も含めるようなものになっているということだ。これには理由があり、既に、最新の活動から数十万年動きがなく、活動をやめたと考えられていた断層が突然動いた事例があり、そのために、非常に幅を取って活断層の定義が決められたのだ。
このことには、活断層がそもそもいつ動いたのかの判定がかなり難しく、例えば過去10万年動いていないかどうかの判断は極めてあいまいなものでしかないという。
地震は、基本的に、プレート間の圧力、日本においては、北海道や東北地方、関東地方が乗っている北アメリカプレート、中部地方から中国地方や四国、九州が乗っているユーラシアプレートが周りのプレート、つまり、太平洋プレートやフィリピン海プレートとの間やユーラシアプレートのヨーロッパ側から圧力を受けることにより生じる歪みを解消するために生じる。
北海道や東北地方なら、それらが乗っている北アメリカプレートは太平洋側で太平洋プレートに面しているし、日本海側でユーラシアプレートに面していて、それらの間で圧力を受けている。中国地方や四国、九州はユーラシアプレートの東南の端に乗っていて中国やヨーロッパ自体が乗っているユーラシアプレート本体の東方への動きの圧力を受けているし、それにプラスしてフィリピン海プレートからの圧力を受けている。関東地方や中部地方、近畿地方は、北アメリカプレートとユーラシアプレートの接合部にあり、複雑な力を受けている。つまり、関東地方や中部地方はフォッサマグナという大地溝帯なのだ。関東地方は北アメリカプレートの上にあるが、その下へフィリピン化プレートが沈み込み、さらにその下へ太平洋プレートが沈み込んでいるとされる。つまり、関東地方は、それ自体が乗っている北アメリカプレートの影響を北方から受け、西方からはユーラシアプレートの圧力を受けているし、南側からはフィリピン海プレートの沈み込み圧力を受け、更に、東方から太平洋プレートの沈み込み圧力を受けているのだ。中部地方や近畿、北陸はこういった関東地方の影響を受けるし、北方からはユーラシアプレート本体の東向きの圧力を受け、南側からはフィリピン海プレートの沈み込み圧力を受けている。基本的に、地震は全てこういったプレート間の相互作用によって起こると考えられている。基本的という意味は、それ以外に火山噴火に伴うものなどがあるからだ。
 地震周期については、その地域で起こる最も大きな地震、つまり、東北地方であれば東北地方太平洋沖地震がほぼ1000年に一度起こっていて、それが起こることによってその地方全体にかかる力がリセットされると考える。つまり、少なくとも東北地方の太平洋側については約1000年が全体の地震周期であり、その周期で数十年の地震活動期が来ることになる。
 2012年夏現在、再稼働で問題になっているのは若狭湾にある原発群なので、若狭湾を例にとって、どんな力がもとになって地震が起こるかを検討しよう。
 若狭湾の位置は微妙な部分にある。ユーラシアプレート上なのだがフォッサマグナのほぼ隣に位置していて、関東地方の乗っている北アメリカプレートの動きの影響も受けているからだ。更に、日本海側にあるため、プレート境界で起こる大地震による直接的な影響を受けているわけではない。若狭湾に影響を与える大地震と言えば南海地震や東南海地震であるはずだが、これらの震源域と若狭湾の間には大活断層である中央構造線があり、これが南海地震などの影響をかなり消してしまうからだ。東北地方の日本海側が、太平洋側でのプレート境界型地震の震源域との間に持つものは単に東北地方の陸地地域だけであり、プレート境界型地震の震源域から遠いということだけであるのに対し、若狭湾は日本で最大の活断層である中央構造線がプレート境界型地震の震源域との間に挟まってしまっていることが、そこでの分析をしにくくさせている。
 しかし、だからと言って地震活動期の周期を推定できないわけではない。この地域で起こった地震で最大のものは1891年の濃尾地震だ。この地震はマグニチュード8以上と推定されていて、プレート境界型以外の地震としては最大級のものとされている。濃尾地震の前の地震は745年の大地震とされる。そのほか、1586年の天正大地震もあるが、ここではより古い745年を前回の地震と解釈する。つまり、ほぼ1000年周期で大地震がやってきて、一気に歪みの解消をしてしまうと考えていい。
 ただ、この考え方には落とし穴がある。若狭湾は濃尾地震の震源域である岐阜県本巣市からある程度離れているためだ。100キロ程度は離れていると見ていいようだ。大地震の震源域から離れていることにより、ほとんどそれらの影響を受けないということも考えられる。例えば、四角い座布団の左右の端を中央に向けて押したとき、四隅はほとんどその力の影響を受けない。だから、地震活動期の周期をそういった地域で求めることはできないと考えるしかない。しかしながら、これであきらめる必要はない。なぜなら、大きな圧力を受けない地域で起こる地震は当然大きなものではないからだ。小規模な地震であればあまり被害を受けることはないのでそもそも考慮する必要がない。なお、だからと言って、若狭湾で起こる地震が小規模であるわけではない。若狭湾により近い地域でマグニチュード6から7程度の地震の繰り返しが分かれば、それによって若狭湾の地震活動期の周期がより正確に推定できる。
 では、実際に若狭湾周辺で起こったマグニチュード7以下の地震はどのようなものがあるだろうか。1662年に寛文地震、1586年の天正大地震、更に、1300年、701年にも大地震があったとされている。特に、701年の地震はマグニチュードが8程度あった可能性がある。つまり、600年とか300年、または、80年程度の間隔があることになる。このようにばらばらなのは、プレートの沈み込みのように数百年ほぼ一定の速さで起こる地殻の歪みの結果起こるプレート境界型の地震ではなくて、プレート境界から遠い内陸型の地震であるからだ。そして、これらの地震はどれもかなり大きい地震であり、原発直下で起これば大事故に至ることは確実だ。特に、701年の地震は貞観地震が発生した869年から170年程度前に起きているが、745年には若狭湾近郊でマグニチュード7程度の地震が起こっていると推定されていて、50年も間隔を置かないでかなり大きな地震が発生して若狭湾の歪みが解消されている。869年の貞観地震の後で起きた若狭湾の地震が400年以上経過した1300年の地震であるのは、貞観地震の前に若狭湾の地殻の歪みが解消されていたからだと考えるべきだ。そして、若狭湾での前回の大地震が1662年であり、既に450年経過しているわけで、若狭湾で次の大地震が来るのはかなり近い将来だと考えざるを得ない。繰り返しになるが、東日本太平洋沖地震が発生した結果、西日本へも地殻の歪みが生じ、その解消のための地震が起きやすくなっている。若狭湾での前回の大地震から既に450年経過しているということは、この地域での次の大地震が近いということを示しているのだ。
 若狭湾で起こる大地震の発生間隔が数百年単位で変動していることは、この地域へ働く力が、複雑であり、更にかなり大きいことをあらわしている。そして、この地域が大きく変動するならば、この地域はこの地域独自の動き方をすると解釈しなければいけないだろう。事実、この地域は巨大なユーラシアプレートの一部を構成するマイクロプレートであるアムールプレートに属しているとされる。アムールプレートは、西日本のほぼ全域と朝鮮半島、そして、中国の満州にあたる部分を含んでいる。次の図の中央部にあるのがアムールプレートだ。アムールプレートの西側にある黒く塗られた部分が揚子江プレート。両プレートとも、ユーラシアプレートを構成するマイクロプレートであるとされている。

 日本のアムールプレート内では、1995年の兵庫県南部地震(阪神大震災を起こした地震でM7.3)、1997年の鹿児島県北西部地震(M6.4)、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)、2001年の芸予地震(M6.7)、2005年の福岡県西方沖地震(M7.0)が起きてきている。それどころか、アムールプレート東縁変動帯という概念が提唱されていて、日本海の東縁、つまり、北海道や東北地方の日本海側から東海地震、東南海地震、南海地震の震源域を含んだ2000キロ以上の長さの幅100キロ程度の地域が、1990年代ごろから地震活動期を迎えているとされている。
中国側では2008年の四川大地震(M8.0)アムールプレートの西側にある揚子江プレートの北西端で発生している。この地震の直後から、桜島の噴火が活発化したし、新燃岳も噴火が再開した。
更に、朝鮮半島の根元にある白頭山の噴火が数年中に起こるとされていて、過去の噴火の時には、南海地震が5年から10年程度で起こっている。 近年の白頭山の噴火は、1597年、1668年、1702年であり、南海地震を含んだ3連動型地震が、1605年慶長、1707年宝永地震に発生している。
富士山が数年中に噴火する可能性があると指摘されていることは周知のとおりだ。
以上述べたとおり、若狭湾のある地域で近い将来マグニチュード7を超える地震が起こる可能性はかなり高い。しかし、若狭湾と言ってもかなり広い地域だ。海岸線は数百キロの長さがある。マグニチュード7の地震でも震源域から100キロも離れていれば被害はあまり大きくない。だから、震源域の大きさを考えてみる必要がある。
震源域の大きさはマグニチュード7で数十キロ程度、マグニチュード8で100から200キロ程度、マグニチュード9で500から1000キロ程度だとされている。だから、マグニチュード8程度以上の地震が若狭湾内、またはその近郊で起これば、若狭湾にある原発はほぼ震源域にあることになり、かなりの揺れに直撃される。マグニチュード7の地震なら、二回に一回程度は原発直下での地震になるだろう。なぜなら、若狭湾のほぼ全域に原発が広がって立地しているからだ。若狭湾の海域の沖のほうが震源域にならない限り、マグニチュード7程度の地震でも原発直下の地震になる。
なお、揺れの激しさとマグニチュードは直接関係がない。現在使われているマグニチュードの出し方にはいくつか方法があり、最もよく使われるのはモーメントマグニチュードという評価方法だ。これは、動いた体積とその移動量を考慮した評価方法で、動いた体積が大きくなればマグニチュードも大きくなる。つまり、揺れの激しさは直接的には関係なく、マグニチュード7程度でも非常に激しい揺れになることがある。揺れの激しさを決める直接的な要因は震源域からの距離だ。今年になってから、首都圏直下型地震で震度7の地域が出ることが予測されているが、その原因として震源域が従来の予想よりも浅いところにあるとされたからだ。
更に、揺れの激しさと地盤の硬軟との関係も複雑だ。よく、地盤が軟らかいために揺れが大きいとされるが、これは地震のS波や表面波の影響を述べたものだ。地震によって発生する地震波には基本的にP波(縦波、振動が進行方向に起こるもの、音波と同じ)とS波(横波、振動が進行方向に直角に起こるもの)がある。P波は最初に発生する地震波で速度は速いが軟らかい地盤で減衰しやすい。S波は速度が遅いが減衰しにくく、比較定期遠くまで揺れが伝わる。普通地震の揺れとして感じられるのはS波であり、S波が地表面を伝わる表面波というものも地震の揺れとして感じられることがある。日本は軟らかい地盤が多いので、よほど大きな地震で震源域の真上にいないとP波の揺れは感じないはずだ。緊急地震速報は、伝播速度の速いP波を計測して、本震であるS波の到来を予測するものだ。新幹線が地震で止まるのも最初に来る初期微動のP波を検知しているし、原発の制御棒が作動するのも同じ原理だ。
縦揺れとか横揺れは、ほぼS波や表面波によって起こっている。S波が地表面にほぼ平行に来れば縦揺れになるし、垂直方向に近ければ横揺れになる。地盤の柔らかいところでは、こういった揺れがコップの中の水と同じで、揺れやすいし、その揺れが一定時間続くことになり、その結果、地震の揺れが激しいと感じられることになる。
ところが、地盤の固いところでは、地盤全体が固く接着されているため、横揺れするためには固い部分全体が動く必要があり、結果的に揺れが小さくなるし、そもそも揺れが持続しない。だから地盤が固いところは地震被害が少ないとされることが多い。しかし、ここには大きな誤解がある。つまり、P波は地盤が固い場合のほうが伝播しやすいのだ。地盤が固いところで、直下型の地震が比較的浅いところで起こった場合、その震源域ではP波、つまり、地震縦波の影響を強く受けることになる。縦波は一般的に衝撃波とも言われ、ものを一瞬のうちに破壊してしまう。1995年の兵庫県南部地震(マグニチュード7.3、震源深さ16キロ、最大震度7)や2008年の宮城岩手内陸地震(マグニチュード7.2、震源深さ8キロ、最大震度6強)では、鉄筋鉄骨コンクリート製のビルや鉄橋の橋桁部分などで、地震衝撃波の影響がかなりの程度観察されている。その多くは、ビルの柱が粉々に粉砕されたり、鉄橋の橋桁部分に水平に割れが生じ、コンクリートが破壊され、鉄骨がくの字に折れ曲がるという被害だ。鋼鉄製の柱が途中で水平に破断する被害も出ている。
そして、ここが最も大きな問題だが、地震衝撃波の被害について、日本の学界や行政がそれを無視してしまっている。そのことを証明するのは簡単だ。地震縦波の存在を述べる論文とその存在を無視している論文を示し、無視している論文がいかに非論理的なものかを述べる。
地震衝撃波の存在を指摘する論文はほぼ大阪市立大学工学部の専門家によるものだ。1997年1月の工学部紀要震災特別号に掲載されている。そのうち主なもののタイトルを挙げると次のようになる。
1.「直下型地震による建造物の衝撃的破壊の特徴について」
2.「兵庫県南部地震における土木構造物の衝撃的破壊の事例」
3.「兵庫県南部地震における土木構造物の衝撃的破壊について − 地盤と構造物の相互作用の応力波伝播解析による検討」
4.衝撃的上下動による構造物被災

地震衝撃波の存在を無視するものには、次のものがある。
5.「兵庫県南部地震による市立西宮高校校舎の破壊機構」
これは、関西大学の専門家により書かれたものだ。

 両者を比較するために、1.「直下型地震による建造物の衝撃的破壊の特徴について」 と5.「兵庫県南部地震による市立西宮高校校舎の破壊機構」に共通して取り上げられている西宮市立西宮高校校舎の破壊について、その分析の違いを見ることにする。これは、この高校の特別教室棟が固い地盤と軟らかい地盤にまたがって建てられていて、固い地盤の上の校舎部分の1階の柱が壊れてしまったという事例だ。柔らかい地盤の上の校舎部分はほとんど被害がない。

 説明に入る前に、用語の確認をしておく。

 座屈:「細長い物体は、引張ったときにはその材料の強度いっぱいまで耐えることができますが、圧縮したときには、材料本来の強度よりもはるかに小さな力で折れてしまうのです。この現象を、座屈と呼んでいます」ということで、鉄筋鉄骨コンクリート作りの建物で、柱や鋼鉄製の管などが、破壊されること。普通は、建物が垂直に立ったままで、破壊された柱の部分が壊れて下に落ちるようになる。まるでだるま落としをやったように見える。パンケーキ崩壊といわれるようなビルの柱がすべてつぶれて床が積み重なるように壊れるのもこの座屈の現象の一つ。
 
 スパン:建築物の柱から柱の間の空間。鉄筋コンクリート製の学校の校舎なら、柱と柱の間にあるひとつの教室に当たる空間が1スパンとなる。

 G.L.−9m:GLはグランドレベル(地表面)の略、マイナスがついて、地面からマイナス9メートルという意味。

 シルト:砂と粘土の中間の大きさを持つ土砂

 ボアホールカメラ:穴の中に入れて周囲360度を同時に映せるようにしたカメラのこと。

 フーチング:土台の部分の中で、土に埋まる部分を言う。杭との接続部になる。鉄筋コンクリート作りの建物は、普通、フーチングの上に柱が立つ。

次に、西宮市立西宮高校での被害がどのような状態だったかを主に5.「兵庫県南部地震による市立西宮高校校舎の破壊機構」からの引用で述べておく。
 特別教室棟校舎(鉄筋コンクリート造、約82m×12m、5階建てでスパン数は13)の東側2スパンの1階柱及び3スパン目の各階の梁が大きく破壊された。東側2スパンは固い地盤の上に建てられていて、それよりも西側はもともと池であった部分を埋め立てた柔らかい地盤の上に作られていた。座屈は、固い地盤の上の校舎部分で起こっている。校舎の各柱の下にフーチングが設置されていて、基本的にそれぞれのフーチングを4本の杭が支持している。杭は直径350mmで地下9mまで打ち込まれている。敷地中央部のボーリング(資料中にはK−2ボーリングと記されている)調査の結果、大阪群層という固い地層は「敷地の中部から西部の東西方向ではほぼ水平とみられるが、東部では急激に浅くなって東端部では露出している。また、南北方向には緩い斜面を形成している」という。つまり、東側2スパン分(2教室分)は固い地盤の上に建てられていて、杭もそのほぼ全体が固い地盤の中に存在している。それよりも西側の校舎部分は軟らかい地盤の上に建てられていて、その部分の杭は、4mほどの軟らかい地盤の層を挟んで5m分ほどが固い地盤に打ち込まれている。
 特別教室棟を含んだ校舎全体は敷地の北部に建設されていて、その南側に校庭が広がっている。兵庫県南部地震により、校庭(グラウンド)は敷地西側の水路と南側の池に向かって、それぞれ約1m横変位し拡大したという。その結果、特別教室棟は東側3スパン目が約10cm延び、それ以西のスパンでは合計5cmの延びと約10cmの相対沈下を生じた。更に、東側2スパン目を軸にして、建物の西端は南方に最大約30cm変位していることが確認されたという。
 

 神戸大学付属図書館の「地学教師が撮り続けた阪神大震災 : 市立西宮高校とその周辺」というサイトがある。そこから、何枚かの写真を引用して、どのように校舎が破壊されたか、座屈はどう起こったかを見てみよう。それぞれの写真の下に、地震衝撃波を認める考え方と認めない考え方でどう解釈できるかを述べてある。


http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV3100.html

コンクリート部分の解体が始まった旧A棟 : 座屈部分のすぐ西側北面
向かって左側の1階の2教室分、つまり、2スパン分が座屈している。この座屈は、左から3本分の柱が教室の高さ分(少なくとも3m)ほぼ完全に崩れて落ちていることが分かる。横から引っ張った時に、このように鉄筋コンクリート柱が完全に粉々になるだろうか。
3教室目(3スパン目)の2階床面から屋上までは左側2スパン分が落下したことにより破断しているように見える。3スパン目の右側柱を含んでそこより右側はほとんど傷みが観察できない。なお、4スパン目の1・2階は通路で、教室があったわけではない。


http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV3076.html

上から見た座屈した旧A棟北東部分 : ガラスが取り外につぶれている。3スパン目の各階の床は斜めになっている。
 なお、向かって左側から2スパン目と3スパン目の間の柱は座屈した部分が右側へずれているのが分かる。3スパン目の2階部分の壁を見ても右へずれているのが分かるが、屋上のほうはそれほどずれているように見えない。つまり、1階や2階部分の方が、屋上や5階部分よりも右へずれているのだ。

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV3012.html

旧A棟1階南側座屈部の柱 : 飴のように曲がってむき出しの鉄筋
 1階部分のほぼ教室の天井までの高さの分の鉄筋がむき出しになってぐにゃりと曲がっている。左方向の力を受けただけで、このように鉄筋の中のコンクリートが粉々に破壊されるだろうか。
 地震衝撃波の存在を否定する論文では、「東側2スパン目を軸にして、建物の西端は南方に最大30cm変位」していることが確認されたとし、そういった横方向への力が働いて一階の柱が破壊されたとしている。
 地震衝撃波の存在を認める論文では、次のように説明している。縦方向の衝撃を受けた結果、瞬間的に一階部分の柱に応力が集中し、それが圧縮力となってコンクリートが粉々に破壊されて、その次に、建物が重力で落下したので、縦の鉄筋が曲がったと考える。

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV2027.html

旧A棟1階東側東面と南面 : グランドへの坂道から見たつぶれた柱
座屈している1スパン目の外壁を写したもの。外壁の中央に水平に入っている線が2階の床面の位置を示していることが写真左の教室の床面の位置から分かる。つまり、外壁自体も一階部分がほぼ完全に破壊されたことが分かる。


http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV2026.html

旧A棟1階東側東面の柱 : グランドへの坂道から見たつぶれた柱
座屈した1スパン目の外壁を東側から写したもの。横に入っている線は2階の床面の高さを示している。
地震衝撃波の存在を無視する論文の説明では、東側2スパン分は、それ以西の校舎部分によって西へひっぱられて、その横方向の力を受けることによって、一階の柱が壊れたとしている。
しかし、校舎の東側2スパン分全体、つまり、校舎の1階から5階に至る2教室分の校舎全体に西へ横方向に引く力が働いたのなら、2スパン目の西側の下の角を支点にした校舎の南側から見て反時計回りの力が働かなくてはいけない。つまり、上の写真の部分は、横方向へ移動するよりも斜め上方に持ち上げられていなければいけないのだ。このことは容易に推測がつく。直方体の箱を底面を固定して、左方向へ力を加えれば、底面の、左側の角を中心にして反時計回りに回転する力が働くからだ。もう少し厳しく考えて、底面が固定されているために、反時計回りの力が働かなかったとしても、単に校舎の西側部分が西へ10cm程度側方流動しただけなら、一階部分の柱が軽く西側へ傾くだけで済んだはずではないだろうか。なぜ、10cm程度の横方向の動きだけで、長さ3mほどの一階部分の柱が完全に粉々になるのか。横方向への力が働いたのなら、柱の上下端に破壊が起こり、柱の中間部が粉々になることはまずない。
現実の写真が示していることは、東側2スパン分の柱や外壁の1階部分がほぼ完全に粉々に破壊されたということだ。引っ張り力というよりも圧縮力がこの部分のコンクリートに働いた結果、こうなったと見える。

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV1010.html 

机上にある書類は地震後整理されたものかもしれない。しかし、机がもともとの列になったままだ。もし、机の列が揺れで動いたのなら、わざわざ坂になった部分に机を一直線に並べようとはしないだろう。つまり、通常の地震の縦揺れも横揺れもあまりなく、衝撃波によって瞬間的に東側2スパン分の1階部分が座屈した結果、この3階部分を含んで3スパン目が1階から5回まで斜めに破壊されたのだ。

 地震衝撃波の存在を認めている1.「直下型地震による建造物の衝撃的破壊の特徴について」では、西宮高校の事例について、その13ページ目(実際の文書に振られているページ番号は79ページとなっている。紀要の通しページ番号が79ページの意味だろう)で述べられている。
地震の衝撃的破壊が主に縦方向に作用して、柱を破壊したのだと説明している。一気に柱のコンクリートに圧縮力が働いて破壊され、ほぼ同時に鉛直方向への引張力が働いて中のコンクリートが飛び出し、次に建物が重力で下がることによって鉄骨が曲げられたという理屈だ。校舎の西側がほとんど無傷であるのは、軟らかい地盤中にあった支持杭の見かけの軸剛性が低下し、これらの支持杭が鉛直方向の衝撃的な力に対してある種のクッションのような効果を果たしたからとしている。

 次に、衝撃波の存在を無視している「兵庫県南部地震による市立西宮高校校舎の破壊機構」の主張だ。
 校舎の破壊原因を「埋立て地盤の沈下と校舎西側にある水路に向けての側方流動の総合的な影響」として、地震衝撃波の影響を認めないことについての反論をしてみよう。ごく簡単に言えば、まず、地震によって不同沈下が起こり、それで、3スパン目の基礎が破壊され、次に側方流動によって校舎の西側が西へ動いたが、校舎東側2スパン分は硬い地盤に固定されていたために動けず、それに引っ張られて東側の1階部分が座屈したという説明だ。
  しかし、ごく普通に考えて、不同沈下と側方流動が別々に起こるはずはないし、ましてや、最初に不同沈下が起こって、次に側方流動が起こるということはありえない。ゴム風船に息を吹き込めば、内部の圧力が高くなって風船は膨らむが、このとき、確かに、圧力が高くなったことが原因で風船が膨らむが、圧力の上昇と風船の膨張は同時的に進行する。
 更に、もし校舎西側が側方流動した結果、東側の2スパン分が座屈したとしているが、最大30cmほどの南側への変位しかなかったのに、東側の2スパン分の1階柱が粉々に壊されるとは思えない。少なくとも、1階部分が座屈した東側2スパン分の校舎上部は、ほとんど水平移動しないまま、下に落ちている。側方流動が原因で西へ引っ張られたのなら、西側へもっと移動していなければおかしい。
また、3スパン目の1階から5階までの破壊が不同沈下によって生じ、次に側方流動によって西側10スパン分が西側へ動いたのなら、3スパン目の各階がそのまま各階の高さに残っているのはおかしい。不同沈下で既にコンクリートや鉄筋がかなりの程度壊れているところへ、横方向の力が働けば、3スパン目で校舎が切り離されるはずだからだ。不同沈下でかなりの被害を受けた3スパン目は、既にコンクリートは亀裂が入り、引張力を伝えることができなかったはずだ。だから、鉄骨だけが東側2スパン分の校舎との間をつないでいたはずで、それらの鉄骨が、東側2スパン分の1階柱を全て粉々に粉砕するほどの力を伝えることができたとは思えない。
座屈部分の校舎3階の写真を見ても横方向のゆれがあったようには見えない。

「直下型地震による建造物の衝撃的破壊の特徴について」から特に重要と思われる点を抜き出しておく。
一つに、兵庫県南部地震が直下型地震の特徴として(被災した都市部が)震央に近く、地動加速度の上下成分に過去の海溝型地震では見られなかった大きな振幅を与えていること、二つめに、建築物か土木建造物かの建造物の種類を問わず新旧の耐震設計法には地盤上下動による鉛直方向の衝撃的な荷重作用が考慮されていない。
耐震設計法は建築物関係と土木構造物関係とに二大別されている。以下、当該規定を簡単に述べる。前者では、当該の行政法規の建築基準法施行令88条の条文に、地震力は地震層せん断力とする記述がある。また日本建築学会では、地震荷重の算定の項には、水平地震荷重を算定する、と定められている。一方、土木構造物関係では、対象となる構造物の種類毎に耐震設計法が定められている。例えば、道路橋の設計に関しては、支承部などの設計を除いては水平震度を用いる、とする記述がある。これらには、建造物総体の耐震設計に用いる地震荷重は水平方向に作用させるとする原則が確立されており、決して鉛直方向に作用させる地震荷重も採用すべきとする積極的な記述はなされていない。
ヘルツによると、衝撃は不連続面を通過する時に起こるとされる。伝播をうけた側の媒質内の高速波動では、媒質の密度、圧力、温度、伝播速度などに有限の大きさの不連続性が生じる場合がある。力の衝撃性は、この不連続な状態に現れる。これによれば、地震動そのものに衝撃的な波動が存在する必要はなく、建造物と接する境界面で生じる。


大阪市大工学部紀要・震災特別号(1997年1月)にある「衝撃的上下動による構造物被災」には次のことが指摘されている。
阪神・淡路大震災では衝撃的上下動による破壊が多く観察された。鉄筋コンクリート柱の圧潰と深い滑り面を持つせん断破壊や水平引張破断、鉄筋コンクリート中層建築物の中階の圧潰、鋼管柱の脆性破断や環状座屈、木造家屋の建坪内破壊、小河川の河床の隆起と盛り土側方の地盤隆起などである。この衝撃動は人体に強く感じられていたが、地震計には記録されていなかったため、被災原因を巡って混乱が起きている。
豊中市にある一階が駐車場になっている消防署の柱は一軸圧縮試験にかけたかのようなX型の亀裂を生じていたが、その付近は震源からかなりの距離にあり、木造家屋に屋根瓦がずれるのが見られる程度で、それ以上の外観上の被災はない。
昭和40年から50年ごろに造られたコンクリート構造物の被害が多い。武庫川下流部にかかる多くの橋梁のうち、大きく被災したのは山陽新幹線と名神高速道路で、それ以前に造られた古い時代のコンクリート構造物が無傷なので、昭和40年から50年ごろのコンクリートの品質が批判されている。
場数を踏んだある土木技術者は(阪神大震災の)初めの上下動は発破をかけたときに岩盤を伝わってくる衝撃と同じ感じだったといい、地盤工学にくわしい専門家は、ベタ基礎のものは壊れていないのに支持杭基礎の建物が多く壊れている事実を、固い支持層から衝撃が直接伝わってくるからだ、と説明している。
現存の地震計が、短周期の衝撃的な地震動を対象にしていない(サンプリング間隔、フィルターの周期が長い)こと、短周期の衝撃的動きの記録は地震計の設置位置の堅さによって全く異なること。地震の波形記録は多く発表されているが、地震計の特性に全く触れていないのは不可解だ。

 以下、地震や原子力の専門家ではない自分が気が付いた点を記しておきたい。
横波が地殻内の反射によって縦波になることもある。反対に、縦波が横波に変わることもあるという。であれば、地中に打ち込まれた杭に地震横波が一程度以上の強さで伝わると、それが縦波に変化して衝撃波としてその建物に作用することがあり得るということだと思う。
ニュージーランドでの2011年の地震で日本人が多く被害にあったビルはパンケーキ崩壊をしていて地震縦波、または、地震衝撃波の影響があったように思えるがそういった話は国際的にされていない様子だ。同様に、アメリカのカリフォルニア州やイタリヤやトルコなど地震が多く起きる地域で鉄筋鉄骨コンクリート建造物への衝撃波被害があったはずだが、ほとんど話題になっていないように見える。
次なる震災がいつ起こるのか、それは分からないが、非常に悲観的な見通しをせざるを得ない。なぜなら、核廃棄物の処分が出来ずに、原発敷地内に10年どころか、20年、30年とそのまま保管することになるだろうからだ。プールで保管するのは、崩壊熱が激しい場合は冷却に水を使うしかなく、避けることができないが、ある程度冷却期間が過ぎ、崩壊熱があまり大きくなくなった段階でプールから出し、乾式キャスクでの保管に移行するしかない。乾式キャスクなら、冷却水が必要ないからだ。原子炉で数年間燃やした核燃料は、燃料のウランの核分裂によってさまざまな種類の放射性物質を大量に含むようになる。それらの放射性物質の多くは半減期が短く、数年間程度はかなりの崩壊熱を発生するので、まず数年間程度プールで冷却することになる。数年後には、半減期の短い放射性物質の多くは放射性を失ってしまうので、崩壊熱もそれだけ減少する。その段階で乾式キャスクに移すことになる。乾式キャスクでは空冷になるので、冷却能力があまり大きくない。
原発を使い続けることは、それだけ、また新しく使用済み核燃料を出し続けることになり、原子炉建屋の上部にあるほとんど放射能の封じ込め機能のないプールで数年間その使用済み核燃料を保管することを意味する。電源が切れたら、または、原子炉建屋がある程度以上破壊されプール自体にひびでも入れば、大規模な放射能漏れに至ることになる。この意味でも、原子炉稼働は危険であり、再稼働は避けたほうがいい。
乾式キャスクも容器の劣化があり、設計時の安全に使えるとされる期間は40年とか50年程度とされている。しかも、燃料棒自体や燃料集合体自体が50年や100年後どの程度劣化するかはよく分かっていない。これは当然で、まだ、原子力発電を始めてから60年程度しか経っていないからだ。更に、乾式キャスクを貯蔵するための倉庫自体も50年とか100年ごとに建て替えが必要になるはずだ。使用済み核燃料の安全保管が短くとも数万年、アメリカでは100万年必要とされていることを考えると、プールにしても乾式キャスクにしても地上保管にはほぼ無限大の費用が掛かることになる。しかし、だからと言って、地層処分は、地震が起こった場合の安全性が全く保障されていず、地震が起こらなくても容器が地中で破損することによる地下水の放射能汚染がいつかの時点では確実に起こってしまう。これらのことは、ウランやプルトニウムの半減期が数万年とか数億年と分かった時点で予測できたことであり、北アメリカ大陸やヨーロッパなどの大陸部へは核廃棄物を処分できないことは明白だ。つまり、これらのことは、核兵器を製造・保持しようとする際の最大の問題点として理解されたはずだ。そして、だからこそ、原子力の平和利用を口実にして、日本や台湾などの地震国に原発を広めたのではないだろうか。つまり、それらの国で原発事故が起こり、国土が放射能汚染してしまい、国民が海外移住して国土を核廃棄物処分場にするしかない状況を作ろうとしていたのではないか。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1129>>  

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コメント
 
01. 2012年8月13日 21:26:42 : NrnWIa4XYo
 同感です。良く調べられていて力作です。
 地震による危険については私もコメントで投稿してきましたが、P波と、S波の説明のあたりはなるほどと思いました。
 ところで 詳しくはわかりませんが燃料棒や制御棒、その取付け部が横であれ縦であれ衝撃波で破損する事だって起きる可能性は果たしてゼロなのでしょうか。これらのストレステストはどうなっているのか、せめてストレステストのデータだけでも見てみたいものです。
 巨大な原発プラントは日本では無理だし、温排水を直接海に捨てているので利用できず非効率、耐震や津波対策にも本来は相当のコストがかかり本当はその分は高コストなのに無理に安くしているからあのような事になるのではないでしょうか。
 ただもし1万kw以下、できれば1000kw程度の超小型原発で安全なものができればそれは或いは1%程度は利用可能とも思います。
 超小型であれば冷却水はフレキシブル配管でサヤ配管方式、建屋は原子炉建屋とタービン建屋を一体にできますし、建屋を衝撃波や地震波から守るクッションなども利用可能、いざとなれば水棺、石棺も容易だし、そもそも福島第一原発のような大規模な放射線漏れにはならないから対応もしやすいからです。

 
 


02. taked4700 2012年8月14日 15:49:00 : 9XFNe/BiX575U : JfbPmCZLUc
>>01

ありがとうございます。

ところで、訂正があります。

西宮高校校舎の一枚目の写真の説明で「4スパン目の1、2階は通路」と書きましたが、それは、地震後の工事のためにその部分を撤去して通路のしたようです。もともとは、普通に教室がありました。


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